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2019年8月に作成された記事

差別と偏見のない社会へ自分の痛みとして向き合う|論説|佐賀新聞 差別と偏見のない社会へ自分の痛みとして向き合う|論説|佐賀新聞

差別と偏見のない社会へ
https://www.saga-s.co.jp/articles/-/420181
差別と偏見のない社会へ自分の痛みとして向き合う|論説|佐賀新聞

 この夏、ハンセン病元患者の家族が国の隔離政策によって差別を受けたとして国に損害
賠償を求めた訴訟で勝訴した。安倍晋三首相は元患者の家族に会って謝罪、社会に巣くう
差別と偏見が改めてクローズアップされた。現代社会にはさまざまな差別や偏見がある。
8月は佐賀県の同和問題啓発強調月間。その締めくくりに、改めてその不条理を問いた
い。
 差別意識の一つとみられる事例を紹介したい。2年前、佐賀新聞に掲載された本紙記者
の『記者日記』から引用する。2017年7月の九州北部豪雨で、被災地には多くのボラ
ンティアが復旧の手助けに向かった。その中で、自治体にこんな電話があった。
 男性「昔の部落を知りたいのですが…」
 職員「何の目的ですか」
 男性「ボランティアの関係で…」
 職員「ボランティアに行きたいということですか」
 男性「逆です。部落地区に行きたくないので、その場所を教えてほしい」
 職員が差別発言ではないかと指摘すると、電話は一方的に切られた。男性は本気だった
のか、悪質ないたずらだったのか分からないが、被災地の人や差別のない社会を願う人々
を暗然とさせた―という話である。電話をかけてきた人は、誰からこうした差別意識を受
け継いだのだろうか。
 昨年、鳥栖市で同和問題啓発の講師を務めた、みえ人権教育・啓発研究会代表の松村智
広さんは1993年、国立ハンセン病療養所に講演に行ったという。
 差別、偏見を助長したとされる、らい予防法が廃止(96年)される前で、元患者たち
が抜け出せないように療養所の周りに巡らされた高さ約2メートルの塀と堀がまだ残って
いた。元患者たちは入所させられると、家族に迷惑がかからないように名前を変え、出身
地を隠して生きることを余儀なくされた。赤ちゃんができないように強制的に手術される
など、人権を無視した扱いを受けてきた。
 松村さんがこれから講演というときに、ハンセン病が治った女性がお茶を出した。松村
さんがそれを飲み干すと女性は突然、泣き出した。「何か悪いことをしましたか」と尋ね
ると、「あなたは私が出したお茶を初めて飲んでくれた」と。特効薬ができ、戦後はハン
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https://www.saga-s.co.jp/articles/-/420181 2019/08/31
セン病は治っていたが、「感染するかも」と恐れ、お茶に手をつける人はいなかったのだ
という。
 差別の背景には、私たちがとらわれやすい迷信や世間体などがある。例えば県内の自治
体が2014年に行った人権・同和問題に関する意識調査では、「あなたの子どもの結婚
相手が同和地区出身と分かったときあなたはどうするか」との問いに、「世間体があるか
らできれば結婚させたくない」「絶対に反対する」と答えた人が合わせて1割を超えてい
た。
 差別に正当なものなどない。同和問題やハンセン病差別は、時の権力者がつくり出し、
助長したものである。同時に、呼応するかのように、その存続に手を貸しているのは、実
は私たち一人一人なのだということを忘れてはならない。差別される痛みを自分の痛みと
して向き合い、すべての命が生まれてきてよかったと思える世の中に向けて、共に歩んで
いきたい。


佐賀新聞に問い合わせ内容:
「世間体があるからできれば結婚させたくない」「絶対に反対する」と答えた人が合わせて1割を超えていた。「差別の背景には、私たちがとらわれやすい迷信や世間体などがある。」とするが、どうして「反対」の意見を持つのか。どうすれば「反対」の考えがかわるのか。「反対」の行為はどの程度起きているのか、を同和問題では丁寧に掘り下げ、9割は賛成であることを熱心に広めることで「反対」が減るようにすることも新聞の役割ではないか。問題を拡散させないで、もっと真摯に丁寧に向き合っていただきたい。

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室井佑月氏「ゴゴスマ問題」に苦言 韓国語に訳されたら…

室井佑月氏「ゴゴスマ問題」に苦言 韓国語に訳されたら…
8/30(金) 22:32配信
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190830-00000152-dal-ent


 作家の室井佑月氏が30日夜、ツイッターを更新。TBS・CBC系の情報番組「ゴゴスマ~GoGo Smile(以下ゴゴスマ)」の日韓関係をテーマにしたコーナーでのレギュラー出演者の発言が物議をかもしていることを受け、その放送内容を翻訳して韓国で放映されたらという仮定で、メディアの在り方に苦言を呈した。


 室井氏は「ゴゴスマの問題だけどさ、訳つけて韓国で流れたら韓国の人たちどう思う?反日感情持ってない人も持つようになってしまうかも」と指摘した。室井氏は具体的に記さなかったが、27日放送回での武田邦彦・中部大教授と29日放送回の元宮崎県知事でタレントの東国原英夫の言動を指しているものとしてコメントが続いた。

 武田氏は、韓国を訪れた日本人女性が暴行された事件について「路上で、日本人の女性観光客をその国のね、訪れた国の男が襲うなんてのはね、これはもう世界で韓国しかありませんよ」と発言。さらに「日本男子も韓国女性が入ってきたら暴行しにゃいかないからね」と語り、「言い過ぎ」とたしなめられると、「物事はそうなるからああいう事件はダメだと言ってるんですよ」と正当化した。

 東国原氏は「正義だったら法を破ってもいいと思っている」などと韓国に対する見解を述べた際、「あの…」と口を挟みかけた金慶珠・東海大学教授に対して「黙ってろ、お前は!黙っとけ、この野郎!喋りすぎだよ、お前!」と罵倒。東国原はツイッターで「僕は金慶珠氏の発言内容に怒ったのでは無く、公平な発言時間を守らないので怒った」と釈明したが、「それならそう指摘すればいいこと」という意見や、「お前」「この野郎」という2人称で感情的に罵倒する姿勢に違和感を示す声もあった。

 こうした流れを受け、室井氏は「それってメディアがしてはいけないことでしょ。韓国といわず、世界で流れたら多くの人はどう感じるよ?迷惑なんだよね」と問題提起した。

 この日、番組MCの石井亮次アナウンサーは冒頭で「ゴゴスマとしてはヘイトスピーチはしてはいけないこと。ましてや犯罪を助長する発言は、人として許せないことと考えています。番組をご覧になって不快な思いをされた方々にお詫びいたします」と謝罪。発言者と内容には言及しなったが、「今週火曜日(27日)」と指定したことから武田氏の発言を指していることは明らか。謝罪文を通してヘイトスピーチだったという認識を示した。

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三重県伊賀市議会 市営住宅の駐車場管理問題 6月議会

三重県伊賀市議会
令和元年 第 3回定例会(第4日 6月17日)議事録より
百上真奈議員(日本共産党)
2 市営住宅の駐車場管理について
 ⑴ 行政財産の目的外使用と管理方法
 ⑵ 使用料の減免
 ⑶ 駐車場料金の徴収
 ⑷ 駐車場管理の直営化


No.148 百上真奈君(日本共産党)
 市営住宅の駐車場管理についてお尋ねをいたします。
 これは、八幡町の市営住宅の駐車場についての質問なんですけれども、八幡町の市営住宅は昭和40年代から50年代にかけて建設され、他の市営住宅同様、駐車場は整備されていませんでしたが、一部、地域改善対策で駐車場を整備したとも聞いております。情報公開で取り寄せました資料によりますと、現在、八幡町管理組合から伊賀市の土地を駐車場として行政財産目的外使用する申請が出され、伊賀市が許可をしています。
 まず、行政財産を市営住宅の駐車場として目的外使用にした理由と駐車場の管理方法として八幡町自治会の中にある管理組合に管理を任せることにしたのはいつからで、管理組合との取り決めがあるのか、その経緯をお答えください。

No.150 人権生活環境部長(田中克典君)
人権生活環境部田中です。
 同和課の行政財産である事業残地でございますが、1カ所ずつの面積が狭いところが多いということで、なかなか活用が難しいというまま管理するためには、一定の経費を要するところでございます。
 市が直接管理をせず、使用許可を出して、管理組合が駐車場契約者から駐車場料金を徴収し、またその管理を行っていただく、また施設の管理も行っていただくということで、経費、労務時間の軽減も図れますし、地区内の防犯対策、それから衛生面での環境保全の動きということも向上につながっているところでございます。
 この事案につきましては、市が住宅を建設するに当たりまして、駐車場を整備していなかったものの、その後、自動車の普及があってということで駐車場が必要になってきたというのが背景にございます。
 ただ、その場合に市で整備するということになりますと、土地であったり予算であったりということで、なかなか確保が難しいということで、今あります公有財産の残地を使用許可を出しまして、それを利用するということで駐車場の機能を代替していくということで始まったものでございます。
 その管理方法につきましては、先ほど申し上げましたとおり、地域の実情を熟知して苦情などの緊急対応にも迅速に対応していただける地元の方々で組織する団体であります管理組合さんのほうにお願いをしているとこでございます。
 それから、いつからというところが、承知しておりますのは平成17年ぐらいから、この資料がちょっとございましたんですけど、ちょっと何年からスタートしたというのは、ちょっと今持ち合わせてございません。

No.152 百上真奈君
管理組合に任せる理由として、資料には、市が直営で駐車場管理を行うより経費の大幅な軽減が図れるとありますけども、直営での試算は幾らでしたか。直営より経費削減になっているかを検証されていますか。

No.154 人権生活環境部長(田中克典君)
例えば、この上野丸之内にあります市営駐車場の場合ですと、委託料から算定させていただいて、人件費の関係だけでお一人当たり年間260万円程度かかっております。この当該地域の駐車場におきましては、駐車場の箇所が20カ所以上ございます。そして、場所も点在しておりまして、約1キロぐらいの幅でばらばらという状態でありまして、そのほか、草刈り、それからフェンスや白線の補修、それから舗装も割れてくるということで直したり、それからごみや雑木が置かれていたりするものも気がついたらどけていただくという清掃の費用等も当然かかってまいりますので、数百万ぐらい以上はかかるというふうに考えております。
 そして、これが1人ではなくやはり複数人の対応もお願いしないとできないということで、それだけ経費も増加すると考えております。
 現在、管理組合では、管理費、整備費合わせて年間、昨年度の決算ベースで大体600万程度の支出があったんですけども、やはり先ほど申し上げましたとおり市直営で行うよりは随分費用、労務時間の軽減は図れると考えてます。

No.156 百上真奈君
驚く答弁ですね。市営住宅の駐車場のことを言ってるんですよ。そういう観光地なりとかほかの駐車場とは全く違うにもかかわらず、そんなところと比較してどうするんですか。私、次の使用料の減免についてお尋ねします。本当に驚きました。
 行政財産目的外使用の場合は、目的外使用に対する使用料を許可を受けた者は納めなければなりません。その額は条例に規定されています。八幡町の駐車場用面積は平成30年度で7,912.86平米、土地評価額は1億9,365万3,265円で、条例に規定されている使用料の算定額は774万6,131円になります。本来、この額を管理組合は市におさめるのですが、そのうち728万6,131円も減免され、実際の使用料は46万円でした。条例に基づく使用料の減免根拠となぜ46万円なのか、短く簡潔にお答えください。

No.158 人権生活環境部長(田中克典君)
市の、先ほど言われました使用許可の減免基準でございます市・行政保管推進する事業で、特に公共性・公益性が高いと認められる場合に該当する場合ということで判断させていただいて使用料の一部を減額させていただいております。
 先ほど言いましたとおり、この駐車場につきましては、自家用車の利用が拡大した中で置き場所がないという事態で、路上駐車等によります道路占有による通行障害という問題も発生しておりました。また、交通事故の発生も懸念されておりました。ということで、こういったことも解決しなければいけないということもありまして、駐車場契約者の管理の問題もあります。ということで、現在では、収支を計算していただいて、その差額に当たる部分について、納入をお願いするという形で運用をしております。

No.160 百上真奈君
そしたら、お尋ねしますけど、当初の契約台数と料金収入は幾らで、使用料は幾らだったのか、現在の駐車場の契約台数と料金収入は幾ら入っていますか。しかも決算のことをおっしゃっていますが、決算の詳細な監査はされておられますか。

No.162 人権生活環境部長(田中克典君)
平成30年度でございますが、これは、私どもの同和課で管理している土地と住宅課で管理している土地がございますが、合わせましてですけども使用料収入、利用料収入として612万9,000円収入をしていただいているということでございます。台数が322台だったと思いますが、ちょっと済みません、台数については確実な台数は、今お答えはできません。
 それと、監査の関係でおっしゃっていただきました。今まで、決算の報告はいただいていたのですが、監査については、やはりもう一度私どももこの管理組合さんのほうにちょっと申し出をさせていただきまして、今年度からではありますけれども、監査に入らせていただくことと、住民の皆さんへの理解も進んでいない部分も見えましたので、この自治協の会合等できちんと事業の内容と決算について報告をしていただきたいということで話をさせていただきまして、相手方のほうもそのようにしたいということで回答をいただいておるとこです。

No.164 百上真奈君
今、重大な発言されたと思います。監査をされてこなかったと、しかも決算書はずっとなかったわけですよ。平成29年度、30年度でようやく決算が出されました。だから、監査もされていないから、今おっしゃった駐車場料金とか駐車台数も全くそれが事実かどうかはわからないという状況ですよね。整備状況、現地確認されていないと思います。
 当初の契約台数も今明確な答えがありませんでした。ちなみに、この使用料は私が取り寄せた資料の中で平成25年度は65万円、平成26年度は55万円、平成27年度が50万円、28年度以降は毎年46万円しか納めておられません。しかも駐車料金はようやく決算書が出てきた29年度で710万9,100円の収入があり、30年度が612万9,000円、これだけ収入があると、多分当初よりも随分ふえてると思いますが、使用料は逆に減ったままです。これなぜ使用料、上げないんですか。

No.166 人権生活環境部長(田中克典君)
29年度と30年度につきまして、金額が上がっているということでございます。
 実は、この2年間につきましては、地元の方々からまだ台数が足りない、路上駐車が多いということで、残地を駐車場にしてなかった部分をきちんと線を引いて砂利を入れてということで整備をかなりしていただきまして、実際、工事のほうも進んでいるのは見させていただきましたので、経費もそれだけいってこれだけの会計がふくらんだということですが、また、今年度から、例えば前年比100万円程度下がっておりますが、その費用も少なくなってくれば決算自体も下がってくるというふうに考えておりますし、基本的に収支の残額を納めていただくということで、お願いしております。

No.168 百上真奈君
とにかく決算見てないんですからわからないはずなんです、今の答弁されていますけれども、それで、30年度からは管理組合から今度は、住宅課が持っている土地の使用申請と使用料減免申請も出ています。そこには、使用料は同和課で許可してもらっているのと同様の平米当たり75円になる額になるよう減免を求めています。つまり、この使用料46万円というのは、減免規定に基づく額ではなく、管理組合の求めた額であり、言われるがままに減免したわけですよね。この平米当たり75円というのは、伊賀市と管理組合との間で了解事項になってて、この金額でこれから公有地を使わせることになっているということじゃないですか。これ行政財産目的外使用による有効な公有地の活用には、全くなってませんし、特別な扱いは、これ本当に大問題だと思います。これから管理組合が借りたいと申請すれば、幾らでも46万円で公有地が借りれるという、こんなやり方誰が決めているんですか、教えてください。

No.170 人権生活環境部長(田中克典君)
今、おっしゃっていただいた部分ですけども、情報公開でとっていただいたところにそのような記述があったということでございますが、必ずしも46万円がばしっとした原則として決まっているというわけではありません。決算において当然余ってくれば、余剰金が出れば、当然納めていただくということで運用をさせていただくわけで、当初の許可を出すときの算定においてそのような算定をされたというふうに考えております。

No.172 百上真奈君
今、答弁されたことは、平成29年当たりで突然出てきた条件です、それも、情報公開によりますと。しかも結局、決算見ますと29年も30年も赤字決算でした。だから46万円になっているだけなんですね。
 もう一点、3つ目の駐車場料金の徴収についてもちょっと聞きたいと思うんですけど、駐車場を借りておられる住民は、市民館の職員に駐車料金を渡し、職員が受け取って台帳に領収したことをチェックするための印鑑を押しています。集まったお金は職員が金融機関に入金していると聞きました。なので、市は本当に駐車台数をここでしっかり把握しているはずなんですよね、今の、正確な。以前、私は職員が管理組合に委託しているのに、徴収業務しているのは問題だと指摘したら、よくないことなのでやめますと当時の同和課長がおっしゃっていました。今も続いていますか。これ続いていたら公務員の職務専念義務違反になると思うのですが、いかがですか。

No.174 人権生活環境部長(田中克典君)
今おっしゃっていただいた部分ですけども、市民館のほうには、市営住宅の家賃とか水道代の金額をたくさん持ってきていただいておりまして、そのときに一緒に使用料も持って来られる方が多いということでございまして、住民の利便性を考えて駐車場代金についても一時的に預かるということもありましたが、今おっしゃっていただいたとおり、市に納めているという誤解を招いているというか、住民さんにそのように感じられてしまっているということもありました。現在は、ちょっと組合さんとも協議させていただいて、徴収事務を適切に行っていただくために、市民館内に事務局を設置していただいてる自治協の職員さんが事務局員も兼ねていただくということで、料金のほうを徴収をそこでしていただけるようにお願いをしております。

No.176 百上真奈君
それ、先週からですよね。私が一般質問を通告してからだというふうに思うんですけれども、だからおかしいんですよ。管理組合の決算には、事務管理経費が29年度で306万6,243円、30年度で334万3,351円が計上されているんですよ。管理組合の仕事は、そういうことをやることでしょう。だけど、それを今までずっと長年、市の職員がやってたんです。そしたら、この300万円余りのお金、一体何に使われているのかというふうに住民の方が疑問を持つのは当然じゃないですか。私も本当にそう思いました。このお金って一体何に使ったのか。
 しかし、行政は監査をしていないから、これも多分何に使われているかわからないんじゃないですか。それ答えてください。この住民の疑問に対して市は答えなければならないと思います。答弁してください。

No.178 人権生活環境部長(田中克典君)
その中身については、当然、聞かせてもらいに行こうと考えておりますが、基本的にこれは地元で集めていただいた自分たちのお金で駐車場を運営して、そして、残金が出れば市のほうに納めていただくというふうで今まで運用をさせていただいております。組合のほうから、きちんとした決算なり事業内容を住民の方々に説明をきちっとしていただくというのが原則と考えております。

No.180 百上真奈君
だから、住民には全く説明されてないんですよ。
 この責任者は、でも伊賀市ですやんか。市営住宅の駐車場ということと、それから公有財産を使ってるということは、全て伊賀市が責任なわけですよ。だから、伊賀市が説明責任を果たさなければならないし、伊賀市が本当のことというか現状をきちっと明らかにしなければいけないんですよね。
 この行政財産目的外使用だからこそ、慎重に協議や評価をすべきなのにもかかわらず、同和課は、この行政財産の使用についての決裁手続、決裁規定どおりにしていません。平成25年と平成30年は、行政財産の決裁者である財務部長や管財課長の決裁がありますが、26年から29年までの間は、使用と減免の許可を同和課がやってるだけなんですよね。これも本当にずさんなやり方だと言わざるを得ないわけなんです。
 本当にとんでもないことが起こってるなということで思ったわけなんですが、同和課が許可している八幡町の駐車場管理のあり方として、このままでいいと私は本当に思っていません。実際に他の市営住宅は住宅課が管理をしてて、逆に住民から駐車料金はいただいておりません。駐車場を整備したとこだけいただいてるだけです。また、ほかの自治会では、やはり安全の面も考えて普通財産の公有地を借りて、駐車場をされておりますけど、そこは、きちっと4%に当たる使用料を納めているわけなんです。ここだけが特別扱いをしてると言わざるを得ません。
 この場合、市は有効かつ市の利益になる形で管理しなきゃいけないにもかかわらず、入ってくるべき700万円を超える土地の使用料は入ってきていません。駐車場管理を直営にすれば入ってくるはずの700万円を超える駐車料金も伊賀市には入っていません。全て八幡町管理組合に入っていて、その使い道を伊賀市はわからない、そして、管理組合にしかわからないような形に、これ一体何年間してきたわけですかね。本当に。
 このやり方は、本当に伊賀市にとっても、それから市民にとっても八幡住民にとっても、駐車場を利用している方にとっても納得できるものではありません。
 先ほど、変な比較をされました。伊賀市にあるほかの駐車場、公営の駐車場と、それ全く意味違いますよ。市営住宅の駐車場ですから、そんなところと比較しないで、そのほうが経費がとにかく何百万もかかるんだと、市営住宅の駐車場、他の市営住宅で24時間監視するような形でやってませんよ、どこも。自治会のほうできちっとされてるわけですからね。そんな比較は全く通らない話だと思います。
 こういった公営駐車場の駐車場管理、特にここについては、直営にして、草刈りなど地元や業者に委託する形のほうが、私はいいと思うんですけれども、答弁願いたいと思います。

No.182 人権生活環境部長(田中克典君)
種々御提案いただきましたが、私どもとしては、やはり直営でやって、今おっしゃっていたように経費をまた別に発注すればということでございますが、なかなか管理もさまざまな苦情もありますし、迅速に対応できない部分もありますし、直営でやるよりは、やはり地元の方々にやっていただいたほうが、結局は財政的には安価であがるというふうには考えております。ただ、おっしゃっていただいたとおり、公有財産の使用許可をしている立場としての、もう少し運営の管理をしっかりやらせていただけてなかった部分は反省させていただいて、これから取り組ませていただきたいと思います。

No.184 百上真奈君
最後に市長に聞きますけども、その前に、これ本当に莫大な不明金をそのままにしとくわけにはいきません。それと住民の方が疑問に思っている、怒っておられる。そして、駐車場にするんだからといって草刈りもされていないんだと、ここは駐車場にするから草刈りはできないというふうなこともおっしゃってるんですよ。だから、これは住民の中からも、このやり方については変えてほしいという声が出てるということを伝えます。
 その上で、市長は、平成25年度と平成30年度の使用許可、減免許可に決裁の印を押されてますので、私はこの問題は市長が決断すべきだと、本当にやり方を変えるということを決断すべきだと思いますけども、答弁願います。

No.186 市長(岡本栄君)
従前からの何かいろいろなことがあったんだろうなというふうには思いますけれども、やはり大事なことは、しっかりといろいろな人に説明ができるということが一番大事でありますから、その辺のところは担当のほうにしっかりと精査をさせて、どういうふうにすればよいのかということは、また考えていかなければならないというふうには思っております。

No.188 百上真奈君
テレビを見ている市民の皆さんも、そして駐車場を利用されている皆さんも、本当に、私は本当に、逆につらい思いもされてるかと思っていますし、こんな問題を放置している伊賀市はとんでもない、本当に行政だというふうに思います。
 私は、このことは、もっと私自身も調査を進めていきたいと思っていますし、また、いろんな情報をいただいている市民、それからこのやり方おかしいと思っている市民の皆さんと一緒に、さらに声を上げていきたいし、まともな形に変えていくということをしていきたいと思っています。
 今後、さらに住民からの声が顕在化してきたときには、本当に市が責任をとらなければなりません。きょうの質問は、第一歩だと思っておりますので、これらも引き続きさせていただきます。
 時間が参りましたので、質問を終わらせていただきます。

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2019年度 人権に関する意識調査を実施しています。一般社団法人新情報センター

ダウンロード - houmu.pdf

ダウンロード - ishiki.pdf

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自由同和会 ネット上の地名総監問題 大会方針の変遷

2007年5月 自由同和会第22回全国大会運動方針
4 人権侵害の処理及び被害者の救済
 

 また、最近、一部運動団体が部落地名総鑑を発見したと騒いでいるが、高度に発展しているインターネット社会と、同和対策事業で対象地域が以前の面影を残さないほど環境整備が図られた地域、まして混住化が進んだ地域の現状を勘案すれば、部落地名総鑑の持つ意味が以前ほど重大ではなく、当然、取扱についても違いが出てくると思われる。

 同和対策事業が実施される前の劣悪な環境では、対象地域を知れば差別の助長に繋がったが、現在の対象地域を見ても差別心は芽生えないであろう。

 なおかつ、同和問題を少し勉強すれば対象地域には隣保館や改良住宅が建設されていることが分かり、インターネットで県や市町村のホームページで隣保館や改良住宅を検索すれば、対象地域の所在はすぐに判明するし、航空写真や衛星写真で対象地域全体を観ることもできる。

 対象地域に入れば、同和問題を解決するための看板やポスターが目に付くし、人権週間になれば隣保館などに垂れ幕や横断幕などが掲げられ、ここが対象地域ですよと知らせている。また、隣保館が行っている交流事業に参加する人達もすべて知ることになる。

 したがって、対象地域の所在をあえて公開する必要はないが、部落地名総鑑を発見しても、差別の助長になると大騒ぎするのではなく、淡々と処理すればいいことで、未だに差別があることの根拠にすることは差別の現状を見誤る危険な所業といわざるを得ない。

 対象地域に住む人達を差別しようとする悪意を持った確信犯的な人は絶対になくならない。そのような人が部落地名総鑑を作成してインターネットに流すなど悪用した場合には、毅然として対処することは当然であるが、今や混住化が進み半数は関係者以外の人達であることを広報することのほうが部落地名総鑑を無意味にする近道ではないだろうか。

 部落地名総鑑を作成し悪用することができにくくなる4つの追い風が吹き始めた。その①は、「探偵業の業務の適正化に関する法律」が昨年成立し、差別に繋がる調査ができなくなったこと。その②は、「戸籍法」の改正案が閣議決定されたので、今国会で成立すれば戸籍を取得することに、身元確認や取得するための正当な理由など制限されることになること。その③は、「住民基本台帳法」の改正が閣議決定されたので、これも今国会で成立すれば、住民票の取得家族に限定され、それ以外の弁護士などの場合は正当な理由と本人確認の義務が生じることなどである。その④は、インターネットの「プロバイダー制限責任法」のガイドラインが改められ、名誉毀損やプライバシー侵害、著作権侵害、商標権侵害などの権利侵害については、これまでより発信者の氏名、住所、電子メールアドレス、情報発信時のIPアドスなどの情報が開示しやすくなった。

 これでも万全とは言えないが、前記したように部落地名総鑑の価値がなくなってきていることを考え合わせれば、減少していくものと考えられる。

 インターネットのある掲示板で、「今どき、差別されて得になることはあっても、差別して得になることはなにもない」と書き込みがあったが、正鵠を射ていると思われる。

さいごに

 これまでは、差別する側にすべて責任を被せ、差別される側には何も責任はないのだとする論理が罷り通ってきたために、差別される側の問題を取上げて意識の変革をしようとすると、融和主義だと批判された。運動に参加する人間にとって、融和主義と言われることは最大の屈辱であるという雰囲気が、声を大にすることができなかった一つの大きな要因であり、今回の様々な不祥事を生んだ一つの土台である。また、言葉尻を捉え「差別だ」と言われると、思考停止になり、反論しないことも運動体の横暴を許してきた大きな要因でもある。

 昨今の同和団体役員や選考採用された市の職員よる不祥事の続出により、同和団体への嫌悪感が一気に深まるとともに、逆差別が蔓延し始めている。このことは、これまでの運動の成果を踏みにじる由々しき問題である。

 このことを対岸の火事にせず、運動にかかわるすべての人が反省すべき事案であり、己を見つめ直し、傲慢になってはいないか、特権意識を持っていないか、特別待遇を望んでいないか、不正行為はしていないか、社会人として恥ずべき行為はしていないか、などを常に己に問い、地域の代表として活動していることを忘れてはならない。

 これからの運動は、行政依存の体質から脱皮し、借りたものは返し、支払う義務があるものは支払うなどこれまでのような横暴・横着は許されない。

 本気で差別を解消していくには、差別される要因がわれわれにあるのなら改善していく努力が求められる。そして、自分が住む地域では、どのような差別・格差(結婚差別、就職差別、土地の価格、差別落書き、差別投書、差別書き込み、環境改善、所得、就労形態、失業率、生活保護率、学力と就学、など)が現存するのかを主観ではなく客観的に、かつ、正確に把握して、その問題の是正を図るために、各支部それぞれの方針で運動を展開する、細分化された活動が必要になってくる。

 

ダウンロード - 072014.pdf

 

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■差別意識なお根強く 福岡県民意識調査  (旧態依然の認識披瀝。何を呼びかけているのか。実際の実害程度は。-A)

2019/8/22 6:00 (2019/8/22 9:43 更新)
西日本新聞 社会面

https://www.nishinippon.co.jp/item/n/536857/


差別 くじで人生追体験 同和地区出身者ら8人から選択 春日でイベント

■差別意識なお根強く 福岡県民意識調査
 福岡県が2016年に実施した県民意識調査によると、同和地区の人との結婚を家族や親類から反対された場合、約1割が「結婚しない」と回答した。同和問題を巡る差別意識が根強く残る現状がうかがえる。
 調査によると、子どもが同和地区の人と結婚しようとした時は、4人に1人が「反対だが、子どもの意志が強ければ仕方がない」を選び、「絶対に認めない」は3・5%。家を選ぶ際は、同和地区内を「避けると思う」「どちらかと言えば避けると思う」が計4割を超えた。
 いずれの質問に対しても、2割弱~3割が「分からない」と答えた。
 文部科学省によると、義務教育で同和問題をどのように、どの程度教えるかは学校や教育委員会の裁量。教育の質や量は地域によって濃淡がある。
 県人権啓発情報センターは「十分知らない人が結婚や転居をする際、差別的な表現も目立つインターネットで情報を集めようとして、誤った知識を身に付けてしまう恐れがある」と懸念する。

Komaki_20190824060501

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あいちトリエンナーレ「表現の不自由展・その後」 明戸隆浩 | 社会学者

あいちトリエンナーレ「表現の不自由展・その後」をめぐって起きたこと――事実関係と論点の整理
明戸隆浩 | 社会学者
https://news.yahoo.co.jp/byline/akedotakahiro/20190805-00137053/

8/5(月) 7:48

2019年8月1日、あいちトリエンナーレ2019が開幕した。同年8月3日、その中の展示の一つ「表現の不自由展・その後」が、中止となった。
あいちトリエンナーレと「表現の不自由展・その後」
 あいちトリエンナーレは2010年から3年ごとに開催されている国内有数規模の国際芸術祭で、2019年はジャーナリストの津田大介氏を芸術監督に迎え、「情の時代」をテーマに掲げた。作家の選定にあたってその男女比を同等にすることを打ち出すなど芸術祭の枠を超えて話題となる要素も多く、実際前売りチケットの売り上げも開始2カ月前の時点で前回より2倍多かったという。
 その中の展示の一つである「表現の不自由展・その後」は、「その後」という名称からもわかるように、今回のトリエンナーレでゼロから企画されたものではない。オリジナルの展覧会である「表現の不自由展~消されたものたち」は、2015年の1月から2月にかけて、東京・江古田の小さなギャラリーで行われた。今回のトリエンナーレでの展示は、2015年の展覧会で扱われた作品に、この4年間で新たに展示が不許可となった作品を加えて構成されたものだ。
 筆者がこの企画を知ったのは、2019年4月1日に、芸術監督の津田氏がTwitterで出展作家の告知を行ったときだった。津田氏はその一番手として「表現の不自由展・その後」を紹介したが、それは2015年にオリジナルの展覧会を訪れていた筆者にとっても、新鮮な驚きだった。
「表現の不自由展・その後」で何が起きたのか
8月1日
 「表現の不自由展・その後」に対する政治的な圧力がはじめて明らかになったのは8月1日、あいちトリエンナーレ開幕の日だった。この日河村たかし・名古屋市長は、「表現の不自由展・その後」の展示の1つである「平和の少女像」を問題視する発言をし、翌2日に展示を視察する旨表明した。
 (ただし実際にはそれに先立って、開幕前日の7月31日午後にはすでに高須克弥氏、百田尚樹氏らがこの問題にTwitterで言及し、事務局に対する抗議電話も始まっていた。)
 なお河村市長の発言の前には松井一郎・大阪市長が「にわかに信じがたい!河村市長に確かめてみよう」とツイートしているが、河村市長は翌2日の取材で「大阪市の松井市長に聞いて知った」と発言しており、松井市長から連絡があったのは確かなようだ。なお同日夜には、和田政宗・参議院議員(自民党)も、この問題についてTwitterで言及している。
8月2日
 河村市長は2日12時前、あいちトリエンナーレのメイン会場である愛知芸術文化センターに到着。会場奥にある「表現の不自由展・その後」を担当者に案内されながら15分ほどかけて視察し、その後のぶら下がりの取材の中で、「平和の少女像」の展示を中止するよう大村秀章・愛知県知事に求めることを表明した(なお筆者はこの日たまたま会場を訪れており、視察後の取材にも居合わせることになった)。
 また並行して政府閣僚なども次々とこの問題に言及し、2日午前の記者会見では菅義偉官房長官が「補助金交付の決定にあたっては、事実関係を確認、精査して適切に対応したい」と発言。また柴山昌彦・文部科学大臣も補助金の問題に言及したほか、自民党の保守系議員でつくる「日本の尊厳と国益を護る会」(代表幹事・青山繁晴参議院議員)も、少女像について「公金を投じるべきでなく、国や関係自治体に適切な対応を求める」との声明を出した。
 こうしたことを受けて、2日夕方に津田氏が会見。事務局に対して抗議の電話やメールが殺到しており、中にはテロ予告や脅迫ととれるようなものもあると説明し、少女像の撤去あるいは「表現の不自由展・その後」の展示全体の中止を検討すると述べた。
8月3日
 そして翌日、8月3日夕方。あいちトリエンナーレ実行委員長でもある大村知事が臨時の記者会見を開き、「表現の不自由展・その後」全体の中止を発表。「ガソリン携行缶を持ってお邪魔する」とした脅迫FAXが来たことなどに触れ、おもに安全面の理由で中止を決めたと説明した。また津田氏も会見し、抗議の電話やメールの状況が想定を上回るものだったとした上で、河村市長や菅官房長官の発言の影響については、これを強く否定した。
 これに対して「表現の不自由展・その後」の実行委員会のメンバーは、大村知事および津田氏の決定は一方的なものだったとして3日夜に抗議文を発表し、法的対抗手段も検討していることを明らかにした。一方河村市長は、記者の取材に対して「やめれば済む問題ではない」と述べ、関係者の謝罪を要求した。
きわめて露骨な「表現の自由」の侵害
 以上が、あいちトリエンナーレ「表現の不自由展・その後」をめぐって起きたことのうちの、事実関係にかかわる部分である。では、内容的には、そこで起こっていたのはいったいどういうことだったのか。
 まず確認しておくべきことは、今回の事件における河村市長の介入や菅官房長官の発言が、国や地方自治体による「表現の自由」に対するきわめて露骨な侵害だったということだ。本来すべきではないことであってもあまりにもあからさまにやられると受け取る側の感覚が麻痺してつい受け入れてしまうということが起こるが、そうならないためにも、この点は最初にはっきりさせておく必要がある。
 実際、最近は「表現の自由」という言葉がかなり広く用いられる傾向にあるが、「表現の自由」がもっとも必要とされるのは、まさに今回のように国や地方自治体が表現を抑圧することに対抗する際だ。とくに河村市長の言動は、市長の立場で特定の作品についての撤去を直接責任者に申し入れただけでなく、撤去後も関係者の謝罪を要求するなどしており、「表現の自由」が本来守ろうとしていることをことごとく踏みにじるものだと言える。
 なお関連する論点として、今回の河村市長の介入や菅官房長官の発言が「検閲」にあたるのかというものがある。定義の問題として言えば、狭義の「検閲」が指すのは行政による事前抑制である。その点では今回はこうした狭義の「検閲」は行われていないし、それは津田氏の2日の会見や大村知事の3日の会見でも強調されている。
 しかしより実効的な観点から考えた場合、「検閲」は必ずしもこうした事前抑制に限られるものではない。日本で「検閲」といったときに真っ先に想起される戦前の新聞紙法や出版法による検閲でさえ、すべてを実際に見て潰していったわけではなく、目立つものを検閲することでメディアが「委縮」し、自主的に「忖度」してそうした規範を受け入れるようなやり方が取られた(辻田真佐憲『空気の検閲』)。
 こうした観点からすると、河村市長の介入はもちろん菅官房長官の発言も、アーティストや芸術祭主催者などの「萎縮」と「忖度」のメカニズムを発動させるには十分なものだ。この点は、あいちトリエンナーレ単体ではなくより長期的な観点から考えても、きわめて重要な問題だと言える。
「金を出す以上口も出すのは当然」なのか
 とはいえ上の議論は、少し違った角度から補完しておく必要がある。すでに言及したように、菅官房長官は今回の件に触れるにあたって「補助金交付」に言及した。河村市長は記事になっている範囲ではお金に言及していないが、名古屋市はあいちトリエンナーレに約1億7000万円の予算を拠出しており、一連の発言も当然そうしたことを前提にしたものだ。
 さてこのとき、こういう疑問がありうる。確かに国や地方自治体による表現の自由の侵害はよくないかもしれないが、それは民間が独自にやっていることに横から口を挟む場合であって、国や地方自治体が出資元である場合には、当然話は違ってくるのではないか、と。端的に言えば、金を出している以上口も出すのは当然なのではないか、という疑問だ。
 確かにこれは、一見もっともらしい話ではある。しかし注意が必要なのは、そこで国や地方自治体が出している「金」は、当然ながら政府閣僚や地方自治体の首長個人のものではなく、あくまでも公的なものだということだ。文化や芸術について国や地方自治体に求められる役割は、やや極端に言えば道路や水道の整備と同様基本的な「インフラ」の整備なのであって、政治家や担当者の好みに応じて個別の作家や作品に金を出すことではない。
 実際、大村知事は3日の記者会見で、「行政機関が展示内容に口出しをしては芸術祭にならない」と強調した。これは重要な発言だが、同時にこれがあたかも大村知事個人のポリシーのように報じられているのはやや問題だ。国や地方自治体の役割がインフラの整備だという観点からすれば、むしろこれこそが「大原則」なのである。
 ただしそうは言っても、実際に金を出すのは具体的なイベントであり、そこに出品する作家や作品は当然選択しなければならない。そこで重要になるのが専門家への委託で、たとえば今回のあいちトリエンナーレであれば、その選択をするのは芸術監督である津田氏である。行政が行うのは、その津田氏を芸術監督として選ぶということまでだ。これを「間接的」な口出しだと考えることはもちろんできるだろうが、そのことと個々の作品についての展示や撤去について直接行政が介入することのあいだには、決定的な違いがある。
「表現の自由」に限界はある、しかし
 このように、この問題における大原則は「表現の自由」である。しかしそれは、表現の自由にはいかなる例外もない、ということを意味するものではない。実際、表現や言論であっても法的に許容されないものはいくつもある。たとえば、ある団体に「ガソリン携行缶を持ってお邪魔する」というファックスを送ることは形式的には「表現」の範囲内だが、実際には刑法上の脅迫として当然立件されうるものだ。
 同様のことは、名誉毀損や侮辱、あるいはプライバシー侵害についても言える。これらはいずれも「表現」を用いてなされるものだが、実際には法的な制約を受ける。またヘイトスピーチ(差別煽動)のうち特定の個人や団体に向けられたものではないもの(「○○人を追い出せ」のようなもの)は、日本やアメリカでは犯罪ではないが、EU諸国をはじめ刑事罰を科す国も多い(なお日本においても、こうした言動は2016年以降はヘイトスピーチ解消法によって「許されない」という位置づけになっている)。
 つまり一言で言えば、「表現の自由」にも限界はある。ではたとえば、今回もっとも焦点となった「平和の少女像」は、そうした「表現の自由」の限界にあたるものなのか。たとえば河村市長は、2日の視察後の取材で、中止申し入れの理由を「日本人の、国民の心を踏みにじるもの」だとした。河村市長は「ヘイトスピーチ」という言葉は使っていないが、今回の撤去は「ヘイトスピーチ」に対するものと同じ理由で正当化されるのではないか、と考える人は、おそらく一定数いるのではないかと思う。
 しかし実際には、こうした考え方は正しくない。まず強調しておかなければならないのは、ヘイトスピーチを規制するということは、誰かが不快になるような表現はいけないので禁止します、ということではないということだ。ヘイトスピーチの核心は「差別煽動」であり、それ自体は特定の個人や団体に向けられたものでなくても、それを聞いた人が特定の個人や団体に被害を与えうる、という点にポイントがある(たとえば「○○人を追い出せ」ということを聞いた人が、○○人である個人に誹謗中傷を行ったり、部屋を貸さなかったりする、など)。
 では、今回の少女像がそうした「差別煽動」にあたるのかと言えば、相当可能性を高めに見積もっても、あたらないと言わざるをえない。実際あの像を見て「日本人を追い出そう」「日本人を入店禁止にしよう」といったことが起きることを想定するのは、あまりに想像力を必要としすぎる話である。あえてこういう言い方をすれば、「ここは日本である」。そのとき、そこで日本人に対する差別煽動が生じるということは、ごく一部の例外を除き、基本的に考え難い。
 つまり今回河村市長が示した「理由」では、「平和の少女像」が表現の自由の例外になりうるということをまったく説明できない。表現の自由には確かに限界があるが、それは一首長がぶら下がり取材の中で設定していいようなものではないのだ。名誉毀損も、プライバシー侵害も、そしてヘイトスピーチも、表現の自由という大原則とのあいだの何十年にもわたる葛藤の中で生み出されてきた「例外」である。そうした蓄積のないところに突然思いつきで例外をつくるのだとすれば、それは正しく「表現の自由の冒涜」ということになるだろう。
「政治的な理由による排除」を可視化するために
 さて、以上基本的に「表現の自由」ということを中心に書いてきた。そもそも今回の展示のタイトルは「表現の不自由展・その後」であり、その中止が「表現の自由」をめぐる問題になるというのは、ごく当然のことであるかもしれない。
 しかし今回の事件を考えるにあたって、「表現の自由」は確かに重要ではあるけれども、同時にもっとも的確な視点というわけではない。実際展示された作品を見ればすぐにわかることだが、「表現の不自由展・その後」は、「表現の自由」全体を問題にしているわけではない。「表現の不自由」なら何でもいいというのであれば、たとえば名誉毀損とかプライバシー侵害とかヘイトスピーチとか、そうした効果をもつ作品を並べてもそれは可能だ。しかし実際に行われた「表現の不自由展・その後」は、そうしたものではない。このことについては、あらためて強調が必要だと思う。
 では、そこで示された「表現の不自由」は、どのような「不自由」だったのか。それは一言で言えば、「政治的な理由による不自由」である。「表現の不自由展・その後」で展示された作品は、いずれも過去に「政治的な理由」によって展示されなかったり、展示を中止されたりした作品だ。そしてそうした作品の排除は、まさに今回の展示中止がそうであったように、法的に蓄積された表現の自由の正当な「例外」とは別に、その場その場でアドホックに恣意的につくられた理屈のもとで行われた。「政治的な理由」は、そうしたアドホックな理屈に、たまたま付けられた総称にすぎない。
 そしてこうした「政治的な理由」による作品の排除は、少なくとも今回展示された作品の数だけ、すでに過去に行われている。その中には、それなりにこうした文脈を追ってきた筆者でさえ、詳細は把握していない排除もある。恐ろしいのはこうした排除が社会から見えにくい状態に置かれることだが、今回の「表現の不自由展・その後」(そしてオリジナルの「表現の不自由展」)が行ったのは、まさにそうでなければ見えにくい状態に置かれていた政治的な排除を、可視化することだ。
 その展示が、今回、中止となった。中止になることも含めてアート、といった開き直りにとどまれるほど筆者は楽観的ではないし、3日間でも可視化に成功したから十分だと言ってしまえるほど控えめでもない。今回の展示はもっと多くの人の目に触れるべきもので、3日間という期間はそのためにはあまりにも短すぎた。だとすれば今後やるべきことは、この短すぎた期間を、あらゆる手段で取り戻していくことだろう。そのためにはおそらく、この展示が予定通り75日間にわたって開催された場合に比べて、ずっと多くの人のかかわりが必要となると思う。しかしそれは、今回のことを「これでまた状況が悪くなった」などと嘆いて終えることに比べれば、はるかに将来につながりうるプロジェクトである。

明戸隆浩
社会学者
1976年名古屋生まれ。東京大学大学院情報学環特任助教。AMSEA(東京大学・社会を指向する芸術のためのアートマネジメント育成事業)スタッフ。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程単位取得退学。専門は社会学、社会思想、多文化社会論。現在の関心はヘイトスピーチやレイシズム、排外主義の問題。著書に『奇妙なナショナリズムの時代』(共著、岩波書店、2015年)、『社会の芸術/芸術という社会』(共著、フィルムアート社、2016年)、『排外主義の国際比較』(共著、ミネルヴァ書房、2018年)など。訳書にエリック・ブライシュ『ヘイトスピーチ』(共訳、明石書店、2014年)など。

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川崎 差別禁止条例素案

川崎 差別禁止条例素案
https://www.townnews.co.jp/0206/2019/08/02/491854.html


公表中の差別禁止条例素案
 川崎市は8月9日(金)まで不当な差別を禁じる「川崎市差別のない人権尊重のまちづくり条例」(仮称)の素案に対するパブリックコメント(意見公募)を受け付けている。

 素案は6月24日に示され、人種、国籍、民族、信条、年齢、性別、性的指向、性自認、出身、障害などを理由にした不当な差別を禁じる。

 公共の場所で繰り返し行われる在日コリアンをはじめとした外国人市民へのヘイトスピーチ(憎悪と差別の扇動表現)に対しては、50万円以下の罰金を科す。違反行為が確認されると、最初に市長は「勧告」し、それでも従わない場合「命令」する。同様の違反行為が3回確認されると、氏名や住所などを「公表」、「罰金」を科す。素案では個人だけでなく法人にも適用するとしている。

 素案は、川崎市ホームページに掲載。かわさき情報プラザなどでも資料を配架している。

ダウンロード - 20190624soan_hp.pdf

 パブリックコメントの結果は11月下旬に公表。来年7月の全面施行を目指す。問い合わせは、川崎市市民文化局 人権・男女共同参画室

「(仮称)川崎市差別のない人権尊重のまちづくり条例」(素案)に関する意見募集について
http://www.city.kawasaki.jp/templates/pubcom/250/0000108585.html

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