議会はLGBTの雇用差別禁止法案(ENDA)を可決させなければならない
投稿日: 2013年11月06日
http://www.huffingtonpost.jp/barack-obama/enda_1_b_4222615.html
ここアメリカでは、人々が基本的な原理にもとづいて団結している。その原理とは、私たちはみな平等に作られており、すべてのアメリカ国民は法律的見地から平等に扱われるべき存在である、ということである。誰であろうと、懸命に働き、ルールに従って行動するのなら、夢を追いかけ、幸福を追求する機会を与えられるべきである、と私たちは信じる。それがアメリカの約束である。
だからこそ、例えば、アメリカ国民は単に肌の色で解雇されることはないし、キリスト教徒、ユダヤ教徒、女性、そして障害者だからといって、仕事を解雇されることもない。この種の差別は、私たちの国では居場所がない。しかし、現在2013年時点で、多くの州で、単にレズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダーであることを理由にして解雇される可能性がある。
その結果として、何百万人というLGBTのアメリカ国民は毎日、一切の警告もなくいきなり職を失う恐怖に怯えながら仕事をしている。彼/彼女らが何かをしたという理由ではなく、単に彼/彼女らが何者なのかという理由で職を失う。
これは侮辱的なことだ。間違っている。やめさせなければならない。なぜなら、アメリカ合衆国では、あなたが何者なのか、そしてあなたが誰を愛しているかは決して解雇理由としてはならないからである。
これが、議会が雇用差別禁止法案(ENDA)を可決させなければならない理由である。この法律は、差別に対して連邦政府による強力な保護を提供し、性的指向や性同一性を理由にした解雇を明確に違法とする。この法案は、超党派の強力な支持と大多数のアメリカ国民の支持を得ている。これは国の法律にすべきである。
アメリカ国民は職場では、たったひとつの基準で判断されなければならない。それは仕事を行う能力である。あなたを救出してくれる消防士がゲイであったとして、そのことは何か違いをもたらすだろうか? あるいは、あなたの税金を処理してくれる会計士や、あなたの車を修理してくれるメカニックがそうだったとして。毎日懸命に仕事をしている人が問われるべきは、責任を負うこと、信頼できること、良き同僚であることだけである。それだけが問題にされるべきである。
企業は同意している。フォーチュン500大企業と中小企業の大半は既に差別禁止のポリシーを定め、LGBTの従業員を保護している。これらの企業は、雇用差別禁止が正しいことだと知っている。それとともに、経済的にも大きな意味があると理解している。それらの企業は最も優秀な従業員を惹きつけ、確保し続けたいと考えているが、差別はそれを困難なものにする。
私たちの国も同様であるべきだ。より多くの雇用を作り出し、経済を成長させ、グローバル経済のなかで我が国の競争力を維持するためには、みんなが懸命に働き、知恵を出し、能力を発揮して最善を尽くさなければならない。私たちはすべてのアメリカ国民の創造性と才能を活用する必要がある。
だから私はENDAに賛成票を投じるようにと上院を促しており、下院に対しても同じことを説得している。何名かの共和党上院議員は既に法案への支持を表明しており、多くの共和党下院議員もまた同様である。より多くの議員がステップアップしたならば、私たちは今後永久にこの差別を葬り去ることができる。
ENDAの可決によって、近年私たちが遂げた進歩がさらに加速する。私たちはマシュー・シェパード法によりヘイトクライム(人種差別を動機とした犯罪)に対して立ち向かい、また、HIV陽性者の入国規制を撤廃した。私たちは「聞くな、言うな」ポリシー(DADT/Don't ask, don't tell。アメリカ軍による同性愛者を公言することを禁じるポリシー)を終わらせたが、そのことにより、誰を愛しているかに関わらず、勇敢な男女の軍人たちが愛する祖国に後ろめたさがなく仕えることができるようになった。私たちは、連邦政府の補助金を受ける住宅と病院での差別を禁止し、また、LGBTのアメリカ国民に対する保護を含む、女性に対する暴力阻止法(VAWA)を可決させた。
我が政権でいわゆる結婚防衛法(DOMA)を擁護することをやめたし、今年初めには最高裁がその差別的な法律を打ち破った。現在は、結婚したLGBTの夫婦が長らく受給できなかった連邦政府給付金へのアクセスを認めるルールを導入しようとしている。そして国中を通じて、多くの州が婚姻の平等を認識するようになった。LGBTの愛するカップルたちの一部は、何十年も一緒に過ごしてきた末にようやく結婚するに至った。
アメリカは今転換期にある。私たちは、より心を開き、より人を愛する国民になろうとしているし、より公平な国家になろうとしている。しかし、我が国の法律が建国の理念と同等になるまでには、まだ道のりがある。私が2期目の就任演説で述べたように、平等に向けての我が国の旅は、同性愛者の我々兄弟姉妹が、法の下で他の人たちと同じように扱われるようになるまで終わらない。なぜなら、もし私たちが本当に平等に生まれてきたのなら、私たちがお互いに対して誓約する愛もまた、必ず同じように平等でなければならないのだから。
アメリカ全土において、国民はその人が持つ長所によって判断されなければならない。職場や地域社会での貢献によって判断されなければならない。そして、マーティン・ルーサー・キング・ジュニアが「人格の中身によって」と呼んだものによって判断されなければならない。それこそが、ENDAによって私たちが援助できるものである。議会が同法案を可決した暁には、私はそれに署名して法律として成立させる。その結果、私たちの国は今後何世代にもわたって、より公平でより強力になることだろう。
LGBT 【エルジービーティー】
《lesbian、gay、bisexual、transgender の頭文字から》性的マイノリティーであるレスビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダーの総称。
朝日新聞掲載「キーワード」の解説.
「レズビアン」「ゲイ」「バイセクシュアル」「トランスジェンダー」(心と体の性が一致しない)の英語の頭文字をとった総称。身体的に男女の区別が難しいインターセックス、自分の性的指向などに確信が持てない人(クエスチョニング)を加えてLGBTIQと呼ぶこともある。
( 2013-11-05 朝日新聞 朝刊 熊本全県 1地方 )
同性愛者らの雇用差別を禁止する法案、アメリカ上院で可決しても下院が採決を阻止する可能性
http://www.huffingtonpost.jp/2013/11/05/lgbt-enda_n_4221382.html
The Huffington Post
投稿日: 2013年11月06日 08時27分 JST | 更新: 2013年11月07日
アメリカ民主党のハリー・リード上院院内総務(ネバダ州選出)は11月5日、LGBT(レズビアン/女性同性愛者、ゲイ/男性同性愛者、バイセクシュアル/両性愛者、トランスジェンダー/心と体の性の不一致)の雇用差別を撤廃する「雇用差別禁止法(ENDA)」が上院で採決されたら通過するだろうという見通しを示した。しかし問題は下院で、共和党のジョン・ベイナー下院議長が採決に持ち込ませない可能性があることだ。
「今日、ベイナー下院議長が採決を議会に上程しないと表明したことに愕然としている」とリード院内総務は5日朝、下院の議場内で述べた。「昨日、彼はENDAは好ましくないと言った。今日、彼は採決しないとまで言った。ただし、下院で採決まで持ち込まれたら通過するだろう」
ENDAは性的指向や性同一性に基いて雇用差別することを非合法化するものだ。すでに人種、肌の色、性、国籍、宗教、年齢、障害に基づく雇用差別は禁止されている。
4日には、上院で法案成立の主要な手続きが終了し、事実上週の後半で法案が通過することが保証されている。
しかしベイナー下院議長はENDAに反対しており、下院の上級補佐官も法案は採決まで持ち込まれないだろうと述べている。
ベイナー下院議長のスポークスマンであるマイケル・スティール氏は4日発表した声明のなかで、「ベイナー下院議長はこの法案によってささいな訴訟が乱発し、アメリカ国内の企業活動、とりわけ中小企業のコストが増大すると懸念している」と述べている。若干矛盾しているが、スティール氏はまた、ベイナー下院議長が「こうした雇用差別は現行法で対応できると確信している」とも述べている。全米の21州とコロンビア特別区(ワシントンD.C.)では性的指向に基づく職場での差別を禁じる法律を制定しており、多くの企業が独自の方針で雇用差別撤廃を実施ししている。しかし労働者は依然として性的指向による雇用差別にさらされている。連邦法による保護を受けていないからだ。
2013年7月には、政府の会計検査院(GAO)は報告書を提出し、レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーが職場で保護されている州については「性的指向や性同一性に基づく雇用差別への不満は比較的少ない」としている。
「あまり効果のない不十分な州や地方自治体の法律でつぎはぎ的に雇用差別禁止を規定するよりも、連邦法によってすべてのアメリカ人が雇用差別から守られれば、企業や雇用者に対してより雇用差別禁止のルールがより簡素化され、混乱も少なくなるだろう。ベイナー下院議長の『ENDAは企業活動に影響する』という主張は正しくない。冷徹ですらある。性的指向による雇用差別を受けている人たちの悲しみや苦痛を考慮に入れていない。言うまでもないが、彼らは正当な賃金を得られず、生産性も落ちる。職場での差別は毎年起きている」とリード院内総務は述べた。
リード院内総務はTwitterでもベイナー下院議長に対し、彼が懸念している「ささいな訴訟」について攻撃した。ベイナー下院議長は結婚防衛法(DOMA。「一人の男性と一人の女性とによる法的な結合」、「配偶者」を「夫婦である異性の相手」と定義したアメリカの法律。1996年制定)を守るために納税者のお金を使っていたではないか、という主張だ。この結婚防衛法は、2013年6月26日に連邦最高裁で違憲とする判決が下されている。
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