【障害者差別解消】高知新聞 社説
高知新聞 社説
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【障害者差別解消】共生社会の実現に向けて
2013年05月06日07時53分
政府は、障害者の社会的な障壁を取り除くよう公的機関などに求めた障害者差別解消法案を国会に提出した。
一昨年夏の改正障害者基本法でも、障害を理由とする差別や権利の侵害行為が禁じられた。差別解消法案は、より具体的に公的機関などの役割を定めたのが特徴だ。
また公的機関や民間事業者はもとより国民全体に、障害を理由とする差別の解消を求めた。この考えを多くで共有できれば、国が目指す「共生社会」へ前進することになるだろう。
法案は国連の障害者権利条約批准に向けた最後の国内法整備でもある。権利条約は、建物や交通機関へのアクセス、教育、就職で差別がない立法措置を各国に求めている。
日本は6年前に署名したものの法律が間に合わず、各国より批准が遅れている。障害者の人権をより尊重するのが国際社会の潮流だ。差別解消法案の提出は、世界の仲間入りを果たす下準備がやっと整ったともいえる。
ただし法案の中身では、気になる部分がある。
民主党政権時から検討が始まり、昨年秋に内閣府が法案の骨格を示した。その時点では、例えば車いす利用者用のスロープ設置などは民間事業者にも義務化する方針だった。
ところが、そうした社会的障壁を取り除く配慮義務を負ったのは自治体や学校など公的機関だけとなった。政権交代後の与党協議で、中小零細企業などの負担が指摘され、民間事業者は努力義務にとどめられた。
しかも障壁の除去について、条文では「負担が過重でないとき」と限定するなど事業者側への配慮がうかがえる。同じ文言は、義務を負う公的機関の条文にも盛り込まれている。
確かに、経営的に小さな企業などへの目配りは必要だろう。だが、経営や財政面で「過重な負担」と判断されれば、根本的な障壁の排除はいつまでたっても進まないことになる。
もっとも、どんな障壁を取り除くかなど、具体的な国のガイドライン作りは法案成立後となる。施行後3年で法律を見直す規定もあるが、より実効性がある法律とするためにも、まずは今国会での十分な審議が望まれる。
障害者が住みよい社会は、お年寄りら多くの国民にとっても暮らしやすいはずだ。豊かな共生社会の実現のためにも、この法案の動向を注視したい。
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