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不寛容と憎悪の連鎖=山田健太

Listening:<月いち!雑誌批評>不寛容と憎悪の連鎖=山田健太

2014年11月17日

 ちょうど四半世紀前、ベルリンの壁崩壊後のヨーロッパは、東欧からの大量移民を前に「不寛容」が大きな社会テーマとなり、法学者・宗教家・思想家・ジャーナリストが侃々諤々(かんかんがくがく)の議論をたたかわせ、当時、多くの出版物も刊行された。もちろんその後も、排斥主義は多くの国の主要テーマであり続けており、いま、日本で起きている憎悪のぶつかりあいもその一つと言えよう。ただし、現実を前に繰り広げられる議論は、少なくとも雑誌の世界では解決への糸口を見いだす方向でなされているようには思われない。

      

 とはいっても「世界」11月号は「ヘイトスピーチを許さない社会へ」を特集し、7人の論客が差別扇動の犯罪性を厳しく指摘している。部落解放同盟の機関誌「部落解放」11月号も「ヘイトスピーチと闘う」が巻頭特集だ。部落解放・人権研究所が刊行する「ヒューマンライツ」は既に2月号で「ヘイトスピーチをのりこえる」を特集し、差別禁止法の制定を求めている。これらは、在日コリアンを罵倒する街頭行動と、それを巡る判決や国連からの是正要求を受けてのものと言える。しかしこれらと、多くの雑誌が特集する「嫌韓憎中」との溝は埋まらないばかりか、ますます広がっているのではないか。

 こうした差別構造と政治状況をオーバーラップさせたものが、「週刊金曜日」8月29日号の特集「ヘイトの深層」で、副題「嫌韓・民族差別と歴史修正主義」にあるとおり、“愛国”市民運動を扱う。これと同じ流れをくむのが「サンデー毎日」11月23日号の「『ヘイトスピーチ神社』の過激暴言!」だ。これらとは全く異なるアプローチながら、日本社会の同質性を問うものとして、「SAPIO」6月号の特集「移民と在日外国人」があった。

 そうした中で、公共施設や自治体はより中立性に敏感となり、結果として表現の場の制約が続く結果を生んでいる。それを指摘するのが「月刊社会教育」11月号の「公共の仕事とは言論の舞台(アリーナ)を提供することである」だ。こうした社会全体を覆う不自由な状況が、憎悪の連鎖を生み続けている局面があるとするならば、さまざまな視点を持った雑誌群が社会に巣くう不寛容な局面をあぶり出すことで、日本社会が抱える「おかしさ」が浮き彫りになるのではなかろうか。=専修大教授・言論法


(関係者)

院内学習会 「国連自由権規約委員会・人種差別撤廃委員会の勧告を受けて

 

日時 1 119 (水) 正午~午後1

場所 参議院議員会館

主催 日本弁護士連合会

内容 パネリスト:有田芳生氏 (参議院議員 ・ジャ-ナリスト)

山田健太氏 (専修大学教授)

問い合わせ先 日本弁護士連合会企画部国際課

 



 

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