解同の同和特権的確認糾弾。利権手段を廃絶へ

弓矢人権裁判の終結にあたって
http://homepage3.nifty.com/zjr/topics70.htm

2007年1月15日 

  中央人権共闘会議
  全国地域人権運動総連合
  国民融合全国会議

    
 昨年10月末、最高裁判所は弓矢人権裁判について三重県の上告を棄却し、それぞれの上告受理申立を受理しないと決定した。 これにより、名古屋高裁の判決が確定した。

 高裁判決は、県教委の確認会・糾弾会出席強要と同推教員らによる糾弾会提出のための「反省文」作成強要を違法とした一審津地裁判決に加え、三重県教委らの違法行為をさらに広く認定して賠償責任の根拠と認め、330万円の慰謝料支払いを三重県に命じた。

 一方で高裁判決は、事案の核心をなす「お嬢さんの将来にいいかもしれませんね」との弓矢教諭発言と町内会分離運動を「比較的重大な部落差別事件」と断定し、なにが差別かの論拠も示さないまま、この断定に寄りかかって確認・糾弾会を主催し実行した「解同」関係被告の責任を不問に付すという重大な誤りを犯している。

 にもかかわらず、判決が内心の自由への侵害は違法として確認・糾弾に制約を課し、その確認・糾弾会への出席強要と反省文、感想文の作成強要やそれの配布など、糾弾の準備行為、関連行為を明確に違法としたことには意味があり、確認・糾弾行為の強行実施を不可能にするものである。 「解同」、県教委、教職員組合を含む同和教育体制とそれを梃子とした学校・教員支配、県下すべての市町村における差別撤廃条例の制定という「解同」翼賛体制のもとでのたたかいとして大きな前進と言うべきであろう。

 我々は、違法・不当な暴力・糾弾とそれに迎合・同調した行政・教育に裁判上の決着をつけるたたかいと位置づけ共同して支援を訴えてきたが、今回の判決が持つ積極的な意義を確認するものである。 とはいえ、判決確定をもって事態がすべて解決するものでないことは言うまでもない。 判決を武器として三重県の不公正な行政・教育を正すたたかいはむしろこれからである。

 今日、大阪、京都、奈良における「解同」利権と行政の乱脈・不正に対する怒りは、新たな世論の広がりをつくりだしている。「解同」問題は三重県行政、教育においても最大の弱点の一つであり、この問題を追及することによって大きな転換の展望を開くことも不可能ではない。 我々はひきつづき三重県民のたたかいを励まし、連帯するものである。

     

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上告受理申立理由書

平成18年(ネ受)第45号 
申立人  弓矢伸一
相手方  三重県 外5名

上告受理申立理由書

平成18年5月26日

最高裁判所 御中

申立人代理人
弁護士  石川元也
弁護士  伊賀興一
弁護士  石塚徹
弁護士  長谷川一裕
弁護士  服部融憲
弁護士  山内康雄
弁護士  竹嶋健治
弁護士  則武透

目   次
当事者の表示                          
本件事案の概要と特徴、原判決の判示内容と上告受理申立の構成   
1 事案の概要                        
2 本件事案の特徴                      
3 原判決の判示内容と上告受理申立理由の構成        

上告受理申立理由第1点                    
第1 原判決は、最高裁判例に反する。             
 1 原判決の判断の誤り                   
 2 原判決の事実判断を誤った結果の民法709条の違法性判断の誤り                             
第2 差別の判断に関する最高裁判決違反             
第3 原判決が、糾弾の権利を認めたごとく判断したことの違法  

上告受理申立理由第2点                    
第1 1審原告の一次的主張を排斥した原判決の誤り       
 1 1審原告の一次的主張に対する原判決の認定判断      
 2 1審原告の一次的主張の内容に対する原判決の誤解ないし審理不尽と重大な事実誤認                 
 3 1審原告の主張する1審被告らの「共謀」の内容の補充   
第2 1審原告に対する確認会・糾弾会への出席強要に関する原判決の認定と矛盾                     
 1 1審原告を確認会・糾弾会に出席強要した責任についての
  原判決の認定判断                     
 2 原判決の認定判断の矛盾と審理不尽            
第3 1審被告堀ら解同幹部被告の本件確認会・糾弾会における1審原告追及の違法行為と県教委職員、1審被告森山及び同板谷らとの共謀の責任に関する原判決の認定判断の矛盾と誤り    
 1 1審被告堀ら解同幹部被告と県教委職員、1審被告森山及び同板谷らとの本件確認会・糾弾会開催の共謀について      
 2 1審被告堀ら解同幹部被告の確認会・糾弾会における具体的追及行為の違法性に関する原判決の認定判断について      
 3 原判決の事実誤認と認定判断の矛盾             

上告受理申立理由第3点                     
 1 原判決の違法                       
 2 「自分を見つめて」⑦以降の書き直しにおける解同1審被告の共謀と関与の事実                     
 3 原判決の釈明権の不行使                  

上告受理申立理由第4点                    
 1 「自分を見つめて」⑦~⑩についての原判決の認定      
 2 「自分を見つめて」①~⑥についての原判決の認定      
 3 原判決の理由齟齬、審理不尽の違法            
 4 「自分を見つめて」は1審被告森山の暴行・脅迫により当初の段階から作成強要されたものである。             
 5 「自分を見つめて」は県教委や学校に提出するための文書ではなく、外部団体の解同に提出するための文書である。      
 6 書き換えの回数、頻度からしても作成強要は明らかである   
 7 内容的にも1審原告の意に反してプライバシーを侵害することは明らかである

「06526.doc」をダウンロード                        

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確認糾弾会への行政の参加は違法とされた

弓矢人権裁判の名古屋高裁判決一部勝訴について(声明)
          2006年4月21日
  中央人権共闘会議
    全国地域人権運動総連合
   国民融合をめざす部落問題全国会議
 
   3月20日、名古屋高等裁判所で、三重県立松阪商業高校教諭(当時)弓矢伸一氏が、三重県や部落解放同盟(解同)三重県連などに慰謝料を求めた控訴審の判決がだされた。判決は、被告三重県に220万円の支払いを命じた1審津地裁判決を上回る330万円の損害賠償支払いを命じ、県と解同の控訴を棄却するなど、原告一部勝訴の内容である。 
 損害賠償額を引き上げた理由は第1に、被告の同和教育推進教員の「『糾弾を受けてぼろぼろになったらええんじゃ。』という不相応な発言や机を蹴るという暴力的手段」は「一審原告を畏怖させるに足りる脅迫であって、違法な行為といわざるを得ない。」としていること。第2に、弓矢教諭へ強要した反省文「自分をみつめて」の自治会住民への配布について、「その配布は、1審原告の意に反して行なわれた違法な行為」と断じたことである。第3に、「確認・糾弾会」について、「義務のないことを強要し、あるいは脅迫するなどの違法な手段を用いて行なわれる場合にはもちろん違法となる。」「動機や背景事情を超えて内心の差別をする心理に深く立ち入ったり」することなど、としており、内心の自由、プライバシーの権利、名誉権の各権利侵害として認定したことは積極的に評価することができる。
 しかし、高裁判決は大変な事実誤認を侵している点がある。それは第1に、「自治会分離運動」と弓矢教諭の発言を「差別事件、差別発言」であると一審の誤りを踏襲していることである。第2に、「確認・糾弾会」への出席強要が違法であるとして、その前後の行為を「準備行為」や「確認行為」として違法性を認定しながら、その範囲を限定したこと。第3に、県に対する違法性を認定しながら、解同の被告らに対して違法性を認定せず、判断を回避したことである。
 1審津地裁の判決は、「確認・糾弾会」への出席を、法務省通知に違反して命じたこと、同和教育推進教員らが反省文、感想文の作成を強要したことは違法であるとして三重県の賠償責任は認めたものの実行行為者である解同幹部、同和教育推進教員らの責任を免罪したものであり、控訴審でもまた同様の弱点を抱えたものになっている。
 この事件は、原告弓矢教諭の居住地での発言(「お嬢さんの将来にもいいですしね」)が一方的に差別と断定され、執拗に「差別者」としての追及が県行政や解同、同推などによって行われ著しく人権を侵害されたことに端を発している。原告は自らの「差別心」を暴くことを強要され、「反省文ー自分を見つめて」の作成と書き直しを繰り返し求められた。また、その「自分を見つめて」が学校内や居住地に配布されて「差別者」としてさらし者にされた。さらに解同の「確認・糾弾」の対象とされ、その糾弾継続のさなかに弓矢教諭が勤務していた松阪商業高校の校長が自殺に追い込まれるという痛ましい犠牲を生んだ。
 この、原告にたいする執拗で徹底した追及と糾弾は、内心の自由、プライバシー、名誉など人格権にたいするこのうえない侵害として重大であり、これらの行為は、同和教育基本方針と糾弾闘争基本方針とによって、解同、県教委の連携のもとに行われたものであり、原告の名誉は必ず回復されなければならない。
 そもそも一市民の発言を解同という一民間団体が「差別発言」と「認定」し、「確認・糾弾」と称して実質身体を拘束し、精神的苦痛を与えることは法治国家として許されざることである。さらに、たとえ「差別発言」と受けとめられるものであったとしても、その解決の筋道は当事者間の話し合いで理解と納得が得られるように互いに信頼関係を築きつつ合意に至るのが筋であり、原告はその場で「謝罪」し、しかも2度にわたって関係住民への釈明も行い、「問題」は解決をしているのである。これを教師としてあるまじき行為として「事件化」することは、見せしめに動いた関係者の陰謀であり、社会的犯罪と言える。
 これは、1969年の矢田事件以来の解同の暴力的「確認・糾弾」を断罪してきた判決が示す見解であり、旧総務庁の「指針」、法務省「見解」が部落問題解決の障害、啓発に適さないとして批判したものである。一度は、確認・糾弾の恐怖に屈した一市民である原告の言動を根拠に、「違法性を阻却する」ことは許されない。
 これら一審二審の弱点は、判決に示された積極的部分を活用しながら三重県内でのたたかいを中心に克服されなければならない。2004年10月6日から三重県で開催された部落解放研究第38回全国集会で解同三重県連の報告者は、「人権侵害救済条例」の制定運動にかかわって「ペナルティーがあるからシートベルトをするようになったし、飲酒運転もしなくなった。弱い人間は法律で決められないとできないものだ」という趣旨のことを放言している。三重では、このような基本的人権を軽視して憚らない勢力の策動を打ち破り、控訴審の闘いを通して得た財産を生かし、特権的同和・人権行政教育の終結、「確認・糾弾」の社会的一掃、新たな人権侵害を生み出す「人権(救済)条例」の制定を阻止するために「人権共闘会議」結成に向けての準備が進められている。
原告弓矢教諭は、高裁判決の一部勝利の意義を確認しつつ、消極部分について破棄を求め、4月3日最高裁に上告した(同日三重県も上告)。我々は、三重でのたたかいに連帯し、上告審でのたたかいを引き続き支援することを表明するものである。
                         

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解同の人権侵害に断罪を

 「弓矢人権裁判」控訴審判決は3月20日午後1時10分、名古屋高等裁判所民事第2部(熊田士朗裁判長)で言い渡されます。
 著名人要請書は、「水平運動以来の歴史を見れば明らかですが、部落住民に具体的な実態的害悪をもたらさない言動は部落差別たり得ません」「解同の確認・糾弾とこれに追随した教育行政によって多くの教員、校長が個人の尊厳を傷つけられ、自殺にまで追い込まれた」「(兵庫県元津事件の)1992年の最高裁民事判決をはじめ、解同関係者を被告とするいくつかの判決で、解同の主張を『独自の見解によって原判決を論難するもの』と(最高裁判決は)厳しく批判している」「三重県の誤った同和教育の策動をやめさせなければさらに多くの被害者がつくりだされることになる」など、こもごもに一審判決の不備と確認・糾弾の害悪を指摘し、公正で的確な判決を高等裁判所に要請しています。
 団体・個人署名にご協力下さい。

http://homepage3.nifty.com/zjr/topics40.htm

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県同教への出張命令は違法

全同教は毎年、行政後援のもと2万人を動員して集会を開いている。この県段階の組織に役職員で張りついている人件費を公費で負担していた問題で、「研修に値しない」と返還命令が下された。

職務離脱などは聞いたことはあるが、公費で「解同」方針の実践にあたる経費を負担していたもの。

文科省は問題の指摘を受けて、その国庫による人件費の返還を求め、手を引いた。

いまも「法人」を隠れ蓑に公務員が「研修」と称して派遣が公然と行われている。(三重と大分県)

以下、福岡人権連事務局長 植山光朗氏の報告をみていただきたい。

いち民間団体の県同教(福岡県人権・同和教育研究協議会)などの組織運営のための出張をくりかえす小西清則全同教(全国同和教育研究協議会)委員長兼県同教副会長(いずれも当時)に県教委が給与や旅費を支払うのは違法として、人権連福岡県連の会員と退職教師らが麻生渡知事に対し、返還を教育長や教諭らに請求するようにもとめた住民訴訟の判決が

11月4日、福岡地裁でありました。

一志泰滋裁判長は「県同教など団体の運営は公務とは言えず、出張命令は違法」として原告の請求を認め、同教諭や当時の校長、県教委の部課長ら7人に311万円の返還請求をするよう知事に命じました。

この裁判は県教委が、県同教派遣が住民監査請求の対象になった2000年3月、それまで

11年にわたって県同教に派遣されていた同教諭を急きょ、特別扱いの「枠外配置」で県立小倉商業高校に復帰させ、授業を免除し、県同教などの組織運営のため、年間2百日以上出張が出来るように「同和教育ヤミ専従」として配置し、給与と出張旅費など約9百万円を支払ったのは違法とした住民訴訟です。

判決は校長の出張命令は裁量権の逸脱と指摘。小倉商業への配置について「団体への派遣以外の目的を有していた事情はなく、小西教諭を各団体に派遣し、各団体の運営に携わらせることにあった。配置は不法行為上の違法性を有する」と断定、県教委の部長、課長の責任を認めたもので、原告勝訴の内容です。

原告団・弁護団は「解同と癒着し歪んだ同和教育行政体制が違法であると判断し、行政関係者の責任を認めたもので評価できる。判決を真摯にうけとめ、控訴することなく同和教育行政を抜本的に是正し、教育行政の主体性を確保し、公教育を推進していくことを見守っていく」との連名の勝訴声明を発表。

しかし、

11月17日、県教委が福岡高裁に控訴したことから、原告側は判決が職務免除の手続きを経た出張は「校長らに過失はない」として、県教育委員と教育長の責任免責したことを控訴審で正すため付帯控訴することにしました。

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県同教へ教諭派遣は違法

 「解同」といういち民間団体の運動方針を公教育に持ち込み、教育基本法がいう「教育の中立性の確保」を平然と侵してきた事態に、司法の断罪が下されました。

 荷担してきた行政も同罪です。

 以下、植山さんの報告を引用します。

    福岡県人権連事務局長 植山光朗

 福岡高等裁判所五〇一法廷(中山弘幸裁判長)は十月十七日、福岡県人権・同和教育研究協議会(県同教)への教諭の同和教育研修派遣の違法性を問う住民訴訟控訴審(県同教裁判)で判決を言い渡した。
 高裁判決は、原告住民側が主張した派遣の違法性、それに伴う給与支払い(公金支出)を全面的に認め、それぞれを違法とした。派遣に関しては「県同教の運営を担うことを主たる目的としたことは明らか」として「教育公務員特例法第20条を大きく逸脱し違法」と明確に断罪した。
 県同教についても高裁判決は、派遣先である県同教は、同和団体のひとつである解同の関係者が常時副会長の一人に就任し、その解同福岡県連と事業の共催等連携を図っており、教育の中立性の要請から研修先の適性に疑義を生じさせ、派遣教諭がいち民間団体にすぎない県同教に実質的に勤務するのとほぼ変わらない状況にあったと判断。
 さらに高裁判決は、県同教への教諭派遣の違法性の内容及び程度は、教育行政に課せられる法的に適正な職務執行義務に反するものとして、客観的には著しく合理性を欠き予算執行の適性確保の見地から看過し得ない程度に至っている可能性は否定できないと断じ、「県同教への教諭派遣とそれにともなう給与支払い(公金支出)がいずれも違法」と断定した。
 しかし、麻生知事に対する給与返還は「派遣の具体的な実態を認識していたとまでは言えず、供与支払い調査義務を怠った過失責任を問うことは困難」として棄却。
小柳正之・元教育委員長については「訴訟に先立つ監査請求の対象になっていなかった」として却下した。


 控訴審判決要旨はつぎのとおり。

 平成15年(行コ)第14号 
 公金違法支出損害賠償、福岡県違法公金支出返還請求控訴事件判決要旨

1 事案の概要
 本件は、福岡県の住民である被控訴人らが、福岡県教育委員会(県教委)が福岡県人権・同和教育研究協議会(県同教)に研修名目で教諭を派遣し、この派遣教諭に県から給与が支払われたことが違法であると主張して、その損害賠償を求めた住民訴訟である。
 原判決は、改正前の地方自治法に基づき、県知事である麻生個人に対し、平成11年3月から平成12年3月までの間の派遣に係る給与合計約1億1363万円の損害賠償を求めた甲事件、平成12年8月から平成13年7月までの間の派遣に係る給与合計約1億0005万円の損害賠償を求めた乙事件、そして、改正後の地方自治法に基づき、執行機関である県知事に対し、平成13年9月から平成14年8月までの間の派遣に係る給与合計約8704万円の損害賠償を県知事である麻生個人及び県教委委員長である小柳個人へ請求するよう求めた丙事件の3件について、甲事件は請求棄却、乙事件及び丙事件は請求認容(被控訴人ら勝訴)と判断した。このうち、乙事件と丙事件で敗訴した麻生及び県知事から控訴されたので、本判決は、この両事件について判断した。

2当裁判所の判断
(1)丙事件の県教委委員長小柳に関する訴えが適法か否か
ア 地方自治法の定めにより、住民訴訟の提起前に監査請求を経ていなければならない。監査請求では、対象とする財務会計上の行為又は怠る事実を個別具体的に特定することが必要で、その程度は監査委員がその対象を認識することができる程度であれば足り る。そして、この対象とする財務会計上の行為又は怠る事実について、監査請求を経ていると認められる限り、監査請求において求めた具体的措置の相手方と異なる者を相手方とし、監査請求において求めた措置の内容と異なる請求をすることも許されると解される。

イ 本件で監査請求の対象として記載されている財務会計上の行為は、派遣教諭への給与支出の違法である。これに対し、丙事件の小柳に関する訴訟の対象は小柳が県同教への教諭派遣に関係したことによる小柳への損害賠償請求権の不行使という怠る事実である。このように、両者は、その対象を大きく異にしている。特に、原審では、被控訴人らはこの怠る事実を問題にした形跡がない。このことからしても、被控訴人らの監査請求には、小柳に対する損害賠償請求権の不行使という怠る寮実をその内容としていたとは認 められないことになる。結局、丙事件の県教委委員長小柳に関する訴えについては、監査請求を経ていないことになるので、不適法として却下を免れない。

(2)県同教への教諭派遣が違法であるか否か
ア 派遣教諭の数は、毎年8名ないし13名であった。これに対し、県同教の常勤職員の数は僅かに1名ないし3名にすぎない。従前から派遣教諭の多数が県同教の会長、副会長及び事務局長等の役員に就任し、県同教を代表して他の同和問題関係団体等の会合に参加することもあった。派遣教諭は、県同教が実施する各種会議の開催、運営に従事し、頻繁にそのための出張をしていた。県教委自身が本件派遣を県同教に対する人的支援と捉え、本件派遣の廃止後は県同教を中心に行われてきた主な同和教育、人権教育の研究・実践を県教委が主体性と責任を持って主催するとして、県教委、県同教、解同福岡県連合会の三者で協議した。これらの事実を総合すると、県同教の運営が実質的に派遣教諭によって担われてきたこと、すなわち、県同教への教諭派遣がその運営を担うことを主たる目的としていたことは明らかである。

イ 教諭の長期研修に関する規則によれば、研修期間は6か月以内が原則とされる。ところが、県同教への教諭派遣は、いずれも数年間に及び、研修期間の明示もないまま、結果的に11年聞に及んでいる例もある。研修期間の長期化は、研修内容からの要請よりも、むしろ県同教の円滑な運営からくる要請によるところが大きい。派遣教諭の中には、その終了と同時に定年で退職した派遣教諭もおり、中には退職するまで延べ13年間にわたって派遣され、その間に県同教の会長に就任している例もある。これらは、一般の教諭の長期研修とは大きく異なる。また、研修成果の報告も十分になされていたとはいいがたい。加えて、派遣先である県同教は、同和問題の運動団体の一つである解同の関係者が常時副会長の一人に就任し、その解同福岡県連合会と事業の共催等連携を図っており、教育の中立性の要請から研修先の適性に疑念を生じさせる。まして、派遣教諭が、県同教の事務局員として、民間団体の役員選挙のための出張や法律制定運動の実行委員会へ出張することも、研修の趣旨からしても望ましくないものである。

ウ 確かに、国及び県の指針において、教職員の研修並びに同和教育団体の育成、学校教育及び社会教育における指導者の育成の必要性が謳われており、これらが極めて重要な間題であることはいうまでもない。しかし、教職員の研修と同和教育団体の育成や社会教育における指導者の育成とは本来別のものであり、その目標に関する個々の法律が規定する手続でもって行われなければならない。その意味で、教特法20条3項、長期研修規則に基づく研修名目で、同和教育団体である県同教の運営を担う目的で本件派遺を行うことは、その法の趣旨を大きく逸脱している。

エ 以上のとおり、県同教への教諭派遣は、いずれも実質的には県同教の運営を担うためのものであり、教特法20条3項が規定する研修の趣旨を大きく逸脱しているから、違法と断ぜざるを得ない。

(3)派遺教諭への県からの給与の支払が違法であるか否か
 乙事件及び丙事件における教諭派遣に限れば、従前よりも研修期間が短縮しているものの、本件派遣の経緯や実態等からすると、単に教特法20条等に違反するにとどまらず、派遣教諭が一民間団体にすぎない県同教に実質的に勤務するのとほぼ変わらない状況にあったと評価される。そうすると、県同教への教諭派遣の違法は、これに関する職務命令、ひいては派遣教諭への県からの給与支出の違法に連なる関係にあるものと解される。この派遣教諭への給与支出の違法による県の損害は、まず、第1に違法な県同教への教諭派遣に関与した者が負うべきであるが、この給与支出に関与した者もその責任の有無が問われることになる。

(4)県知事麻生に派遣教諭への給与支出に関する損害賠償責任があるか否か
ア 県知事は、県教委の所掌に係る事項について予算執行に関する事務を管理し及び執行する(地教行法24条5号)。しかし、学校職員の任命及び服務監督に関する権限は県教委がこれを有し、県同教への教諭派遣を命じたのも県教委である。この県知事と県教委との権限の配分関係からすると、県教委が行った教特法20条に定める事務については、県知事は、同処分が著しく合理性を欠き、そのためこれに予算執行の適正確保の見地から看過し得ない瑕疵の存する場合でない限り、同処分を尊重しその内容に応じた財務会計上の措置を採るべき義務があり、これを拒むことは許されないと解される。
 そして、本件の県同教への教諭派遣の違法性の内容及び程度は、教育行政に課される法的に適正な職務執行義務に反するものとして、客観的には著しく合理性を欠き予算執行の適正確保の見地から看過し得ない程度に至っていた可能性を否定できない。

イ そこで、県知事の故意又は過失の有無を検討しなければならない。すなわち、派遣教諭への給与支出の本来的権限者は県知事であるが、その専決権者は教職員課長であるから、このような場含には、本来的権限者は、専決権者が財務会計上の違法行為をすることを阻止すべき指揮監督上の義務に違反し、故意又は過失により、右補助職員が財務会計上の違法行為をすることを阻止しなかったときに限り、責任を負うべきであると解される。
 この点、県議会における質疑の経過等からすると、県知事も本件派遣に関する派遣教諭の人数、派遣期聞の長期化、研修内容等に関して疑問が指摘されていることは認識していた可能性はあるが、その当時、本件派遣の具体的な実態までも認識していたことを認めるに足りる証拠はない。また、県教育公務員の研修の実施に関しては、県知事の権限事項ではなく県教委の専権事項であり、県議会における質疑も直接的には県教委の教育長に対して行われている。そうすると、いまだ具体的な調査義務が県知事にあったとはいいがたく、それらを契機として具体的な実態の把握に努めなかったことをもって、直ちに県知事
 個人に財務会計上の権限行使に当たっての過失があったと評価することは相当でない。平成12年6月1日に派遣教諭への給与支出が違法であるとして県知事に対する甲事件の損審賠償請求訴訟が提起され、平成13年7月27日に乙事件被控訴人らによる乙事件の監査請求がされ、同年9月21日にこれに対応する棄却決定がされるなど、本件派遣の問題は、次第に顕在化しつつあったことが認められる。しかし、甲事件や乙事件の監査請求においても、県監査委員は県知事を監査対象機関とはせず、県教委や関係市町教育委員会を調査したにすぎないから、これらを契機として、県知事が本件派遣の具体的な実態を認識していたということはもちろん、これを認識し得たともいいがたい。結局、丙事件の期間である平成14年8月まで派遣教諭への給与支出が継続されたことについて、県知事に上記調査義務を怠った過失責任を問うことは困難である。
 したがって、県同教への派遺教諭に対する給与の支払に関して、麻生に県知事としての故意又は過失を認めることができないから、麻生に対する損害賠償請求は、いずれも理由がない。

(5)結論
 丙事件のうち小柳に関する訴えは不適法なものとして却下を免れず、また、被控訴人らの乙事件及び丙事件のその余の請求はいずれも理由がないから棄却する。

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