新しい差別をつくる行政と運動団体のネット規制
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丹波篠山市の「部落差別動画」削除を考える ―新しい差別をつくる行政と運動団体のネット規制―
2021-08-02
はじめに
今回は「ネット差別」の問題である。
神戸新聞が「部落差別動画初の削除命令」という大見出しで、「ニコニコ動画」に投稿されていた動画が削除されたことを報道した。
丹波篠山市と地元自治会が、神戸地裁柏原支部に動画削除を求める仮処分を申し立て、削除を命じる決定が出たため、「ニコニコ動画」の動画が削除されたというものであった。
私たち神戸人権交流協議会は、ネット上に書き込みされている部落問題記事の中には誤認に基づくものが少なからず存在していることを憂い、科学的で展望の持てる部落問題を発信することで、ネット上での討論を活発にし、部落問題への理解を深めることで解決に寄与することに心掛けてきた。そうしたネットユーザーの一人としては、法的な手続きを経たものとはいえ、今回のネット上の動画や記事が削除されたという報道は衝撃的な出来事であった。
確かにネット上には部落差別に対する誤認から、差別をあおる記事も存在しているのは事実だ。しかし、私たちは水平社創立から来年で100年、神戸の地で部落解放の旗上げをしてから50年間にわたり部落問題解決を生業(なりわい)としてきた団体、そうした誤認を正すだけの理論や実績は蓄積していると確信しているから、性急に行政や司法権力を利用して削除を要求する必要性を感じていない。
私たち神戸人権交流協議会は神戸における部落問題解決の到達点や組織改善のために全国地域人権運動総連合(地域人権連)を卒業させていただきましたが、やはり「ネット差別」に対する見解は地域人権連が一番明快なので紹介する。
議長の丹波正史氏は、「部落差別はヘイトスピーチ問題とは異なり、公然と差別的言辞や行動をおこす状況にありません。そうした行為が時として発生しても、それらの言動を許さない社会的合意が強く存在しています。また、インターネットなどでの匿名による陰湿な行為も起きたりもしますが、それらも公然と支持が得られる状況にはありません」(第12回地域人権問題全国研究集会)という指摘は、「ネット差別」を正しく理解するうえでの原則といえる。
今回はこうした観点に立ち、今回の「差別動画」削除問題について考えてみたい。
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