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2015年5月に作成された記事

人種等を理由とする差別の撤廃に向けた速やかな施策を求める意見書 日弁連

人種等を理由とする差別の撤廃に向けた速やかな施策を求める意見書

http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/opinion/year/2015/150507_2.html

2015年5月7日 
日本弁護士連合会



本意見書について
当連合会は、「人種等を理由とする差別の撤廃に向けた速やかな施策を求める意見書」を取りまとめ、2015年5月13日付けで内閣総理大臣、法務大臣、衆議院議長、参議院議長及び各政党代表者宛てに提出いたしました。


本意見書の趣旨
あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約(以下「人種差別撤廃条約」という。)の理念に基づき、次のとおり、人種等(人種、皮膚の色、世系、民族的若しくは種族的出身、国籍)を理由とする差別(以下「人種的差別」という。)の撤廃に向けた速やかな施策を行うことを求める。

1 国に対し、人種的差別を理由とする入店・入居拒否等の差別的取扱いや、人種的憎悪や人種的差別を扇動又は助長する言動(以下「ヘイトスピーチ」という。)等の人種的差別に関する実態調査を行うことを求める。

2 国に対し、人種的差別禁止の理念並びに国及び地方自治体が人種的差別撤廃に向けた施策を実施するに当たっての基本的枠組みを定める法律(以下「基本法」という。)の制定を求める。また、この基本法では、以下の内容を定めるべきである。

(1) 目的
憲法13条及び憲法14条とともに、人種差別撤廃条約の理念を実現することを目的とするものであること。

(2) 人種的差別の定義
包括的な人種的差別の定義として、人種、皮膚の色、世系、民族的若しくは種族的出身、国籍に基づく差別を含めること。

(3) 不当な差別行為等の禁止
あらゆる日常生活又は社会生活における個々人に対する不当な差別的取扱いとともに、ヘイトスピーチを公然と行うことが許されないこと。

(4) 基本方針の策定
国及び地方自治体が人種的差別の撤廃に向けた施策を遂行するための指針となる基本方針を策定すること及び人種的差別に関する実態を踏まえ、これを定期的に見直すこと。

(5) 国及び地方自治体の行うべき施策
国及び地方自治体が、人種的差別を受けた者に対する効果的な保護及び救済、寛容及び相互の理解を促進するための啓発活動を含む人種的差別撤廃に向けたあらゆる施策を総合的かつ一体的に実施する責務を負うこと。

(6) 人権教育の実施
国及び地方自治体が、人種的差別及びその原因を解消するため、人権教育を充実させる責務を負うこと。

(7) 人種的差別の撤廃に向けた政策の提言等を行う機関の設置
人種的差別の実態に関する調査を行い関係行政機関に対して意見を述べるとともに、国及び地方自治体が人種的差別の撤廃に向けた施策を遂行するための指針となる基本方針の案を提示し、差別を受けた者に対する効果的な保護及び救済を確保するための政策を提言する、一定の独立性を有する機関を設置すること及びこの機関の委員の構成が、人種的差別を受けた者の意見を適切に反映し、差別の実情を踏まえた審議ができるよう構成されなければならないこと。

3 国に対し、人種的差別を防止し差別による被害から救済するための制度的枠組みを充実させるべく、政府から独立した国内人権機関を早急に設置し、個人通報制度の利用を可能とするための措置を講ずることを求める。




(※本文はPDFファイルをご覧ください)


 




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大阪市は22日ヘイトスピーチ抑止条例案を市議会に提案

大阪市は22日、民族差別をあおるヘイトスピーチ(憎悪表現)を抑止するための条例案を市議会5月定例会に提案した。

ヘイトスピーチを行った人物・団体の公表や、被害者への訴訟費用支援などを行う内容で、 自治体での条例化は全国初。条例案が可決されれば、秋頃にも施行される予定だ。

ヘイトスピーチを巡っては橋下徹市長が昨年、問題視して条例による規制を発案。
市の審議会で条例化に向けた議論を重ねてきた。

「市ヘイトスピーチへの対処に関する条例案」で、ヘイトスピーチを 「人種・民族に係る特定の属性を有する個人・集団を、社会から排除すること」などと規定。
被害者らの申し立てを受け、学識者でつくる審査会が問題行為と認定すれば、 個人の名前や団体名を市のホームページなどで公表するとしている。

また、被害者に訴訟費用を貸し付け、裁判でヘイトスピーチが認定されれば、費用返還は免除される。

05月23日 09時48分
http://www.yomiuri.co.jp/politics/20150523-OYT1T50077.html






有田芳生氏 ヘイト規制法案報じない朝日新聞を疑問視

2015年05月25日 15時11分提供:アメーバニュース
http://yukan-news.ameba.jp/20150525-95/

 民主党・社民党両党などは5月22日、国連総会で採択されている人種差別撤廃条約を国内で具体化する「人種差別撤廃施策推進法案」を参議院に提出した。

 同法案は人種などを理由とする差別的言動によって「利益を侵害してはならない」と明記しており、ヘイトスピーチなども規制する法案。罰則規定は盛り込まれていないが、差別を防止するための基本方針を定めるよう国に義務付けており、国と地方自治体に差別防止策の実施を求めている。

同法案の発議者である民主党の有田芳生参議院議員(63)は自身のツイッターで「このぐらいの法律が通らないのなら、ヘイトスピーチ反対という言葉は本当ですかというのが本音です」と自身の考えを明らかにしている。

 また、有田氏は同法案の提出の翌日、「いちばん驚いたのは、朝日新聞が報じなかったことです」とコメント。「(編集部注:朝日新聞の)社会部はヘイトスピーチの現場にも来ますが、政治部の視野にはないのでしょう」としながらも、有田氏は時事通信や共同通信、毎日新聞、東京新聞、産経新聞が報じたことについて触れ、朝日新聞が報じないことを訝しがる。

 しかし、その後も一向に朝日新聞が同法案について報じないことに怒りが募ったのか、有田氏は5月24日にもツイッターで「金曜日に参議院に提出した『人種差別撤廃施策基本法』をどうして朝日新聞は『いっさい』!報じなかったのでしょうか」と繰り返しており、「これが朝日新聞の現状だ」と断じている。

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仁比聡平参院議員が5月21日の参院法務委員会で、ヘイトスピーチと在日­朝鮮人の法的地位について質問   ヘイトスピーチ対策の法案を民主党、社民党、無所属で参議院に提出 

 
日本共産党九州沖縄ブロック事務所 @kyuoki8 
  ·   5月21日   
日本共産党の仁比聡平参院議員が5月21日の参院法務委員会で、ヘイトスピーチと在日­朝鮮人の法的地位について質問しました。質問を動画で紹介します。https://youtu.be/68xXaDLQlrI
522
ヘイトスピーチ対策の法案を民主党、社民党、無所属で参議院に提出しました。人種等の共通の属性を有する不特定の者に対して不当な差別的言動をしてはならない(第三条2)こと、実態調査を行う「人種等差別防止政策審議会」を作ることが特徴です。
https://twitter.com/aritayoshifu/status/601590612966576128
「人種等を理由とする差別の撤廃のために施策の推進に関する法律案」に対して、外国人人権法連絡会が声明を出しました。法案のエッセンスがよくわかる内容です。指摘された「改善点」については、これからの議論で検討していきます。
https://twitter.com/aritayoshifu/status/601619548102504449
ヘイトスピーチ規制法案提出=民主など
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2015052200047
 
 民主、社民両党などは22日午前、ヘイトスピーチ(憎悪表現)を規制する法案を参院に共同提出した。法案は人種などを理由とする不当な差別的取り扱い・言動によって「他人の権利利益を侵害してはならない」と明記。こうした差別を防止するための基本方針を定めるよう国に義務付けた。罰則規定は盛り込まなかった。
 民主党は与党や他の野党に共同提出を呼び掛けていたが、社民党以外とは合意できなかった。引き続き各党に賛同を促す。 (2015/05/22-11:47)

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橋下劇場、最後に誤算 頼みの「民意」背を向けた

橋下劇場、最後に誤算 頼みの「民意」背を向けた
http://digital.asahi.com/articles/ASH5K04V8H5JPTIL024.html?_requesturl=articles%2FASH5K04V8H5JPTIL024.html&iref=comkiji_txt_end_s_kjid_ASH5K04V8H5JPTIL024
2015年5月18日04時02分
 
 
 
 大阪維新の会の橋下徹代表(45)が政治生命をかけた大阪都構想が、大阪市民による住民投票で否定された。タレント弁護士から政界に転じて7年余。自治体のトップとして国政政党まで立ち上げた風雲児に対し、「民意」は小差ながら「NO」を選んだ。憲法改正など国政の動きも連動しそうだ。
大阪都構想の住民投票、1万741票差で反対多数
 接戦にはなったが、最後は約1万票差で敗れた。
 「政治ですから。負けは負けです。たたきつぶすといくさを仕掛けて、こちらがたたきつぶされた」
 17日夜の記者会見。接戦に持ち込んだことで「引退」の撤回はないのか問われた橋下氏は、完全に否定した。大阪維新の会内部には楽観ムードもあったが、橋下氏は一貫して厳しい見方をしていた。
 「人間は不安が残っている限りは、最後は現状維持を望む。もっと厳しいと思いますよ。現実は」
 ほぼ1カ月前、記者団に漏らした予感は的中した。
 17日の街頭演説場所に選んだのは政治家としてスタートを切った大阪・難波だった。「今日ですべてが決まるという日になった。大阪府知事、大阪市長とやって、一人の人間としてできることをやってきた」
 タレント弁護士だった2008年1月、大阪府知事選に立候補した際、この難波で第一声を上げた。
 「38歳。右も左も政治や行政も分からなかった」
 府知事になると、自らの給料や退職金に加え、職員給料もカット。「改革者」のイメージを印象づけた。改革の行き着いた先が、府と大阪市の二重行政による無駄だった。大阪市を解体して府と特別区に仕事を分ける――。10年に「大阪都構想」を掲げたのも、そうした経験からだった。
 地域政党を立ち上げ、翌11年4月の統一地方選、11月の知事と大阪市長のダブル選も圧勝した。
 高い支持率を背景に「国政に足をかける」と揺さぶり、都構想の手続きを定める法律も成立させた。国政政党のトップにもなった。ただ、「山あり、谷あり、地獄あり。何遍も大きな壁にぶつかった」と語ったように、上昇局面ばかりは続かなかった。
 橋下氏の手法は「ふわっとした民意」をつかむ一方、反発も招いた。都構想案は昨年10月に大阪府・市両議会で否決されて行き詰まったが、公明党の協力で息を吹き返した。
 住民投票へ向けては、強い危機感から自らが前面に立った。
 告示前日まで連続13日間で計39回開かれた都構想の住民説明会に自ら出席。質疑も含め、1時間を超える説明を続けたが、橋下氏の政治姿勢を疑問視する意見が噴き出し、「独演会」との批判も浴びた。最終盤には「僕のことはキライでもいい。でも、大阪がひとつになるラストチャンス」と訴えるチラシを投入したほどだった。
 投票日の17日は賛成が追い上げているとの情報を得て、投票終了前に予定していた維新の党の江田憲司代表らとの夕食の予定を変更し、街頭を回った。だが、最後は頼りにしてきた「民意」から背を向けられた。(野上英文)
■「改憲へ協力」安倍政権に誤算
 「また戦略を立て直さなければいけない」。安倍晋三首相の側近の一人は、住民投票が否決されたことに落胆の色を隠せなかった。首相が悲願とする憲法改正に前向きな橋下氏が政界引退を表明したことで、政権が来夏の参院選以降に狙う改憲戦略の再考を余儀なくされるからだ。
 今回の住民投票では、自民党大阪府連を中心に党内から都構想反対の声が上がる中、首相官邸は「大阪は二重行政(の解消)、効率化を進めるために大改革を進める必要がある。改革に向けて大なたを振るう必要がある」(菅義偉官房長官)などとあえて橋下氏へのエールを送ってきた。今後の政権運営で維新の協力を得たいとの考えからだ。
 通常国会後半には、今国会の最重要法案である安全保障関連法案の審議が控える。維新の協力が得られれば野党共闘を分断でき、有利に審議を進めることも可能だ。また、来夏の参院選後に議論の本格化が見込まれる憲法改正についても、維新の協力は欠かせない。
 しかし、今回の住民投票の反対多数で、戦略に狂いが生じることは避けられない。首相や菅氏に近い橋下氏の影響力は低下し、安倍政権に批判的なグループの発言力が強まれば、維新は国会で野党色を強める可能性が高い。同党の衆院議員は「民主党と協力していくしかない」。政府高官は「政権に批判的なグループの党内基盤が強くなると、維新は本当の野党になってしまう」と嘆く。
 首相が目指す憲法改正の発議には衆参で3分の2以上の賛成が必要だ。ただ、参院の自民党は現在114議席にとどまり、公明党の20議席を加えても3分の2の162議席にはほど遠い。橋下氏の失速で、「橋下維新と共闘して改憲勢力を増やす」(首相周辺)との計算は再検討を迫られることになる。
 もともと首相と菅氏、橋下氏と松井一郎大阪府知事(大阪維新の会幹事長)との蜜月関係は野党時代から続き、両者は「盟友」ともいえる間柄だ。第1次政権の挫折で政界での発言力を失った安倍氏は、橋下氏との連携をアピールすることで存在感を取り戻していった。首相に返り咲いた後は与野党の立場を超え、水面下で橋下氏側が安倍政権を応援。その一方で、安倍氏側は都構想を後押しするという「互助関係」があった。
 今回の大阪都構想の挫折は、国政の力学にも影響を与えそうだ。公明党幹部の一人は「官邸の補完勢力がなくなる」と指摘。自民党ベテラン議員も「安倍官邸の1強体制にも何らかの影響が出るかも知れない」と漏らしている。(星野典久)
■野党再編の可能性も
 橋下氏が「政界引退」を表明したのを受け、維新の党では「自民党に対抗する勢力の結集」を持論とするグループが主導権を握り、民主党などとの再編をにらんだ連携を加速させる可能性がある。
 報道機関の世論調査で、都構想への反対多数の情勢が伝えられていた12日、江田憲司代表は民主の前原誠司元代表や松本剛明元外相と東京都内で会談した。今後の両党の関係について意見交換したとみられる。
 維新内には分裂の火だねもくすぶる。橋下氏に近い大阪選出国会議員の一人は「橋下人気で持ってきた党なんやから、橋下さんがいなくなればバラバラ。民主党に出て行く人間もおる」。こうした動きも見越し、玄葉光一郎選挙対策委員長ら民主党幹部ら約10人は13日、都内で情勢を分析。「維新は流動化するのではないか」との見方も出た。「維新の一部は民主支持の労働組合の組織力に期待して合流してくる」(党幹部)との期待もある。
 安倍政権の「1強体制」のもと、民主には維新との連携への期待が強い。岡田克也代表は15日の記者会見で「我々に次ぐ野党は維新だ。維新とは歩調が合うようにしたい」と秋波を送った。安全保障関連法案の審議で野党共闘を築いて政権に対峙(たいじ)する一方、来夏の参院選に向けて、候補者の調整を進めたい考えだ。
 だが、橋下氏が労組を厳しく批判してきただけに、維新の中には自治労や日教組といった公務員労組に距離を置く議員も多く、民主の思惑通りに進むとは限らない。また、仮に維新の一部が民主と合流する場合でも、存在感が低下しかねない吸収合併でなく、対等合併による「新党」を求めるとみられる。民主内には「民主」の看板にこだわるべきだとの声もあり、野党再編の壁になる可能性もある。(藤原慎一)

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嫌韓デモで抗議者に暴行、容疑の主催者逮捕

嫌韓デモで抗議者に暴行、容疑の主催者逮捕 警視庁
2015/5/8
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG07HCB_Y5A500C1CC0000/

 在日韓国・朝鮮人に対するヘイトスピーチ(憎悪表現)を繰り返すデモに抗議していた男性2人に暴行したとして、警視庁公安部は8日までに、解体工、桜田修容疑者(53)=東京都世田谷区三軒茶屋1=を暴行容疑で逮捕した。公安部によると、桜田容疑者は「覚えていません」と容疑を否認している。

 逮捕容疑は昨年9月7日、中央区銀座の路上で、デモに抗議していた男性(36)の左腕を金属製の棒のようなもので突いたほか、別の男性(35)の左足を蹴った疑い。

 公安部によると、桜田容疑者はこの日、在日韓国・朝鮮人に対するヘイトスピーチを繰り返すデモを主催し、約100人が参加した。一方、約80人がデモへの抗議に集まったという。

 桜田容疑者をめぐっては今月5日、経済産業省の敷地内で脱原発を訴えているテントにいた男性(48)に「いつまでやってるんだ」と言って体を押しつけたとして、警視庁丸の内署が暴行容疑で逮捕。東京地検は7日、同容疑について処分保留のまま釈放した。

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有田芳生  人種差別撤廃基本法(仮称)を国会に提出します。5/6

 
有田芳生
5/6
https://twitter.com/aritayoshifu/status/595913437982560256
11時から新大久保の喫茶店でヘイトスピーチ問題の打ち合わせを終え、さらに「のりこえネット」で13時から17時まで、さらにヘイトスピーチのことで雑談、相談をしていました。知らないことばかりでとても刺激的でした。
人種差別撤廃基本法(仮称)を国会に提出します。
http://migrants.jp/archives/news/4%E6%9C%884%E6%97%A5%EF%BC%88%E5%9C%9F%EF%BC%89%E3%82%B7%E3%83%B3%E3%83%9D%E3%82%B8%E3%82%A6%E3%83%A0%E3%80%80%E4%BB%8A%E3%81%93%E3%81%9D%E4%BA%BA%E7%A8%AE%E5%B7%AE%E5%88%A5%E6%92%A4%E5%BB%83%E5%9F%BA
「人種差別撤廃基本法」(仮称)の国会提出プロセスについて
http://blog.goo.ne.jp/arita0327/e/fd36392ec7d8ccb8f123f23942cdbdc5
2014-11-10 16:04:24 | 日記
ヘイトスピーチを規制する法案を国会で成立させることが課題になっています。どういう経過があったのかを備忘録としてざっと記録しておきます。2013年の3月、5月、11月に国会で在特会などのヘイトスピーチに反対する集会を開きました。その延長で「ヘイトスピーチ研究会」が結成され、前田朗さんに講演していただきました。2回目の講師は師岡康子さんでした。そこで法案を作ることを目的に「議連」を作ろうという意見が議員から出たのです。超党派の「人種差別撤廃基本法を求める議員連盟」が結成されたのは2014年4月23日。会長には元法務大臣の小川敏夫さんにお願いしました。与党である公明党にも依頼し、参議院議員が議連に参加してくれました。そこで合意されたのは、役員で素案を作り、議論を進めるということでした。差別問題を国際的視野で研究してきた専門家にまず「たたき台」を作ってもらい、参議院法制局と協議を進めました。その経過のなかで小川会長がみずから「素案」を書くことになりました。それをもとに専門家グループ、法制局との協議が何度も行われてきました。その結果できたのが「人種等を理由とする差別の撤廃のための施策に関する法律案(仮称)骨格試案【未定稿】」です。10月には2日、21日、27日と議連の総会が行われ、小川会長からあらましこういう提案がありました。「これは最終的な法案ではなく、これで議連案にしようというものではありません。各党が持ち帰って、この試案を検討していただきたいと思います。それぞれの党の判断でよりよいものを作り、可能な政党で共同提出できればと思います」。なんども強調されたのは、「この案を認めてほしいというものではありません」ということでした。「骨格試案【未定稿】」は議連を離れ、それぞれの政党の判断にゆだねられることになったのです。民主党はすぐにネクスト内閣で法案登録され、法務部門会議で法案審査が行われました。私が報告し、衆参の法務委員会に所属する議員に了承されました。さらにネクスト内閣に回り、正式に議員立法として承認されました。そこからは政党間の交渉になります。民主党は臨時国会で法案を提出し、成立をめざすと決定しました。幹事長会談や野党の政策責任者会談で民主党から提案があったと報道されたとおりです。民主党で了承された法案に他党が乗ってほしいというものではまったくありません。維新の党からもよりよい法案にするような提案もあるようです。みんなの党からも法案について問い合わせがありました。社民党の福島瑞穂さんも改善提案があるとご本人から聞いています。民主党でも専門家グループの意見を入れる方向で検討を進めています。なぜ臨時国会なのでしょうか。それは差別の煽動と闘う現場からの強い要請です。差別され、それに怒り、耐えている人たちの熱望があります。法案の向こうにはひとりひとりの生身の人間がいるのです。私には多くの「顔」が浮かんできます。与党が賛成しなければ法案は成立しません。自民党や公明党にも働きかけているところです。ぎりぎりまで法案を研ぎ澄ましたうえで国会に提出することは、立法府で仕事をする国会議員の歴史的責任なのです。(2014/11/8)
「外国人人権法連絡会」結成に向けて 参考資料5 人種差別撤廃条例要綱試案
http://www.g-jinkenho.net/modules/sections/index.php?op=viewarticle&artid=18
参考資料●5
人種差別撤廃条例要綱試案
作成:東京弁護士会 外国人の権利に関する委員会
人種差別禁止法制検討プロジェクト・チーム/2005年6月

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表現の自由が絡む問題については、規制という手段には慎重すぎるくらいでいい

憲法の使い方:「権力者には余計なことをさせない」
2015年05月01日
http://mainichi.jp/feature/news/20150430mog00m010019000c.html

 ◇専修大・田村理教授インタビュー

 憲法は、実は、私たちがいろいろな問題を考えるときにとても「使える」。ただし、上手に使いこなすには、憲法の根っこにある「立憲主義」と「人権」という考え方を知っておく必要がある。日本国憲法などの近代憲法は、「人はみな、生まれながらに自由で平等である」という権利(基本的人権)を持ち、それを国家が好き勝手に侵すことがないよう枠をはめておく(立憲主義)という発想で成り立っている。専修大の田村理教授(憲法学)に、こうした憲法の意義や、同性婚やヘイトスピーチなど現代的な問題をどう考えるべきかを聞いた。【聞き手・石戸諭】

 ◇憲法で公権力の使い道を定める

 −−まず、いきなりですが「立憲主義」ってなんですか。

 ◆私の定義はすごく簡単で、国や内閣といった公権力は余計なことをしてしまうこともあるので、その使い道を憲法で定めておこう、という考え方です。憲法を使って権力を縛ってしまうという考えだと思ってください。

 公権力に歯止めをかけて、自分たちに必要なことをさせ、余計なことをさせないようにする。それが憲法がある理由です。こうした考え方は近代ヨーロッパで発展しました。ところが、日本では「立憲主義」はまだまだ浸透していませんね。これはしょうがないことでもあります。

 毎日新聞が日本国憲法施行1年後の1948年5月3日付朝刊で当時の芦田均首相、衆院議長、最高裁判所長官が語り合っている鼎談(ていだん)を企画していますね。

 そこでも「立憲主義」なんて言葉は出てこないし、趣旨も論じていない。いかに憲法の精神を国民に浸透させるか、という観点で3人が話しています。

 実はこれ、とても不思議な話なんですね。3人ともご自身こそが、最も縛りを受ける立場だという観点がすっぽり抜けています。大事なのは、民主的にできた政府をさらに制限するというのが立憲主義的な考えなのですが、議論はそこまで至っていない。

 一方で感じるのは、まずは民主主義を定着させることが重要だという熱意です。民主的に政治家を選び、物事を決めることが大事だと国民に唱える。憲法の民主主義を日常生活や社会生活にまで浸透させる「生活化」が真剣に論じられています。戦後政治の原点を感じます。しかし、そこで止まってしまって、立憲主義が論じられることが少なかったのでしょう。

 民主主義を徹底しても、権力が少数者に集中するという事実は変わりません。仮に権限が集中しても、制限を設けることで権力の暴走を防ぎ、コントロールするという視点が抜けては意味がない。しかし、憲法の専門家レベルでもこうした議論が始まったのは70年代から80年代前半にかけてです。

 メディアでは2010年代に入ってから「立憲主義」という言葉が目立つようになりましたね。

 −−メディアで使われるようになった背景はなんだと思いますか。

 ◆冷戦構造も終わり、湾岸戦争以降、日本の国際貢献と安全保障のあり方が議論されるなか、「9条を守れ」「護憲」と言えば支持が集まる時代ではなくなったことが大きいと思います。そもそも憲法とは何のための法なのか、別の言葉で憲法を語る必要があり、そこで「立憲主義」に注目が集まった。

 しかし、立憲主義という言葉が本当に理解されているのか。「護憲」の言い換えになってはいないか、という疑問はあります。

◇9条「護憲」「改憲」への疑問 

 −−護憲派の議論には疑問がありますか。

 ◆あります。9条の条文を変えるなといっても、かつては、安保はもとより自衛隊も違憲だと言っていたのに、今では自衛のための戦力は9条に反しないことは当然だ、という主張が有力になっている。条文さえ変えなければいいのか。一方で、改憲論に対しても疑問はあります。どちらも立憲主義の観点からです。

 最近、9条は変えなくても自衛隊は合憲、国際貢献も大事だという論調も目にするようになりました。これが私には疑問です。

 この論理では立憲主義が成り立ちません。例えば自衛隊という公権力に対し憲法でどのような歯止めをかけるのか。「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない」という憲法9条2項の言葉の枠内でしか歯止めはできません。そして、素直に読めば、自衛隊が「陸海空軍その他の戦力」にあたる力であることは、どんな理屈を塗り重ねても、改憲派はもちろん、護憲派も分かっているのではないでしょうか。

 これでは、権力のあり方を憲法で縛るという立憲主義に私たちはリアリティーを感じられません。憲法9条が日本の平和に貢献し、武力行使の容認に傾く権力のコントロールに絶大な力を持ってきたことは、集団的自衛権行使容認の賛否を問う世論調査を見てもよく分かります。それでも、立憲主義の理念からすれば、自衛隊を認めるなら、憲法で歯止めをかける必要がある。そのためには憲法改正するしかないのでは、と思います。

 これは改憲の議論をしないまま認めた集団的自衛権も同じことが言えます。

 私自身は集団的自衛権や9条改正、自民党が打ち出す「国防軍」の創設には一市民として賛成しません。しかし、国防軍という形で軍隊を持つ、あるいは同盟国と一緒に軍事行動をして国際貢献するため、素直に憲法を改正するという考えは理解できます。国民の合意をもとに、憲法で軍隊を縛るという選択はありえると思うし、議論の筋は通っています。

 少なくとも、9条の条文を変えずに集団的自衛権を認める、という立憲主義の骨抜きよりはよい。権力に歯止めをかける立憲主義をぐらつかせてはいけません。

 ◇日本人に憲法は合っていない? 使われてきた憲法

 −−日本人に今の憲法が合っていないという声が根強くあります。その一方で、男女同権といった憲法の理念が実現されてきた面もある。これをどう考えたらいいのでしょうか。

 ◆確かに憲法の考え方は日本社会に合っていないかもしれない。でも、合っていないからといって捨ててしまっていいのでしょうか。捨てるとして、立憲主義に代わって「公権力の乱用」を防ぐ、何かがあればいい。でも、私にはそれがわからない。「公権力を信じて、すべて任せる」では政治を考えなくていいので楽でしょう。でも、それは独裁に陥るかどうかを、権力者の資質や人格に委ねてしまうようなものです。

 合わないといっても、これまでの歴史の中で、憲法を使って少しずつ現実を動かしてきた人たちがいます。いろんな運動や訴訟を通じて、権利を獲得していった。

 男女同権もそう。男女の定年は今でこそ同じですが、差をつけられていた時代もありました。これはおかしい、と声を上げた訴訟(※日産自動車事件−−就業規則で男は55歳、女は50歳が定年と定められていることの違法性が争われた。1981年、最高裁は男女で定年に差をつけることは違法であると、平等を定める憲法14条を根拠に判断した)があって、男女同権の思想が現実になっていく。

 結婚した男女の間に生まれた子供と結婚をしていない男女の子供では、財産の相続に差があった。これも2013年に最高裁が違憲と判断しました。家族のあり方にこだわる政治家もいますが、それよりも「親が結婚をしているかどうかで、子供を差別するのはおかしい」という国民の意識の変化が判決を動かした側面もあります。

 まだまだ不十分という人もいますが、憲法を使い、権利を勝ち取り、公権力を動かしてきた現実もあると思います。

◇憲法からみるヘイトスピーチ、同性婚

 −−現実の課題に対して憲法はどう使うことができるのか。ヘイトスピーチと「表現の自由」の関係をどう考えたらいいのでしょう。法規制は必要ですか。

 ◆ヘイトスピーチの解消に「憲法は役に立たない」と言われるかもしれませんが、個人的には「ヘイトスピーチ」に対して新たな法規制をすることに関しては警戒しています。

 何が「ヘイトスピーチ」で、何がそうでないのか。これを権力が判断するのは危険だと考えているからです。政権への批判的なデモも、恣意(しい)的にヘイトスピーチだと判断される可能性もあります。表現の自由が絡む問題については、規制という手段には慎重すぎるくらいでいいと思います。

 理想は、市民の間の自律的なやり取りで解決することです。対抗言論を強め、既存の刑法の名誉毀損(きそん)や民事上の不法行為で対処する。

 規制はあくまで最後の手段です。

 −−最近、話題になっている同性婚はどうですか。憲法24条は「両性の合意」で結婚できるとしていますが、素直に読むと「男女」の合意です。

 ◆国は「両性の合意」以外の余計なことを婚姻の条件にするな、というのが条文の趣旨です。ポイントは同性婚を認めてはいけない、と権力に命じているのではないこと。したがって私は、同性婚を法律で認めることを禁じた規定とは読みません。

◇憲法を守るだけでは意味がない

 −−あくまで公権力を縛る、という観点から憲法を活用することが大事だということですね。

 ◆憲法は「何か良いことが書いてある」ものではないのです。条文があって、それを後生大事に守っていても意味がない。書いてあることに近づけていく。問題が起きたときに、憲法を使ってこちら側から政治に対して解決を働きかけることが大事なのです。

 例えば、若者が関心を持っているブラック企業の問題もそうです。自分たちで必要なことを考え、憲法27条に書いてある勤労の権利から、政治に対して必要な法整備を求めていくことが大事です。憲法、特に人権については、これまで勝ち取ってきた成果もありますからね。

 −−憲法を生かす、という観点から、まだ足りない点はありますか。

 ◆立憲主義の根本である、権力から自由であることについて、まだ関心が低いように思います。メディアも含めて日本社会はいろんな「保護」や「規制」を権力に求めてしまう。

 それが必要なことはあります。しかし、それだけでは権力の暴走は止められません。

 立憲主義の考え方でいえば、民主的に代表を選ぶのは大前提。その上で、民主的に選定された人たちに、さらに縛りをかける。民主的に選ばれたから何でもできるわけではない、という点についてまだ理解できていない政治家がいます。

 最近、自民党が「放送倫理・番組向上機構」(NHKと日本民間放送連盟で作られる通称・BPO)について、政府が関与する仕組みを検討すると報じられています。

 びっくりしました。「表現の自由」に対する露骨な介入につながります。そんな制度が作られたら、政府の考え方が「客観」で、他の考えは「偏向」しているという考えが強まるのではないでしょうか。いろんな考え方がメディアに反映されていることが何より大事なのに。

 私が繰り返し述べていることは、憲法を使って、権力に必要なことはさせるが余計なことはさせないということなんです。

 これは面倒だし、大変です。ある程度、国家が決めて、保護や規制があったほうが楽です。でも、保護と支配は表裏一体ですよね。国だけが正しいという考えで支配されるよりは、多少、大変でも自由な社会がいいと私は思います。

   ◇

 たむら・おさむ 1965年新潟県生まれ。専門はフランス憲法史、憲法学。福島大学行政社会学部助教授などを経て専修大学法学部教授。主要著書に「憲法を使え! 日本政治のオルタナティブ」(彩流社)など。

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悪循環 自治の空洞化  毎日新聞 2015年05月01日

記者の目:統一地方選取材を終えて/上=和田浩幸(東京社会部、現・さいたま支局)
毎日新聞 2015年05月01日 東京朝刊

http://mainichi.jp/shimen/news/20150501ddm005070018000c.html

 ◇悪循環 自治の空洞化

 このままでは地方自治が崩壊してしまうのではないか。深刻な人口減少や高齢化に苦しむ全国各地の自治の現場を訪ね、「自治はどこへ」というタイトルで昨年12月から随時報告してきた。地域の衰退で自治の担い手が減り、選挙で「無投票」が増え、その無投票がさらに自治の活力を奪う−−という悪循環を取材で目の当たりにした。そんな自治体の多くは、安倍政権が旗を振る「地方創生」の出発点にすら立てそうにない。26日に終わった統一地方選の結果も踏まえての実感だ。

 記者駆け出しのころから、首長選や議員選の結果を伝える小さな記事を地域面に何度も書いてきた。小さな自治体で度々起こる無投票は、関係者があうんの呼吸で事前に代表者を決め、人間関係が濃密な社会に波風を立てないという構図が常識だと思い込んでいた。

 何かがおかしいと感じたのは、昨年8月に取材した東京都の神津島村議補欠選挙がきっかけだった。改選数2で立候補者は1人。翌月、村長選と同時に行われた改選数1の補選には立候補はなかった。当選確実で、なぜ誰も手を挙げないのかという私の疑問に、村の関係者は「すぐに改選されるので誰もやりたがらない」と解説した。

 ◇議員成り手なく無投票選挙増加

 ところが、統一選の後半戦として先月21日に告示された村議の本選挙は、議員定数を10から8に減らしたにもかかわらず立候補は7人にとどまり、候補者が定数に届かない「欠員無投票」となった。4年の任期が与えられても、議員の成り手がいないのだ。

 今回、統一選の議員選の無投票は104市町村に上り、1176人が有権者の審判を受けずに議員となった。前回統一選より11市町村167人増加している。欠員無投票は神津島村を含む4町村議選で、前回より1自治体増えた。

 私は21日の村議選告示を前に、かつて日航機が墜落した御巣鷹の尾根のふもとの群馬県上野村に入った。人口約1300人の村では議員選に向けた動きが鈍く、告示2週間前に駆け込みで定数を10から8に減らした。結果的に9人が立って選挙戦になったが、定数削減がなければ欠員無投票になるところだった。

 「はやり病への頓服薬。その場しのぎに過ぎない」。ベテラン議員の仲沢太郎さん(79)は、村議会で定数削減にただ一人反対した。議員報酬は月額14万6300円に抑えられているが、村民の間では一層の議会改革(リストラ)を求める声が強まっていた。だが、仲沢さんは「報酬を減らしてでも定数は維持すべきだった」と主張する。「人口が減り続ける村で、政策を論議する人数を減らすのは本末転倒だ。欠員無投票となることより、担い手不足を根本的に解決しようという議論がないことの方が問題です」

 村議選はかつて10回以上連続で選挙となり、投票率も毎回90%を超えた。山間部の村民は戦後、高投票率を背景に政治家を動かし、道路やトンネルを通して生活を向上させてきた。1990年ごろから人口減対策の一環でいち早く移住者を受け入れ、現在は人口の18%に当たる約230人が定住する。村には将来を見越して政策を打ち出してきた伝統がある。そんな上野村ですら、自治が土台から揺らいでいる。

 ◇夜間・休日議会、欧米では導入

 生計が成り立たない低額報酬は議員不足の一因かもしれない。だが、それが問題の本質ではないだろう。長崎県小値賀(おぢか)町は満50歳以下の議員の報酬を月額18万円から30万円に引き上げたが、町議選で条件を満たす候補は出てこなかった。山形県庄内町では2013年、報酬増を求める議会に対し、日当のみの「ボランティア議員」による夜間・休日議会の構想を町長が逆提案した。実現はしていないが、仕事を続けながら自治も担えるとして、欧米などでは既に導入されている制度だ。

 告示日に取材した群馬県川場村議選で、午後に立候補を決意し無投票を阻止した42歳の男性は私に言った。「人材はいるが、年が若いと『まだ早い』という雰囲気が議会にある」。議会側には古い慣習や体質を変える努力が不足しているということだろう。

 一方で、担い手不足が若い世代にチャンスを与えている現実もある。今回の統一選ではないが、カネも地盤もないが当時26歳の青年は、「就活選挙」と陰口をたたかれながら山形県酒田市議に当選し、ベテラン議員も一目置く存在となった。資質を欠く人物が当選するリスクもあるが、有権者の見る目が確かなら、有望な人材が育つはずだ。

 自治の空洞化に歯止めをかけるため何が必要か。議論に必要な材料を今後も探し、伝えていきたい。

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学校統廃合基準見直し  毎日新聞 2015年05月01日

論点:学校統廃合基準見直し
毎日新聞 2015年05月01日 東京朝刊

http://mainichi.jp/shimen/news/20150501ddm004070002000c.html

 文部科学省は今年1月、約60年ぶりに公立小中学校の適正規模・配置の基準や考え方を見直し、それを「手引」にまとめて公表した。各自治体が学校の統廃合を検討する際の参考にしてもらうのが狙いだ。少子化が進む中、良好な教育環境を保つために今後、学校はどうあるべきなのか。

 ◇小学校は地域に不可欠 志水宏吉・大阪大教授

 「手引」は統廃合だけでなく小規模校存続の方策も示し、バランスを取る形になっている。しかし文部科学省の本音が財政問題に迫られた統廃合推進にあることは間違いない。

 「手引」は、児童・生徒が切磋琢磨(せっさたくま)して成長するためには一定の集団規模が必要として「適正化」を求めている。だが、小学校と中学校は分けて考えるべきだ。極論すれば、小学校はいくら児童が少なくても現状を維持すべきだが、中学校は市町村に1校という場合もあり得る。

 統廃合で反対運動が起きた時、その主体には保護者だけでなく祖父母の世代が多く加わっていることに注目すべきだ。特に小学校で多い。言うまでもなく、小学校は単なる教育施設ではなく、地域コミュニティーの核だ。田舎に行くほどその比重が高まる。小学校は地域住民にとって共通体験の場であり、過疎地の場合、小学校が無くなってしまえば、子育て世代のUターン、Iターンの可能性も消え、人口減少による自然消滅を待つだけになってしまう。祖父母の世代は、地域コミュニティー崩壊の強い危機感をもっている。

 無論、大人にとって必要だから存続させるべきだというのではない。子どもにとって、地域の学校で学ぶことが決定的に重要なのだ。

 2001年以降、学力実態調査の地域別分析を進めてきて面白い結果が出た。従来、地域間の学力差は、都市と地方など、経済的・文化的な豊かさの差で説明されてきた。しかし、07年以降の全国学力テストでは秋田県と福井県が好成績の2トップを占める一方で、大都市の大阪府が低迷するなど、従来の解釈では説明できなくなっていた。そこで着目したのが「つながり」だ。

 (1)離婚率などで表される子どもと家庭とのつながり(2)持ち家比率などで表される子どもと地域のつながり(3)不登校率などで表される子どもと学校とのつながりを比較すると、秋田、福井はこうした指標で、つながりの濃さがはっきりと出ていた。

 子どもたちは地域社会の地縁、血縁という大人のコミュニティーの中で育つ。祭りや清掃活動などの行事を大人たちと一緒にすることで、言葉を交わし、自らが大事にされているという自己認識を持ち、すくすくと育つ。教師と地域住民も信頼関係で結ばれている。

 「手引」は、「バスなど交通機関を利用して1時間以内」を通学条件としているが、バスで1時間もかかる広域で、そうした地域コミュニティーは存立しにくい。

 中学生は子どもから大人への移行期にあたり、教科の専門性から教員数も必要で、規模も求められる。遠距離通学も可能で、小学校とは違い、市町村に1校でもよいだろう。

 安倍政権は「地方創生」を大きな課題として掲げている。小学校の統廃合は、それとは全く逆行した動きだ。小学校が存続する地域づくりこそが「地方創生」だろう。

 また、約60年ぶりの「手引」見直しの政治的背景には、1980年代の中曽根政権から進められてきた新自由主義的改革があることも注意すべきだ。小さな政府で民間活力を導入し、効率を重視する考え方だ。

 学校教育には卓越性(エクセレンス)と公平性(エクイティ)の両立が求められるが、新自由主義的教育改革は卓越性を重視する。よく言われる「グローバル社会で通用する人材育成」という考えだ。改革先進国といわれたイギリスでは、公立学校に学力テストの成績などを競わせ、保護者に学校を選択させ、「改善」されない学校は廃校にした。公教育における弱肉強食の方策は、地域や学校の格差をさらに拡大させる大きなひずみを生んだ。

 外国の例を見るまでもない。大阪府・大阪市では、知事から市長に転じた橋下徹氏の下、国内で最も熱心にこの改革が進められている。しかし、弁護士出身の府教育長がパワハラ問題を経て辞職し、公募民間人校長の辞職も相次ぐなど、現場を混乱させただけで、何の成果も得ていないことにも留意しておくべきだ。【聞き手・鈴木敬吾】



 ◇地域に合わせた工夫を 葉養正明・文教大教授

 学校統廃合について、財務省は何年も前から「子供の数が減っているのに学校の数が減っていないじゃないか」と主張してきた。学級数の国の標準は1校あたり「12〜18」だが、全国の公立小学校の46%、公立中学校の51%がこれを下回っているからだ。財政面だけではない。小規模校の場合、特に1学年1学級以下の学校では授業で多様な発言を引き出せなかったり、部活動や行事が限定されたりする。教員も少ないため指導技術の伝達も難しくなる。

 今回の手引には、学校を統廃合しやすいよう、適正配置の目安として新たに「通学時間」の概念が入った。今までは小学校は4キロ以内、中学校は6キロ以内という「通学距離」の基準しかなかったが、政府の経済財政諮問会議の委員や地方都市の教育委員会の間には「交通機関が発達した今、通学距離の代わりに通学時間を基準にすべきだ」という声があった。今回これを反映する形で「1時間以内」という新基準を設けた。

 ただ、手引の狙いは統廃合推進ではない。この10年で毎年平均約500の公立小中高校が廃校になっている。国の標準に合わせるために「数の論理」で統廃合を繰り返してきた結果だ。少子化が進む中、適正規模に合わせようとすれば永遠に統廃合を続けることになる。

 だが、それで小規模校の問題が解決されるわけではない。東北沿岸部では東日本大震災前から統廃合しても1学年1学級にしかならない学校が珍しくなかったが、震災の影響でさらに小規模化が加速している。地方では統廃合の結果、スクールバスを使っても通学時間が1時間以上かかるようになった例も少なくない。長野県や北海道では、冬になると道路が凍結し通常より通学時間が長くなるし、奈良県の山間部では小規模校が点々とある。地理的にこれらを統廃合するのも現実的ではない。

 学校には地域の拠点としての役割がある。統廃合が地方の衰退を加速させることも懸念される。そこで、手引には小規模校を存続させる場合の方策や、休校した学校を再開する場合の工夫点が盛り込まれた。昨年11月に地方創生関連法が成立し、12月には地方創生総合戦略が閣議決定されたことも背景にある。

 山間部や離島では、町や集落の中に学習拠点を残す方が望ましい。拠点は公民館や集会所でもいいが、情報通信技術を最大限活用することが重要になる。例えばテレビ会議システムを使って都市部の学校の授業を生中継で配信する「遠隔授業」を導入すれば、生徒が都市部の教員に質問するといった「同時双方向型」の授業が可能になる。高校ではすでに実証実験を経て今年度から正式に導入される。

 ただ、運動会や文化祭などの行事や体育、合唱などはある程度の集団が必要になる。その時は、近隣の拠点校に宿泊しながら集中的に実施する方法も有効だ。地元の国立大が小規模校問題に対し、もっと貢献していくことも求められる。

 一方で都市部は別の問題に直面している。東京都渋谷区の人口は現在21万人で、うち0〜14歳は2万人、65歳以上が4万人。これが2030年には0〜14歳が1・1万人に減り、65歳以上は5・6万人に増える。50年になると、0〜14歳が8200人(人口比4%)に対し、65歳以上は7・8万人(同43%)と10倍の開きになると推計される。こうした人口構成を考えると、学校が今のままでいいはずがない。

 一般的にどこの自治体でも面積が最も広い公共施設の一つは学校だが、例えば東京都品川区立戸越台中では5〜10階に特養ホームが併設されている。京都市立京都御池中は7階建て校舎の1階に保育所と介護施設があり、6〜7階は一時市役所の一部の部署が使っていた。岡山市立岡輝中では空き教室を高齢者の学習スペースに開放し、週3回高齢者が勉強している。こうした学校では自然に生徒と高齢者の交流が生まれている。統廃合して学校を新設したり改築したりする場合、福祉施設などを入れて複合施設にしていく必要がある。【聞き手・三木陽介】

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 ◇学校統廃合の手引

 学校の統廃合に関して、中央教育審議会(中教審)の1956年の答申は、標準学級数を「おおむね12〜18」、通学距離を小学校4キロ以内、中学校6キロ以内とした。文科省が今年1月に公表した手引はこれらを維持しつつ、「1学年1学級以下」の小規模校は「教育上課題がある」とし、統廃合の迅速な検討が必要とした。一方、地元の反対などで存続を決めた場合は、近隣校同士の合同授業などで課題の解消を求めている。

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 「論点」は金曜日掲載です。opinion@mainichi.co.jp

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 ■人物略歴

 ◇しみず・こうきち

 1959年兵庫県生まれ。東京大大学院教育学研究科博士課程修了。教育学博士。専攻は教育社会学。著書に「公立学校の底力」など。

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 ■人物略歴

 ◇はよう・まさあき

 1949年千葉県生まれ。東京学芸大名誉教授、国立教育政策研究所名誉所員。文部科学省の学校統廃合に関する手引作成に関わった。

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