原爆症認定制度の在り方検討会報告に抗議する
2013年12月4日
声明
原爆症認定制度の在り方検討会報告に抗議する
日本原水爆被害者団体協議会
原爆症認定集団訴訟全国弁護団連絡会
原爆症認定集団訴訟全国原告団
検討会報告は,2013年12月4日,第26回の「原爆症認定制度の在り方検討会」において,日本被団協を代表する委員が強く反対するなかでとりまとめられた。
今回の検討会報告には,検討会が本来法律の改正を伴う認定制度の抜本的な改善を目的していたにもかかわらず,その課題を認定基準問題に矮小化し,司法判断と行政認定の乖離を解決しないまま,現状をより後退させる点に根本的な問題がある。さらに検討会は,日本被団協を代表して参加している委員が強く要請した,「被爆者援護施策の背景には最高裁判所も指摘する国家補償的な配慮がある」という極めて合理的な内容を共通認識として盛り込むことも拒否した。
また検討会報告は,総論にあたる「基本的な考え方」および「むすび」の部分には、被爆者に寄り添う視点に立つ,現行法をより良いものにして行く,司法判断と行政認定の乖離をどのように埋めか考える等の表現が見られるが,各論に至ると上記の理念はまったく具体化されていなどころか,むしろ後退につながる提案となっている。
さらに検討会報告は,行政認定と司法判断の乖離について、「司法と行政の役割の違いから、判決を一般化した認定基準を設定することは難しいとの意見が多数であった」との記述を繰り返し、乖離の解決に真摯に取り組むことも放棄している。
加えて検討会報告は,厚労省の考えている厳格な放射線起因性を要件とすることが多数とし,被団協の提言や判決が放射線の影響を無視しているがごとき誤った認識に立ったうえで,「国民の理解や他の戦争被害との区別」を述べ,結局は現行法の趣旨や裁判所の考え方,ならびに日本被団協の提言を実質的に否定する内容となっている。
私たちは,検討会報告が,再三「放射線起因性が認められる」という表現が抽象的であるとして,一定の距離等の外形的な標準を示すと提言していることに強い懸念を抱いている。上記表現が,検討会報告が非がん疾患の認定要件の明確化の名の下に,現在の認定実務を追認し,非がん疾患の認定をより狭い範囲に限定する方向を示唆してるのではないかと危惧する。
私たちは,現在の科学の到達点であり,また多くの判決も示すとおり,非がん疾患に付けられている「放射線起因性が認められる」という文言を単純に削除し,これによって司法判断と行政認定の乖離を速やかに埋めるべきであると考えている。
以上のとおり,私たち3団体は,今回の検討会報告が被爆者の願いと期待に背く内容となっているので,今回の検討会報告に対し抗議の意思を表明する。
以上
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