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「LGBT、それがどうした」杉田論文の本質はただの差別である 吉良佳子(参議院議員)

「LGBT、それがどうした」杉田論文の本質はただの差別である
『吉良佳子』 2018/08/10

https://ironna.jp/article/10431

吉良佳子(参議院議員)

 「私はゲイだ! それがどうした! This is Pride!」

 7月27日、自民党本部前で行われた杉田水脈衆院議員の「差別発言」への抗議集会のスピーチの中で、私が一番心打たれた言葉です。そして、私はこの言葉に励まされました。なぜなら、私にはこれが「私は私だ。それこそが私の誇り(Pride)だ!」という宣言に聞こえたからです。

 そもそも「自分が自分である」、ただそれだけで、それを誇りだと胸を張って言える人はどのくらいいるのでしょう。私自身、人に誇れる自分らしさとは何なのか、しょっちゅう考えてしまいます。

 女性で、子を持つ母親で、国会議員で…私を表す記号はたくさんある。でも、その記号だけで「私らしさ」は表せない。むしろ「期待に応えられているか」「その役割を果たせているか」…その記号に付随する悩みは山ほどあります。

 こんな風に「自分らしさ」を探しながら、「社会に、みんなに、認められたい」と思い悩み、苦しむ。誰だってそんな経験はあるはずです。とりわけ、LGBTの場合、その苦しみに直面し続けているのではないでしょうか。

 「同性に興味があると確信したのは、中学3年生の時。同性に興味があるのは世界で自分1人だけだと思い、とても孤独で苦しかったです。20歳の誕生日を迎えたとき、その気持ちが破裂し、母親にカミングアウトをする決意をしました。誰よりも一番理解してくれると思っていた母親に言われた言葉『私の育て方が間違っていたのかな』。一番聞きたくなかった言葉を耳にしたときに、自分の中の何かが弾け、涙が止まらなかったのを覚えています」

 ゲイの友人が手紙を書いてくれました。

 LGBTに関する法整備を求める市民団体「LGBT法連合会」は「性的指向および性自認を理由とするわたしたちが社会で直面する困難のリスト」として、264項目を例示しています。例えば「性別への違和感について、教員や同級生が笑いのネタにした」「カミングアウトをしたところ、家族の中で無視をされたり、死んだ者として扱われたりした」「性的指向や性自認を理由に、解雇や内定取り消し、辞職を強要された」「レズビアンとカミングアウトしたら『治してやる』などといってレイプされた」など。

2018年7月、東京・永田町の自民党本部前で杉田水脈議員に抗議する人たち
 とてもじゃないけれど、これでは「自分が自分であること」そのものを誇れる状況とはいえません。どんな性的指向であれ、性自認であれ、それ自体がかけがえのない「あなたらしさ」。尊重されるべき人権です。

 その、一番大事な「自分らしさ」を否定され続けることが、どれだけ苦しいか。ゲイやバイセクシャルなどの性的マイノリティーの男性が、異性愛者の男性と比べて自殺を図るリスクが約6倍に上るという調査まであります。この深刻な事態は決して「笑って話す」ようなことではありません。

杉田議員による「『LGBT』支援の度が過ぎる」「彼ら彼女らは子供を作らない、つまり『生産性』がない」「そこに税金を投入することが果たしていいのか」などという差別と偏見に満ちた発言は、LGBTを取り巻くあらゆる困難や苦しみによる傷口に塩を塗り込むようなもの。それに怒りの声を上げるのは当然のことだと思います。

 大体、LGBTに対する「支援の度が過ぎる」状況がどこにあるのか。LGBTに対する何らかの施策を持っている地方自治体の数は、全国で70自治体(2015年時点、LGBT法連合会の調査より)。パートナーシップ条例を持つ自治体も今年7月末時点で10自治体。決して多いとはいえません。

 私たち日本共産党はLGBTを取り巻く問題を解消したり、軽減したりするために、国として直ちに「LGBT差別解消法案」のような法律を制定することを求めています。国会にも、他の野党とともに「性的指向又は性自認を理由とする差別の解消等の推進に関する法律案」を提出しています。

 また、自治体、企業、学校などそれぞれの分野でもLGBT問題に関する正しい知識の周知徹底、そして教育が必要です。自治体における「パートナーシップ制度」も、もっともっと広く、推し進めたい。

 性的指向や性自認について、今なお1人で悩み、苦しんでいるかもしれない人に「あなたは1人ではない」と伝えるために。1人でも多くの人にLGBTのことを正しく理解してもらうために。こうした法律や制度を作り、広げることは急務です。

 何より今、「生産性」とか「子供を産むかどうか」などの条件で、人を選別するような思想を許すかどうかが問われています。

 「差別の言葉がなんでダメなのか、それはその時耳に刺さるだけじゃないんです。その言葉はその言葉に触れた人の心の中にずっと残るんです。『あなたは必要とされてない』ってその一言、それが寝ても覚めて繰り返されてしまうんです」

 冒頭の「This is Pride!」とスピーチをしたLGBT法連合会共同代表の林夏生さんは語っています。

日本共産党の吉良佳子参院議員(酒巻俊介撮影)
 「生産性」などの条件で人を選別する発言は、まさに「あなたは必要とされていない」というメッセージそのものです。そして、このメッセージは、LGBTだけじゃない。「子供を作らない」「作れない」、そして「生産性がない」と決めつけられたすべての人に対して発信されている。こんなこと、私は絶対に支持しないし、許すわけにはいきません。

 「『生産性がない』から支援の必要もない」というのは重度の障害者にも及ぶ攻撃だ、と断じている筋ジストロフィーの詩人、岩崎航さんはこうも言っています。「ただ、そこに居るだけでいい、生きているだけで十分というのが人の命」だと。

 「ただ、そこにいるだけでいい」。この言葉こそ「社会に認められたい」と思い悩む多くの人々が求めているものだと思います。これこそ政府や政治家が発信すべきメッセージ。私が私らしく、あなたがあなたらしく、堂々と生きられる社会こそ目指したい。私は私だ。それが、Pride!

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