« 2017年11月 | トップページ

2017年12月に作成された記事

三条河原(東三条)/上 技で差別をはね返す /京都

街角のマナび場
/14 三条河原(東三条)/上 技で差別をはね返す /京都
毎日新聞2017年12月21日 地方版
京都府
https://mainichi.jp/articles/20171221/ddl/k26/040/495000c

 街角のマナび場では今春の連載開始当初、四条河原の歴史を紹介したが、その地で暮らしを営み、独自の技術や文化を培っていったのは、中世では「余部(あまべ)(天部)」と呼ばれた集落に住む人たちだった。安土桃山時代の1591(天正19)年、京の都市開発を進めた豊臣秀吉は、都をぐるりと土塁で囲む御土居を構築するが、この時期、あまべは、現在の三条大橋東側(東三条)に移された。今回は、その後を追ってみた。

 中世では、あまべは現在の四条寺町を少し南に行ったところにあった。そこに住む人々は弔いに関係する仕事や皮革業を担っていたが、室町時代中期になると、造園にも活躍する。広い意味での河原に暮らす、河原者として賤視(せんし)されもしたが、他地域も含む河原者全体の中からは、足利義政のひ護を受け、銀閣寺の庭づくりに大きな役割を果たした善阿弥のような作庭家も出てくる。
 辻ミチ子・元京都文化短大教授の「『京あまべの歴史』を語る」(部落解放同盟京都府連東三条支部発行)によると、安土桃山時代には、あまべは地域として相当な経済力を持ち、織田信長、秀吉から保護される。都市改造を行った秀吉は信長の菩提(ぼだい)を弔う大雲院をあまべの地に移し、あめべの人々は移転を余儀なくされた。
 河原に寺院を? そう思う人もいるだろうから、河原者とされた人々の居住地の復習をしておく。皮革業などでは大量の水を必要としたため川の近くに住んだが、堤防がぜい弱だった当時、危険な流れの直近に住んだわけではなく、当時は広大だった河原の端の普通の土地とほぼ同等の場所に住んだようだ。
 辻氏によると、作庭は時の権力者、実力者らと哲学的な話し合いを含めて進められ、作庭を担った「山水河原者」とされる人たちは力を持つようになっていった。江戸時代に入った後も、あまべ出身ともされる下村家は、百石の知行をとる武士待遇として処遇される。
 江戸には、江戸幕府から関東を中心とした被差別民の長として認められて大きな力を持ち、明治時代に入るまで代々存続した弾左衛門(だんざえもん)がいる。これに対し、西の下村家と記す古文書もある。弾左衛門ほどではなかったというのが歴史研究の定説だが、それでも相当な有力者ではあったらしい。ただ、下村家は1708(宝永5)年に当主・文六の病死によって断絶してしまう。
 あまべでは江戸時代、太鼓やせったづくり、にかわ生産が盛んに行われた。戦国時代が終わり、よろいなどの武具に用いる皮革の需要は減少したが、文化や生活を支える皮革とその関連製品の需要は拡大した。太鼓で京都での最も大きな仕事は、二条城の大太鼓の皮の張り替えだが、あまべの仕事となっていた。他にも、歌舞伎や祭り用に多数の太鼓を製造していたようだ。せったは、草履の裏に皮革を貼って防水機能を持たせた履きもの。千利休の考案ともいい、江戸時代に普及した。にかわは、動物の骨や皮などを煮た液から作る。化学的に作られるものができるまで、接着剤として広く用いられた。いずれも、あまべをうるおす産業となった。他にも、牛馬の肝などを使った薬を製造していたという。
 また、あまべは江戸幕府のもとで「公役(こうやく)」も担っていた。二条城の清掃や刑吏(けいり)役などの御用を務め、やがて犯罪者の検挙も受けもつようになった。あまべ村の年寄と手下は、四条周辺の芝居小屋や神社の神事、寺の行事の際に出動して不審者を召し捕っていたという。公役には報酬があり、村人の収入源となっていた。
 こうして江戸時代も、あまべには経済力があり、その形跡が地域の信仰の中心地だった円光寺にみられるという。三条まちづくり協議会の安田茂樹座長は「円光寺にはお宝が多く、地域に相当な経済力があったことを示しています。地域の技で差別をはね返してきました。その歴史をまちづくりに生かしていきたい」と語った。
 現在、大正時代に設置された「三條道場」と刻む石碑が、円光寺前に立っている。辻氏によると、江戸時代の初期には寺のなかった地域が、「南無阿弥陀仏(なむあみだぶつ)」の掛け軸をまつり、道場と称していた。円光寺ができた後も、そういう経緯を経てできた寺を地域の誇りとしたことから、石碑にはその文字が刻まれたと考えられるという。なかには、幕末から明治への移行期に茶道の近代化に努めた裏千家の玄々斎精中の茶室も移築されている。
 あまべの歴史を知り、街を歩きながら力強く生きた人たちの姿を心に描くと、なんだか励まされる。散歩では、四条寺町南側の大雲院跡の石碑も訪ねたらよい。その辺りが中世にあまべがあった場所だ。【戸田栄】

|

なぜ立憲民主党に入るのか 有田芳生

なぜ立憲民主党に入るのか    有田 芳生
http://www.alter-magazine.jp/index.php?%E3%81%AA%E3%81%9C%E7%AB%8B%E6%86%B2%E6%B0%91%E4%B8%BB%E5%85%9A%E3%81%AB%E5%85%A5%E3%82%8B%E3%81%AE%E3%81%8B

 私が参議院議員になって7年半が経過しました。このたび、民主党時代から数えると8年ほどお世話になった民進党を離党することにしました。若いころ、尊敬していたジャーナリストからこう教えられました。「ジャーナリストとはたった一人で世界に立ち向かうものだ」。これは国会議員にもいえることでしょう。党があって自分がいるのではない。世界に立ち向かう議員としての自分があって、党があるのです。ずっとそう思ってきました。

 民進党に所属したままでよいのだろうか。そう考え出したのは10月に突然行われた総選挙とその結果からでした。民進党はすべての衆議院議員が希望の党に入る方針を決めました。参議院議員も選挙後に希望の党に合流するともいわれていたのです。ところが枝野幸男さんをはじめ、リベラルといわれる人々が希望の党から排除され、それをきっかけに立憲民主党がつくられます。

 じつは枝野さんたちとは別の動きもありました。菅直人さんから新党を創り、枝野さんを代表にしたいから参議院から3人集めて欲しいという依頼が私にあったのです。「原発ゼロ新党」を創ろうというのです。しかし結果的には枝野さんたちが立憲民主党を立ち上げたので、菅さんもそれに参加することになります。私としては一端離党を決めているわけですから、これからどう行動すべきかを毎日考えていました。

 私たち国会議員はたいてい政党に所属しています。非常に人柄の良い国会議員でも、所属する労働組合の意向にそって、会議で意を決したように原発は必要だと発言しなければならないことがあります。これが特定の組織に従属している姿です。しかし私の場合は組織に依存しているわけではありません。個人としてどのような選択をするのが正しいのか。憲法、安保、原発などなど、一人の国会議員として世界や日本に向かって行動すべき精神とは何なのか。改めてそんな課題に直面しました。

 そうした問題意識のなかでさまざまな政治関係文献を読みました。一番驚いたのは丸山眞男さんが1960年代にリベラルについて語っていることでした。国家独占資本主義が深まれば深まるほど「ルールオブロー」=「法の支配」や立憲的手続きがないがしろにされてゆく、この時に一番必要なことは憲法を実現することだというのです。まさにこれだと確信し、先日開かれた参議院の憲法審査会で丸山さんの意見を引用して「今は憲法を変えることではなく、憲法を実現すること、いわば憲法実現闘争こそ必要なのだ」と発言しました。

 たとえば憲法25条には国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有するとあります。しかしいまの日本には格差拡大などが1960年代よりも深刻になっています。いまこそ憲法を実現することが大事なのです。また丸山さんは別なところで、日本には大日本帝国を支えたリベラル(伝統的自由主義)があるとも指摘しています。「大日本帝国リベラル」という言葉にも驚かされました。大政翼賛を支えるリベラルもあったのです。いまに置き換えれば危険な安倍政治をささえるリベラルもありうるのです。こんなことを考えていると、自分の思想や信念にもっとも近いのはどの政党だろうか。残念ながら自分が属している民進党ではない。そう判断したのでした。

 本来ならば特別国会が事実上終わる12月8日に離党届を出そうと思っておりました。しかし12月21日に私が野党筆頭理事をしている拉致問題特別委員会の閉会中審査があります。横田早紀江さんなど、被害者家族3人が参考人として発言します。そこで質問して委員会が終わった後で離党届を出す計画だったのです。ところが産経新聞に私が立憲民主党に移りそうだと書かれてしまいました。あまり思わせぶりな状況を引きずるべきではない。そう判断して11日に離党届を出しました。安倍政権だけでなくトランプ大統領の存在をふくめて、日本と世界の情勢にどう立ち向かっていくのか。国会議員としての責任を考えなければなりません。

 小沢一郎さんは、民主主義の原点から権力はなにかと考えた時、それは有権者の支持を得て国民のために動くためのものだ、といいます。安倍政権は長い自民党政治の中でも特異だ、とも指摘しています。首相は自分のため、自分の友達のための政治をやっています。政治を完全に私物化している。歴代の総理夫人には秘書など付かなかった。しかし安倍昭恵さんには外務省から3人、経産省から3人の秘書がつけられていました。その延長のうえに森友問題、加計問題がある。このまま安倍政権が続くと、日本の社会そのものが根底から崩されてしまうのではないか。そう思っています。

 残念ながら新年も安倍政権の下で政治をやっていかなければなりません。私はヘイトスピーチをなくしていく課題に2013年から全力で取り組んできました。ヘイトスピーチが猖獗を極めて日本全体に広まっていったのは2012年末の安倍政権復活からです。そもそも2009年に在特会ができてヘイトスピーチをまき散らすようになったのは第一次安倍政権と期を一にしています。極右的政権の下ではマスコミも知識人も影響を受けてきました。戦前もそうでした。「国賊」「非国民」などの言葉が使われるようになった日本は異常です。
 『否定と肯定』というホロコースト裁判を描いた映画のなかで「卑怯者は安全なときだけ居丈高になる」というゲーテの言葉が紹介されていました。「銃眼から敵を撃つ」卑怯者がネット上にはあふれています。一刻も早くこの安倍政権を変えなければならない理由のひとつです。私たちの日常を被う空気を変えなければなりません。

 新しい2018年を迎えようとしています。立憲民主党は総選挙で大きな成果を上げました。立憲民主党はいまがピークだからそのうち自分たちの党に頼ってくる、という民進党幹部がいます。そんな発想が古すぎるのです。まずはくっきりとした理念と政策を掲げることです。そして2019年春の地方選挙、夏の参議院選挙で与野党逆転を実現し、やがて来る総選挙で野党の力を結集して本当の政権交代を目指さなくてはなりません。

 私も民進党から立憲民主党に移って大きな政治のうねりを創る仕事に取りかかります。「大日本帝国リベラル」ではなく、「新生日本リベラル」の旗を立てます。立憲民主党が知的文化的に影響力ある政治勢力になるために努力していきます。50年も前に丸山眞男さん、梅本克己さん、佐藤昇さんをはじめとした多くの学者や政治家が発言した日本の論壇はいまより活発でした。私たちもそれに負けないような生き生きとした社会を創るために進んでいきます。皆さまのご支援を心からお願い致します。

(注)丸山眞男さんの発言は『現代日本の革新思想』(岩波現代文庫)、小沢一郎さんの発言は『小沢一郎の権力論』(朝日新書)にあります。

<プロフイール>
 有田 芳生(ありた よしふ)
  1952年京都府生まれ。 2010年参議院議員比例区当選(民主党)。 2016年参議院議員比例区当選(民進党)。
  2017年12月民進党を離党し立憲民主党入党。

※この記事は2017年12月13日参議院議員会館で録画し有田議員の校閲を得て掲載したものですが文責はオルタ編集部にあります。
 インタビューの模様: ##https://www.youtube.com/watch?v=A0XCutHdShg ##

|

ヘイト行為や攻撃的な行為を減らすための新しいルールの施行

ヘイト行為や攻撃的な行為を減らすための新しいルールの施行
投稿者 Twitter Japan
月曜日, 2017年12月18日

https://blog.twitter.com/official/ja_jp/topics/company/2017/1210policy.html

本日より、ヘイト行為や攻撃的な行為を減らすことを目的に改定したTwitterルールが始まります。それぞれの方によって許容範囲が異なりますが、Twitterを皆さんが不安を感じず、安心してそれぞれの視点で意見を伸べることができる場にすることが目標です。今回も、10月末にご案内したポリシー変更プロセスにもとづき、変更や考えを実装するにあたって外部の評議会などにも意見をうかがいながら行いました。

新しいポリシー

暴力や身体的危害に関するポリシーの拡大

Twitterでは暴力的な脅迫や、個人または集団に向けた重大な身体的危機、死亡、病気を望む行為を禁止していますが、今回のポリシーの変更によりこの部分に関係するものを追加しました。

    暴力を使用または推奨するグループに関係するアカウントを禁止します。このポリシーには、プラットフォームの内外にかかわらず、暴力行為を実行、助長する活動に関与しているグループが含まれます。
    Twitterは暴力や暴力行為を賛美するコンテンツを禁止します。暴力的行為やその加害者を推奨して模倣するように促すことや、特定のグループに所属している方々をターゲットにすることなどが含まれます。このようなものがあった場合、該当するツイートの削除をお願いしますが、違反行為を繰り返し行うアカウントは永久凍結します。

関連コンテンツを含めてルールを拡大

暴言や脅迫、差別的言動に対するポリシーとTwitterルールに示されているように、属性を理由とした個人または特定の集団への暴力の助長や直接的な攻撃行為、強迫行為を助長すること、また、他の利用者が発言しにくくなるような嫌がらせ、脅迫、恐怖感を与えることも禁止しています。今回このポリシーを拡大し、以下のものも含めました。

    ユーザー名、表示名、プロフィール自己紹介部分を含め、プロフィールの情報によって他の利用者を脅かす行為を禁じます。アカウントのプロフィール情報に暴力的脅迫、攻撃的中傷や暴言、人種差別的や性差別的な表現、また、人間の尊厳を侵害する攻撃的内容や恐怖を煽る内容が記されているアカウントは永久凍結を含めた執行措置をとります。現在の利用者の方々からの報告に加え、違反アカウントを発見できる社内ツールの開発を予定しています。
    ヘイト表現をともなう画像も「不適切なメディア」に含まれるようになります。例えば人種、宗教、障碍、性的指向、民族や出身地を理由に他者に対して敵意や悪意を増幅させることを目的とするロゴ、シンボル画像を差別的な画像とみなします。

次は…

以上のポリシーは本日より施行されます。より積極的に取り組みを行う中、Twitterの判断が間違う可能性もあるかもしれません。これに対しては、近々、しっかりした異議申立てプロセスもご案内予定です。今回の変更は数週間かけて査定を行い、必要な部分に改善を加えてまいります。

この変更はより安心してご利用いただける環境をつくるためのものです。Twitterの安全性に関する件については @TwitterSafety (英語)や @TwitterJPからもご案内しています。
@@TwitterJP

Twitter Japan

‎@@TwitterJP‎ verified

日本語版Twitter公式アカウントです。
Twitter限定

    @Twitter
    #OnlyOnTwitter

|

維新片山氏 国会はそういうところなんですね。特殊部落ですから

維新片山氏が差別用語使用
国会の例えに、批判も

https://this.kiji.is/311711706524976225

2017/12/8 12:50
©一般社団法人共同通信社
 日本維新の会の片山虎之助共同代表は8日の党会合で、国会に関し、被差別部落を意味する言葉で例えた。すぐに言い直したが、人権意識に欠けた発言として批判も出そうだ。
 片山氏は、維新独自で多数の議員立法を特別国会に提出しながら、いずれも審議入りしなかった現状を巡り「やり方を考えないといけない。本数でなく中身を絞って、どこかの党と取引しないと。国会はそういうところなんですね。特殊部落ですから」と述べた。
 続けて「部落という言葉は良くないけど」と語った。

|

人権擁護に関する世論調査(平成29年10月調査)

2017年12月4日更新

人権擁護に関する世論調査(平成29年10月調査)

https://survey.gov-online.go.jp/h29/h29-jinken/index.html

|

川崎市がヘイトスピーチ「事前規制」報道、

2017-12-02

川崎市がヘイトスピーチ「事前規制」報道、
神原弁護士「検閲ではないが、未解決の問題も」

https://www.oricon.co.jp/article/351518/

川崎市はこのほど、市の公園など公共施設で、不当な差別的言動(ヘイトスピーチ)がおこなわれるおそれがあり、ほかの利用者に著しく迷惑を及ぼす危険があるときは、施設の利用を認めないなど、例外的に利用制限できるとする内容を盛り込んだガイドラインを発表した。
ヘイトスピーチ問題に取り組んできた神原元弁護士は、今回のガイドラインについて「ヘイトスピーチ規制という点で画期的だ」と評価しながらも、「新しい取り組みであるだけに、法的に未解決な問題をはらんでいる」と指摘する。
●大手メディアは「事前規制」と報じた
このガイドラインは、市の公園など公共施設の利用申請について、(1)不当な差別的言動がおこなわれるおそれが客観的な事実に照らして具体的に認められる場合(言動要件)は、警告、条件付き許可、不許可、許可の取り消し――といった対応ができるとしている。
また、不許可と許可の取り消しについては、(1)の言動要件にくわえて、(2)ほかの利用者に著しく迷惑を及ぼす危険のあることが客観的な事実に照らして明白な場合に限る(迷惑要件)――としている。このガイドラインは、来年3月末までに施行される予定だ。
昨年、ヘイトスピーチ解消法が成立して以降、川崎市はこれまでも、市の公園におけるデモ行為の申請を不許可とするなどの対応をとっていた。このガイドラインは、その対象や手続きを明確にしたといえるが、一方で、NHKなど大手メディアは「事前規制」と報じている。
●神原弁護士「ヘイトスピーチの事前規制ではない」
もし、「事前規制」にあたるならば、法的な問題はないのだろうか。神原弁護士は次のように解説する。
「川崎市がヘイトスピーチのおそれがある場合に公的施設の利用許可を制限できるガイドラインを作成したことは、長年ヘイトスピーチとたたかってきた私としては、非常に喜ばしいことだと考えています。
他方で、市民の公共施設利用について、自治体が市民の過去の言動を根拠に制限できるということは、憲法や地方自治法との関係で一定の問題をはらんでいます。
私はかつて反原発デモ主催者側の代理人として、都の管理する公園を貸さない東京都を訴えたこともあり、川崎市のガイドラインにはそのような観点からも関心を持っています」
それでは「事前規制」にあたるのだろうか。
「報道とは異なり、正確にいうと、川崎市のガイドラインは、ヘイトスピーチを『事前規制』したものでないことに注意が必要です。
憲法は『検閲』を禁止しています(憲法21条2項)。川崎市のガイドラインが文字通りヘイトスピーチを『事前規制』したものだとすれば、憲法に違反する可能性が出てきます。
この点、判例は、憲法にいう『検閲』とは、行政機関が表現内容を事前に審査し、不適当と認めるものの発表を禁止することであると理解しています(最高裁昭和59年12月12日)。
川崎市のガイドラインは、施設の利用を許可しないというだけで、『表現そのもの』を禁止しているわけではありませんから、『検閲』には該当せず、憲法には違反しません」
●「法的に未解決な問題」とは?
それでは、憲法や地方自治法との関係ではらんでいる問題とはなんだろうか。
「施設の利用制限との関係でむしろ問題になるのは、大阪の泉佐野市が公の施設である市民会館の使用を不許可にした事案に関する判例です(最高裁平成7年3月7日判決)。この事件で、最高裁は、市が施設利用を不許可にしてよい場合を次のように判断しています。
『会館における集会の自由を保障することの重要性よりも、右会館で集会が開かれることによって、人の生命、身体または財産が侵害され、公共の安全が損なわれる危険を回避し、防止することの必要性が優越する場合をいうものと限定して解すべきであり、その危険性の程度としては、単に危険な事態を生ずる蓋然性があるというだけでは足りず、明らかな差し迫った危険の発生が具体的に予見されることが必要である』
川崎市のガイドラインは、この判例に抵触しないよう、(2)ほかの利用者に著しく迷惑を及ぼす危険のあることが、客観的な事実に照らして明白な場合に限る――という要件(迷惑要件)を盛り込んでいます。これでも最高裁判決に照らせば、緩やかであるといわざるを得ません。
ただし、(2)迷惑要件を厳格に解釈すれば、ヘイトスピーチを規制するという趣旨そのものが達成できなくなりますから、非常に難しい問題です。
他方で、日本も批准している『人種差別撤廃条約』4条(C)は、『国または地方の公の当局または機関が人種差別を助長しまたは扇動することを認めない』と定めています。
同条によれば、自治体は人種差別を助長する活動に施設を提供すること自体が禁止されているという解釈もできます。ガイドラインの根拠を、ほかの利用者の便益との調整ではなく、端的に人種差別の禁止という点に置くのであれば、(2)迷惑要件は、むしろ不要であるともいえるでしょう。
このように、川崎市のガイドライン作成は、ヘイトスピーチ規制という点で画期的です。そして、新しい取り組みであるだけに、法的に未解決な問題をはらんでいます。今後の運用に注目したいと思います」
(弁護士ドットコムニュース)

【取材協力弁護士】
神原 元(かんばら・はじめ)弁護士
早稲田大学政治経済学部政治学科卒業、2000年に弁護士登録、2010年武蔵小杉合同法律事務所開所。2013年3月にはジャーナリスト・有田芳生氏とともに東京都公安委員会に在特会のデモに関する申し入れを行った。
事務所名:武蔵小杉合同法律事務所
事務所URL:http://www.mklo.org/

|

« 2017年11月 | トップページ