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2014年5月に作成された記事

人権侵害救済の法制度確立めざす  公明新聞

人権侵害救済の法制度確立めざす
公明新聞:2014年5月23日(金)付

https://www.komei.or.jp/news/detail/20140523_14045

部落解放の集会で江田氏

公明党同和対策等人権問題委員会の江田康幸委員長(衆院議員)は22日、都内で部落解放・人権政策確立要求中央実行委員会主催の第1次中央集会に出席し、あいさつした【写真】。江田氏は、2012年に閣議決定され国会に提出されたものの廃案となった「人権委員会設置法案」について、「日本の人権法の一里塚となる法律である」と強調。
人権侵害を救済するための法制度の確立に向け、超党派で取り組む決意を語った。





部落解放・人権政策確立要求中央集会で神本副代表があいさつ
2014年05月22日
http://www.dpj.or.jp/article/104421/%E9%83%A8%E8%90%BD%E8%A7%A3%E6%94%BE%E3%83%BB%E4%BA%BA%E6%A8%A9%E6%94%BF%E7%AD%96%E7%A2%BA%E7%AB%8B%E8%A6%81%E6%B1%82%E4%B8%AD%E5%A4%AE%E9%9B%86%E4%BC%9A%E3%81%A7%E7%A5%9E%E6%9C%AC%E5%89%AF%E4%BB%A3%E8%A1%A8%E3%81%8C%E3%81%82%E3%81%84%E3%81%95%E3%81%A4

 部落差別撤廃と人権侵害救済制度の確立などを求める「2014年度部落解放・人権政策確立要求第1次中央集会」が22日、宗教界や労組、人権啓発に取り組む企業、部落解放同盟などでつくる実行委員会の主催により東京の憲政記念館で開かれ、民主党からも多くの国会議員が参加した。

 主催者を代表してあいさつした組坂繁之・部落解放同盟中央執行委員長(写真上)は、「人権、平和、民主主義は人類が命をかけて血と汗と涙の中で闘い取ってきた普遍的価値。どのような困難があろうとも、人権侵害救済の制度を作っていかなければならない。いまやアジア諸国で国連のパリ原則に基づく国内人権機関をつくっていないのは大国では日本と中国、その他では北朝鮮ぐらい。日本はややもすれば人権後進国だと言われている。人権侵害救済法が民主党政権でできなかったことは残念だったが、安倍政権もいつまで続くか分からない。大いに国会を動かして、着実に国内人権機関の設置に向けてがんばろう」などと約600人の参加者に呼びかけた。

民主党を代表してあいさつする神本美恵子副代表

 民主党を代表してあいさつした神本美恵子副代表は、「福岡で小学校の先生をし、2001年に初めて国会に送っていただいく中で、全国の部落解放同盟の仲間の皆さんや部落解放共闘で一緒に運動をしてきた仲間の皆さんに大きなご支援をいただくと同時にたくさんのことを教えられた。部落で育った女性は部落差別とともに女性差別とも闘ってきたこと。部落出身の学校教員の方からは、差別が続いているのは、教育がそれを引き継がせているのだということ。また、障害を持って生まれたがゆえに社会的差別を受ける。こういったものが複合的に重なって、この人権後進国をつくり上げているのだということを教えられた。残念ながら民主党政権では人権委員会設置法案を成立させることができなかったが、あらゆる差別をなくし、人権侵害を受けた人がしっかり救済される制度を作っていくことは私たち政治の世界にいる者の責務だ。皆さんと連携しながら、民主党としても人権委員会設置法、人権侵害救済制度を確立していくことを心からお約束する」などと決意を表明した。
 民主党からは神本副代表のほか江田五月、尾立源幸、林久美子、前川清成、相原久美子、江崎孝、大野元裕、野田国義の各参院議員が参加し、一人ひとり紹介された。

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「 食肉市場のジャンヌ・ダルク 」公演をめぐって 1982年

「 食肉市場のジャンヌ・ダルク 」公演をめぐって 1982年
  故 全解連書記長 中西義雄 

1,いま、なぜとりあげるか
 一九八二年五月六日の津市で始まった俳優座のブレヒト作・岩淵達治訳・千田是也演出「食肉市場のジャンヌ・ダルク」公演は六月三〇日、名古屋・中日劇場での上演をもって終了した。
 ところで、約二カ月にわたる公演は、新劇人はもちろん、これまで新劇に無関心だった人たち、とくに部落問題関係者の注目をあつめた。それは「食肉市場のジャンヌ・ダルグ」劇の出来映えを云々してではない。
 この公演にたいして、「解同」都連品川支部、全芝浦屠場労組など四団体(以下四団体と略す)が、「差別演劇」だと不当ないいがかりをつけて介入、俳優座はこれを受け入れて、四団体との聞に二つの「確認書」をとりかわし、台本の一部を改修し、劇団発行の『コメディアン』紙五月一日付号外に、「今回の俳優座と屠場労組との問題について」の経過報告や劇団代表・千田是也氏の「反省書」などを掲載して、観客に配布するという異例の措置をとることによって、ようやく上演にこぎつけていたからである。
 私たちは、この問題を重視して六月四日、「俳優座『食肉市場のジャンヌ・ダルク』公演にたいする全解連の見解」を発表した。(『解放の道』六月五日号)。・・・

『21世紀を展望した部落解放運動』
中西義雄部落問題著作集第3巻
定価3,500円
1984年8月10日印刷・発行
編者社団法人 部落問題研究所

http://www.net-folder.com/share/?t=kxgzc37kg236ss98ad5d

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平成25年中におけるえせ同和行為実態把握のためのアンケート調査概要

「えせ同和行為」の態様について-アンケート結果に見る「えせ同和行為」の傾向-

http://www.moj.go.jp/JINKEN/jinken86.html

 「えせ同和行為」の具体的な要求としては,機関紙・図書等物品購入の強要,寄附金・賛助金の強要,講演会・研修会への参加強要,下請への参加強要等,様々な形態があります。
 法務省の委託により,公益財団法人人権教育啓発推進センターが全国の9,000事業所を対象として,平成25年中にえせ同和行為による何らかの要求を受けたかについてアンケート調査を行ったところ,回答のあった4,398事業所のうち4.6%に当たる204事業所が要求を受けたと回答しています。
 要求の種類として最も多いのは,「機関紙・図書等物品購入の強要」で,要求の手口としては「執ように電話をかけてくる」との回答が半数以上を占めています。

 ●平成25年中におけるえせ同和行為実態把握のためのアンケート調査概要[PDF]

※この調査は,法務省が,えせ同和行為の実態を把握するため,調査の企画・立案から実施・分析に係る業務を一体として公益財団法人人権教育啓発推進センターに委託して実施しているものです。

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「美味しんぼ 福島の真実篇」

2014-05-04
http://kariyatetsu.com/blog/1685.php

反論は、最後の回まで,お待ち下さい  雁屋 哲

「美味しんぼ 福島の真実篇」、その22で、鼻血について書いたところ、色々なところで取り上げられてスピリッツ編集部に寄れば、「大騒ぎになっている」そうである。

私は鼻血について書く時に、当然ある程度の反発は折り込み済みだったが、ここまで騒ぎになるとは思わなかった。


で、ここで、私は批判している人たちに反論するべきなのだが、「美味しんぼ」福島篇は、まだ、その23,その24と続く。

その23、特にその24ではもっとはっきりとしたことを言っているので、鼻血ごときで騒いでいる人たちは、発狂するかも知れない。

今まで私に好意的だった人も、背を向けるかも知れない。

私は自分が福島を2年かけて取材をして、しっかりとすくい取った真実をありのままに書くことがどうして批判されなければならないのか分からない。

真実には目をつぶり、誰かさんたちに都合の良い嘘を書けというのだろうか。

「福島は安全」「福島は大丈夫」「福島の復興は前進している」

などと書けばみんな喜んだのかも知れない。

今度の「美味しんぼ」の副題は「福島の真実」である。

私は真実しか書けない。

自己欺瞞は私の一番嫌う物である。

きれい事、耳にあたりの良い言葉を読み、聞きたければ、他のメディアでいくらでも流されている。

今の日本の社会は「自分たちに不都合な真実を嫌い」「心地の良い嘘を求める」空気に包まれている。

「美味しんぼ」が気にいらなければ、そのような「心地の良い」話を読むことをおすすめする。

本格的な反論は、その24が、発行されてからにする。

雁屋 哲






『美味しんぼ』福島の真実編に寄せられたご批判とご意見、編集部の見解
http://spi-net.jp/spi20140519/index.html

『美味しんぼ』福島の真実編(全24話)の内容について、皆様から多くのご批判、ご意見を頂戴いたしました。

原作者・雁屋哲氏が作品で提起された福島第一原子力発電所事故による放射能汚染の現状や、低線量被曝による健康への影響などについての問題は、私たちひとりひとりが将来にわたって真剣に考えていかなければならない重要なテーマであると考えます。

作品が取り上げたテーマについての様々なお考えを、特集記事としてご紹介することで、これまでにいただいたご抗議やご批判へのお答えに代えさせていただくとともに、今後の誌面作りに活かして参りたいと存じます。


(ビッグコミックスピリッツ編集部)

『美味しんぼ』福島の真実編に寄せられたご批判とご意見、編集部の見解 [pdfファイル/約2MB]

※この記事は、弊誌25号(5月19日発売号)に掲載された記事と同一です。

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「戦地に国民」へ道 解釈改憲検討 首相が表明

「戦地に国民」へ道 解釈改憲検討 首相が表明
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2014051690071008.html
2014年5月16日 07時10分

集団的自衛権行使を容認する報告書が提出された15日、官邸前には解釈改憲に反対する人々が集まり、「勝手に決めるな」などと声を上げた=東京・永田町で(神代雅夫撮影) 

 安倍晋三首相は十五日、官邸で記者会見し、集団的自衛権の行使を容認する憲法解釈の変更を検討する考えを表明した。これに先立ち、自らの私的諮問機関から解釈改憲を提言する報告書を受けた。集団的自衛権は、自国が攻撃されていないのに武力を行使する権利で、容認は海外の戦場に国民を向かわせることにつながる。解釈変更だけで行使を認めれば、憲法九条は骨抜きになり、憲法が権力を縛るという立憲主義の原則も否定される。戦後日本が守り続けてきた平和主義が揺らいでいる。

 首相は会見で、集団的自衛権の行使を禁じた今の憲法解釈に関し「国民の命と暮らしを守る法整備が、これまでの憲法解釈のままで十分にできるのか、検討が必要だ」と強調。二十日に自民、公明両党による与党協議が始まることを踏まえ「与党協議の結果に基づき、憲法解釈の変更が必要と判断されれば、改正すべき法制の基本的方向を閣議決定していく」と述べた。

 首相は「限定的に集団的自衛権の行使が許されるという考え方について研究を進めていきたい」とも説明。海外での自衛隊の対処が必要な事例として(1)邦人を救出した米艦船を守ること(2)海外で邦人らが武装勢力に襲われたときに、国連平和維持活動(PKO)に参加中の自衛隊員が離れた場所から援護に向かう「駆け付け警護」-の二つを挙げた。

 首相の私的諮問機関「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(安保法制懇)の報告書は、集団的自衛権の行使容認に加え集団安全保障への参加も提言。湾岸戦争時の多国籍軍編成などの事例がある国連中心の武力制裁の枠組みだが、首相は「政府の憲法解釈と論理的に整合しない。採用できない」と明言した。

 与党協議では、離島への武装勢力の上陸など、日本の領土・領海内で本格的な武力攻撃に至らない事態が起きた場合、自衛隊が対処する法整備が必要かを最初に議論。「グレーゾーン事態」と呼ばれ、安保法制懇の報告書にも集団的自衛権とは別に必要性が盛り込まれて、公明党も検討に柔軟な姿勢を示している。

 公明党は、集団的自衛権の行使容認には反対している。首相は八月中の閣議決定を目指していて、公明党の譲歩を引き出そうと限定容認の論法を持ち出したが、同党の態度は硬い。




小松法制局長官退任へ 体調不良、後任人事急ぐ
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2014051501002003.html
2014年5月16日 00時15分

 15日の参院外交防衛委で答弁する小松一郎内閣法制局長官

 政府は15日、小松一郎内閣法制局長官(63)の体調不良を理由に退任させる方針を固めた。政府関係者が明らかにした。安倍政権は集団的自衛権の行使を容認する憲法解釈変更を目指しているが、推進派の小松氏の辞職で作業に影響が出るのは避けられない。政府は後任について、横畠裕介内閣法制次長の昇格を軸に検討を急ぐ。

 首相が設置した「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(安保法制懇)は行使を容認すべきだとする報告書を15日に政府へ提出したばかり。小松氏は15日午後、報告書が提出された直後に官邸で首相に面会した。この場で進退について話し合ったとみられる。

安保法制懇報告書全文:はじめに
http://www.asahi.com/articles/ASG5H04Y1G5GUTFK01Q.html?iref=com_rnavi_arank_nr05

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人権守る第三者機関を ハンセン病市民学会

人権守る第三者機関を ハンセン病市民学会閉幕2014年05月12日

http://kumanichi.com/news/local/main/20140512001.xhtml

人権守る第三者機関を ハンセン病市民学会閉幕の写真、図解
入所者の人権を守る制度について議論を交わすパネリスト=群馬県草津市
 ハンセン病市民学会(事務局・熊本市)の第10回総会と交流集会は11日、群馬県草津町の国立療養所・栗生楽泉園などで4分科会を開き閉幕した。入所者の人権をテーマに討論した分科会では、高齢化した自治会に代わり入所者の人権を守る第三者機関の設置などが提案された。

 同分科会には約80人が参加。邑久光明園(岡山県)の青木美憲副園長が、入所者の要望を医療・介護現場に生かす「ライフサポートチーム」と、療養所運営の中で人権侵害が生じていないかチェックする、外部機関設置の必要性を訴えた。

 同園のソーシャルワーカー坂手悦子さんは「連絡する家族がいない入所者も多い。延命治療や金銭の管理など職員だけでは判断できない問題もある」と指摘。2年前にサポートチームを立ち上げた沖縄愛楽園(名護市)の金城雅春自治会長は、終末期医療に関する希望を事前に聞き取り、病棟ではなく居室でみとりができるよう見直した事例を紹介した。

 このほか、官民一体で患者収容を進めた「無らい県運動」の分科会もあり、熊本県検証委員会の内田博文座長らが登壇した。

 来年の第11回集会は東京で開かれる予定。

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いのちの尊厳取り戻すため闘った 谺雄二さん死去

いのちの尊厳取り戻すため闘った 谺雄二さん死去

編集委員・高木智子

2014年5月12日05時25分
http://www.asahi.com/articles/ASG5C4T10G5CPLZU001.html

 ハンセン病国賠訴訟の勝訴判決からちょうど13年の11日、裁判の先頭に立っていた谺(こだま)雄二さんが亡くなった。完成まで死ねないと語っていた負の遺産「重監房」の再現を見届け、82年の生涯を閉じた。
谺雄二さん死去 ハンセン病原告団協議会長

 断種、堕胎、ホルマリン漬けにされた赤ちゃん……。いのちが軽んじられた療養所で、谺さんは7歳から生きた。「人間らしく扱われなかった。どんなことが行われたか、国は永久に語り継ぐ責任がある」

 2001年5月11日に勝訴を勝ち取った谺さんは、「これからが人間回復だ」と語った。その宣言どおり、自らが住む療養所「栗生楽泉園」にあった監禁施設「重監房」の復元を求める運動に取り組んだ。反抗的とされた入所者が各地の療養所から送り込まれ、23人が命を落とした施設。04年に10万人余りの署名を提出して国とかけあい、資料館の実現に道筋をつけた。

 体は限界だった。09年に左腕を切断し、義手をつけた。時間を惜しんでパソコンに向かい、自由の利かない右手で証言を打った。

 「せっかくライにかかったんだからさ、この経験を役立てようと思ってねえ。このままじゃ死ねないよ」

 資料館の開館式典を2日後に控え、谺さんの出席が危ぶまれた。仲間たちから「これだけ頑張ってきて、出なくていいんかい」と病床で励まされ、「行く」とうなずいた。式典があった先月30日。ストレッチャーにのった谺さんがトレードマークのベレー帽と背広姿で現れた。もう声を絞り出す力は残っていなかった。

 いのちの尊厳を取り戻す。その闘いに全身全霊を捧げた人生だった。

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米NBAオーナー「黒人連れてくるな」

人種差別で永久追放 米NBAオーナー「黒人連れてくるな」

http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/news/CK2014043002000221.html?ref=rank
2014年4月30日 夕刊

 【ロサンゼルス=樋口浩一】米プロバスケットボールのNBAは29日、人種差別発言で問題になっていたクリッパーズのオーナー、ドナルド・スターリング氏に永久追放処分と250万ドル(約2億6000万円)の罰金を科すことを発表した。

 対象となったのはスターリング氏と友人女性との会話。この女性に対し、元レーカーズのスーパースター、マジック・ジョンソン氏らとの交友関係に疑問を呈し、「黒人との交友を吹聴するな、試合にも連れてくるな」などと話している録音テープが芸能専門サイトに公開されていた。

 反響は大きく、クリッパーズのリバース監督はじめ、選手や他球団の現役選手、他球団のオーナー、さらにはオバマ大統領からもスターリング氏への非難の声があがった。

 NBAのアダム・シルバー・コミッショナーは「私は氏の発言に激怒しているし、人々の怒りも理解している」とし、今後はスターリング氏が球団を売却するよう働きかけるという。

 米国で人種差別は大問題だ。セントラル・フロリダ大の昨年の調査によると、NBAの選手の約76%は米国黒人。だが筆頭オーナーは三十球団のうちボブキャッツのマイケル・ジョーダン氏ただ一人である。最近では、あからさまな差別はないにしろ、このような現実があり根は深いのだ。

 スターリング氏は八十歳。不動産業で成功を収め、一九八一年にクリッパーズを買収。現在三十球団の中で最も長い期間オーナーを務めている。クリッパーズは、長らく同じロサンゼルスを本拠とするレーカーズの陰に隠れていたが、昨季初の地区優勝。今季は地区二連覇を果たし、現在プレーオフ一回戦でウォリアーズと対戦している。

◆スポーツ界、問題絶えず

 国内外のスポーツ界では最近、人種差別行為がたびたび問題になっている。

 サッカーのスペイン1部リーグでは二十七日の試合で、バルセロナのブラジル代表DFアウベス選手がコーナーキックを蹴ろうとした際、観客席からバナナが投げ込まれた。黒人選手をやゆする悪質な行為に対し、アウベス選手は抗議の意を込め拾って皮をむいて一口かじった後、そのままプレーを続けた。その後、日本のサッカーJリーグ鹿島のトニーニョ・セレーゾ監督もバナナを食べるパフォーマンスで抗議するなど、波紋は世界に広がった。

 Jリーグでも、三月八日のJ1浦和-鳥栖戦で、外国人への差別を想起させる「JAPANESE ONLY」と記された横断幕が浦和サポーター席に入るゲートに掲げられた。Jリーグは表現が差別的だったとして、リーグ初の無観客試合の処分を浦和に科した。

 男子ゴルフでは昨年五月の欧州ツアー表彰式で、不仲のタイガー・ウッズ選手(米国)と翌月の全米オープンで食事を共にするか問われたセルヒオ・ガルシア選手(スペイン)が「フライドチキンを出すよ」と答えた。欧米では米国南部の黒人を強く想起させる食べ物であるため騒動となった。

◆迅速処分、学ぶべき対応

 スポーツジャーナリストの生島淳さんの話 米国は歴史的に人種問題にナーバスだし、NBAは黒人選手が盛り上げてきた。だからオフレコの場であれショックな発言として受け止められた。ただし、統括団体のNBAが断固たる姿勢で迅速に処分した点は評価でき、学ぶべき対応力といえる。Jリーグ浦和の問題ではクラブ側の試合中の判断が遅かったのは否めない。日本は人種、民族問題にイノセンス(無知)な部分がある。東京五輪のホスト国として各国の文化的背景を理解し、普段から感覚を敏感に研ぎ澄ましていく必要があるだろう。

 <NBAの人種差別発言問題> クリッパーズのオーナー、スターリング氏が友人女性に、黒人を試合に連れてこないよう要求する会話を録音したテープが、芸能専門サイトTMZで公開された。オバマ大統領は26日、「極めて攻撃的な差別発言」と批判。NBAは調査の結果、発言したのがスターリング氏と特定した。

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取り調べ可視化3% 法制審部会試が案

警察 取り調べ可視化3% 法制審部会試が案

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2014050102000118.html

2014年5月1日 朝刊


 捜査と公判の在り方を見直す法制審議会の特別部会が三十日に開かれ、事務局を務める法務省が審議会の最終答申のたたき台になる試案を示した。取り調べの録音・録画(可視化)は原則、逮捕から起訴までの全過程で行うよう義務付けた。しかし暴力団犯罪や容疑者が拒否した場合など録音・録画しなくてよいとする例外も多く、警察については裁判員裁判になる事件でのみ、取り調べを録音・録画すればよいとした。

 録音・録画を義務付ける事件は、A案「(警察、検察ともに)裁判員裁判対象事件」と、B案「A案に加え、全ての逮捕事件での検察官の取り調べ」の二案を併記。答申がどちらの案でまとまっても、警察が録音・録画しなければならないのは裁判員裁判の対象事件だけになる。

 裁判員裁判になる事件は殺人、傷害致死、放火などで、その数は起訴された全ての事件の3%にすぎない。警察に録音・録画を求める事件をこれらに限定した一方で、電話や電子メールを傍受できる犯罪を大幅に追加するなど、捜査手法の強化を認める内容になっている。

 捜査への障害を主張する警察に配慮した形だが、部会委員の一人の村木厚子・厚生労働次官らは原則、警察でも全事件の録音・録画を求めている。特別部会は今後、試案を基に法相への答申をまとめる。法務省は来年の通常国会に関連法案を提出したい考え。

 新たな捜査手法では、現在は四つある通信傍受の対象犯罪を、組織性が疑われる殺人、詐欺、窃盗など十四に拡大。他人の犯罪を明らかにした容疑者に不起訴を約束する「司法取引」、捜査機関が知らない犯罪の重要事実を明かした場合の「刑の減軽制度」などの導入にも触れている。

 録音・録画と並ぶ冤罪(えんざい)防止策として日本弁護士連合会が求めた、捜査機関側の証拠の全面開示では、検察が保管する全証拠のリスト(一覧表)を弁護側に交付する案にとどめた。

 警察の取り調べの問題では、一家四人殺害事件で袴田巌(はかまだいわお)さん(78)の再審開始決定を認めた静岡地裁は、逮捕当時の取り調べを「人権を顧みることがなかった」と批判。捜査機関による証拠捏造(ねつぞう)の疑いも指摘した。

 他の冤罪事件でも、誘導や脅しで自白を迫る警察、検察の取り調べを、司法が繰り返し批判している。

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ハンセン病施設再現 草津・栗生楽泉園

国による人権侵害象徴 ハンセン病施設再現 草津・栗生楽泉園

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2014043002000121.html

2014年4月30日 朝刊

 ハンセン病患者を劣悪な環境で収容した施設「重監房」。かつて全国で唯一、国立ハンセン病療養所の栗生楽泉園(くりうらくせんえん)(群馬県草津町)にあった負の遺産を後世に残そうと、厚生労働省が一部を再現した資料館が三十日、園内に開館する。翌一日から一般公開する。

 重監房は一九三八年に設置。当時、療養所に強制的に入れられ、労働を強いられた患者の反発を抑え込む懲罰施設として使われた。四七年まで九年間、全国の療養所から患者延べ九十三人が送り込まれ、二十三人が房内や房から出た直後などに死亡。四七年に国会で問題になり、廃止された。

 資料館では重監房の一部を実寸大で再現。国による昨夏の跡地調査で見つかった食器や梅干しの種などの遺物、当時を知る人の証言もパネル展示する。

 重監房に関する資料は、元患者たちが持っていた収容者名簿の抜き書きが残っているが、公文書はほとんど見つかっていない。不明な点が多いため、国は学芸員を一人置き、さらに調査を進める。

 国による人権侵害の象徴として後世に伝えようと、元患者や弁護士らが二〇〇三年に「復元を求める会」を作り、〇四年に十万人の署名を同省に提出し、復元を求めていた。

 入館料無料。問い合わせは重監房資料館=電0279(88)1550=へ。

◆寒さ、空腹 心身むしばむ 過酷「重監房」を証言

 「ご飯は、にぎり飯一個分もない。梅干し一個。たまに高菜が二、三切れ」。栗生楽泉園に一九四五年三月から十三年間入所し、当時、重監房に収容された人に食事を運んだことがある元患者の佐川修さん(83)は収容者の人権を無視した過酷な扱いを振り返った。

 具なしの汁物が付いた三食を与えられた一般患者でさえ空腹に悩んだが、収容者の食事は朝、昼の二回だけだった。

 夏は湿気がひどく、冬は氷点下十数度。重監房の劣悪さは全国の療養所に伝わった。「草津送りにするぞ」。職員による患者への脅しがまかり通り、楽泉園でも不服を言う患者は「しばらく頭を冷やすか」と収容をほのめかされた。

 収容の根拠とされた旧らい予防法は収容期間を最長二カ月としていたが、多くはその限度を超え、一年半の収容の末に亡くなった人もいた。厳寒の冬に亡くなる人が多かった。

 佐川さんが食事運びを担当したのは四五年十月から半年間。「長く続いた方。みんな嫌がった」。食事は壁の下の隙間から差し入れた。房内には電球がなく真っ暗。相手の顔も見えない。

 「今日は何日だ」「天気はどうだ」。短い言葉をかけてくる十八歳の男性がいた。ある日、「カラスが迎えに来た」とうわごとを繰り返し、二日後に他界した。収容は一年二カ月に及び、遺体は骨と皮だけにやせ細っていた。「心身ともに追い詰められての死」と佐川さんは思ったという。

 いまは東京都東村山市の国立ハンセン病療養所・多磨全生園(ぜんしょうえん)で暮らす佐川さん。「ハンセン病患者を隔離撲滅する政策の象徴が重監房。できた背景を考えてほしい」とかみしめた。 

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