« 2014年9月 | トップページ | 2014年11月 »

2014年10月に作成された記事

障害者差別解消の基本方針 内閣府が素案示す

障害者差別解消の基本方針 内閣府が素案示す
2014年10月27日号
http://www.fukushishimbun.co.jp/topics/6184

2016年度の障害者差別解消法施行に向け、国の基本方針の策定作業が行われている。内閣府は20日、基本方針の素案を障害者政策委員会(委員長=石川准・静岡県立大教授)に示した。


 差別解消法は、障害者権利条約を批准するため制定された新法。国民が障害の有無で分け隔てられないこと、障害者の自立と社会参加を阻む社会的障壁を取り除くことなど差別禁止を定めている。


 基本方針は、禁止されること、どう対応しなければならないのか合理的配慮の考え方などを示すもの。これに即して行政機関は対応要領を、各省庁の主務大臣は分野ごとに民間事業者の取り組みに関する対応指針を作成する。


 素案は、「不当な差別的取り扱い」を、正当な理由なく障害者にサービス提供することを拒否したり利用を制限したりするほか、障害者にだけ条件を設けるなど、異なる扱いをすることだと提示。


 合理的配慮については、例えば段差をなくす、筆談や読み上げなどコミュニケーション方法を工夫する、など障害者の権利利益の侵害にならないよう社会的障壁を除去する個別具体的な取り組みだと説明している。


 具体的な内容は障害の特性、事業者側の人的・体制の制約、事業規模から見た費用負担の程度など個々の場面により変わってくる。障害者の希望通りの方法が難しければ代替措置を示すなど、双方の建設的対話を通じて柔軟に対応されることが望ましいという。


 差別が起きた時の相談体制としては、既存の機関を活用。地域ごとに関係機関で構成する障害者差別解消支援地域協議会を組織し、相談を適切な窓口につないだり、類似の事案が起きないよう防止措置を検討したりする。


 同日は素案に対し、委員から「女性障害者に対する複合差別の問題に触れるべき」「障害者の家族も対象だと明記して」など多数の注文が付いた。内閣府は12月の閣議決定を目指している。





障害者政策委員会(第17回)議事次第
http://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/seisaku_iinkai/k_17/index.html
平成26年10月27日(月)
13:30~16:00
中央合同庁舎4号館220会議室

    障害者差別解消法に基づく基本方針(素案)について
    その他

    資料1 障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針(素案)(PDF形式:268KB)
    資料2 委員意見(PDF形式:208KB)
    参考資料(PDF形式:334KB)



|

人種差別撤廃基本法(仮称)は、近く成案とし、民主党は党内手続きを進めます。

法務委員会日程

【第21号 平成26年10月27日(月)】

開会年月日 平成26年10月28日
 法務委員会   午前十時 第二十三委員会室
                (分館二階)
    会議に付する案件
   法務及び司法行政等に関する調査
 法務委員会理事会
      午前九時五十分 第二十三理事会室
                (分館二階)







有田 芳生

.
https://www.facebook.com/yosihifu.arita

 超党派の国会議員でつくる日韓議員連盟(額賀福志郎会長)の代表団が、10月24日に韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領と会談しました。大統領は日本で行われているヘイトスピーチ(差別煽動表現)に懸念を示したそうです。それに対して日本側は防止策を探っていると自民党や民主党など、何人かの議員が発言しました。「共同声明」にはこう書かれています。「日韓両国の国会議員は日本内の一部地域における『ヘイトスピーチ』が両国の友好増進と在日韓国人の生存権に悪影響を及ぼすことに留意し、こうした街宣やデモを防止できる方策を摸索していくこととした」。側聞するところによると韓国の国会でも日本で吹き荒れているヘイトスピーチ問題に対して動きがあるようです。しかし国連の人種差別撤廃委員会が勧告したのは、もちろんヘイトスピーチ対策に重点が置かれていますけれど、包括的な差別禁止法を制定せよというものです。日本の報道もこの視点が弱いように思います。明日の法務委員会で問うのは、委員会の「総括所見」で強調された、ヘイトスピーチ問題、朝鮮高校の授業料無償化廃止問題、そして琉球・沖縄、難民問題です。総じて日本政府が差別の実体をいかに把握していないかを浮き彫りにすることになります。超党派で人種差別撤廃基本法を求める議員連盟を結成したのは4月23日でした。それから半年間。法制局や専門家の協力をえながら、法案はいよいよ完成に近づいています。(2014/10/27 写真は岡山市内)



  28日の一般質疑ではヘイトスピーチ問題を取り上げます。超党派の議連で準備してきた人種差別撤廃基本法(仮称)は、近く成案とし、民主党は党内手続きを進めます。各党でも最終的な判断をしていくことになります。民主党と維新は国会への共同提出することで合意しています。自民党や公明党でも法案への対応が行われることになります。ヘイトスピーチに関する法律がいよいよ国会に姿を現す段階にきました。(2014/10/24)






10月22日 9:01 ·
 松島みどり法務大臣が更迭されたことに、法務省幹部の間では安堵感が広がっています。16日に法務委員会で質問を終えたとき、「ありがとうございます」と私に囁いたのは、ある幹部でした。大臣の使用する車を替えるよう求めたことは、すでにメディアでも報じられたとおりです。大臣室に衣装部屋を作るよう命じたともいいます。どんな仕事も信頼関係です。「完璧でした」といわれる谷垣禎一法務大臣とどうしても比較してしまうのでしょう。小泉政権時代の田中真紀子外務大臣と比較されたのは、やはり官僚との信頼関係が築けない問題でした。夕方に人種差別撤廃基本法を求める議員連盟の総会を行いました。小川敏夫素案に基づいて法制局がまとめた法律案を小川会長が説明し、質疑です。臨時国会に提出するなら、時間があまりありません。近く再び総会を開くことになります。16時半からは人種差別撤廃委員会の委員を13年間担当したパトリック・ソーンベリーさんの講演を聞き、質疑がありました。ここには自民党のヘイトスピーチ問題PTの平沢勝栄座長や公明党のヘイトスピーチ問題PTの國重徹事務局長なども出席、活発な質問をしていました。終了後に平沢さんたちと立ち話。詳しい説明をしたわけではありません。しかし私たちが準備してきた法律案の基本的立場には抵抗がないようにも思えました。これからは自民党や公明党との話し合いも進めて行くことになります。(2014/10/22)





10月20日 8:52 ·
 秋晴れのなか、専修大学で行われたシンポジウムに出席しました。テーマは「日本における人種差別を考えるシンポジウム ヘイトスピーチをきっかけに」。人種差別撤廃委員会の委員だったパトリック・ソーンベリーさんが基調講演を行い、規制論を師岡康子さん、慎重論を西土彰一郎さんが報告し、議論が行われました。人種差別撤廃条約が国連で採択されたのは1965年。来年で50年になります。撤廃条約が採択された時代は、植民地主義が続いていました。ナチス・ドイツによるユダヤ人などのジェノサイドがまだまだ生々しく問題となっているころのことです。にもかかわらずネオ・ナチが活動をするなど、人種や宗教に対する差別が広がりつつあったのでした。ヘイトスピーチ規制に慎重な学者たちは、誰もが表現の自由が侵害されるのではないかと危惧します。別の視点からいえば、生身の被害者がそこには存在しないかのような議論に聞こえます。この課題をどう解決していくのか。議論は臆せずに進めなければなりません。人種差別撤廃委員会による一般的勧告35などは、あまり知られていないようです。一般的勧告35は、ヘイトスピーチにいかに立ち向かうかが、表現の自由とのかかわりで具体的に提言されているのです。明日はソーンベリーさんに国会で講演していただきます。その前に人種差別撤廃基本法を求める議員連盟の総会を開きます。(2014/10/20)



|

第10回地域人権問題全国研究集会in松江 基調報告 

第10回地域人権問題全国研究集会in松江

 2014/10/11-12

基調報告「第10回島根集会の課題と地域人権運動の提起」

全国人権連事務局長 新井直樹

「20141012.pdf」をダウンロード




|

「人種等を理由とする…法律案-仮称」法制局案 2

10月21日 民主案をもとにした
「人種等を理由とする…法律案-仮称」法制局案 2

Photo_5

Photo_6

Photo_7

Photo_8





|

「人種等を理由とする…法律案-仮称」法制局案 1

10月21日 民主案をもとにした
「人種等を理由とする…法律案-仮称」法制局案

Photo

Photo_2

Photo_3

Photo_4


|

パーソナルデータに関する検討会 決定等

パーソナルデータに関する検討会 決定等
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/pd/


「パーソナルデータの利活用に関する制度改正大綱」に対する意見
2014年7月24日   一般社団法人 情報処理学会  会 長  喜連川 優
https://www.ipsj.or.jp/release/teigen20140724.html




|

ヘイト・スピーチと法規制~人種差別撤廃委員会一般的勧告35から考える 弁護士・金原徹雄

 

ヘイト・スピーチと法規制~人種差別撤廃委員会一般的勧告35から考える

http://kimbara.hatenablog.com/entry/2014/03/25/223925

 今晩(2014年3月25日)配信した「メルマガ金原No.1676」を転載します。

 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。



ヘイト・スピーチと法規制~人種差別撤廃委員会一般的勧告35から考える


 しばらく前までは、「ヘイトスピーチ」とか「排外デモ」というのは、東京の新大久保や大阪の鶴橋など、限定された地域における嘆かわしい異常な光景というような思いこみが何となくあったのですが、今やそんなものではないようなのですね。

 さらに、最近では「ハーケンクロイツ」を堂々と掲げる一団が首都・東京をデモ行進するまでに増長しており、そのうち、日本が「人種差別デモの本場」と世界から見られる日も遠くなさそうです。


ハーケンクロイツ掲揚、西葛西ネオナチデモへのカウンター - 2014年3月23日(秋山理央氏撮影)

 http://www.youtube.com/watch?v=MMpGdOVzNzA



 そのような険悪な世相を見るにつけ、何とかヘイトスピーチに対する法的規制はできないのか?という疑問が当然生じるところでしょう。

 このたび、この問題の要点を、大阪女学院大学の元百合子(もと・ゆりこ)氏が、分かりやすく解説された論考をNPJ(News for the People in Japan)に発表しておられましたのでご紹介します。


NPJ通信 2014年3月24日

ヘイト・スピーチの法規制をめぐる議論 元(もと)百合子(大阪女学院大学教員、国際人権法)

 http://www.news-pj.net/news/2014/0324-moto.html


 国際人権法との関係を論じた部分(3項)にしぼって引用させていただくとともに(引用部分は紺色で表記します)、関連する条約等を注記します(茶色で表記)。


(抜粋引用開始)

 3.国家の義務としての法規制
 この問題について、国際人権法は明快である。表現の自由という人権の特段の重要性を認めつつ、差別扇動と憎悪唱道の法的禁止を義務づける(自由権規約20条2項)。


市民的及び政治的権利に関する国際規約(B規約)第20条2項

 http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/kiyaku/2c_004.html

2 差別、敵意又は暴力の扇動となる国民的、人種的又は宗教的憎悪の唱道は、法律で禁止する。


とりわけ人種差別の煽動に関しては、「根絶を目的とする迅速かつ積極的な措置をとる」義務を課し(人種差別撤廃条約4条本文)、人種主義の流布、人種差別や暴力の煽動・宣伝活動を処罰すべき犯罪として違法化することを求める(同条(a)と(b))。


あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約

 http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/jinshu/conv_j.html
第4条

 締約国は、一の人種の優越性若しくは一の皮膚の色若しくは種族的出身の人の集団の優越性の思想若しくは理論に基づくあらゆる宣伝及び団体又は人種的憎悪及び人種差別(形態のいかんを問わない。)を正当化し若しくは助長することを企てるあらゆる宣伝及び団体を非難し、また、このような差別のあらゆる扇動又は行為を根絶することを目的とする迅速かつ積極的な措置をとることを約束する。このため、締約国は、世界人権宣言に具現された原則及び次条に明示的に定める権利に十分な考慮を払って、特に次のことを行う。

(a)人種的優越又は憎悪に基づく思想のあらゆる流布、人種差別の扇動、いかなる人種若しくは皮膚の色若しくは種族的出身を異にする人の集団に対するものであるかを問わずすべての暴力行為又はその行為の扇動及び人種主義に基づく活動に対する資金援助を含むいかなる援助の提供も、法律で処罰すべき犯罪であることを宣言すること。

(b)人種差別を助長し及び扇動する団体及び組織的宣伝活動その他のすべての宣伝活動を違法であるとして禁止するものとし、このような団体又は活動への参加が法律で処罰すべき犯罪であることを認めること。


つまり、ヘイトスピーチは、保護されるべき表現・言論の自由から除外されるのである。しかも、両条約の実施機関は、表現の自由とヘイトスピーチの法規制は両立し、相互に補完すると明言する。マイノリティにも平等に表現の自由を保障するためである

(注)詳しくは、人種差別撤廃委員会が昨年発表した「一般的勧告35」 を参照されたい。全文の和訳が、ヒューライツ大阪のウェブサイトで見られる。なお、同委員会は、4条が規定するすべての表現形式が人種主義的ヘイトスピーチであるとしている(第6段落)。


人種差別撤廃委員会 一般的勧告35 「人種主義的ヘイトスピーチと闘う」

同委員会第85会期(2013年8月12日~30日)にて採択

監訳 窪 誠(大阪産業大学教授)

翻訳 翻訳:人種差別撤廃委員会一般的勧告35翻訳委員会

 http://www.hurights.or.jp/japan/news/pdf/%E5%9B%BD%E9%80%A3%E5%8B%A7%E5%91%8A%E5%86%8A%E5%AD%90.pdf

Ⅱ人種主義的ヘイトスピーチ より 第6段落

6.委員会の実務の中で取りあげた人種主義的ヘイトスピーチとしてまず挙げられるのは、第4条が規定するすべての表現形式であり、第1条が認める集団を対象にしたものである。第1条は、人種、皮膚の色、世系または民族的もしくは種族的出身に基づく差別を禁止しているので、たとえば、先住民族、世系に基づく集団、ならびに、移住者または市民でない者の集団が対象となる。移住者または市民でない者の集団には、移住家事労働者、難民および庇護申請者が含まれる。人種主義的ヘイトスピーチとして次に挙げられるのは、上記集団の女性および他の脆弱な集団の女性に対して向けられたスピーチである。さらに、委員会は、インターセクショナリティ(交差性)の原則を考慮し、「宗教指導者に対する批判や宗教の教義に対する意見」は禁止も処罰もされるべきではないことを認めつつも、多数派とは異なる宗教を信仰または実践する特定の種族的集団に属する人びとに向けられたヘイトスピーチにも注目してきた。イスラム嫌悪、反ユダヤ主義、種族宗教的集団に対する類似した他の憎悪表現などがその例であるが、さらには、ジェノサイドやテロリズムの扇動といった極端な憎悪表現もある。また、保護される集団の構成員に対するステレオタイプ化やスティグマの押しつけも、委員会が採択した懸念の表明や勧告の対象となっている。

Ⅳ 総括

45.人種主義的ヘイトスピーチを禁止することと、表現の自由が進展することとの間にある関係は、相互補完的なものとみなされるべきであり、一方の優先がもう一方の減少になるようなゼロサムゲームとみなされるべきではない。平等および差別からの自由の権利と、表現の自由の権利は相互に支えあう人権として、法律、政策および実務に十分に反映されるべきである。
46.世界のさまざまな地域にヘイトスピーチが蔓延してゆくことは、人権への重大な現代的挑戦であることに変わりない。ひとつの国が本条約全体を誠実に実施するということは、ヘイトスピーチ現象に対抗するより広範な世界的取り組みの一部をなすものなのであり、不寛容と憎悪から解放された社会ビジョンを生きた現実として実現しよう、普遍的人権を尊重する文化を促進しようという、最もすばらしい希望を表現していることなのである。
47.締約国が、人種主義的ヘイトスピーチと闘う法律および政策を推し進めるために、目標と監視手続きを設置することがたいへん重要であると、委員会は考える。締約国は、人種主義的ヘイトスピーチへの対抗措置を、対人種主義国内行動計画、統合戦略および国内人権計画とプログラムに含むよう要請される。


憲法が保障する人権との抵触を主たる理由に、日本政府は同条(a)と(b)に付した留保を頑なに撤回しようとせず、一方で表現の自由の大幅な法規制(特定秘密保護法)に熱心なのは、奇妙なことだ。


人種差別撤廃条約Q&A(外務省サイト)より

 http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/jinshu/top.html

Q6 日本はこの条約の締結に当たって第4条(a)及び(b)に留保を付してますが、その理由はなぜですか。

A6 第4条(a)及び(b)は、「人種的優越又は憎悪に基づくあらゆる思想の流布」、「人種差別の扇動」等につき、処罰立法措置をとることを義務づけるものです。
 これらは、様々な場面における様々な態様の行為を含む非常に広い概念ですので、そのすべてを刑罰法規をもって規制することについては、憲法の保障する集会、結社、表現の自由等を不当に制約することにならないか、文明評論、政治評論等の正当な言論を不当に萎縮させることにならないか、また、これらの概念を刑罰法規の構成要件として用いることについては、刑罰の対象となる行為とそうでないものとの境界がはっきりせず、罪刑法定主義に反することにならないかなどについて極めて慎重に検討する必要があります。我が国では、現行法上、名誉毀損や侮辱等具体的な法益侵害又はその侵害の危険性のある行為は、処罰の対象になっていますが、この条約第4条の定める処罰立法義務を不足なく履行することは以上の諸点等に照らし、憲法上の問題を生じるおそれがあります。このため、我が国としては憲法と抵触しない限度において、第4条の義務を履行する旨留保を付することにしたものです。
 なお、この規定に関しては、1996年6月現在、日本のほか、米国及びスイスが留保を付しており、英国、フランス等が解釈宣言を行っています。

 ヘイトスピーチを法規制している国は多い。規制法は多様であって、刑法と民法の両方、あるいは民事規制のみの国もある。国家権力による濫用など、慎重論に示される様ざまな懸念を軽減するための方策を含めて、諸外国の制度とその運用に学びつつ、国際人権基準に適合する制度を模索することが必要であろう。国連では、人種差別禁止法の制定、法執行機関を対象に含める人権教育や市民の啓発、パリ原則に準拠した国内人権機関の設置などを含む包括的政策と具体的措置の重要性が強調されている。


国内機構の地位に関する原則(パリ原則) 法務省サイトより

 http://www.moj.go.jp/shingi1/shingi_010525_refer05.html

(引用終わり)


 以上にも引用されていますが、国連の人種差別撤廃委員会の一般的勧告35の翻訳を掲載した冊子『知ってほしい-ヘイトスピーチについて 使ってほしい-国連勧告を~人種差別撤廃委員会一般的勧告35と日本』(本文40頁)が、ヒューライツ大阪(一般財団法人 アジア・太平洋人権情報センター)から、今年2月7日に発行されるとともに(無料)、PDFファイルでも全文公開されています。冊子の末尾には、人種差別撤廃条約の日本語訳(日本政府による)全文も掲載されていますので、少しページ数は多いのですが、是非一部プリントアウトして手元に置き、折に触れて読まれることをお勧めします。

 http://www.hurights.or.jp/japan/news/2014/02/35.html

 

 ところで、外務省サイトの人種差別撤廃条約を解説したページの冒頭には、以下のような説明が書かれています。


「人種差別撤廃条約は、人権及び基本的自由の平等を確保するため、あらゆる形態の人種差別を撤廃する政策等を、すべての適当な方法により遅滞なくとることなどを主な内容とします。1965年の第20回国連総会において採択され、1969年に発効しました。日本は1995年に加入しました」

 http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/jinshu/


 採択から加盟までになぜ30年もかかったのかについての説明はありません。そして、「Q&A」の末尾には、以下のような問答が掲載されています。現在の我が国の状況を踏まえる時、そろそろ外務省もこの「Q&A」は改訂した方が良いと勧告したいと思います。


「Q9 この条約によって、具体的に何が変わるのですか。

A9 この条約上の義務は、我が国の憲法をはじめとする現行国内法制で既に担保されています。しかし、人権擁護に関しては、法制度面のみならず、意識面、実態面において不断の努力によって更に向上させることが必要かつ重要です。この条約の締結を契機に、行政府内のみならず、国民の間に人種差別も含めあらゆる差別を撤廃すべきとの意識が高まり、一層の人権擁護が図られていくことが重要であると考えています」

|

時代の正体(36) ヘイトスピーチ考 表現の自由と対立せず

時代の正体(36) ヘイトスピーチ考 表現の自由と対立せず

カナロコ by 神奈川新聞 10月22日(水)11時56分配信

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20141022-00107712-kana-l14

パトリック・ソーンベリー 
英キール大名誉教授。専攻は国際法。2001年から14年1月まで国連人種差別撤廃委員会委員。同委員会「一般的勧告35・人種主義的ヘイトスピーチと闘う」の起草者

 在日コリアンの排斥を唱え、差別と暴力、憎悪をあおるヘイトスピーチ。国連人種差別撤廃委員会から規制を求める勧告がなされたが、法規制については表現の自由を制限するとして慎重論もある。前人種差別撤廃委員会委員のパトリック・ソーンベリーさんはしかし、言う。「ヘイトスピーチ規制と表現の自由を対立させる考えは誤りだ」。条約の第一人者が語った、社団法人自由人権協会主催のシンポジウムでの講演を紹介する。

 国際的な義務として人種差別撤廃条約が締約国に何を要請しているかというと、第一に人種差別を違法とする法制度を設けること、第二にヘイトスピーチを禁止することだ。

 哲学的になるかもしれないが、ヘイトスピーチの禁止と表現の自由を対立させる考え方はいかがなものかと考える。なぜならヘイトスピーチから自由であるということも人権の一つであると考えるからだ。つまりヘイトスピーチの禁止は自由を狭めるのではなく、ヘイトスピーチがない状態で人としての尊厳が守られて生きるということは、権利として認められるべきだと私は思う。

 人種主義者を表現の自由のヒーローのように捉えるべきではない。人種主義者がやっているのは、弱い立場の人たちの言論を沈黙させることにほかならない。

 どんな社会にも完全な表現の自由というものは存在しない。タブーがあり、限界はある。それは児童ポルノであったり、国際的にはジェノサイド(大量虐殺)を扇動する言動であったりする。いかなる社会にも許容可能な言動と許容できない言動があり、無制限に認められる権利というものはないものだ。

     ■境 界

 ヘイトスピーチを規制する法律を作る際に問題になるのは、線引きが不明確になされることだ。それはしかし、境界線をきちんと画する努力によって解決可能だ。そのためのガイドラインが、人種差別撤廃委員会が2013年に作った「一般的勧告35」だ。

 ヘイトスピーチにも程度の違いがあって、聞いた人が単に気分を害するというものもある。それであれば刑法で処罰する必要がないと私は考える。対して人間の尊厳を踏みにじり、同じ社会に存在することを否定する類いのものは許されるべきではない。

 条約の1条で差別の事由として挙げられているのは人種、皮膚の色、世系、民族的、種族的出身の五つだ。4条で禁止しているのは人種主義の扇動、人種的優越または憎悪に基づく思想の流布、そして人種主義的暴力の扇動や人種差別の扇動などである。

 思想の流布の方法には直接、間接的なものだけでなく、示唆することも含まれる。人種主義を想起させるシンボルを使うことがそれに当たる。

     ■責 務

 日本は一部留保しているが、4条は特定の行動について刑罰をもって対処すべきだと定めている。

 この点、前述の「一般的勧告35」は、ヘイトスピーチと闘うためには、刑罰のみならず、あらゆる資源を動員しなければならないことを明確にした。最低限必要なのは人種差別撤廃のための刑法、民法、行政法にまたがる包括的な立法であり、対抗言論や人種差別に関する教育などでバランスを取っていかなければならないということも説明している。

 そして条約を守るべき主体だが、国際法の原則からすれば、政府とは国の領土全体に責任を負うものを指し、この責任は黙示的に、地方公共団体やそのほかの地方組織、公人に対する責任も負うと当然導かれる。

 また、国内法を国際的な責務を否定するために使ってはならないという原則もある。つまり、国内法が国際的に求められている責務と合致していないのなら、それを果たせるよう国内法を変更していくというのが国際法上の原則だということを付言しておきたい。

|

「時代の正体(36)ヘイトスピーチ考 害悪認識を出発点に」 

「時代の正体(36)ヘイトスピーチ考 害悪認識を出発点に」 

カナロコ by 神奈川新聞 10月22日(水)12時2分配信

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20141022-00107711-kana-l14

 ヘイトスピーチの法規制については表現の自由を制限することへの懸念から慎重論も根強い。師岡康子弁護士はしかし、その害悪の深刻さと放置することの危険性を説く。

 法規制の是非を論じる前に標的とされている在日コリアンが置かれている状況を確認する必要がある。それを踏まえなければヘイトスピーチの害悪は理解できない。本当の深刻さは全体的な差別状況と一体になっていることにあるからだ。

 まず外国籍の在日は出入国管理法で日常的に管理されている。就職差別があり、アパートなどへの入居差別も多い。民族の言葉や文化を学ぶ権利が保障されていない。地方参政権もない。

 つまり生活のあらゆる場面で差別されている。そうした人たちに「それは属性が劣っているから」と烙印(らくいん)を押し、言葉のナイフで突き刺すのがヘイトスピーチだ。

 それは恐怖や心身の不調をもたらすだけでなく、自己を否定させ、社会への絶望を抱かせる。在日は関東大震災で虐殺に遭い、戦時中は性奴隷制度といった、植民地支配に始まる差別を何代にもわたり受けてきた。そうした属性に対する言動による攻撃は相手に何世代もの差別を思い起こさせ、何重もの苦痛をもたらす。

 在日特権を許さない市民の会のメンバーらが有罪となった京都朝鮮学校襲撃事件では、悪(あく)罵(ば)にさらされた子どもの中には今でも日本人に会うだけで体がこわばり、音を流す車に街宣車を思い出しておびえる子もいる。差別デモに遭遇しないよう予定を確認しないと外出ができず、本名も名乗れないなど属性を理由に攻撃を受けないという自由が奪われている。

 さらにヘイトスピーチは差別や暴力を広めて対象者を社会から排除し、最悪の場合、戦争やジェノサイドを引き起こす。1965年に人種差別撤廃条約ができたのもネオナチによりユダヤ人虐殺が再び起こるのではという危機感からだ。

 表現の自由を制限する懸念から法規制に反対する声もあるが、ヘイトスピーチがマイノリティーの表現の自由を侵害していることへの危機感が薄いと言わざるを得ない。言葉の暴力でマイノリティーを沈黙させ、ともに歩もうという人も黙らせる。そうして民主主義を破壊する。

 権力が規制を乱用する危険があるからといって問題を放置するのはおかしい。どんな法律にも乱用の危険性はある。極めて深刻な害悪があるのだから、乱用させない取り組みを進めていくべきだ。

 差別を撤廃させる責任を国家が持つ。それが国際人権法の考え方だ。日本にはそのための法制度がほとんどない。政府はまず、どれほど深刻な状況にあるかのを調査し、差別撤廃政策の枠組みをつくることを出発点にしなければならない。

|

民維、ヘイトスピーチ法規制で協力

民維、ヘイトスピーチ法規制で協力
http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/jnn?a=20141023-00000004-jnn-pol

TBS系(JNN) 10月23日(木)4時13分配信
 民主党と維新の党は、在日韓国人・朝鮮人らを対象に差別的な言動を繰り返す「ヘイトスピーチ」の法的規制に向けて協力していくことで一致しました。

 民主党と維新の党は22日、幹事長と国会対策委員長が出席した会合で、辞任した閣僚2人の説明責任や総理の任命責任の追及について国会で連携していく方針を確認しました。

 また、国連の委員会からも対応を求められている、いわゆる「ヘイトスピーチ」の法規制についても、協力していくことで一致しています。

 「両党とも、ヘイトスピーチは許されるものではない、国際標準に照らしたしっかりとした対応をしなけらばならないという、基本認識が一致していることは確認できた」(民主党 枝野幸男幹事長)

 両党は法案の共同提出も視野に検討を進める方針で、民主党の枝野幹事長は「国際社会から見られている状況を考えれば、できるだけ急ぐべき」という考えを示しました。(22日19:24).
最終更新:10月23日(木)4時13分

|

選択的夫婦別姓、ヘイトスピーチについて質問 仁比聡平参議院議員

仁比聡平参議院議員
http://nihi.nihinet.info/%e9%81%b8%e6%8a%9e%e7%9a%84%e5%a4%ab%e5%a9%a6%e5%88%a5%e5%a7%93%e3%80%81%e3%83%98%e3%82%a4%e3%83%88%e3%82%b9%e3%83%94%e3%83%bc%e3%83%81%e3%81%ab%e3%81%a4%e3%81%84%e3%81%a6%e8%b3%aa%e5%95%8f/

【14年10月16日】
選択的夫婦別姓、ヘイトスピーチについて質問
活動日誌

16日、仁比議員は、参院法務委員会で、選択的夫婦別姓と、ヘイトスピーチについての、松島みどり法相の認識をただしました。

松島みどり法相は、先日の予算委員会でも、選択的夫婦別姓制度の導入について「現時点でできない」と答弁。仁比議員は「これまでの積み重ねを壊しかねない。国連人権機関が勧告しているように、基本的人権の問題だと言う認識はあるか」とただしました。松島法相は「基本的人権にかかわる問題でなく、立法政策上の問題」と答弁。仁比議員は「頭を冷やしてよく考えるべき」と批判しました。

社会的問題となっているヘイトスピーチについて、仁比議員は、政府とりわけ法務省と法相が、社会的批判で包囲する先頭に立つべきと主張。しかし、法務省が啓発活動で発行したポスターが12年60枚、13年965枚ときわめて少なく、内容も抽象的と指摘。松島法相は「問題を的確にとらえてもらえるよう力を尽くす」と答弁。仁比議員はヘイトスピーチは、脅迫や威力妨害など、現行法の枠内でも厳しく責任を追及すべきと主張。松島法相は「刑事事件として取り上げるものは、警察と連携してしっかり対処する」と答弁。また、偏見や差別を流布した公人や政治家には、適切な制裁を求めるべきと主張しました。






|

ヘイトスピーチ対策、デモ許可場所の限定も 自民PT

ヘイトスピーチ対策、デモ許可場所の限定も 自民PT
2014年10月15日20時00分
http://www.asahi.com/articles/ASGBH65HQGBHUTFK00Y.html

 自民党の「ヘイトスピーチ(差別的憎悪表現)対策等に関する検討プロジェクトチーム(PT)」は15日、デモの許可範囲を厳しくすることなど、現行法の範囲での対策を検討するよう警察庁に求めた。

 PTでは、国連人種差別撤廃委員会が8月に日本政府へ勧告したヘイトスピーチ問題に関する最終見解などを検討。終了後、座長の平沢勝栄衆院議員は、同委員会が法規制を求めたことについて「新規立法は表現の自由(の問題)が絡む」と述べ、否定的な見解を示した。

 一方で、ヘイトスピーチを行う団体が警察にデモの届け出をしている点に触れ、「デモを許可する場所を限定するなど、条件が付けられないか、警察も検討してほしい」と述べた。



14/10/2 有田議員

人種差別撤廃議連が行われました。
議題は、人種差別撤廃基本法(仮称)を議連にて協議いたしました。



平成26年10月16日(木)

参議院法務委員会10:00~

|

ヘイト・スピーチ(憎悪表現)に反対しその根絶のため法規制を求める意見書

◆ヘイト・スピーチ(憎悪表現)に反対しその根絶のため法規制を求める意見書

 さる7月8日、大阪高等裁判所は、在日コリアンの子どもらが通学する京都朝鮮第一初級学校の付近に於いて「朝鮮人を保健所で処分しろ」、「スパイの子ども」「日本からたたき出せ」、「ゴキブリ、ウジムシ、朝鮮半島へ帰れ」等大音量で連呼して、在日コリアンに対するいわゆるヘイト・スピーチを行った団体及びその構成員らに対し、これらの行為を差し止める判決を一審に引き続いて言い渡した。

 このようなヘイト・スピーチは近年特に社会問題化しているところである。
 奈良県においても平成2 3年、御所市の水平社博物館前において、差別用語を用いて被差別部落の住民や出身者を差別・侮辱する街頭宣伝行為を行ったことに対し、奈良地方裁判所はこれを差別と認め、損害賠償を命じる判決を言い渡している。

 そのような、社会的状況の中、大阪高裁判決は、ヘイト・スピーチが憲法及び我が国も批准する人種差別撤廃条約の趣旨に照らして許されないと、はじめて明確に判断を出している。一方、国連人種差別撤廃委員会は8月29日、異なる人種や少数民族に対する差別をあおるヘイト・スピーチを行った個人や団体に対して、「捜査を行い、必要な場合に起訴するべきだ」と日本政府に対して勧告したことを公表した。

 よって、政府におかれてはヘイト・スピーチに対し毅然とした立場で臨み、ヘイト・スピーチ根絶のための国内法の整備を進めるよう強く求める。

 以上、地方自治法第99条の規定のより意見書を提出する。

平成26年10月6日            奈良県議会

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ヘイトスピーチ:国内法整備求める意見書 奈良県議会可決
毎日新聞 2014年10月06日 19時02分(最終更新 10月06日 21時48分)

 人種や民族の差別をあおるヘイトスピーチ(憎悪表現)を巡り、奈良県議会は6日、差別を禁止する国内法の整備を国に求める意見書を全会一致で可決した。全国都道府県議会議長会によると、ヘイトスピーチに関する意見書案を都道府県議会が可決するのは初めてとみられる。

 意見書は安倍晋三首相ら宛て。ヘイトスピーチの違法性を認定した今年7月の大阪高裁判決や、政府に法規制を求めた同8月の国連人種差別撤廃委員会による勧告を挙げ、「政府はヘイトスピーチに毅然(きぜん)とした立場で臨み、根絶のため国内法を整備するよう強く求める」としている。

 提案した梶川虔二県議は「奈良は、差別に抗した水平社運動ゆかりの地。口火を切る意味は大きい」と話した。
 ヘイトスピーチ対策を巡っては、東京都国立市議会や名古屋市議会が意見書を国に提出している。【

|

« 2014年9月 | トップページ | 2014年11月 »