社説[障害者権利条例]差別解消への第一歩に 琉球タイムス
社説[障害者権利条例]差別解消への第一歩に
http://article.okinawatimes.co.jp/article/2013-09-12_53980
2013年9月12日 09時22分 琉球タイムス
ようやくここまでたどりついたとの感慨が深い。障がいを理由とした差別をなくし、社会的障壁を取り除いていくための大きな一歩になることを期待したい。
県は、18日から始まる県議会9月定例会に「障害者権利条例」案を提出する。
条例案は、福祉サービスや医療、雇用、公共的施設や公共交通機関の利用、不動産取引など幅広い分野で「障がいを理由とした差別」を禁じている。
障がいのある人が差別を受けた場合、本人やその家族などが県知事に対して助言、あっせんを求めることができる。これを受けて知事は「差別解消に関する調整委員会」に助言やあっせんを求め、調整委員会があっせん案を関係者に提示する仕組みだ。
なくすべき差別の具体例を示し、なくすための具体的な手法を盛り込んだのが特徴である。
相談員を設置して差別事例の相談に応じるほか、広域相談専門員を任命し専門的な立場から相談員に助言する、などの支援体制も盛り込んだ。
条例化に向けた取り組みを終始リードしたのは、障がいのある当事者たちだった。
障がいのある人たちが中心になって2008年3月、「障がいのある人もない人もいのち輝く条例づくりの会」を結成、11年1月には3万人を超える署名を知事に手渡した。これに応え、県は当事者や福祉関係者らでつくる「障害者県民会議」を立ち上げ、条例化の作業を進めた。
条例案はこれらの人びとの協働作業の結晶である。
■ ■
国連総会が、障がいのある人の権利条約を全会一致で採択したのは06年12月。政府は翌07年9月に同条約に署名した。
07年7月には、千葉県が、障がいのある人に対する差別をなくすための、全国で初めての権利条例を施行した。沖縄県の条例案は、都道府県レベルでは6番目となる。
条例制定を求める運動を後押ししたのは「私たち抜きで私たちのことを決めないで!」という障がい者運動だった。当事者重視、現場重視の考え方は、沖縄県の条例案にも貫かれている。
「障害者県民会議」は各団体から聞き取った640の差別事例を基に議論を重ねたという。条例案に対する意見を公募したところ、約1カ月で198件もの意見が寄せられた。障がいのある当事者や家族らの関心の高さが条例づくりを支え、条例づくりを通して当事者も「リーダーとして育った」(高嶺豊・県民会議会長)のである。
■ ■
沖縄県の条例案は、県議会で可決されれば来年4月に施行される。
6月の通常国会で成立した「障害者差別解消法」は、16年4月に施行される予定である。これによって国連の「障害者権利条約」を批准する環境が整うことになる。
ただし、国が定める指針や施行後の運用次第では、差別解消効果が限定的になる可能性もある。法制度の抜け道や問題点をチェックし、改善につなげていく努力を継続していく必要がある。
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