ヘイトスピーチ抑止条例
ヘイトスピーチ抑止条例
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全国に先駆けて差別に毅然 大阪
http://mainichi.jp/articles/20160116/k00/00m/040/174000c?mode=print
毎日新聞2016年1月16日 01時54分(最終更新 1月16日 01時54分)
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ヘイトスピーチの抑止を目的とした条例が15日、大阪市で成立した。国の法整備が進まない中、全国に先駆けて在日外国人への差別に毅然(きぜん)と対処する姿勢を示した。一部の心ない言動に傷付けられてきた在日コリアンからは、歓迎する声が上がった。
NPO法人「多民族共生人権教育センター」(同市生野区)の宋貞智(ソン・チョンヂ)事務局長(56)は「日本で初めて在日外国人に対する反差別の条例ができた意義は大きい」と喜んだ。
宋さんは弁護士らと2014年9月から条例化を求めて活動してきた。大阪・鶴橋でヘイトスピーチが相次ぎ、規制してほしいと感じたからだ。「在日コリアンが多く住む大阪から発信したことは重要だ。条例は抑止につながる」と期待した。
ヘイトスピーチで名誉を傷付けられたとして訴訟を起こしている在日朝鮮人のフリーライター、李信恵(リ・シネ)さん(44)は「一歩前進。法制化を促すため、全国への広がりを期待する」と評価した。訴訟費用を貸し付ける規定が条例から削除されたが、「後退とは思わない。訴訟に発展する前に、抑止する取り組みが必要」と話した。多文化共生を目指すNPO法人「コリアNGOセンター」(同区)の金光敏(キム・クァンミン)事務局長(44)は「時間を要したが、歓迎したい。ヘイトスピーチに毅然とした態度を取れる人を審査会の委員に選んでほしい」と望んだ。
国に先駆けての条例化には議会内にも慎重論があったが、共産と無所属会派の賛成を見込んだ大阪維新の会が全会一致にこだわらずに採決を主張。吉村洋文市長が修正案を出す柔軟姿勢を見せ、公明も賛成に転じた。【平川哲也、念佛明奈】
ヘイトスピーチ問題に詳しい師岡康子弁護士の話 在日コリアンが不当に攻撃されている現実を自治体が直視し条例化した意義は大きく、国の法制化や他自治体での条例制定に向けたモデルになるだろう。公的機関がヘイトスピーチを許さないとの立場を示したことで、被害者の恐怖感や絶望感を減らすことが期待できる。審査会が認定を積み重ねれば、何がヘイトスピーチかが明白になり、現場での判断にも役立つ。ただ、事後認定だけでは抑止力は弱い。公共施設の貸し出し制限なども検討すべきだ。
阪口正二郎・一橋大教授(憲法)の話 ヘイトスピーチは一般的には強く保護されるべき言論ではないが、規制は慎重であるべきだ。規制の文脈によっては、政治的な表現まで制限される危険性があるからだ。今回の条例はヘイトスピーチを厳格に定義し、刑罰ではなく名前の公表で差別表現を規制する点でぎりぎり妥当と言える。確信犯的な人には効果がないだろうが、大阪市がメッセージを出すことで、社会が差別に目を向ける意味がある。
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