誰がどんな表現を差別と判断するか-といった難題はあるが・・ 12/08付 西日本新聞朝刊
人権週間 たとえ姿が見えなくても
2015年12月08日 10時35分
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/syasetu/article/211755
サッカー観戦は楽しい。一瞬で攻守が入れ替わる。ワンタッチでパスがつながり、ゴールに結びつくと、観戦する側も興奮する。
だが、差別的言動に走るファンの存在が悲しい。先日もJ1ガンバ大阪のブラジル人選手に対して、埼玉県の高校生が短文投稿サイト「ツイッター」に「黒人死ねよ」と人種差別的な書き込みをしたことが明らかになった。
ツイッターに人権侵害や差別的な内容を投稿するのは若者だけではない。神奈川県海老名市の70代の市議は同性愛者を「異常動物」と記した。新潟日報の元支社報道部長も弁護士などへの暴言を繰り返し書き込んだ。
ネットを通した人権侵害や差別の記事を紙面で見ない日はないほどだ。相手の姿が見えないから気軽に投稿しているのだろうか。しかし、ネットを通して傷つく人もどんどん拡散していく。
少数意見を無視するような政治の姿勢が差別を助長する。在日米軍基地専用面積の74%が集中しながら、さらに政府から普天間飛行場の県内移設を迫られる沖縄県の翁長雄志(おながたけし)知事は「沖縄県民は自由・平等・人権・自己決定権をないがしろにされている」と訴える。
その沖縄県もネットなどで「反日」などと攻撃される。少数の立場を差別する構図は似ているが、ネットやヘイトスピーチなど手段は変化している。社会の対応が追いついていないのではないか。
ヘイトスピーチを禁ずる人種差別撤廃施策推進法案は、先の通常国会で継続審議となった。誰がどんな表現を差別と判断するか-といった難題はあるが、社会の英知を集めて早急に煮詰めるべきだ。
10日まで人権週間である。1948年12月10日の国連総会で世界人権宣言を採択したのがきっかけだ。宣言の第1条は「人間は理性と良心とを授けられており、互いに同胞の精神をもって行動しなければならない」と規定する。今年の週間は「考えよう相手の気持ち 育てよう思いやりの心」がテーマの一つだ。姿の見えない相手の立場や気持ちも思いやりたい。
=2015/12/08付 西日本新聞朝刊=
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