川崎市、全国初ヘイト事前規制の指針策定へ 新井コメント「ネット規制は第3者機関を経て慎重に」
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部落差別解消法案 参院本会議反対討論
12月9日 日本共産党 仁 比 聡 平
私は、日本共産党を代表して、「部落差別の解消の推進に関する法律案」に対し、断固反対の討論を行います。
その理由は、本法案が、「部落差別の解消推進」のための「理念法」といいながら、部落問題解決の歴史に逆行して新たな障壁をつくり出し、部落差別を固定化、永久化する恒久法であり、その危険は極めて重大だからです。
国の同和対策特別事業が2002年3月に終結して14年経つ今日、社会問題としての部落問題は基本的に解決された到達点にあります。時として起こる不心得な部落問題に関する非科学的認識や偏見に基づく言動が、その地域社会で受け入れられない民主主義の力を強めていくことこそ重要です。行政施策は、すべての国民に対し公平に運用するのが原則であり、人権問題の相談、教育、啓発活動は、憲法に基づき一般施策として行うべきです。
法案の「現在もなお部落差別が存在する」という規定について、提案者は「依然として存在する」「肌でわかっている」などと述べるだけで、何をもって部落差別とし、それがどのように存在するというのか、具体的に示すことはできませんでした。
参考人質疑においては、自由同和会推薦の灘本参考人からも「(部落解放同盟の「部落差別は未だに根深く厳しい」という)現状認識は差別の過大評価。日本は(差別を)うまくなくしてきている」との評価が具体的に語られ、全国地域人権運動総連合事務局長の新井参考人からは、各地の実態に基づき「従来の部落の枠組みが崩壊し、部落が部落でなくなっている状況」「国民の多くが日常生活で部落問題に直面することはほとんどなくなった」ことが明確に述べられました。部落問題を特別扱いする本法案の立法事実はないのです。
法案には「部落差別」の定義規定がありません。提案者は「定義を置かずとも一義的に明確」「その者が部落の出身であることを理由とした差別」といいますが、それは、部落解放同盟綱領のいう部落差別の考え方を、法に持ち込むものです。その説明は極めて曖昧であり、濫用による表現や内心の自由が侵害される危険は重大です。
かつて解同は、「部落民以外は差別者」「差別かどうかは解同が認定する」として、八鹿高校事件をはじめとする数々の暴力的確認糾弾事件を引き起こしましたが、その総括を問われた解同書記長の西島参考人は、「50年ほど前の話」というだけで直接答えませんでした。弁護士の石川参考人は「弊害は今後に続きかねない」と警告しましたが、そのとおりであります。
昭和61年地対協基本問題検討部会報告は、「何が差別かというのは一義的かつ明確に判断することは難しいことである。民間運動団体が特定の主観的立場から恣意的にその判断を行うことは(中略)異なった理論や思想を持つ人々の存在さえも許さないという独善的で閉鎖的な状況を招来しかねないことは、判例の指摘するところでもあり、同和問題の解決にとって著しい阻害要因となる」と述べています。民間運動団体の行き過ぎた言動、その圧力に屈した行政の主体性の欠如が、新しい要因となって新たな差別意識を生むことこそ、歴史の教訓です。国の特別対策の終結は、部落問題の特別扱いが差別解消に逆効果となったからであることを、銘記すべきであります。
さらに懸念されるのは、不公正な同和行政による特権と利権の復活です。
提案者は「理念法」といいますが、法案のいう「部落差別の解消に関する施策」「相談」「教育及び啓発」「実態調査」の条文は、きわめて無限定であり、同和対策事業の復活を排除するものとはなっていません。これが、民間運動団体の「あれも差別、これも差別」といった圧力の根拠となり、行政が主体性を失って、補助金や委託事業による民間運動団体の相談事業、教育、啓発を押しつけられる危険があります。学校や自治体、企業や地域で、或いは人権擁護委員にまで、特定団体による教育、啓発が、実質、強制されかねません。
各地になお残る個人給付を含む同和対策の特別扱いを固定し、助長することにもなります。
さらに、部落差別の実態を明らかにするとして、行政に義務づけられる実態調査は、旧同和地区・旧同和地区住民の洗い出し、精密調査や行き過ぎた意識調査によって、それ自体が国民の内心を侵害し、分け隔てなく地域で生活する旧地区住民とそうでない者との間に、新たな壁をつくり出す強い危険があります。
これらが、部落問題についての自由な意見交換のできる環境づくりを困難にするものとなり、部落問題の解決につながらないことは明白です。
なお、提案者はインターネットにおける差別事象をいいますが、削除要請などの具体的課題は、ヘイトスピーチを始め他の人権問題も同様である上、本法案によって具体的解決が進むものとはなっていません。
法案は、断固廃案とすべきことを重ねて申し上げ、反対討論を終わります。
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参考人質疑 傍聴記 2016.12.6. 柏木
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