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貸付金の4割、返済期限過ぎる 融資は国の同和対策事業特別措置法

常総市が4億円未回収 
貸付金の4割、返済期限過ぎる 
2億、22年3月末に時効 
法的措置不足 /茨城

毎日新聞 2023/3/4 
https://mainichi.jp/articles/20230304/ddl/k08/010/041000c

 水海道と石下の旧市町が2001年度ごろまで実施した住宅新築資金などの融資事業で、貸付総額の4割弱に当たる約4億円が返済期限を過ぎても未回収になっていることが両市町の合併で成立した常総市への取材で判明した。
このうち約2億円は常総市や旧市町が手続きを怠り22年3月末までに返済時効を迎え、時効成立を主張された場合、回収困難となる。市は回収を長年放置したと認め、「法的措置への理解が不足していた」としている。

 常総市によると、融資は国の同和対策事業特別措置法などに基づき、国と県、旧市町が補助金を支出した。1976~2001年度ごろ、対象地区の住民に住宅の新築や宅地取得、改修などの費用を低金利で貸し付け。融資件数は計140件で、総額10億3605万円に上った。


 契約では15~25年で返済するよう定めていたが、滞納が相次ぎ、返済期限を過ぎた滞納は22年3月末時点で計51件、総額3億9890万円に上る。

 ところが常総市や旧市町は滞納が長引いた相手に、地方自治法で義務付けられた裁判所を通じた督促や強制執行などの「必要な措置」を取らず、催告書の郵送にとどめていた。


 民法上は催告から6カ月以内に訴訟などを起こさないと時効が中断しないため、各滞納者が最後に返済した日や返済予定日から10年の返済時効が1995年以降に次々と経過。市は2018年度以降にようやく裁判所を通じた支払い督促や提訴に踏み込むようになったが、22年3月末までに21件の2億13万円で時効が過ぎた。最大で時効到来から27年がたった貸し付けもあるという。既に7件の計約4896万円については債務者が時効成立を申し立てたため、市は回収を断念し、債権消滅の処理を行った。

 市人権推進課の担当者は取材に、「(提訴などの)手続きをしないと時効が来るのではないかという考えはあった。債務者に配慮が必要で、職員の人数も限られ、対応を模索していた」と釈明。庁内の法務をまとめる総務課は「訴訟に踏み切る考えに至らず、適切な債権保全をしてこなかった」と怠慢を認める。


 全国の自治体で債権管理の研修を担当する須田徹弁護士(東京弁護士会)は、「地方自治法令は、督促から相当な期間が経過しても返済がない場合は、訴訟などの法的手続きを取ると定めている」と指摘。「貸付金などの自治体の債権は、税金を原資としているので、適切な管理や回収が必要」と強調する。

 須田弁護士によると、全国的に、同和事業に限らず奨学金や中小零細企業向け融資などで回収困難な事例があるという。「大半の自治体の職員は債権回収の専門知識を持っていないので、回収専門の部署を庁内に設置するのも有効だ」と提言する。


県も管理甘く 未収債権60億円超
 県の債権回収の停滞も2021年度包括外部監査報告書で浮き彫りになっている。

 報告書によると、県の未収債権(県税を除く)は20年度時点で約61億円。中には数回の催告以外に時効中断手続きをせずに時効を迎えたケースや、返済計画が数百年に及び事実上回収困難な例もあった。監査人は「(債務者が)県が法的措置をする可能性は低いと判断し、他の債務を返済した方が良いとの考えを持っている」とし、「所管課の回収可能性の判断には甘さがある」と指摘した。

 回収できていないのは、県営住宅の家賃や奨学金、事業協同組合などを対象にした「中小企業高度化資金貸付金」など。

 県営住宅の家賃は20年度の収納率が全国38位にとどまり、その時点で2545人分の約3億円が未収。時効が到来したなどとして、18~20年度に計112件の約3940万円について債権消滅の手続きが取られた。うち18~19年度の33件は債権者が時効を主張する通知書を提出したが、県住宅課が通知書を作って債権者に渡したケースが散見された。同課は毎日新聞の取材に「電話などで(時効主張の)連絡を受けたので、記録をあいまいにしないために様式を送った」と釈明した。

 中小企業高度化資金貸付金は、1961~2002年度に県と中小企業基盤整備機構が総額約561億円を貸し付けた事業で、1999年以降、13件約35億円が滞納された。

 機構を巡っては会計検査院が2004年度決算検査報告で、県内の貸し付けも含め「保全が十分でない」と指摘し、都道府県にも保証人情報の把握や時効管理などの改善を求めた。だが県の監査人は21年度報告書で、対応状況の一定部分が04年度当時と比べて「改善が図られていると言うことができない」などと問題視した。

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