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差別事件は後を絶たない

憂楽帳
差別の山道
毎日新聞2017年9月12日 西部夕刊
 7月下旬、福岡県のある市役所にメールが届いた。部落解放同盟の施設やその市役所の爆破を予告するとの内容で、職員や警察が庁舎内を巡回する騒ぎになった。実在する人物の名をかたり、同様のメールは全国の官公庁に送られていた。
 昨年末に部落差別解消推進法が施行されたが、差別事件は後を絶たない。今年5月には部落解放同盟の組坂繁之委員長宅にナイフの刃が入った封筒が送りつけられ、組坂委員長が指を負傷した。北九州市で逮捕された男が中学校の校門に差別貼り紙をしたことも明るみに出た。
 「格差が広がり社会が不安定化する中で、不満のはけ口を身近な弱者に求める傾向が強まっている」。50年にわたり部落問題を研究してきた福岡県立大の森山沾一(せんいち)名誉教授(人権論)はそう指摘し、ヘイトスピーチや相模原市の障害者施設で起きた殺傷事件などと根は同じだと分析する。
 内田博文・九州大名誉教授(刑事法)は、差別解消の取り組みを山道を重い荷物を押していくことにたとえる。坂道を転がり落ちないために何ができるのか、自問している。

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