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生活保護改定 人権侵害の恐れがある

社説

http://www.hokkaido-np.co.jp/news/editorial/468064.html



生活保護改定 人権侵害の恐れがある(5月23日)

 政府は、生活保護費の不正受給防止などを目的とした生活保護法改正案を国会に提出した。1950年に制度が始まって以来の大幅な変更だ。

 柱の一つが、申請時に本人の資産や収入だけでなく、民法上扶養義務のある親族の扶養状況まで記した文書の提出を義務付けたことである。

 これまで口頭でも認められてきた申請が文書化の義務付けにより、実質的に門戸が狭まる。保護を必要としている人が、門前払いを受けることになりかねない。

 記入が不十分なため、本当に生活に困窮している人が申請できないなら人権侵害の疑いもある。日弁連が会長声明で廃案を求めているのも理解できる。これでは改正ではなく改悪だ。到底容認できない。

 現行法では申請書の記入項目の規定はなく、判例で口頭での申請も認めている。審査に必要な資産状況は自治体が調査するのが原則だ。

 口頭での申請が認められるようになったのも、自治体の中には必要のない書類の提出を求め、申請を断念させた例があったからだ。

 そもそも家族がいても扶養を受けるかどうかは保護の要件ではない。法が改定されれば、受給条件と関係のない親族からの援助の有無なども調べ、記入する必要が出てくる。

 大幅に負担が増えるうえ、申請者に心理的な圧迫感を与える懸念も払拭(ふっしょく)できない。

 資産や収入の有無の裏付けとなる預金通帳などの提出を求められる可能性もあり、路上生活者などは申請そのものが難しくなる。文書の提出を義務付けるべきではない。

 さらに、扶養義務者の収入や資産について、自治体が金融機関や勤務先などに報告を要求できる規定が盛り込まれた。これも大きな問題をはらんでいる。

 昨年、芸能人の母親が保護を受けていることが発覚し、対策を求める声があったためだ。

 扶養義務者の資産調査となれば、プライバシーの侵害もはなはだしい。親族に「迷惑がかかる」と、申請を諦める人も出てくるだろう。

 不正防止が目的なら、ケースワーカーの増員や行政機関同士の連携強化こそが優先されるべきだ。

 受給者は年々拡大し、現在、過去最多の約216万人に達している。資格がありながら申請していない人はその4~5倍に上るとみられる。

 申請のハードルが高くなれば昨年1月、保護を受けずに孤立死した札幌市白石区の姉妹のような悲劇が再発しかねない。

 自立給付金創設も盛り込まれているが、弊害の方がはるかに大きい。慎重な審議を強く求める。

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