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奨学金訴訟 8年で106倍

奨学金訴訟 8年で106倍 専門家「強引な回収、本末転倒」

産経新聞 11月18日(月)15時8分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20131118-00000109-san-soci

 経済的に苦しい学生を支援する独立行政法人「日本学生支援機構」(旧日本育英会)から借りた奨学金の返還が滞り、利用者が訴訟を起こされるケースが激増、昨年度までの8年間で100倍に増えたことが、同機構への取材でわかった。背景には、不景気などにより貸与額が増加する一方で、非正規雇用や失業など卒業後の不安定な就労から返済が困難となっている情勢がある。機構側も対策を講じているが、専門家からは「学生を支援するはずが、強引に返済させるのは本末転倒では…」との指摘も出ている。

 機構によると、訴訟への移行件数は平成16年度で58件だったが、21年度は4233件に急増。24年度は6193件と、16年度の実に106倍に達した。

 奨学金には無利子と有利子の2種類があり、特に有利子分の貸与額も、16年度の4100億円から24年度には8100億円に倍増している。返還が滞ると年10%の延滞金が発生。延滞が9カ月を超えると、機構が簡裁に支払い督促を申し立てる。利用者から異議がなければ財産を差し押さえ、異議があれば訴訟に移る-という流れだ。

 “取り立て”る側の事情もある。機構の関係者は「国の行政改革を通じ、奨学金は金融事業と位置づけられた。民間金融機関からの借入金を返すためにも、回収を強化する必要がある」と説明する。

 一方、利用者側の事情は厳しい。経済的理由などで返済が困難になった場合、支払い猶予を申請できるが、機構によると、卒業後の「経済困難・失業中」による猶予は23年度で9万2157件。生活保護受給による猶予の3843件を合わせると、同年度の猶予件数(10万8362件)の約9割を占めた。

 こうした状況を受け、機構側は24年度から無利子の奨学金について、卒業後の年収が300万円を下回るなど一定要件を満たした利用者の返還期限を定めない方式を導入。文部科学省も26年度の予算要求で延滞利息の引き下げを盛り込んだ。

 奨学金問題に詳しい大阪弁護士会の山田治彦弁護士は、機構側の姿勢を「卒業後も困窮する利用者に対し訴訟を起こしてでも取り立てようとするのは、貧困ビジネスのようでおかしい」と批判。一方、利用者側についても「奨学金がローンだという認識が薄い。返済が行き詰まる前に相談するなど、早期に手を打つべきだ」と指摘する。




奨学金訴訟 280万円借りた生活保護男性「安定収入がないと…」
http://www.iza.ne.jp/kiji/events/news/131118/evt13111816550023-n1.html

 日本育英会(当時)から無利子で奨学金約280万円を借りた大阪府内の男性(35)は、約70万円を返済した段階で生活保護を受給する身となった。来年夏まで返済は猶予されているが、今後も完済できる見通しは立っていない。

 男性は関西の私立大学に入学してから4年間、無利子で毎月5万9千円を借りていた。卒業後は団体職員として働きながら月に約1万5千円ずつ返していたが、4年後に鬱病を患って休職。そのまま退職した。

 症状は改善して現在、IT関連会社で1日5時間のパート勤務を続けるが、それだけでは収入が足りず、生活保護を受給する。残る奨学金は約210万円。月に約1万5千円ずつ払っても10年以上かかる計算だ。

 男性は「自己破産での債務免除も考えたが、(奨学金の)連帯保証人の親族らに迷惑がかかると思って断念した。安定した経済基盤がなければ、きちんと返せるか不安だ」と漏らした。

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