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精神障害者雇用義務化

精神障害者雇用義務化

2013年04月26日
http://www.the-miyanichi.co.jp/contents/index.php?itemid=53156&catid=15

差別の解消に大きな前進だ

 事業主などに一定の障害者の雇用を義務付ける障害者雇用促進法の対象に、従来の身体障害者と知的障害者に加え、精神障害者を新たに加えるよう、政府は改正案を今国会に提出、成立を目指す。

 日本では、精神障害者への偏見や差別が根強い。雇用が義務化されると、差別解消に向けた大きな前進となる。

 ハローワークの職業紹介では精神障害者が年間2万件近くに上る。本県でもハローワークを通じて2012年度に採用された852人の障害者のうち、3割以上の281人が診断書を持つ精神障害者だった。精神障害者を受け入れる環境が整いつつあることを歓迎し、さらにその機運を高めたい。

事業者側にためらい

 障害者の法定雇用率は4月から民間企業で2.0%、国と地方公共団体で2.3%、都道府県などの教育委員会で2.2%にそれぞれ0.2ポイント引き上げられた。

 障害者雇用者数は9年連続で過去最高を記録、12年度には約38万人に達した。本県でも従業員56人以上の対象企業612社のうち65.2%に当たる399社で法定雇用率をクリアし、前年度比で4.1ポイントも増加。計1936人が働く。実雇用率は1.96%で全国平均の1.69%を上回り、長引く不況の中で障害者雇用が進んだことは評価できる。

 しかし法定雇用率に算定されている精神障害者保健福祉手帳所持者はおよそ1万6千人。本県でも47人にすぎない。求職は多いが、雇用されるのは一部にとどまっているのが現状だ。

 精神障害者の雇用義務化が遅れたのは「勤務をすぐやめる」など懸念が強く、雇用する側にためらいがあるからだ。しかし、身体障害者も知的障害者も偏見を乗り越え、事業者が受け入れてきた。精神障害者が取り残される状況に早く終止符を打たねばならない。

労働は治療の助けに

 精神障害者の場合、能力はあるが「気分が不安定」「環境に慣れるのが苦手」という困難も伴う。短時間労働を導入するなど、適切に配慮すれば元気に働ける。

 医療の側も問われる。精神障害者の社会進出を促し、希望すれば働けるよう治療に努めるべきだ。病気で休職した人の復職を支援する精神科のリワークプログラムが広がりつつある。偏見の解消と働くことは、治療の手助けにもなると期待できる。

 精神疾患の患者は全国で約350万人。雇用義務化の対象になる精神障害者保健福祉手帳の所持者は60万人を超え、本県でも11年度末で5165人。病名を公表して働く人が増えれば、偏見は減っていくと精神医学の分野でも指摘されているところだ。

 精神障害者の雇用義務化の時期は18年4月で、5年の猶予を設けてある。この間に当事者や事業者を含め社会で真剣に精神障害の問題に向き合い、雇用に積極的に取り組みたい。

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