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2022年5月に作成された記事

山添拓 本会議で、刑法侮辱罪の法定刑引き上げなどについて質問しました。この議論は、SNS上の誹謗中傷問題から始まりました。ところが処罰範囲は変わらないため、DM等による誹謗中傷は防げないどころか、法的刑引き上げによって現行犯逮捕が可能となるため、警察に濫用される懸念があります。

山添 拓
https://www.facebook.com/yamazoetakujimusyo/


侮辱罪の法定刑引き上げと、新たな拘禁刑創設(懲役刑と禁錮刑を廃止)する刑法改正案が参議院で審議入りしました。
5月20日本会議で代表質問。
二之湯国家公安委員長は、「『慎重な運用』とは何か」との質問に「『慎重な運用』とは、慎重に運用すること」、「『現行犯逮捕は実際上は想定されない』というが想定外もあり得るということか」との質問に「『想定されない』とは、想定されないということ」など、ずっこけ答弁の連続で議場も失笑。これでは疑念が深まったと他党の議員からも指摘がありました。
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 日本共産党を代表し、刑法等改正案について質問します。
 法案に先立ち、ウクライナからの避難者の受入れについてうかがいます。
 入管庁は、日本への避難者に対して、住まいの提供や生活費の支援を行い、受入先の自治体へ移転した後は、医療費、日本語教育費や就労支援費を必要に応じて実費負担することとしています。かつてない対応であり重要です。
「必要に応じて」とはどういうことですか。とりわけ医療費は、仕事がなく収入がないなか高額の負担となりかねません。避難先、知人や身寄りの有無にかかわらず、安心して医療が受けられるよう支援すべきではありませんか。
 人道的支援を必要とする外国人は、ウクライナからの避難者だけではありません。ミャンマーやシリアをはじめ、紛争地域の暴力や迫害から逃れてきた避難者についても、人道的な対応が求められます。法務大臣の見解をうかがいます。
 法案について質問します。
 恋愛リアリティー番組「テラスハウス」に出演したプロレスラーの木村花さんが、SNSで誹謗中傷を受け自ら命を絶ちました。心からお悔やみを申し上げます。
 衆議院で参考人として意見を述べた母・響子さんは、花さんが自死に至った最大の要因について、番組の悪意ある編集、炎上商法で視聴率を稼ぐあり方、出演者に一方的に誓約書を書かせ、誰にも相談できない状態においたことなどメディアの責任を厳しく指摘しました。その下で、SNSでの異常な誹謗中傷を招きました。
 法案は、こうした事態に侮辱罪の法定刑引き上げで対応しようというものです。しかし、その出発点から疑問が出されています。
 刑法231条は、「事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した者は、拘留又は科料に処する」と規定しています。「侮辱」とは、「他人に対する軽蔑の表示」であり、社会的評価を低下させる行為をいいます。 一方、インターネット上の誹謗中傷で問題となるのは、必ずしも社会的評価の低下ではありません。被害者に直接、誹謗中傷・罵詈雑言が浴びせられることで自尊感情が傷つけられ、精神的に追い詰められPTSD等を発症し、自殺にまで追い込まれる危険がある、私生活の平穏を脅かす行為であることが問われるべきではありませんか。
 SNSのダイレクトメッセージやLINEグループのような閉じられた空間での誹謗中傷も深刻です。これらは、「公然と」行われるわけではありません。侮辱罪で対応するのは、なじまないのではありませんか。大臣は衆議院で、公然性の要件を充たさない誹謗中傷について「行政的な諸施策を推進する」と述べていますが、それは何ですか。以上、法務大臣に答弁を求めます。
 侮辱罪は、表現内容を理由とする刑罰です。不当な制限により、本来自由に行える表現行為が萎縮することは許されません。
 衆議院で政府が示した統一見解は、「侮辱罪による現行犯逮捕について、表現の自由の重要性に配慮しつつ、慎重な運用がなされる」「表現行為という性質上、逮捕時に、正当行為でないことが明白といえる場合は、実際上は想定されない」としています。「慎重な運用」とは何ですか。「想定されない」とは、想定外もあり得るということですか。
 このような懸念を抱くのは、現に心配される事態が起きているからです。
 2019年の参院選、安倍元首相が札幌市内で行った街頭演説で「安倍辞めろ」「増税反対」などと声を上げた市民2人を北海道警が排除しました。こうした政治家に対するヤジが、「侮辱」に当たるとして現行犯逮捕されることはないと断言できますか。
 札幌地裁は今年3月、警察官が2人の体をつかんで移動させた行為などを違法として、国家賠償請求を認める判決を下しました。「表現の自由」のなかでもとりわけ尊重されなければならない「公共的・政治的事項に関する表現行為」であったとしています。
 ところが国家公安委員長は、「現場の警察官がそれぞれの状況を踏まえ法律に基づき必要と判断した措置だ」「正しかった」との答弁を繰り返しています。現場の警察官の判断次第で、こうしたヤジ排除を今後も行うということですか。時の総理の街頭演説であり、官邸の指示を含め、道警の組織的な関与も疑われます。徹底的に検証すべきではありませんか。これが不当な弾圧でないと開き直るなら、侮辱罪の恣意的な運用の懸念も払拭されないではありませんか。以上、国家公安委員長の答弁を求めます。
 侮辱罪は1875年、新聞・風刺画などによる為政者への批判を防ぐねらいの下に布告された讒謗律に由来し、同じ日に布告された新聞紙条例とともに自由民権運動の弾圧に用いられました。
 今日、政治的な言論活動が侮辱罪によって制約されないと言い切れるでしょうか。仮に不起訴になったとしても、現行犯逮捕等のインパクトは自由な言論・表現への脅威となり萎縮効果を生みます。だからこそ、憲法上特に重要な権利である「表現の自由」とのかかわりは慎重な検討が必要です。
 ところが本法案を議論した法制審議会の部会は、わずか2回の会議で要綱を決定しています。憲法学者を委員に加えなかったのはなぜですか。表現の自由の制約について、どのような議論がなされたのですか。名誉毀損罪には、公共の利害に関する特則があり、政治家や候補者に関する場合など一定の要件の下で違法性が否定されます。法定刑引き上げに当たり、侮辱罪でも同様の規定を設けることとしなかったのはなぜですか。答弁を求めます。
 法案は、懲役と禁錮を廃止し、新たな自由刑として拘禁刑を創設するものです。
 懲役刑が、殺人、放火、強盗などに対する刑罰であるのに対し、禁錮刑は政治犯や過失犯などが対象とされてきました。特に政治犯は、通常の犯罪者と異なりその名誉を重んじた処遇を行うべきだという考えの下に、刑務作業を強制しない禁錮刑を科すべきとされてきたものです。戦後の刑法改正をめぐる議論でも、政治犯・国事犯の思想を強制労働で改造するようなことがあってはならないという配慮から懲役刑と禁錮刑の区別が残されてきました。刑罰によって、人の内心まで変えることは許されないと考えますが、どのような認識ですか。
 一方、本法案の拘禁刑は、「刑事施設に拘置」するだけでなく、「改善更生を図るため、必要な作業を行わせ、又は必要な指導を行うことができる」とし、すべての受刑者に刑務作業と改善指導を義務づけています。
 自由の剥奪に加えて、刑務作業と改善更生を刑の内容とするのですか。作業や指導を拒んだ場合、懲罰の対象となることはありますか。刑務所長などが決める処遇計画に、受刑者が意見を述べることはできますか。
 国連被拘禁者処遇最低基準規則、通称マンデラ・ルールは、身体を拘束する刑罰は自由を奪うことによって犯罪者に苦痛を与えるものであり、それを超える強制を内容とすることはなるべく避けるべきだとしています。また、刑務所などでの処遇の目的は、「刑期が許す限り、釈放後、法を遵守する自立した生活を営む意志と能力を持たせることを目的としなければならない」とし、社会復帰の支援を国家の側に義務づけ、受刑者には社会復帰のための処遇に能動的に参加する権利を保障すべきだとしています。
 拘禁刑の下で、受刑者の自発性、自律性、尊厳を尊重せず、懲罰の威嚇のもとに改善更生を強いることとなれば、国際的に求められる受刑者への処遇水準からますますかけ離れてしまうのではありませんか。
 以上、法務大臣の答弁を求めて、質問を終わります。

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日本共産党の本村伸子議鼠が19日の衆院本会議で行った刑法改定案への反対討論(要旨)「赤旗」0520

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「差別解消」条例可決 紛争解決の仲裁、県の責務 県議会全会一致 2年議論 /三重

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「赤旗」0520

毎日新聞 2022/5/20 


「差別解消」条例可決 紛争解決の仲裁、県の責務 県議会全会一致 2年議論 /三重

 県議会は19日、「差別を解消し、人権が尊重される三重をつくる条例」案を全会一致で可決した。ヘイトスピーチやハラスメント行為など、あらゆる差別や人権問題の解消を目指す包括的な条例。県が差別や人権侵害の相談に応じ、差別を受けた被害者と相手側に介入して助言や反省を促す「説示」を行うなど、紛争解決の仲裁役を果たすことを県の責務として定めている。【朝比奈由佳】

 コロナ禍に端を発したSNS(ネット交流サービス)での中傷などを受けて、2020年5月、「差別解消を目指す条例検討調査特別委員会」を県議会に設置し、約2年にわたって議論を重ねてきた。

条例では「あらゆる不当な差別をはじめとする人権侵害行為を許さない」と明記。県は差別や人権侵害を受けた被害者や家族、差別を目撃した第三者からの相談に応じ、双方への聞き取りなどの調査を行う。

 被害者側が県の相談への対応や調査に納得できない場合は、本人や家族、支援者などが知事に申し立てを行うことができるとした。知事は第三者機関である「差別解消調整委員会」の意見を聞いた上で、相手への助言や反省を促す「説示」、行政指導にあたる「勧告」を行うことが可能で、差別事案の概要は県のホームページなどで公表される。さらにネット上での人権侵害を監視するため、モニタリング活動も行う。県議会によると、差別事案で県が当事者間の仲裁役として介入できるようにした条例は全国初という。

「対話」を大切に
 しかし、民事訴訟や捜査対象となっている場合は申し立てはできず、差別や人権侵害行為への罰則や、行為者の公共施設の利用制限は盛り込まれていない。

 県議会「差別解消を目指す条例検討調査特別委員会」委員長の小島智子県議は「差別を受けた本人だけではなく、県として差別や人権侵害の解決に動くことが目的。出発点として『対話』を大切にしながら、教育や啓発につなげていきたい」と話した。また、差別解消に向けた包括的な条例は前例がないとしたうえで、今後について「より実効性を確保するため、個別的な課題への対応について引き続き議論を重ねていく必要がある」と述べた。

具体的事案不明
 ヘイトスピーチの問題などに詳しい、青木有加弁護士は「多様な参考人を呼ぶなど時間をかけて議論が行われており、条例が成立したことは評価したい」と述べた。ただその一方で、条例に記された差別や人権侵害の定義が広く、「具体的にどんな事案に対応できるのか不明な点がある」と指摘した。

 また、条例では不特定多数の人に向けた差別的言動は「当事者間」の紛争とは言いがたく、助言や説示の対象となることは難しいとされた。青木弁護士は「ヘイトスピーチは人種や民族などの属性を標的にして傷つける行動も多く、個人に向けられた差別だけを救済するだけでは不十分。今後は相談者が相談しやすく、身の安全を保障できる環境も求めたい」と話した。

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「ネット中傷」法務省が削除求めても、3割は消されず

「ネット中傷」法務省が削除求めても、3割は消されず…接続業者の理解難しく
5/15(日) 5:00配信

https://news.yahoo.co.jp/articles/b6816479fd43897a3c473f6a624a168ae8458444?page=1

読売新聞オンライン(写真:読売新聞)

 インターネット上の誹謗(ひぼう)中傷を巡り、法務省が「違法性がある」と判断して国内外のプロバイダー(接続業者)などに行った削除要請のうち、3割が応じられていなかったことがわかった。法務省や総務省などが参加する有識者検討会は実効性を高めるための議論を進めており、今夏にも要請の法的根拠を明確化する報告書を取りまとめる方針だ。

【グラフ】性的画像は比較的削除されやすいが…テーマごとの業者の対応率

 法務省のまとめでは、2019年1月から昨年10月までに削除を要請した件数は1173件。このうち、818件(69・7%)はプロバイダー側が全部または一部の削除に応じたが、355件(30・3%)は全く削除されなかった。

 類型別では、元交際相手らの裸の画像を勝手に公開する「リベンジポルノ」を含む性的画像は80・8%が、プライバシー侵害は72・3%が削除されたものの、被差別部落に関する情報は54・8%にとどまっていた。こうした違いは、刑事罰が科されうるリベンジポルノの場合、接続業者側も要請を受け入れやすい一方、日本固有の歴史や経緯が関係する被差別部落の問題は、海外の事業者を中心に理解されにくいことなどから生じているとみられる。

 法務省の削除要請は、まず被害者の相談を受けた各地の法務局が、外部の弁護士に見解を聞くなどして違法性を判断。さらに本省で法曹資格を持つ担当者数人がプライバシー侵害や名誉毀損(きそん)などの裁判で違法性が認定された判例に照らし、要請の必要性を判断するという2段階の審査体制をとっている。要請に強制力はないものの、法務省はその投稿が裁判の対象になった場合、削除や賠償が命じられる可能性が高いとみている。

 法務省の要請に接続業者側が応じない場合、自ら削除を求める裁判を起こさなければならないなど被害者側の負担が増える。一方、業者側も安易に削除に応じれば、憲法が保障する「表現の自由」を軽視しているとの批判を招きかねず、対応に苦慮している面もある。このため、法務省内外から「要請に応じやすくするため、根拠を明確に示すべきだ」との意見が出ていた。

有識者検討会は昨年、どのような投稿だと法的に削除が認められるのかについて、検討を開始。▽「バカ」「死ね」といった文言の大量投稿▽集団へのヘイトスピーチ▽被差別部落に関する書き込み――など、過去の判例を基に違法性の有無や線引きを議論している。取りまとめた報告書は接続業者側に公表して、要請への理解を求める方針だ。

 検討会の座長を務める宍戸常寿・東大教授(憲法)は「海外事業者の場合、日本の法制度や判例への理解が十分でないため、削除に応じないケースもある」とした上で「法務省の削除要請は信頼に足るものだと事業者が受け取れるよう、根拠を分かりやすく整理する必要がある」と話している。

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映画「わが青春つきるともー伊藤千代子の生涯」

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「地域と人権」茨城版 20220515

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