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2023年3月に作成された記事

「差別のない社会へ」沖縄県のヘイト対策条例が成立

「差別のない社会へ」沖縄県のヘイト対策条例が成立
 県民差別は「解消に向け施策」も公表措置なし
2023年3月31日

https://ryukyushimpo.jp/news/entry-1686693.html

沖縄県議会(赤嶺昇議長)の2月定例会は30日、最終本会議を開き、公共の場やインターネット上での差別的言動(ヘイトスピーチ)の解消を図る「県差別のない社会づくり条例」を賛成多数(賛成29、反対18)で可決した。差別的言動を巡る県条例としては初の制定。同条例を巡っては罰則の有無が議論されてきたが、県は「過度な規制になる」として設けていない。


 玉城デニー知事は同日の記者会見で「差別のない社会をつくるための啓発を一生懸命していきたい」と述べた。


 条例では本邦外出身者(外国人)への差別的言動には有識者による審議会を経て事案の概要や発言者氏名などを公表するが、女性力・平和推進課によると「懲罰目的ではなく啓発活動の一環」という。県民であることを理由とした差別的言動には「解消に向けた施策を講ずる」と明記しているが、事案を公表する措置は設けていない。

 県は31日にも県ホームページで、県への申し出様式などをまとめた同条例規則を公表する。県は今後、審議会を設立するほか、専門相談員1人を配置する予定だ。

ダウンロード - e6b296e7b884e5b7aee588a5e381aae38184e69da1e4be8b.pdf

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ある共産党員への手紙 内田樹


ある共産党員への手紙
2023-03-28 mardi
内田樹の研究室 1999-2023
http://blog.tatsuru.com/2023/03/28_1605.html

共産党員で、私の本の愛読者でもあるというSさんという方から手紙を頂いた。松竹伸幸さんの「共産党党首公選」をめぐる論争で私が松竹さんの行動を支持していることについてである。共産党の党規約はよくできていて、党運営も民主的であるのだから、松竹さんは「意見があるなら、党内でドンドン発言しなさい」という『しんぶん赤旗』の読者投書を引いて、私の行動をやんわりと批判するものだった。それに対してこんな返信をした。
 
 Sさま
 はじめまして、内田樹です。
 お手紙と投書拝見しました。ご指摘ありがとうございます。
 松竹さんの件については、実は僕も困惑しています。
 僕は非党員ですから、共産党の党規約というものがどんなものだか知りません。共産党の党内民主主義の実相についても存じ上げません。
 松竹さんは現役の共産党員であり、長く党中枢にいた人で、僕が実際に存じ上げて、人間を信頼している方ですので、その方から「党首や党幹部の選出方法がブラックボックス化している」と伺ったので、そうなのだろうと思っていました。
 党外の人間にはそれをどうこうしろという資格はありませんが、党内の人がそう思うなら、それは十分議論するに値する論件だろうと思いました。彼が本を出して問題提起をしたいというので、それに賛成しました。
 それは何よりも、このような問題を共産党がどういう手際で扱うのか、そのプロセスに興味があったからです。この問題提起は、共産党に対する国民的注目を集めるチャンスになると思ったからです。「共産党はどういう政党なのか、その意思決定プロセスはどういうものなのか」がひろくメディアの話題になり、人々の関心事になることは党外の共産党支持者の拡大に資するだろうと思ったからです。
 ご存じの通り、僕は共産党の支持者です。今回の統一地方選でも、大阪の辰巳コータローさん、地元の県議の木田ゆいさん、市議の西ただすさんの推薦人になっています。
 僕が松竹さんの企画に賛成したのは、松竹さんの問題提起をめぐって活発な議論がなされることで共産党の支持者が増え、国政、地方議会での議席が増えるという「政治的判断」をしたからです。
 ですから、共産党がこの「世間の耳目を集める好機」を松竹さんの除名というかたちで終わらせようとしたことは「政治的判断」としては適切ではなかったと今でも思っています。
 党規約をすぐに変更する必要なんか別になかったのです。今の規約が適切だと思っていたら、それが適切である所以を論理的に説明すればよい。まずなすべきは、党員からの異議申し立てついて、どれくらい「鷹揚な」対応をできる「練れた」政党であるかを世間に知らせることだったということです。最終的に党規約を変えなくてもよかったのです。「そのような異議申し立てが行われたことを重く受け止め、党首選定のあり方について一石を投じてくれたことを奇貨として、これから熟議してゆきたい」と(リップサービスでも)言うだけで十分だと僕は思っていました。それだけでも確実に党のイメージアップにつながるから。

 Sさんはどう思われるか知れませんが、僕は政治組織というのは、その政党が政権を取ったあとの未来社会を先駆的・萌芽的に表現するものだと考えています。
 現在その政治組織が一人の独裁的指導者によってトップダウン的に組織されているなら、その政治組織が実現する未来社会は「一人の独裁的指導者によってトップダウン的に組織される社会」になる。その政治組織が理想社会を実現するためには陰謀や暴力を用いてもよいという立場なら、それが実現する未来社会は「理想的な国家を実現するためには、政府が市民に対して陰謀や暴力を用いることが許される社会」になる。
 これは経験的にそう信じています。これまでさまざまな革命闘争がなされ、いくつかは成功しました。その結果できた政府は、革命を主導した党派の組織原理をそのまま引き継いだ。革命闘争を成功に導いた党派の組織原理なんですから、変える必要なんかない。それが最も効率的であることは、革命闘争に勝利したという現実が証明している。そうやって世界の各地で、革命闘争勝利の後に、市民への苛烈な弾圧を「非とする」ロジックを持たない強権的な政府ができました。そのことは、ソ連や中国を見ればわかります。
 僕がかつて左翼の学生運動にかかわった時に、「これはダメだ」と思って離れたのは、どの党派を見ても、その今の学生組織が未来社会の萌芽形態であるのだとしたら、「こんな社会には住みたくない」と思ったからです。
 共産党についても同じことを思います。「党規約に基づいて、適法的に異議申し立てをなさない党員は除名する」という原則主義的な態度は、その政党がめざす未来社会は「政府への異議申し立てを、法律に基づいて適法的に行わず、それ以外の手段で行った国民は国籍を剥奪されることを是とする社会」になる。
 残念ながら、「これを非とする」というロジックは今回の共産党の決定からは出てきません。論理的に無理筋なんです。
 僕の立場は「これを非とする」ものです。というのは、「それ以外の手段」にはデモや、ストライキや、地下出版、レジスタンスなどが含まれているからです。「それらの政府批判が適法的になされていない場合、実行した人間は処罰されて当然である」ということを是とするなら、これまでの日本共産党の活動の相当部分は(例えば治安維持法下の活動)は「法律違反だから処罰されて当然」ということになります。

 公的なものである法律と一政党の党規約を同一視するのは論理の飛躍だというご批判がきっとあると思います。共産党を除名されても、別に明日からの生活に支障があるわけではない。国籍と任意加盟の政党の党員資格はまったく次元の違うものだというのはその通りです。でも、僕が問題にしているのは、政府に適法的でない異議申し立てをする国民の国籍を剥奪するのと、党中央に適法的でない異議申し立てをする党員を除名するのは「同じロジック」によるということです。問題はロジックなんです。
「異議申し立て」にもいろいろあります。「異議申し立て」というのはアナログな連続体ですから一律には扱えない。中には傾聴に値するものもあるでしょうし、まるで箸にも棒にもかからないくだらないものもあるでしょう。異議申し立てなんて、玉石混淆が当たり前です。ですから、あるものは取り上げ、あるものは無視するということでよい。ろくでもない異議申し立てに貴重なリソースを割く義理はない。それが常識的な判断です。
 でも、今回の松竹さんの申し立ては、「傾聴に値する」ものだったと僕は思います。これを「ろくでもない異議申し立て」にカテゴライズして、一蹴することは常識的ではない。

 松竹さんの行動が党規約に照らして違法であるから取り上げるに値しないという判断は「十分に政治的ではない」と僕は思います。ある行動がどういうふうに現実に影響を及ぼすかについて思量することの方が、その行動が合法的か違法かを議論することに優先するというのが「政治的」ということの一つのかたちだと思うからです。
 松竹さんは共産党の党勢が衰退してゆくことにつよい危機感を持ち、党勢を回復させるためには、通常の党内での意見具申とは違うかたちで、党内外をまきこんだ議論を起こすことが必要だという「政治的判断」を下しました。松竹さんはそういう意味ではすぐれて「政治的な人」だと僕は思っています(それは彼の「自衛隊を活かす」という発想からも知られると思います)。
 最初にボールを投げたのは松竹さんですが、それが結果的に右派メディアを含む「共産党叩き」を呼び出すことになった。これはまことに残念なことだと思います。僕が先に「困惑している」と書いたのはこのことです。もし、そこまでの展開を読めなかったとすれば、この点については松竹さんの「政治的判断」が不適切であったという批判は正しいと思います。
 問題はロジックの水準と、「政治」の水準の両方にかまわっています。
 松竹さんは政治的にふるまい、日本共産党も政治的にふるまった。その結果、共産党は多くメディアから手厳しい批判を受け、その結果無党派層の支持をいくぶんか失った。僕はそのことを残念に思うのです。
 共産党は「どんな難問でも一刀両断できる、政治的に正しい政党」ではなく、「難問に遭遇すると、困惑して、葛藤する常識的な政党」であって欲しいと僕は思っています。あるいは、実際にはそうでなくても、そのような政党であるかのようにふるまって欲しいと思っています。それはこれまでも書いてきた通りです。そういう政党なら、その政党が政権をとったあとに実現する未来社会は「どんな難問でも一刀両断できる、原則主義的な政府」ではなく「難問に遭遇すると、困惑して、葛藤する常識的な政府」を持つことになるはずだからです。
 僕はそういう「常識的な政府」の下で暮らしたい。そういうふうに考えています。
 長くなってすみませんでした。言いたいことがご理解頂けたらいいんですけど。

(2023-03-28 16:05)


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死産した赤ちゃんの遺体を遺棄した罪に問われたベトナム人元技能実習生

死産した双子を箱に入れ33時間自宅に置いたのは「犯罪」か。
逆転無罪判決のリンさんが訴え続けたこと
2023年3月24日 21時13分 TBS NEWS DIG
https://news.livedoor.com/article/detail/23932038/

死産した赤ちゃんの遺体を遺棄した罪に問われたベトナム人元技能実習生、リンさんに対し、最高裁は、逆転無罪判決を言い渡した。

技能実習生だったベトナム人のリンさん(24)は2020年、熊本県の自宅で、死産した双子の赤ちゃんの遺体を遺棄した罪に問われ、一・二審で執行猶予付きの有罪判決を言い渡された。

しかし、最高裁はリンさんが遺体をタオルで包み段ボール箱にいれ、自宅の棚に置いた行為について「『遺棄』には当たらない」として逆転無罪を言い渡したのだ。

リンさんは、妊娠を周りに相談することはなく、病院にも一度も行ってなかった。2020年11月、一晩中「家が壊れるほどの激痛」に何度も見舞われながら、自宅でひとり双子の赤ちゃんを死産した。「血まみれのマットレスの上に子どもたちを置いておけない」。遺体をタオルで包み、段ボール箱に入れて棚に置いた。赤ちゃんは男の子。ベトナム語で「強くたくましく」などの願いを込めて「コイ」「クオイ」と名付けた。

翌日訪れた病院で、死産を打ち明けた。すると医師に通報され、死体遺棄の罪で逮捕・起訴された。死産から約33時間、遺体を自宅に置いていたことが罪に問われたのだ。

「絶対に子どもたちの体を傷つけたり、捨てたり、隠したりしていません。精神的にも肉体的にも非常に苦しい中、できる限りのことをしました」(リンさん)

リンさん側は「後で埋葬するつもりだった」と一貫して無罪を主張してきた。一審の熊本地裁は懲役8か月・執行猶予3年の有罪。二審の福岡高裁は、遺体を置いていたのは短時間で「放置していたとは言えない」として一審判決を破棄したが懲役3か月・執行猶予2年を言い渡した。弁護側は最高裁に上告した。
無罪求める9万筆以上の署名 出産経験者「命がけの弔いだった」

リンさんの行為が罪に問われるのは「理不尽」。無罪判決を求める署名は約9万5000筆に上り、出産を経験した女性たちも声をあげた。弁護側は最高裁に対し出産経験者ら127人の意見書を提出した。熊本に住む坂本春香さん(31)もその一人だ。

「私が同じ立場だったらリンさんがしたような弔いはできなかったと思う」(坂本さん)

2021年、娘を出産。初めての育児に追われる中、裁判を知った。自分は無事に出産できた一方、リンさんは死産し罪に問われていた。「その差はどこで生まれたのか」。意見書には、妊娠中つわりで苦しんだこと、産後の病院で飲食もままならず思うように起き上がれなかったこと、ホルモンバランスの急激な変化で孤独を感じたこと等をつづった。

「自分の経験から、リンさんは文字通り命がけで“弔い”を行ったと思います。その行為が“社会の課題”としてと捉えられず“個人の責任”と結論付けられるのは、あまりに理不尽です」(坂本さん)

「孤立出産は外国人実習生だけの問題ではない」。こう語るのは、親が育てられない子どもを匿名で預かる「赤ちゃんポスト」を設置する慈恵病院(熊本市)の院長だ。

「虐待やDVの被害者など、望まない妊娠により病院を受診しないまま、孤立出産にいたる女性もいます。“弱い立場”の人たちです。リンさんのした行為が罪に問われれば、多くの孤立出産で死産したケースも犯罪とみなされかねません」(蓮田健院長)
「働くだけの機械ではなく人間」

2月24日に開かれた最高裁の弁論。争点となっていたのは、リンさんが遺体を二重の段ボール箱にいれ、テープでふたをし部屋に置いた行為が「遺棄」にあたるか、だ。

【検察側の主張】
「一般の荷物であるかのように装った隠匿」
「周囲に助けを求めれば、一般人も納得する形で弔うことが容易にできた」

【弁護側の主張】
「箱を二重にしたのは『我が子が寒くないように』と棺としての丈夫さを与えたもので隠匿ではない」
「遠い異国の地で葬祭する意思を持ち続けていた」

リンさんは傍聴席の最前列でその様子を見守っていた。

「妊娠を誰にも言えずに苦しんでいる技能実習生や一人で子どもを出産せざるをえないすべての女性のためにも、無罪判決を願っています」
「私や外国人技能実習生は、働くだけの機械ではなく人間であり、女性です」(リンさん)

逮捕されたことで双子の遺体は警察署に引き取られた。リンさんは「早く埋葬したい」と引き取りを願い続けたが、検察の許可が下りたのは死産から6か月も後のことだった。

そして言い渡された、今回の逆転無罪判決。

判決後、リンさんは、「私のように妊娠して悩んでいる技能実習生や女性たちが、相談でき、安心して出産できる社会に変わってほしい」と訴えた。

2021.06.16
彼女がしたことは犯罪なのか。あるベトナム人技能実習生の妊娠と死産(1)
望月優大

https://www.refugee.or.jp/fukuzatsu/hirokimochizuki08

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茨城県常総市 同和対策住宅融資金 住民約5000万無効申し立て

0315

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ネットにも「政治的公平」が必要か…国会で議論に  「立憲? 各政党は憲法を学びなおせ」A

ネットにも「政治的公平」が必要か…国会で議論に
https://news.yahoo.co.jp/articles/07869f420eb61d9c35a8095430da136bd955cbb7

3/14(火) 16:00配信 テレビ朝日系(ANN)

インターネットで配信される番組にも放送法の「政治的公平」と同様の規律が求められるべきなのか、国会で質疑が行われました。

 立憲民主党・石川衆院議員:「ネット上を見ますと、政治的な思想が前面に出ている番組も多く存在すると。こうしたネットも含めて政治的公平性をどう捉えていくのか、どういう姿勢が総務省に求められていくのか」

 松本総務大臣:「インターネット上の映像配信サービスは放送法の適用を受けないサービスであり、(放送法)4条の規律を受けることはございません。現時点において、(石川)委員ご指摘のような新たな規律を導入することは考えておりません」

 松本総務大臣はインターネットに放送法と同様の規律を設けることについて「表現の自由や政治活動の自由を保障する観点から慎重を期すべき」との考えを示しました。

 一方、質問に立った立憲民主党の石川議員はネット動画などの社会的な影響は大きくなっているとし、「社会が考えなければいけない課題だ」と指摘しました。

テレビ朝日

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大阪府インターネット上の人権侵害の解消に関する有識者会議取りまとめ(案)

ネット情報と「同和問題」
人権侵害発生の根拠不明だが。

大阪府インターネット上の人権侵害の解消に関する有識者会議取りまとめ(案)
令和5年1月31 日
大阪府インターネット上の人権侵害の解消に関する有識者会議

ダウンロード - torimatomean.pdf


インターネット上の人権侵害事象に対処 するための提案
令和3 年 7 月 大阪 府
また、同和地区の摘示のような特定人を対象としていない人権侵害について は 、 差別を助長・誘発するおそれが高いにも関わらず、特定の被害者が 具体的な損害 を受けたことが明確ではなく 、法律上又は事実上、 個人では有効に対処することが著しく困難 となっている 。
国は、法務省通知により、特定の地域が同和地区である旨の摘示は「違法性がある」と明記し、また、集団に対する差別的言動について、当該集団等に属する者であれば精神的苦痛等を受けるような性質のものであったといえるか否か を社会通念に照らして人権侵犯性を客観的に判断する旨明記している。
法務省人権擁護機関で は 、 被害者等からの申告に基づき、 違法性があると判断した人権侵害情報について、その情報が掲載 されたサイトを運営するプロバイダ等に対し て削除要請を行っているが、要請に応じるかの判断はプロバイダ等に委ねられ 、 削除 は 進んでいない状況である。

ダウンロード - netteian.pdf


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貸付金の4割、返済期限過ぎる 融資は国の同和対策事業特別措置法

常総市が4億円未回収 
貸付金の4割、返済期限過ぎる 
2億、22年3月末に時効 
法的措置不足 /茨城

毎日新聞 2023/3/4 
https://mainichi.jp/articles/20230304/ddl/k08/010/041000c

 水海道と石下の旧市町が2001年度ごろまで実施した住宅新築資金などの融資事業で、貸付総額の4割弱に当たる約4億円が返済期限を過ぎても未回収になっていることが両市町の合併で成立した常総市への取材で判明した。
このうち約2億円は常総市や旧市町が手続きを怠り22年3月末までに返済時効を迎え、時効成立を主張された場合、回収困難となる。市は回収を長年放置したと認め、「法的措置への理解が不足していた」としている。

 常総市によると、融資は国の同和対策事業特別措置法などに基づき、国と県、旧市町が補助金を支出した。1976~2001年度ごろ、対象地区の住民に住宅の新築や宅地取得、改修などの費用を低金利で貸し付け。融資件数は計140件で、総額10億3605万円に上った。


 契約では15~25年で返済するよう定めていたが、滞納が相次ぎ、返済期限を過ぎた滞納は22年3月末時点で計51件、総額3億9890万円に上る。

 ところが常総市や旧市町は滞納が長引いた相手に、地方自治法で義務付けられた裁判所を通じた督促や強制執行などの「必要な措置」を取らず、催告書の郵送にとどめていた。


 民法上は催告から6カ月以内に訴訟などを起こさないと時効が中断しないため、各滞納者が最後に返済した日や返済予定日から10年の返済時効が1995年以降に次々と経過。市は2018年度以降にようやく裁判所を通じた支払い督促や提訴に踏み込むようになったが、22年3月末までに21件の2億13万円で時効が過ぎた。最大で時効到来から27年がたった貸し付けもあるという。既に7件の計約4896万円については債務者が時効成立を申し立てたため、市は回収を断念し、債権消滅の処理を行った。

 市人権推進課の担当者は取材に、「(提訴などの)手続きをしないと時効が来るのではないかという考えはあった。債務者に配慮が必要で、職員の人数も限られ、対応を模索していた」と釈明。庁内の法務をまとめる総務課は「訴訟に踏み切る考えに至らず、適切な債権保全をしてこなかった」と怠慢を認める。


 全国の自治体で債権管理の研修を担当する須田徹弁護士(東京弁護士会)は、「地方自治法令は、督促から相当な期間が経過しても返済がない場合は、訴訟などの法的手続きを取ると定めている」と指摘。「貸付金などの自治体の債権は、税金を原資としているので、適切な管理や回収が必要」と強調する。

 須田弁護士によると、全国的に、同和事業に限らず奨学金や中小零細企業向け融資などで回収困難な事例があるという。「大半の自治体の職員は債権回収の専門知識を持っていないので、回収専門の部署を庁内に設置するのも有効だ」と提言する。


県も管理甘く 未収債権60億円超
 県の債権回収の停滞も2021年度包括外部監査報告書で浮き彫りになっている。

 報告書によると、県の未収債権(県税を除く)は20年度時点で約61億円。中には数回の催告以外に時効中断手続きをせずに時効を迎えたケースや、返済計画が数百年に及び事実上回収困難な例もあった。監査人は「(債務者が)県が法的措置をする可能性は低いと判断し、他の債務を返済した方が良いとの考えを持っている」とし、「所管課の回収可能性の判断には甘さがある」と指摘した。

 回収できていないのは、県営住宅の家賃や奨学金、事業協同組合などを対象にした「中小企業高度化資金貸付金」など。

 県営住宅の家賃は20年度の収納率が全国38位にとどまり、その時点で2545人分の約3億円が未収。時効が到来したなどとして、18~20年度に計112件の約3940万円について債権消滅の手続きが取られた。うち18~19年度の33件は債権者が時効を主張する通知書を提出したが、県住宅課が通知書を作って債権者に渡したケースが散見された。同課は毎日新聞の取材に「電話などで(時効主張の)連絡を受けたので、記録をあいまいにしないために様式を送った」と釈明した。

 中小企業高度化資金貸付金は、1961~2002年度に県と中小企業基盤整備機構が総額約561億円を貸し付けた事業で、1999年以降、13件約35億円が滞納された。

 機構を巡っては会計検査院が2004年度決算検査報告で、県内の貸し付けも含め「保全が十分でない」と指摘し、都道府県にも保証人情報の把握や時効管理などの改善を求めた。だが県の監査人は21年度報告書で、対応状況の一定部分が04年度当時と比べて「改善が図られていると言うことができない」などと問題視した。

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