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2018年12月に作成された記事

「権利主張慣れている」「びくびくする必要ない」 中間市長、解放同盟に言及

「権利主張慣れている」「びくびくする必要ない」 中間市長、解放同盟に言及
2018年12月29日 06時00分
https://www.nishinippon.co.jp/nnp/national/article/476385/

 福岡県中間市の福田健次市長は28日、幹部級職員への年末訓示で、部落解放同盟を名指しして「権利を主張することに慣れている。職員はびくびくする必要はない」などと発言した。
 同市は年に1度、団体交渉として部落解放同盟の関係者と人権問題について議論。今年は25日にあり、市長や幹部が出席していた。
 福田市長は訓示の途中、「ちょっとだけ嫌みを言わせてもらうとすれば」と前置きして部落解放同盟について言及。「己が変われば良いだけなのに、なぜか権利を主張することに慣れている」「(職員が)びくびくしているのが何十年も続いたから、こういうことが続いている」と述べた。
 西日本新聞の取材に福田市長は「差別を助長する考えはない。市を良い方向に変えていくため、職員に部落解放同盟関係者と腹を割って向き合うように伝えたかった。誤解を招いたのなら、謝罪する」と釈明した。
=2018/12/29付 西日本新聞朝刊=

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被差別部落出身その他 国立市で条例

http://www.kanaloco.jp/article/379532

差別根絶へ、国立市で条例成立 先例として期待も
社会|神奈川新聞|
公開:2018/12/25 10:59 
更新:2018/12/25 11:10

 あらゆる差別を網羅的に禁止する条例が21日、東京都国立市で成立した。差別を明確に禁じ、被害者の救済や審議会の設置など先駆的な内容が盛り込まれ、ヘイトスピーチの被害が続く川崎市をはじめとする他自治体の先例としても期待される。条例の評価を人権や人種差別の問題に詳しい青山学院大教授の申(シン)惠丰(ヘボン)国際人権法学会前理事長と師岡康子弁護士に聞いた。

禁止、救済に意義
国際人権法学会前理事長 申 惠丰 氏

 人種差別を含む幅広い差別禁止事由について「行ってはならない」と禁止を明示した点が重要だ。ヘイトスピーチ解消法は施行から2年半が経過したが、禁止規定がない理念法の限界は明らか。「差別をしないようにしましょう」というアプローチが効く人ばかりではないからだ。

 「市は人権救済のために必要な措置を講じる」とした救済規定も評価できる。禁止している以上、違反行為には対処がなされなければならない。この条例に罰則はないが、諸外国では救済機関が加害者に謝罪や人権セミナーの受講を命じて再発防止を図る例がある。救済措置を答申する審議会にマイノリティー当事者や国際人権法の専門家が入ることで実効的な運用が期待できる。

 前文で「誰もが無意識的、間接的に人権侵害の当事者になる可能性を持つ」と説くように、差別は確信的なものばかりではない。入店拒否という権利侵害も多数者に流され、「他の客への気遣い」といった無自覚さでなされることがある。差別への認識が低い現状にあって公的機関の禁止ルール自体が教育効果を持つ。

 諸外国には差別禁止法と救済機関が当たり前にある。日本では自治体が先んじた形だが、将来的には禁止法と、それに反する差別の申し立てを受理・救済する国内人権機関を国が作るのが望ましい。ヘイトスピーチなど極めて悪質な差別に罰則を科す国も多く、その悪質さに見合う法的対応を諸外国に学ぶべきだ。

自治体の動き加速
弁護士 師岡 康子 氏

 禁止規定を単なる理念にとどまらせず、禁止条項に違反した行為について救済のための具体的措置の実施を自らに課しており、差別をなくすという市の強い姿勢が表れている。

 現状では、差別を止めさせ、救済を受けるには被害者本人が民事訴訟か刑事告訴に踏み切るしかない。時間的・金銭的負担、加害者との直接対峙(たいじ)などによる二次被害から、ほとんどが泣き寝入りを強いられる。国や社会による差別の放任への絶望に苦しめられてきたマイノリティー市民は、この条項により行政による救済に期待をつなぐことができる。

 国立市の本気の姿勢は、市長の使命や市の義務的な条項だけでなく、基本方針と推進計画の策定、実態調査の実施の条文化にも表れており、差別撤廃に向けた具体的な施策の進展が期待される。

 理念法であるヘイトスピーチ解消法および部落差別解消推進法の実効化を初めて明文でうたった本条例は、自治体の反差別条例制定の動きを加速させ、その際に確保すべき水準として機能しよう。香川県観音寺市では公園でのヘイトスピーチを禁じ、違反者に行政罰を科す条例が昨年できている。各地で進む先進的な取り組みが、差別の根絶の条例づくりに取り組む人々を勇気づけ、さらには、遅れている解消法の実効化や人種差別撤廃基本法の制定など国の新たな取り組みを促すことを期待したい。

◆国立市人権を尊重し多様性を認め合う平和なまちづくり基本条例 「何人も、人種、皮膚の色、民族、国籍、信条、性別、性的指向、性自認、しょうがい、疾病、職業、被差別部落出身その他経歴等を理由とした差別を行ってはならない」と示し、心身への暴力も禁じた。市の責務として「人権救済のため必要な措置を講じる」と明記し、市長の使命、市民と事業者の責務を規定。市長の諮問機関として設置する審議会が基本方針や推進計画、人権救済措置について調査・審議し、答申することも盛り込んだ。21日、市議会が全会一致で可決し、施行は来年4月1日。

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ネットの「ヘイト表現」、被害者の負担大きすぎ

ネットの「ヘイト表現」、被害者の負担大きすぎ…弁護士らが白熱議論
12/16(日) 9:33配信 弁護士ドットコム

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181216-00008991-bengocom-soci

国外出身者やその子孫をターゲットに、ネット上で繰り広げられる「ヘイト表現」。その問題点を議論するシンポジウム「インターネットとヘイトスピーチ」が12月12日、東京・霞が関の弁護士会館で開かれた。

第二東京弁護士会が主催。被害者の代理人を務めた経験がある弁護士やヨーロッパ諸国のヘイトスピーチ対策に詳しい有識者らが、パネルディスカッションで意見を交わした。

●裁判のため、差別相手に住所教えることも

現状では、ネットに投稿されたヘイトスピーチの削除や損害賠償を求める手続きには、発信者情報の特定など数段階のハードルがあり、さらには海外企業が絡むこともあって裁判にかかる時間も短くない。被害者の負担がとりわけ大きいことが問題とされている。

被害者の代理人を務めたことがある師岡康子弁護士は「毎日行われるヘイトスピーチに対処するには本人が裁判をやらないといけない。原則として削除しようと思ったら、本人が裁判しないといけない、まずそこがおかしい。

本来、禁止し終了させる義務は国にあるのに、禁止規定もない。個人が負担を背負わないといけない。差別してくる相手に対して民事裁判を起こすには自分の住所を知らせることになり、負担が大きい。民事裁判は数年かかって、その間も攻撃を受ける」と話した。

●「プラットフォーム事業者は単なる管理人ではない」

ネットで不適切投稿を削除したり投稿者のアカウントを停止したりするために、各事業者が設けている「通報窓口」について、十分に機能しているのかという問題提起もされた。

京都大の曽我部真裕教授(憲法)は「ヘイトスピーチは他のものと比べて判断が難しい。どの程度の度合いであれば問題なのか、文脈が大事になる。ヘイトスピーチなのか、隣国の政策への批判なのかは判断が難しいことがある」と述べた。

龍谷大の金尚均教授(刑法)は、ドイツが対策に力を入れている点を紹介。「ドイツでは24時間以内の措置をするなど非常に迅速。そのためFacebookでは1200人の『ファクトチェッカー』を雇い、24時間体制で通報を受け付ける対応をしているようだ」と語った。

さらに、金教授は「プラットフォームの事業者は単なるアパートの管理人ではない。彼らは公の場を自ら提供し、公での発言を誘っている」とし、プラットフォームだからと言って責任を免れるのはおかしいという問題意識を示した。

●ヘイト、表現の自由の範疇か

「表現の自由」とヘイトスピーチとの関係についても意見が交わされた。

曽我部教授は「名誉毀損にしても児童ポルノにしても規制されているわけで、誰が見てもヘイトスピーチだというものを法律で規制するのは憲法違反ではないと思う。

ただ、規制をした時にハレーションも想定される。例えば移民政策に対する批判とか、隣国の外交政策への批判が抑制されると問題。そういうものが抑制されないような規制のあり方が必要ではないか」と話した。そのうえで、表現の自由との関係で、難しい問題だとした。

金教授は「ヘイトスピーチは同じく住んでいる人に対して、同じ人間じゃないというメッセージを送ることで、攻撃を正当化する社会ができてしまう。そのような差別表現が、表現の自由の範疇におさまるのか、考えないといけない」と述べた。

パネルディスカッションのコーディネーターは、李春熙弁護士(第二東京弁護士会・人権擁護委員会委員)が務めた。

弁護士ドットコムニュース編集部

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たつの市、部落差別解消で全国初の条例施行のワケ

たつの市、部落差別解消で全国初の条例施行のワケ
平野次郎|2018年12月14日11:51AM
http://www.kinyobi.co.jp/kinyobinews/2018/12/14/antena-386/

部落差別解消へ向けて11月16日に開かれたたつの市の審議会。(撮影/平野次郎)

部落差別解消推進法が2016年12月に施行されて2年。部落解放同盟や一部自治体による法の周知や啓発にもかかわらず、メディアがほとんど報じないこともあって、同法の具体化や活用は進んでいない。そんななか兵庫県たつの市が同法を受けて全国初の条例を今年4月に施行。11月16日に同市部落差別解消推進審議会を発足させ、実態調査や基本計画策定の取り組みを始めた。

部落問題に関する法律としては、1969年に施行された同和対策事業特別措置法が名称を変えて2002年3月まで33年にわたって存続した。特別措置法の期限切れ後、法の空白状態が続くなかで国や自治体による施策の後退が目立った。同和教育は00年に人権教育・啓発推進法が制定されたものの人権全般の中に解消され、学校教育で部落問題を学ばない世代が増えている。

一方、12年11月の衆議院解散で民主党政権による人権委員会設置法案が廃案になったあと、自民党政権は個別法による対応を打ち出し、「障害者差別」「ヘイトスピーチ」に続き、「部落差別」についても三つ目の解消推進法として、いずれも16年度に施行された。
部落差別解消推進法は、現在もなお部落差別が存在し情報化の進展に伴って差別の状況に変化が生じているとしたうえで、「基本的人権の享有を保障する日本国憲法の理念にのっとり、部落差別は許されない」と規定。法律で初めて「部落差別」の表現が用いられた意義は大きい。罰則などを伴わない理念法だが、「部落差別の解消に関する施策」を国や自治体の責務とし、相談体制の充実、教育・啓発の実施、差別の実態調査を挙げている。
たつの市部落差別解消推進条例案は17年12月の市議会で全会一致で可決された。条例は法の目的と理念を踏まえて「部落差別のないたつの市を実現する」とし、市の責務として法が挙げている三点のほかに部落差別解消推進基本計画の策定、審議会の設置などを明記している。11月16日開会の審議会(会長 根本親良・たつの市民主化推進協議会会長)では、山本実市長から基本計画策定の諮問を受けて審議。今年度中に部落差別の実態・意識調査の素案を作成、来年度に調査を実施して基本計画の策定に着手することを決めた。

【交流による差別解消へ】
では、同市がなぜ全国の自治体に先駆けて条例を制定することになったのか。そこには審議会会長の選出母体である民主化推進協議会の存在が大きい。同協議会は部落解放同盟と協力しながら同和対策事業を推進するため1973年に発足。自治会を中心にPTA、婦人会、老人会、企業、行政などの各専門部会を設け、部会ごとに新任教職員、保護者、会社員らの人権研修を実施している。地域の隣保館や集会所では、学習や音楽、スポーツ、リクリエーションなどの講座や催しに地区内外の大人や子どもたちが参加し、交流することで偏見や差別の解消につながっている。こうした成果は小学校区ごとに設けた各支部が集まって毎年開く人権教育実践発表会で各地域の取り組みとして報告される。
こうした活動にもかかわらず、差別は一向に減らない。2015年に同市内の中学校で3年生の生徒が被差別部落出身教師に対し「エッタ」などの差別語を浴びせた事件は関係者に衝撃を与えた。結婚などに伴い被差別部落の所在地を市役所に問い合わせるケースは毎年のように発生している。インターネット上の部落差別やヘイトスピーチも跡を絶たない。なかでも市内の被差別部落を写真入りで解説し部落出身者の個人名を暴露するなどの悪質な書き込みについて昨年11月の市会議員や市職員の人権研修で紹介されると、条例制定への機運が一気に高まった。

だが、全国的には自治体による条例化はあまり進んでいない。部落解放同盟中央本部によると、新たな条例は、たつの市に次いで兵庫県加東市が制定し、既存の条例を法に合わせて改正した自治体は約20市町になるという。

(平野次郎・フリーライター、2018年11月30日号)

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「あらゆる差別を禁止」東京・国立市で条例成立へ

「あらゆる差別を禁止」東京・国立市で条例成立へ
https://www.sanspo.com/geino/news/20181212/sot18121218320013-n1.html

 東京都国立市で、あらゆる差別を網羅的に禁止する条例が制定される見通しとなった。ヘイトスピーチ対策法、部落差別解消推進法、障害者差別解消法の「人権3法」が求めた自治体の取り組みを受けた。12日の市議会総務文教委員会が全会一致で可決。21日の本会議で成立すれば来年4月に施行される。

 ヘイトに対応する条例は大阪市、東京都が制定し、川崎、名古屋、神戸の各市も検討中。国立市の特色は人権侵害が起きた場合、専門家や被差別当事者でつくる市長の諮問機関が救済措置を検討し、市が対処すること。識者は「理念がしっかりしており、重要な意義がある」と評価している。

 名称は「人権を尊重し多様性を認め合う平和なまちづくり基本条例案」で「人種、民族、国籍、性別、性自認、障害、職業、被差別部落出身などを理由に差別を行ってはならない」と明示し、心身への暴力も禁じた。罰則はないが、「差別解消や人権救済のため、市は必要な措置を講じる」とした。市が実態調査や人権救済、啓発を行うことも盛り込んだ。市内事業者にも「差別の解消に努める」との責務を定めた。

「gian30_3_0068.pdf」をダウンロード

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これが歴史的な政策転換の論戦か 内山修

これが歴史的な政策転換の論戦か 記者が見た入管法審議
内山修   2018年12月6日20時14分
https://www.asahi.com/articles/ASLD56QVGLD5ULFA03V.html?ref=nmail

 安倍晋三首相が出席した6日の参院法務委員会。政府はこれまでの答弁を繰り返すばかりで、野党も攻め手を欠いたまま。およそ2時間の審議は、新味に欠けるやりとりばかりで埋め尽くされました。

【詳報】立憲「ややこしい質問ですが」 首相はゼロ回答
 なんでこれほど空疎な論戦が続くのでしょうか。実は、入管法改正案の条文には、雇用契約や受け入れ機関の基準など外国人労働者の受け入れにかかわる根幹の部分が書き込まれていません。成立後に、役所が裁量で決めることができる「省令」で定めるからです。受け入れる外国人の「上限値」となる業種別の見込み数についても、改正法の成立後に定める「分野別運用方針」に盛り込まれます。

 入管法はこれまでも、すべての在留資格の詳細な運用方針は、法律ではなく省令で定めてきました。ただ、今回は訳が違います。改正案は外国人を「労働者」として正面から受け入れます。「国際貢献」という建前の裏で、30年近く技能実習生や留学生を低賃金で働く人材、いわば「単純労働者」として使ってきた政策を大きく転換するのです。にもかかわらず、法案の詳細が決まっていないことを受けて、政府は国会審議で「検討中」を繰り返してきました。

 中身が生煮えのままですが、政府・与党は、あす7日に法務委員長の解任決議案などを否決したうえで、同日中に参院本会議で改正法を成立させる考えです。

 そうなればあと半年もしないうちに、新しい在留資格の外国人労働者がやってくることになります。政府は、どうしてこれほどまでに急ぐのでしょうか。

 その理由をたどると、人手不足の解消を求めて首相官邸に「早期の成立」を要望する経済界の存在に行き着きます。10月の自民党法務部会では、来年4月の制度導入をめざす理由を問われた法務省幹部が「総理や官房長官の指示」と答えて、失笑を誘う場面もありました。

 今国会中の成立を確実にするため、法案の詳細にはあえて踏み込まない。議論の深入りは避ける。野党が「白紙委任しろというのか」と批判しても、最後は数の力で採決を強行する。これが、担当記者として見た、歴史的な政策転換に対する審議の実態です。

 首相官邸には、もしかしたら来年の統一地方選や参院選が念頭にあるのかもしれません。「カネ」を握る経済界に大きな「貸し」ができるのだから、さぞ心強いことでしょう。でも、これは人にまつわる法案です。やってくるのも、迎え入れるのも人間です。「失敗したらやめる」とは簡単にいきません。

 その覚悟が、政府・与党にはどれほどあるのでしょうか。今国会の審議をずっとウォッチしていますが、空しさばかりが募ります。

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