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ヘイトに刑事罰、国内初の条例案はどうなる? 専門家が要請書を提出

ヘイトに刑事罰、国内初の条例案はどうなる? 専門家が要請書を提出
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20191028-00010000-bfj-soci

10/28(月) 19:25配信



川崎市が年内の成立を目指している、ヘイトスピーチを繰り返した人物に刑事罰を科す条例案。差別に刑罰を科すのは、国内で初めてのことだ。ヘイト言動をめぐる大きな節目を前に、全国の弁護士有志70人が10月28日、市長や市議会に対し、条例案の補強を求める要請書を提出した。【BuzzFeed Japan / 籏智広太】


今回の条例案では、ヘイトスピーチを繰り返した人物に対して50万円以下の罰金を科す刑事罰を定めている。

日本には2016年に成立した「ヘイトスピーチ対策法」があるものの、理念法であるために罰則規定はない。そのため、川崎市の条例が成立すると、全国で初めての事例となる。

表現の自由に配慮するためにも、「川崎方式」と呼ばれる仕組みを導入しているのが特徴だ。

これは表現の自由やヘイトスピーチ、憲法に関する弁護士らが協議をしてつくった東京弁護士会の「人種差別撤廃モデル条例案」をベースにしたもの。

1度めの違反に対する勧告、2度めの違反に対する命令、そして3度めで公表、罰則に進むというように、罰則までにいくつかの段階を踏む。

また、勧告や命令の措置などに際しては、諮問機関として5人以内の有識者による「差別防止等対策委員会」が設置される。これも市長による濫用を防ぐための仕組みのひとつだ。
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ネット上のヘイトへの対策も

正式名称は、「川崎市差別のない人権尊重のまちづくり条例」。その名前の通り、「人種、国籍、民族、信条、年齢、性別、性的指向、性自認、出身、障害その他」を理由にした不当な差別的扱いをしてはならない、と定めている。

なかでも力を入れているのが、在日コリアンが多く暮らす地域もある川崎市でたびたび問題視されてきた、ヘイトスピーチだ。

ヘイトに刑事罰、国内初の条例案はどうなる? 専門家が要請書を提出


2016年6月、ヘイトスピーチ対策法の成立直後に川崎市内で開かれた、ヘイトスピーチを繰り返していた男性が主催したデモ。開始直後、カウンターデモによって中止に追いやられた。


条例案で定義された「ヘイトスピーチ」とは

条例案では、以下のような言動が「本邦外出身者に対する不当な差別的言動」、いわゆるヘイトスピーチとされている。

おおむね、「ヘイトスピーチ対策法」に則ったものだ。

・特定の国もしくは地域の出身である者またはその子孫(特定国出身者)を、本邦の域外へ退去させることをあおり、または告知するもの
・特定国出身者の生命、身体、自由、名誉または財産に危害を加えることをあおり、または告知するもの
・特定国出身者などを著しく侮蔑するもの

手段としては、拡声器の使用や看板、プラカードの掲示、ビラやパンフレットの配布や「多数の者」が一斉に大声で連呼することが該当する。

また、インターネット上(市の区域内や市民などを対象にしているもの)でも同様な言動があった場合、その拡散防止の措置を講じ、公開すると定めている。

無根拠な「デマ」には?

「市が盾になって被害者を守るため、刑事規制に乗り出した。画期的であると評価します」

ヘイトスピーチに詳しい師岡康子弁護士は、この日川崎市役所で会見を開き、そう語った。

師岡弁護士ら3人はこの日、福田紀彦市長や市議会に当てて要請書を提出した。そのうえで、12の点における修正や追加を求めている。たとえば、以下のような点だ。

・ヘイトスピーチ規制の対象が「著しく侮蔑」だけでは範囲が狭く、実効性に欠ける。「著しく侮辱し、または誹謗中傷して憎悪を煽るもの」とするべき。
・インターネット上の特定個人に対するヘイトスピーチに関しては、拡散防止の措置だけでは足りない。市が事業者に対して発信者情報の開示要請をできる根拠条文を設けるべき。

1点目については、ヘイトの範囲をより広げないと、全く無根拠なデマなど(犯人は在日、など)の誹謗中傷による言動が対象にならない、という指摘だ。

また、2点目はネット上での匿名ヘイトスピーチが「毎日のように繰り返されている」からこそ、単に削除するなどして拡散を防止するだけではなく、発信者の特定などの具体対応を市としてとるべき、という指摘だ。
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ヘイトに刑事罰、国内初の条例案はどうなる? 専門家が要請書を提出


2016年6月、ヘイトスピーチを繰り返していた男性によるデモを警備する警察官たち。


捜査機関の濫用を防ぐためにも

条例案には、捜査機関が濫用する可能性を危惧する声もあがっている。

ヘイトスピーチ対策が求められる一方で、憲法が保障する表現の自由にも関わってくる可能性があるからだ。

市側は、条例案ではそうした点に配慮しているとしているが、師岡弁護士も、現行の条例案のままでは「捜査機関が現場で直接言動を判断し、逮捕することも可能になってしまう」ことに言及した。

「いまの日本の警察や警察には、欧米のようにヘイトクライムを担当する専門部署など、差別を認定する運用能力があるわけではありません。それゆえ、濫用の恐れの方が大きくなってしまう。日本で最初の刑事規制には、万全の体制で臨むようにする必要があります」

そのうえで、要請書では「人権保障の観点から、そうした濫用を防ぐためにも市による告発を訴訟条件とするべき」という指摘をしている。

条例案はすでにパブリックコメントの募集が終わっており、12月議会に提出される見込みだ。師岡弁護士は、こうも語った。

「ヘイトスピーチは、国籍で敵味方を生み出す、地域社会に深刻な亀裂を生じさせる危険なもの。少数者への攻撃は、具体的な暴力につながっていくこともある。被害者救済の観点からも、一刻も早く成立させるべきだと考えています」

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