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2015年11月に作成された記事

「差別表現」線引き難題  ヘイトスピーチ見えぬ法規制

「差別表現」線引き難題  ヘイトスピーチ見えぬ法規制
2015年11月27日 23時00分
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/national/article/209725
 
 特定の人種や民族に対する差別をあおるヘイトスピーチを禁じる議員立法「人種差別撤廃施策推進法案」が宙に浮いている。国連は日本政府に法整備を求めているが、ヘイトスピーチの「規制」と「表現の自由」をめぐって与野党の意見が折り合わず、成立の見通しは立っていない。
 「ヘイトスピーチは単なる暴言ではない。人の尊厳を傷つけ、人生をゆがめてしまうことさえある」。大阪市のNPO法人「多民族共生人権教育センター」の文公輝理事は、ヘイトスピーチを禁じる法律の早期成立を求めている。
 日本最大級のコリアンタウンがある大阪市生野区では、デモ隊が大音声で「朝鮮人は出て行け」などと叫ぶヘイトスピーチが起きている。人権教育センターが昨年9月から今年1月、区内の在日コリアン100人に聞き取りをしたところ、49人がヘイトスピーチを見聞きしたと答えた。
 「日常が壊されるようで恐怖だった」「思い出すと動悸(どうき)が激しくなる」「本名で生きていく子どもが心配」
 自由記述欄には心の傷がつづられた。ヘイトスピーチの標的になるのを恐れ、日本名での生活を余儀なくされたり、心的外傷後ストレス障害(PTSD)を負ったりした人もいる。
   ■    ■
 人種差別撤廃施策推進法案は、民主党や社民党などが5月に国会に提出した。8月に審議を始め、継続審議になっている。
 法案は人種、民族などを理由に差別的な扱いや言動を禁じる基本原則を規定。龍谷大法科大学院の金尚均教授(刑法)は「警察が(差別を助長する)集会をやめさせられるし、損害賠償を求める裁判も起こしやすくなる」と効果を期待する。
 難題となっているのは、誰がどのような表現を「差別」と判断するかだ。
 恣意(しい)的に解釈すれば、憲法が保障する「表現の自由」が侵される恐れがある。自民党の平沢勝栄衆院議員は「野党案では表現の自由の規制につながる」と指摘。別の自民党議員も「禁止する言動が明示されなければ表現行為を萎縮させる」と話す。
 法案は内閣府に審議会を置き、調査や勧告の権限を与えることにしているが、公明党は「表現が違法かどうかの判断を権力側に委ねるのは危険」と反対する。
 公明党の矢倉克夫参院議員は「人種差別全般ではなく、ヘイトスピーチに特化した理念法の制定を目指すべきだ」と主張。通常国会では公明党が準備している対案を交え、与野党が協議するとみられる。
   ■    ■
 京都朝鮮第一初級学校が被害を受けたヘイトスピーチの裁判で最高裁は昨年12月、「在日特権を許さない市民の会」の上告を棄却。ヘイトスピーチを「人種差別」と認定し、街宣活動の禁止と損害賠償を命じた一、二審判決が確定した。
 この場合は被害者が特定できたため、民法の不法行為が適用された。だが繁華街で不特定多数に向けた差別的言動は、現行法では対応できない。
 ヘイトスピーチは2013年ごろに最も頻繁に行われ、今も全国の街頭で続いている。東京では22日、市民がヘイトスピーチの規制やさまざまな差別反対を訴えてデモ行進した。
 日本が1995年に加入した人種差別撤廃条約は、加盟国に「人種差別を撤廃する政策を遅滞なく取る」ことを要請。国連人種差別撤廃委員会は昨年8月、日本政府に人種差別を禁じる法律の制定を勧告し、ヘイトスピーチの規制、アイヌや琉球・沖縄の先住民の権利保護などを求めている。
 ◆米国では社会的制裁も
 日本と異なり、欧州の主要国はヘイトスピーチを法律で規制している。米国にはヘイトクライム(差別や偏見に基づく犯罪)を防止する法律がある。
 ナチスによるユダヤ人の大量虐殺(ホロコースト)を許したドイツは、刑法に民衆扇動罪を設け、ヘイトスピーチを厳しく規制している。ホロコーストの事実を否定したり、公衆の面前でナチズムを賛美したりする言動も禁じており、違反した場合は最高5年の禁錮刑などが科される。
 英国も公共秩序法などでヘイトスピーチを規制。肌の色や民族的な出自でまとまった集団を憎む言動、行為を犯罪と定める。
 風刺文化が根付いているフランスにも人種差別禁止法がある。人種、民族、宗教、性に関して、公の場で差別的発言をしたり、差別をあおったりすれば、高額の罰金や懲役刑が科されることもある。
 米国は言論の自由を制限する法制定を憲法で禁じているため、ヘイトスピーチを取り締まる法律はない。だが、公民権法で人種差別を禁じており、地位のある人物が差別的発言をした場合は社会的制裁を受けることが多い。
 昨年、プロバスケットボールチームのオーナーが黒人差別の発言をした際は、スポンサーが相次ぎ撤退。米プロバスケットボール協会は終身追放処分を下し、オーナーはチームを売却した。
=2015/11/24付 西日本新聞朝刊=

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「アジア版NATO」実現の両輪としてのTPPと安保法制

ウソだったTPPの経済効果。安倍政権の狙いは「環太平洋の軍国化」だ
 
2015年10月15日   ビジネス・ライフ
http://www.mag2.com/p/money/5795
TPPの経済効果について、日本国民は勘違いしているのかもしれません。「TPPは環太平洋の軍国化、アジア版NATOを目指すものであり、その本質を覆い隠してしまう関税率などの不毛な議論は危険でさえある」――国内外のさまざまな情報に精通し、ユニークな視点からの分析で定評のある『カレイドスコープ』のメルマガが解説します。
「アジア版NATO」実現の両輪としてのTPPと安保法制
TPP大筋合意で分かった「洗脳」の深刻さ
「TPP大筋合意」の先走り報道の反応を見て、これほど日本人の洗脳が深かったとは思いもよりませんでした。
TPPに関してはメディア報道より早く、およそ50本の記事を書き、TPP関連法案に関する記事を含めると、書籍にして2~3冊分ぐらいの分量の記事を書いてきました。
これだけツイッターやFacebookで広がっているのだから、さすがにTPPが自由貿易だなどと考えている日本人など、いないと思っていました。が、そうではありませんでした。やはり、日本人は洗脳から覚めていなかったのです。
「Trans-Pacific Strategic Economic Partnership Agreement」というように、「環太平洋諸国は、経済的に連携することによって戦略性を持とう」という協定です。自由貿易の「F」など、どこにもないのです。
つまり、環太平洋の安全保障を目的とした戦略協定である、と書いてあるのです。
「TPPで焼肉が安くなる」の思考停止、その代償は――
最初に、TPPは「自由貿易」だとマスコミに流した官僚はいったい誰でしょう。その人間、もしくはグループが日本の国境を融かして国家主権を売り渡そうとしているグローバリスト(世界政府主義者)である、ということです。それは実在します。
4年前に、TPPを自由貿易協定であると言い出したのは、マスコミです。「関税がなくなるのだから、日本の優れた工業製品がもっと売れるようになる。そうすれば雇用が増えて競争が促されるので、われわれの賃金が増える」と、各大企業のほとんどの労組がTPPに賛成していました。
彼らは、関税がなくなり、人の移動も今より自由になるのであるから(ただし、次の段階では、やがて中国のように政府の許可が出ないと自由な移動ができなくなる)、「同じスキルを持った労働者であれば、なにも日本人である必要などない」と経営者側が考えていることなど露ほども思い浮かばないのです。
「大好きな焼肉が安く食べられるのだから、TPP大賛成!」と言いながらホルモン焼きに食らいつき、ホッピーを飲んでいるオヤジギャルが、たびたびニュース番組のインタビュー映像に出てきますが、これこそ、テレビ局のCMスポンサー企業へのクライアント・サービスに過ぎず、まさしく“一億総白痴化”を促進させるためにマスコミがやっているのです。
毎日のように抗生物質がたっぷり含まれている肉を食べ、三段腹になってしまった彼女たちこそが、スラッとした外国人女性社員に取って代わられる日も遠からずやってくるのでしょう。
彼らは「国境」の内側からTPPを見ているに過ぎないのです。
欺瞞に満ちた「TPP参加による経済効果」その実態は?
当初、内閣府が試算したところ、日本がTPPに参加した場合の経済効果は、「GDPを2.7兆円押し上げる」だけと報じていました。
しかし、マスコミは、「10年間で」という言葉を書かずに報じていたのです。そう、1年間で、たったの2700億円です。
2700億円といえば、安倍晋三が外遊するたびにばら撒く税金の額にも及ばない額です。
関税率がどうのこうの、関税撤廃の品目がどうのこうのと、連日、マスコミは書きたてていますが、関税が10%であろうと、関税がゼロであろうと、そんなことはさして問題ではなく、世界が基準としている名目のGDPは、ほとんど為替によって決まってくるということを、私たちは日銀の「異次元の量的金融緩和」によって体験させられています。
アベノミクスが始まってから、名目GDPは40%も減ってしまいました。さらに、この間の円ドル為替相場は、76.30円から120.21円まで、なんと60%近く安くなっているのです。
米ドル/円 月足(SBI証券提供)
円安で輸出が増えて貿易赤字が減る、というセオリーは、アベノミクスに関する限り幻想でした。海外の投資家は、去年の秋頃にすでに「アベノミクスは失敗だった」と結論付けています。
10月8日に発表された、企業の設備投資を占う上で重要な指標になっている機械受注は対前月比で「-5.7%」と3ヶ月連続の減少になっています。
また、同日に発表された景気ウォッチャー調査で、景気の現状判断DIは「47.5%」と50%を割り込みました。
9月末に第一中央汽船株式会社が民事再生法の適用を申請しました。海運業者としては過去2番目の大型倒産です。
景気の確かな先行きは、すでに政府が操作して官製相場になってしまっている株式市場の動きからではなく、コモディティー、特に銅の価格やバルチック海運指数の推移から明確に判断することができます。
銅の価格は、すでに世界の景気後退が迫っている恐ろしい兆候を示しています。
銅先物(COMEX)月足(SBI証券提供)
そして、船の運賃の推移を指数化したバルチック海運指数も、とうとう下げに転じました。つまり、海外の国同士の輸出入の数量が減っていくことを示しているのです。これは、世界的に物を買わなくなっているという傾向が強くなっている証拠です。
「暗いことばかり言って日本の強さを削ぎたいのか!」と怒る人がいるでしょう。「悪いことばかりじゃなくて、対外純資産は366兆円に膨れ上がって3年連続で最高になったじゃないか」と。
これも、急激な円安によって外貨建て資産の円換算額が膨らんだに過ぎず、単なる数字のマジックに過ぎません。再び円高傾向になれば、すぐさま、しぼんでいきます。
もはや、日本経済の地位は完全に失墜し、その将来には確かに重苦しい暗雲が垂れ込めているのです。
外国の格付け会社が、立て続けに日本の国債の格付けを下げたのも、今回に関しては妥当である、すんなり受け入れざるを得ません。今や、日本国債の信用性は中国や韓国以下になってしまったのです。
(※マネーボイス関連記事: S&Pの日本格下げは「消費税2%還付案」への痛烈なダメ出しだ=矢口新)
テレビの経済ニュースでは、経済学者や国際経営コンサルタントが、「確かに日本経済はよくなっている」と言っています。
ただし、これは「対外純資産は366兆円に増えた」という理屈と同じで、名目上の数字が良くなったというだけの話です。
消費税を8%に上げることによって確保された新たな財源のほとんどが大企業の法人税減税に回されているにも関わらず、大企業の設備投資への意欲は減退するばかり。その一方では内部留保に血道を上げているというのが現状です。
これは何を意味しますか?大企業は経済崩壊に備えているのです。
こうしたことは、あくまでもドルベースで見ないと本当のDGPの推移など分からないのですから、連日のマスコミ報道など、まったく意味がないのです。
ですから、TPPで関税がどうした、こうしたなどという不毛な議論は、今すぐに止めるべきです。危険でさえあるのです。
安倍内閣が突き進む「アジア版NATO」は勝利の覇道か、破滅への道か?
TPP交渉の結果は、結局、安倍首相が「聖域として絶対に手を付けない」と国民に約束していた農産5品目のひとつも守られず、日本の文化でもあるコメまで差し出すことになりました。
安倍首相は、「かつてない規模の人口8億人、世界経済の4割近くを占める広大な経済圏。その中心に日本が参加する。TPPはまさに『国家百年の計』だ」と胸を張り、「守るべきものは守られた」と鼻高々です。
もちろん、これも100%嘘なのですが、彼は「国民など馬鹿だから、嘘でも繰り返し言っていれば、そのうち信じるようになるさ」とタカをくくっているのです。
経済効果どころか、将来の日本人の雇用が失われるかも知れないのに、全閣僚・全省庁を対象にTPP対策本部を立ち上げると、お馴染み記者クラブの見知った記者から「安倍首相、おめでとうございます」と声をかけられる始末。
TPP対策本部とは、今まで以上に言論を封殺して国民を洗脳するための組織です。そのために打ち出したのが、「GDP600兆円目標」という経済界も呆れる夢物語です。
(※マネーボイス関連記事: 安倍首相は歴史を変えられるのか?「GDP600兆円」後の経済シナリオ)
これを輸出の数量ベースで達成することは、今まで書いてきたように「不可能」です。では、安部首相に秘策はあるのでしょうか。
1つだけあります。
日銀の異次元の金融緩和を今まで以上に果敢に進めることです。そのスピートが問題ですが、それでも600兆円には手が届かないでしょうけれど、一瞬ならGDPを増やすことはできるでしょう。
しかし、その後こそが誰も体験したことのない「異次元の世界」に入っていくのでしょう。
<中略>
日本の政治家が選んだのは、国際銀行家が資金提供している「秘密の企業群」との密約協定です。
とうとうヒラリー・クリントン前国務長官の経済アドバイザーを務めるロバート・ホーマッツが、「TPPはアジア版NATOのようなものになる」と漏らしてしまいました。
そのとおり、最初から指摘してきたとおり、TPPには、グローバル市場化の他に、もうひとつの狙い――「環太平洋の軍国化」があるのです。
安倍首相は、2012年12月の衆院選で大勝すると、翌月には側近にブリュッセルのNATO本部を訪問させアナス・フォー・ラスムセン前事務総長に親書を手渡しているのです。
また、2007年にも、日本の首相としては初めてNATOを訪問しています。彼は、これから安保法制を「アジア版NATO」に明確に関連付けていくでしょう。
安倍首相は、去年6月の国会で、江崎孝議員(民主党・参議院議員)の質問に対して、「私がアジア版NATOと言ったか、証拠を見せろ!」と激高する醜態を演じました。
よほど、痛いところを突かれたのでしょう。みるみる顔を紅潮させて唇を震わせる様は、視聴者にとって、「見てはいけないものを見てしまった」ような心境だったでしょう。
事実、江崎議員が指摘する3ヶ月前に、「目指せ『アジア版NATO』 首相、石破氏に調整指示 実現へ3つの関門」という見出しの記事が出ているように、自衛隊を「日本版NATO」にすることは、アメリカから安倍内閣に与えられた重要なミッションなのです。
さらに、江崎議員が追及する前の月には、NATOと新連携協定に調印しているのです。
オバマは、「TPP大筋合意」の後、「米主導の貿易ルール作り実現できる」とコメントしましたが、いったい誰がTPPを貿易ルールだと思っているのでしょう。
TPPと安保法制は、「アジア版NATO」を実現するための、なくてはならない両輪なのです。
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中山泰秀自民党大阪府連会長は首相官邸から派遣された「オール大阪」壊しのトロイの木馬だった・・・ 広原盛明のつれづれ日記

広原盛明のつれづれ日記
http://d.hatena.ne.jp/hiroharablog/20151126
2015-11-26
大阪ダブル選挙の行方を考える(その11)
 
中山泰秀自民党大阪府連会長は首相官邸から派遣された「オール大阪」壊しのトロイの木馬だった、おおさか維新を野党分断カードに起用する安倍戦略が着々と進行している(1)
 
大阪ダブル選投開票日から4日、漸く全体の選挙構図が見えてきた。すぐにもブログを書くつもりだったが、毎月寄稿している京都の月刊誌、『ねっとわーく京都』(2016年1月号、12月3日頃発売)の原稿締め切り日が重なったこともあり、今日までなかなか手がつけられなかった。同誌にはダブル選の結果を書くため特別に締め切りを遅らせてもらったこともあって、24日まではそれに掛かりきりだったのである。
詳しい内容は同誌を読んでほしいが、タイトルは「安倍自民に屈した大阪自民~都構想住民投票『オール大阪』はなぜ崩れたのか~」というものだから、およそ内容は察しが付くだろう。この間、拙ブログでも自民党大阪府連の選挙方針について幾度も強い疑問を表明してきたが、それが現実の結果になったのだから、中山泰秀氏は表向き栗原・柳本陣営の指揮をとりながら、その実は「首相官邸から派遣されたトロイの木馬」の大役を果たしたことになる。今回はこの複雑な選挙構図を中心にして書いてみたい。
今回の大阪ダブル選は、呆気にとられるほどの大阪維新の完勝だった。投票率は知事選が45・5%(前回から7・4ポイント減)、市長選が50・5%(同10・4ポイント減)で前回に比べて減ったとはいえ、最近の大都市圏の首長選挙は軒並み4割前後に低迷していることからみれば、十分に有権者の意向を反映していると言える。また得票結果は、知事選では松井202・5万票、栗原105・1万票でほぼダブルスコア、市長選では吉村59・6万票、柳本40・7万票でこれも3:2の大差がついた。
半年前の大阪市民を対象とする大阪都構想住民投票は、有権者数210・4万人、投票数140・6万票、投票率66・8%で、賛成69・5万票、反対70・6万票だった。今回のダブル選は、有権者数212.8万人、投票率50・5%、投票数107・5万票だった。都構想賛成69・5万票と吉村59・6万票の差は9・9万票、都構想反対70・6万票と柳本40・7万票の差は29・9万票となり、吉村票が都構想賛成票の86%を確保したのに対して、柳本票は反対票の58%しか確保できなかった。なぜ柳本氏は都構想反対票を固められなかったのか。
都構想住民投票は党派選挙ではなく、大阪市を解体して大阪府に統合するという「大阪のかたち=統治機構」を変える我が国初めての拘束型住民投票だから大阪市民の関心も高く、投票率も高かった。それに都構想を推進する橋下氏ら大阪維新とそれに反対する「オール大阪」の対立が熾烈で、市民の関心を嫌が上にも掻き立てた。結果は僅差で反対票が賛成票を制したものの、これほどの僅差になったのは自民支持層の票が割れたためであり、この時から自民支持層は都構想賛成派と反対派に分裂していたのである。
私は大阪都構想をめぐる大阪維新と自民党大阪府連(以下「大阪自民」という)の対立を「国家保守=国益(支配層)中心の新自由主義的国家主義」と「地元保守=地元利益を重視する伝統的保守主義」の対立だと捉えていた。しかし大阪維新に加担しなかった大阪自民のなかにも「国家保守グループ」が多数存在しており、彼らは選挙地盤の関係で大阪自民に所属しているだけで、橋下氏らとは思想的に極めて近い関係にあったのである。
その代表的存在が中山泰秀氏だ。中山氏はかって安倍首相が事務局長をしていた「日本の前途と歴史教育を考える若手議員の会」の中心メンバーであり、歴史教科書、慰安婦問題、南京事件等に関して歴史修正主義的立場から否定的な発言を繰り返してきた人物として知られる(有名だ)。同会は、米国下院の対慰安婦謝罪要求決議案の委員会可決に対して、「慰安婦は性奴隷などではなく、自発的に性サービスを提供した売春婦に過ぎず、虐待などの事実もない」として抗議し、決議案への反論を米国下院に送致すると記者会見(2007年6月)までしている。この点に関しては、安倍首相や中山氏は橋下氏らと「一心同体」だと言ってもよい。
また、中山氏は「憲法改正賛成」「女性宮家創設反対」「選択的夫婦別姓制度導入反対」などを政治信条とし、日本会議・神道政治連盟などの国会議員組織に所属する「ウルトラ右翼」でもある。こうした経歴を評価されてか、第1次安倍内閣では外務大臣政務官、第2次・第3次安倍内閣では外務副大臣に任命され、安倍首相の「子飼い」を自認するまでになっていた。この中山氏がダブル選の直前、都構想住民投票で「オール大阪」の指揮を執った竹本府連会長のポストを突如奪い取ったのだから、これが官邸人事であることは誰が見ても明らかだろう。
その後の中山氏の言動は安倍首相の期待に違わないものとなった。府連会長に就任した中山氏は開口一番、反共丸出しの姿勢で「5月の『大阪都構想』の住民投票のように、イデオロギーが相反する政党と一緒に街宣活動をしてはコアなフアンを失う。他党に呼びかける前に自己を確立し、自身の足元を固めることだ。今月12日の府連会長就任時にも『こちらから共産に支援要請することはない』と述べた」などという始末(毎日新聞10月29日)。選挙戦の冒頭早々から「オール大阪」の分断作戦に乗り出したのだ。
その後も中山氏の「オール大阪」壊しの発言は続く。以下は、その模様を伝える各紙記事の抜粋である。
―「自民色が強すぎる。これでは動きにくい」。民主関係者は不満の矛先をダブル選直前に自民府連会長となった衆院議員の中山泰秀に向けた。中山は、住民投票で他党との連携を官房長官の菅義偉らに批判されたことを意識し、「足元を固める戦い。他党に応援を頼むことはない」と強調。応援は自民本部のみ求め、街頭などで「自民党総裁、安倍晋三に成り代わりお礼を申し上げる」と繰り返した。幹事長の谷垣禎一や地方創生担当相に石破茂ら「党の顔」が次々と応援に入り、一定の挙党体制は演出できた。ただ、橋下らと気脈を通じる首相の安倍や菅からは「打倒大阪維新」の明確な肉声が大阪で発せられることはなかった(産経新聞、11月24日)。
―自民党色の出し方も課題だった。当初は住民投票で連携した「反大阪維新」包囲網の再現を狙った。だが、10月に就任した中山泰秀・自民党府連会長は、共産など他党との連携を否定する姿勢を鮮明にした。演説では「安倍晋三首相に成り代わって」とあいさつ。自民党幹部や閣僚の来援に力を入れた。演説には他党支持者も足を運んだが、中山氏が「自民」を連呼すると、「もう、ええわ」と変える姿も見られた(朝日新聞、11月25日)。
―ちぐはぐな選挙戦術も敗因の一つだ。竹本直一・前府連会長は共産党も含めた非維新の連携を重視したが、10月12日に就任した中山泰秀・新会長は、自民を前面に打ち出す戦略に転換。現場は最後まで混乱した。「自共が共闘しているとの批判があるが、一緒なのは維新と共産だ。安全保障関連法にそろって反対した」。東住吉区で今月10日に開かれた自民推薦の市長選候補・柳本顕氏の個人演説会。中山氏が柳本氏を自主支援する共産への批判も交えて維新を攻撃すると、共産支持者もいた場内はざわついた(毎日新聞、11月25日)。
これでは選挙戦はまともに戦えないだろう。ダブル選の栗原・柳本陣営の最高責任者・中山氏が自陣営の支援者を攻撃するのだから勝てるわけがない。それでも中山氏は最後まで奮闘した。栗原・柳本候補の落選のために、である。(続く)

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大阪ダブル選  維新に再び改革託す

選挙:大阪ダブル選 「都構想」否決から半年 維新に再び改革託す 現状打破、期待強く
http://mainichi.jp/shimen/news/20151123ddm041010135000c.html
毎日新聞 2015年11月23日 東京朝刊
 「大阪都構想」が今年5月の住民投票で否決されてから半年。都構想への再挑戦を掲げた大阪維新の会が知事選・市長選のダブル選で大勝した。知事は松井一郎さん(51)、新市長は吉村洋文(ひろふみ)さん(40)に決まり、大阪再生を願う有権者の思いを託された。当選記者会見の場には、大阪維新の象徴的な存在と言える橋下徹大阪市長の姿はなく、当選した2人が橋下改革の継承を訴えた。
 「子育て世代の負担を少しでも軽くしてくれると思い、吉村さんに入れた」
 大阪市平野区に住むパート女性(41)は府知事選、市長選ともに大阪維新の候補者に1票を投じた。半年前の住民投票では反対票を入れた。長年なじんだ「平野区」の名前に愛着があり、名前がなくなることに抵抗があったからだ。
 小学3年の長男(9)と小学2年の長女(8)がおり、子育ての真っ最中。老人ホームで働く夫の給料は手取りで月21万円ほど。自身もパートで月5万円を稼ぐが、家計はいつもぎりぎり。長女が「ダンスを習いたい」と言った時も8000円の月謝のやりくりが厳しく、諦めさせた。
 そんな時、JR平野駅前で吉村さんの演説を聞いた。「3人の子持ち」と、自分の家庭の話に触れながら子育て政策を熱弁する姿に説得力と希望を感じた。今は都構想にも期待を持つ。「二重行政の無駄をなくし、子育てに予算を回してもらえるなら。高校の無償化も引き続き充実させてほしい」
 大阪市天王寺区の主婦(54)も住民投票では反対したが、今回は大阪維新の2人に入れた。「都構想は賛成派も反対派も全く逆のことを言っていて、今後がどうなるか分からず怖かった」と振り返る。だが、住民投票後に何も変わらないことに不満を感じ、「自民党では駄目」と思った。「橋下さんは急ぎ過ぎた。吉村さんは反対している人の話もよく聞き、政策を進めてほしい」と注文を付けた。
 大阪市平野区の会社社長の男性(47)は住民投票で賛成し、今回も大阪維新の2人に投票した。橋下徹氏が進めた授業料無償化のお陰もあり、娘を気兼ねなく私立高校に通わせることができた。娘は推薦で大学へ進んだ。「都構想の実現でどうなるかは分からないが、現状維持よりは良いと思った。2人にはまず都構想をやり、その後は大阪の経済発展を進めてほしい」
 一方、住民投票に行ったが、今回のダブル選は棄権したという有権者も。大阪市北区の会社員、浅井理沙さん(31)はメリット、デメリットがよく分からず、反対票を投じた。その後設置された大阪会議も議論が進まずがっかりした。結果として、今回のダブル選は「関心がなくなったので忘れていた」。【大沢瑞季、戸上文恵、宮本翔平】
 ◇「自・公」支持層取り込む
 毎日新聞は22日、ダブル選の投票を終えた有権者を対象に出口調査を行い、投票行動を分析した。大阪市長選では、調査に回答した人の56%が今年5月の都構想の住民投票で賛成票を投じており、住民投票の結果と逆転。賛成した人の91%が大阪維新公認の吉村洋文氏に投票したと答え、当選の原動力になったとみられる。自民推薦の柳本顕氏は自民支持層をまとめきれず、30%が吉村氏に流れた。
 吉村氏が、おおさか維新支持層の97%を固めた。自民支持層の一部を取り込んだほか、公明の支持層からも21%の支持を得た。無党派層の支持は、吉村氏と柳本氏に二分された。
 大阪市内で橋下徹氏を支持する人は59%、支持しない人は39%だった。「橋下改革」の継承を訴えた吉村氏は、橋下氏支持層の92%に浸透した。大阪府内全体でも橋下氏を支持する人は62%に達し、橋下人気の根強さを示した。
 府知事選は、全ての年齢層で大阪維新公認の松井一郎氏が自民推薦の栗原貴子氏を上回った。出口調査は府内の投票所74カ所で行い、計2024人から回答を得た。大阪市長選は、市内1844人の回答で分析した。

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自民惨敗、共闘がアダに…柳本氏「決して共産と共闘したわけではないが…」野合批判払拭できず
http://www.sankei.com/west/news/151122/wst1511220099-n1.html
支持者らに頭を下げる柳本顕氏=22日午後8時48分、大阪市北区(彦野公太朗撮影)
 死闘の末に大阪都構想を退け、歓喜に沸いた5月の住民投票からわずか半年。大阪市長選に柳本顕氏(41)、大阪府知事選に栗原貴子氏(53)を擁立した「非維新勢力」に待っていたのは、2敗という厳しい結果だった。
 投票が締め切られた午後8時ちょうど。「2敗」を知らせるニュース速報が流れ、自民党陣営は重苦しい雰囲気に包まれた。谷垣禎一幹事長をはじめ、党本部からも幹部や閣僚が来援しての総力戦を展開しただけに、惨敗のショックは大きい。
 「個人を選ぶ市長選が橋下市政の信任投票になってしまった」。大阪市北区の選挙事務所に姿を見せた柳本氏は、表情をこわばらせて深々と頭を下げた。
 敗因を「私自身の発信力不足。危機的な大阪の経済状況や混迷を知ってほしかったが、理解が得られなかった」と振り返った。
 共産党や民主党の自主支援を受けたことが「野合、談合」と批判されたことについては、「決して共闘したわけではないが、(批判を)払拭できなかった」と語った。
 平成25年の市議団幹事長就任以来、市議会やテレビ討論で、橋下氏と正面から対峙(たいじ)してきた自民府連のエース。住民投票で僅差の末に都構想を廃案に追い込んだ5月17日の夜、大喜びする議員のそばで、一人表情を曇らせた。「市長選も厳しい戦いになる。柳本顕が役目を果たさなければならない」。半年後の大阪維新との再戦を予感し、一身を投じる覚悟を固めていた。
 市長選では、「対立の構図、劇場型の政治は大阪には要らない」と維新政治からの転換を求めたが、高い壁を突き崩せなかった。
 一方の栗原氏は、トレードマークとなった赤いスーツ姿で選挙事務所に姿を見せ、「私の力不足。有権者のご判断を重く受け止めたい」と涙声で語った。都構想の阻止を強く訴えてきたが、惨敗という結果に「議会で批判していた懸念、疑問点を伝えきれなかった」。
自民府連が著名人の擁立に失敗し、府議団政調会長だった栗原氏に白羽の矢を立てたのは、告示のわずか1カ月前。一般的に最も選挙に強いとされる2期目に挑む現職を相手にする戦いは、厳しい展開が予想された。
 だが、「私しかいないのなら、火中のクリを拾う」と立候補を決断。府内を駆け回り、舌鋒(ぜっぽう)鋭く維新政治の批判を続けた。市長選を含めダブル選では唯一の女性候補として、3人の娘を育てた母親としての経験も発信。娘たちも選挙戦を手伝い、時には代わりにマイクを握って支持を訴えたが、及ばなかった。

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長谷川智恵子教育委員の障害児(者)差別発言

長谷川智恵子教育委員の障害児(者)差別発言は

教育委員としての資質を疑わざるを得ず、
適切な対処を求めるとともに、
障害者権利条約など
国内外の規範に基づき障害児(者や取り巻く人びと)が
安心して学び暮らせるための諸条件の拡充を図られたい

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ヘイトスピーチなどへの対策

ヘイトスピーチ:外国人と共生、差別根絶へ 高松でシンポ 研究会、提言まとめる /香川
http://mainichi.jp/area/kagawa/news/20151107ddlk37040423000c.html
毎日新聞 2015年11月07日 地方版
 
 近年問題となっている特定の民族などへの差別を扇動するヘイトスピーチなどへの対策を求めて、県内外の学者やNPOなどが「人権立県香川づくり研究会」を設立し、差別根絶のための提言をまとめた。6日には県社会福祉総合センター(高松市番町1)でシンポジウムが開かれ、各専門家が必要な施策について話し合った。【古川宗】
 近年、大都市を中心に排外主義団体によるデモや街宣が起こり、差別を扇動するヘイトスピーチが社会問題となっている。四国でも2010年に在日特権を許さない市民の会(在特会)会員らによる徳島県教組事務所乱入事件が発生。また、昨春に、遍路道の休憩所に差別貼り紙が貼られる事件が起きている。
 これを受けて、NPO法人「香川人権研究所」(丸亀市)が中心となり、昨年9月に研究会を発足。根本博愛・四国学院大名誉教授や金子匡良・神奈川大法学部准教授など11人が会員となり、会合を重ねながら、外国人との共生に向けて、提言をまとめた。
 提言は5項目で、差別を受けた外国人への相談体制の確立や、異文化教育の充実などが並ぶ。また、県が定めた部落差別の防止条例を、表現の自由との関係に留意しながら、ヘイトスピーチに適用する可能性の研究も求めている。
 6日のシンポジウムは、金子准教授やヘイトスピーチについて詳しいジャーナリストの中村一成さんらが参加した。ヘイトスピーチを法規制すべきかなどについて議論。中村さんは「表現の自由は大事だが放置されると、マイノリティーが母語を使わないようにしてしまうなど、自分が自分であることを侵害される」と規制の必要性を訴えた。一方、金子准教授は、「政府に表現規制の権限を与えることにはちゅうちょを覚える。今回の提言のように社会的な力でヘイトスピーチと対抗していくべきだ」と話した。
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 ■提言の要旨■
(1)給料待遇の違いや入居拒否など差別を受けた際の、外国人への相談体制の整備
(2)外国人に対する差別・偏見をなくすために、異文化理解や人権教育の充実
(3)地域行事に招くなど、外国人を地域住民の主体として形成するための交流事業の具体化
(4)各自治体は規制の権限がないことを口実とせず、ヘイトスピーチと闘う姿勢を明確に表明する
(5)以上を踏まえて、県や市町は既存の条例を見直し、人権条例をヘイトスピーチにも適用する可能性を、審議会などで研究を進める

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ダブル選の帰趨は「大阪自民+共産・民主・公明=オール大阪」の連携に

広原盛明のつれづれ日記
http://d.hatena.ne.jp/hiroharablog/20151118
自民支持層は水と油の「安倍自民=吉村・松井支持層」と「大阪自民=柳本・栗原支持層」に分裂している、自民「大物」の投入は柳本・栗原支持層の拡大につながらない、ダブル選の帰趨は「大阪自民+共産・民主・公明=オール大阪」の連携に掛かっている、大阪ダブル選挙の行方を考える(その10)
 11月22日に迫った大阪ダブル選投開票日を前に、マスメディア各紙が16日朝刊で14日から15日にかけて行った大阪府民を対象とする世論調査結果を一斉に発表した。それによると、知事選、市長選ともに大阪維新候補が自民党推薦候補をリードしており、しかもその差が開きつつあるとの驚くべき結果が出た。具体的な数字は報道されていないが、各社の調査結果はほぼ一様に「知事選では松井氏が優勢、栗原氏が追う展開」、「市長選では吉村氏がやや先行、柳本氏が激しく追う」となっている。
私自身はこれら記事の微妙な表現の違いがわからないので関係者に問い合わせたところ、「松井氏が優勢」というのは10ポイント以上のリードを示し、「吉村氏がやや先行」というのは数ポイントぐらいのリードだろうと教えてくれた。いずれも無視できないほどの維新側のリードであり、このままいくとダブル選は「維新2勝0敗」という衝撃的な結果になりかねない。半年前に行われた大阪都構想住民投票の結果も、維新の党の分裂騒ぎもまるで何事もなかったかのようだ。
政党支持率については、産経が「大阪府全体で見た政党支持率では、11月2日に設立したばかりで、今回調査で初めて対象となった新党『おおさか維新の会』がトップとなった。政党交付金などをめぐる維新の党との分裂騒動の影響が注目されたが、自民党などを上回る支持を集めた」と伝えている。ちなみに各党支持率は、おおさか維新の会28%、自民24%、民主5%、公明・共産4%、維新の党2%などである。
また読売新聞によれば、「国政の支持政党別では、おおさか維新支持層の9割が市長選で吉村氏、知事選で松井氏と回答。自民支持層では、市長選で6割が柳本氏と答えたものの、知事選で栗原氏と答えたのは5割弱で、4割近くが松井氏と回答した」とある。つまり政党支持率第1位の「おおさか維新」支持層の大半がセットで吉村・松井氏に決めているのに対して、第2位の自民支持層は5割前後しか柳本・栗原氏に決めていない。これでは差が開くのは当然だろう。
問題はなぜおおさか維新支持率が自民支持率を上回り、しかもおおさか維新支持層の結束が固いのに対して、自民支持層の支持が割れているかということだ。私は、安倍首相・菅官房長官をはじめとする首相官邸が実質的に吉村・松井氏を支援していることがおおさか維新支持層を元気づけ、自民支持層を分裂させていると考えている。つまり自民支持層は均質ではなく「安倍自民」と「大阪自民」に分裂しており、「安倍自民」が吉村・松井氏の側に回っているのである。理由は以下の3点である。
第1は、自民党本部が首相官邸の意向を忖度(そんたく)して候補者決定を意図的に遅らせたことが、自民支持層の「迷い」と「分裂」を招いていることだ。自民党大阪府連は一刻も早く候補者を決めたいと党本部に再三再四要請したが、党本部が一日延ばしに決定を引き延ばし、安倍首相(自民党総裁)が柳本・栗原氏に推薦状を手渡したのは選挙戦が始まる僅か2週間前の10月20日のことだった。候補者の決定が遅れれば遅れるほど支持層の力も入らないし、選挙体制の準備もままならない。大阪ダブル選のような重要な首長選で告示2週間前にしか候補者が決まらないなど通常の政治感覚では理解できないが、そこには表面には表れない複雑怪奇な内部事情(党内政治闘争)があった。
第2はこのことと関連するが、自民党本部が候補者決定を引き延ばしている間、実はダブル選の候補者選びに関わって党本部と橋下氏らとの間で「密室の政治取引=裏取引」が模索されていたことだ。朝日新聞はそのことを「自民党の谷垣禎一幹事長は(10月)27日、11月の大阪府知事、大阪市長のダブル選の対策を協議する党内の会合で、党執行部内で一時、橋下徹・大阪市長側との協力を探ったことを明らかにした。『市長選は我々の候補者、知事選は向こう、という分担を模索された向きもなきにしもあらずだった』と語った」(10月28日)と報じている。毎日新聞も自民党大阪府連幹部の言葉として、「党本部は『ダブル選は市長選だけでいいのではないか』と言っていた。『松井知事はつぶすな』という官邸の意向だろう」(10月29日)と伝えている。官邸の意向に沿って橋下氏らと自民党本部が(知事選で)手打ちする可能性すらあったのであり、そんな裏取引話が柳本・栗原支持層に「嫌気」を与え、革新支持層を離反させたことは否定できない。
第3は、このような経過をたどって漸く自民推薦候補が決まったものの、都構想住民投票を「オール大阪」で戦った竹本大阪府連会長がダブル選直前になって官邸に近い超タカ派の中山泰秀氏に取って代わられ、中山氏が自民単独でダブル選を戦う方針を打ち出したことだ。その言い草は、「5月の『大阪都構想』の住民投票のように、イデオロギーが相反する政党と一緒に街宣活動をしてはコアなフアンを失う」というものだったが、中山氏の情勢判断は決定的な誤りだった。中山氏は自民支持層が「安倍自民」と「大阪自民」に分裂していることが理解できず、自民支持層さえ固めれば「勝てる」と思っていたのである(もし「勝てる」と思っていなかったのであれば、中山氏は官邸から送り込まれた「トロイの木馬」ということになる)。
「おおさか維新」支持層の側には「コアなフアン」がいても、自民支持層の側にはそんな「固い支持層」はいない。大阪都構想住民投票のときでも自民支持層の約半分が「賛成」投票をしていたことでもわかるように、国政レベルでの自民支持層の約半分は「安倍自民」であり、官邸が支援する吉村・松井氏に対して必ずしも違和感を持っていない。むしろ政治感覚はおおさか維新に近いのであり、自民支持層の中から少なくない部分が吉村・松井氏に流れるのはこのためだ。
11月22日の投開票日まであと僅かしか残されていない。栗原・柳本両陣営が本当にダブル選に勝利したいと思うのであれば、自民支持層に依拠するだけでは不十分だ。自民支持率はおおさか維新支持率よりも低く、しかもその中で「安倍自民」と「大阪自民」に分裂しているのである。「大阪自民」は都構想住民投票に結集した「オール大阪」体制に戻って共産・民主・公明支持層との連携を深め、都構想反対派の結集を図るほかはない。自民単独方針にこだわるか「オール大阪」体制に戻るか、いま栗原・柳本陣営は勝敗の岐路に立っている。

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今年度中にヘイトスピーチの実態調査

岩城法務大臣初登庁後記者会見の概要
平成27年10月7日(水)
 この度,法務大臣に就任いたしました岩城光英と申します。どうぞよろしくお願いしたいと存じます。
 法務省は,法秩序の維持,国民の権利の擁護を通して,国民生活の安全・安心を守るための法的基盤を整備するという重要な使命を帯びています。その大臣を拝命し,とても身の引き締まる思いです。
 法務行政の課題について,安倍総理からは四つの指示を頂いています。
 まず,国民に身近で頼りがいのある司法の実現に向けて司法制度改革を進める。二つ目に,差別や虐待のない社会を目指し,個別法によるきめ細かな人権救済を推進する。三つ目に,関係大臣と協力し,「世界一安全な国,日本」を作るため,犯罪被害者の支援,刑務所等出所者の再犯防止や社会復帰支援,組織犯罪対策など,社会を明るくするための施策を総合的に推進する。最後に,我が国の領土,領海,領空の警戒警備について,関係大臣と緊密に連携し,緊張感を持って,情報収集を行うとともに,事態に応じて我が国の法令に基づき適切に対処する,との指示を受けています。
 いずれも,国民生活にとって大変重要な課題です。上川前大臣の下においても,これらを含む様々な課題にしっかりと取り組んで来られたものと承知していますが,私も関係大臣等と連携しながら,その責任を果たしてまいりたいと考えています。
 さらに,安倍総理からは,特定秘密の保護に関する制度に関する事務についても担当するよう御指示を頂きましたので,この制度の適切な運用にも万全を期してまいりたいと考えています。
ヘイトスピーチに関する質疑について
【記者】
 いわゆるヘイトスピーチの問題をお伺いしたいのですけれども,議員立法などの動きもあるようですが,大臣として,これに対して法務省として対応するということはお考えではないでしょうか。
【大臣】
 特定の民族や国籍をお持ちの方々を排斥するような差別的言動はあってはならないと考えています。
 そこで,現行法を適切に適用して対処するとともに,地道な啓発活動にはなりますが,そういったものを通じて社会全体の人権意識を高めていくということが重要であると考えています。
【記者】
 何か新しい制度を作るとか,あるいは法律を作るとか,そういった方向はいかがでしょうか。
【大臣】
 それも,今までのいろいろな議論がありますし,議員立法という形で法案も出されていることは承知していますが,法的な規制については,正当な言論まで不当に萎縮させることにならないかなど,表現の自由との関係を慎重に検討する必要があると思っていますので,総合的に検討してまいりたいと思います。
法務大臣閣議後記者会見の概要
平成27年10月30日(金)
ヘイトスピーチに関する質疑について
【記者】
 政府は,今年度中にヘイトスピーチの実態調査を行う考えを出していますけれども,進捗具合ですとか,取りまとめや結果公表の時期のめどがあれば教えてください。
【大臣】
 本年7月2日に公明党のヘイトスピーチ問題対策プロジェクトチームから要望を頂いたことを受け,これまで,法務省において,今後実施するべき調査について検討を進めてきました。
 まず,今年度中に実施する調査としては,法務省では,ヘイトスピーチに焦点を当て,その客観的現象面に関する調査を開始したところであり,さらに,ヘイトスピーチによる個人や地域への主観的影響等についても調査を進めていく予定です。
 客観的現象面の調査について,具体的に申し上げますと,ヘイトスピーチが行われているとの指摘があるデモ等の発生状況や,これらのデモ等における具体的な発言内容に関する調査,さらに地方公共団体がこれまでに実施した外国人住民を対象とした意識調査の結果の精査・分析や,複数の地方公共団体に対する聴取等の調査,こういった点について調査を開始しています。
 これらの調査によって入手した情報については,今後設ける様々な分野の専門家で構成される会議体に提供し,その内容について分析・評価を行っていただくことを考えています。
 ヘイトスピーチによる主観的影響等の調査については,具体的には,ヘイトスピーチの対象とされた方々や,その他の関係者から聞き取り調査を行う予定です。
 なお,聞き取り調査の具体的手法等については,社会調査の専門家等から意見を聴取しながら早急に検討を進めているところです。
 また,来年度には,外国人をめぐる人権問題全般について,在留外国人を対象とした調査を行う予定であり,その具体的な内容・方法については,専門家で構成される会議体において今後検討していただくことを考えています。
【記者】
 今年度の調査に関する結果の取りまとめや公表などの時期的な見通しはいかがでしょうか。
【大臣】
 今年度実施する調査の結果については,今年度末には公表する予定です。

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アリさんマークの引越社に差別改善の要望書送付         

20151112.pdf

20151005203624

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2000万人「戦争法の廃止を求める統一署名」用紙

2000万人「戦争法の廃止を求める統一署名」用紙         

2000万人「戦争法の廃止を求める統一署名」用紙ができました。

すみやかな廃止をめざして力を尽くしましょう。

ぜひ活用してください。

署名用紙はこちらから  

151031shomei-yousi.doc

151031syomei-yousi.pdf

2016年5月3日の発表をめざして、集約日は4月25日です。

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部落問題研究者集会 成澤理事長挨拶など

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人種差別撤廃・ヘイト規制を考える

人種差別撤廃・ヘイト規制を考える         

愛知県民講座鼎談(奥山・碓井・新井)
380.pdf

「人権と部落問題」(奥山)
2015116.pdf

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