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2012年11月に作成された記事

ネット掲示板:書き込みへの人権相談

ネット掲示板:書き込みへの人権相談 昨年は3113件

毎日新聞 2012年11月24日 15時00分
http://mainichi.jp/select/news/20121124k0000e040199000c.html

 インターネットの掲示板の書き込みを巡り、法務省の人権擁護機関(地方機関の法務局や地方法務局)が受け付けた人権相談件数が昨年1年間で過去最多の3113件に上り、10年前の約16倍に増えたことが同省人権擁護局の統計で分かった。

 悪質なケースでは、国が被害者本人に代わってプロバイダーや掲示板管理者に削除要請することもできるが、十分に周知されていないため、同局が活用を呼びかけている。

 主な相談内容は、ネット上に実名や住所を書き込まれたり、中傷されたりしたことで、精神的な傷を受けた▽虚偽の情報で社会的信用を失い、どう対処したらよいか困っている−−などというもの。

 同局の統計では、01年の相談件数は191件だったが、その後、増加の一途をたどり、05年に1000件を突破。10年に初めて3000件を超えていた。

 法務局などは、昨年1年間に受け付けた相談のうち、624件は名誉毀損(きそん)やプライバシー侵害に当たる可能性があると判断。うち559件でプロバイダーや掲示板管理者に対する削除要請や発信者情報の開示請求について具体的な方法を助言し、62件で相談者の依頼を受けて、本人の代わりに削除要請した。

 人権侵害を受けた本人の削除要請に応じなかったプロバイダーや掲示板管理者でも、法務局の削除要請には応じたケースも少なくなく、昨年の削除率は同省が把握しているだけで6割を超えているという。

 相談は地元の法務局や地方法務局へ(共通番号0570・003・110)。

【伊藤一郎】

 ◇国の要請で書き込みが削除された例

・自分の娘の氏名と「きもい」「うざい」「嫌われている」などの中傷(北海道の女性)

・自分の氏名と「太っている」「詐欺師」「他人の悪口を言いふらしている」などの中傷(九州地方の40代男性)

・自分の娘の氏名と顔写真、異性との交際歴(東日本の男性)

・自分の氏名と元交際相手が撮影したとみられる性的画像、携帯電話のメールアドレス(東海地方の40代女性)

・自分の氏名と年齢、風俗店に勤務していた過去とその店名(関東地方の30代女性)

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『週刊朝日』の「ハシシタ」緊急連載 報道論理欠き橋下批判にに逆効果

『週刊朝日』の「ハシシタ」緊急連載
報道論理欠き橋下批判にに逆効果

全国人権連機関紙「地域と人権」11月15日号掲載
関係方面に送付しました。

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同和と橋下徹(大阪府知事)

同和と橋下徹(大阪府知事)
http://g2.kodansha.co.jp/1771/1983.html

第6回
同和体験

取材結果を総合すると、次のような経緯ではないだろうか。

橋下の両親は、結婚したものの、八尾の安中地区に住んでいる父方の橋下家と母親のそりが合わない。そこで、いったん両親が東京へ越し、今の知事が生まれた。母親はやがて父親とも別れ、女一人の手で子どもたちを育てるようになる。そして父親が亡くなった後、一家は大阪へ戻って来る。

こうした橋下家の歴史の中で、橋下本人の心に影を落としているのが、自らの同和体験ではないだろうか。父方の親類が同和地区に住み、父親の墓もある。

そんな父親の死について、地元八尾では、自殺説も流れている。先の地元府議は以下のような話をする。

「父親は、八尾の改良住宅に住んではったそうです。同和対策事業の一環として建設された住宅で、そこで亡くなったらしい。普通の死に方ではなく、ガス爆発だったと伝えられます。単なる事故か、あるいは仕事に行き詰って自殺したのではないか、などとも囁かれていました」

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橋下・大阪市長:週刊朝日連載問題 毎日新聞

橋下・大阪市長:週刊朝日連載問題 同和問題への認識が欠落−−山田健太・専修大教授(言論法)

毎日新聞 2012年11月17日 東京朝刊
http://mainichi.jp/select/news/20121117ddm012010160000c.html

 朝日新聞出版と朝日新聞社は、週刊朝日発売から、報道と人権委員会の見解を経て、橋下氏本人への謝罪と厳しい社内処分といった一連の対応を、約1カ月で実施した。これは、本人からの強い要請があったからとはいえ、メディアが自浄作用を発揮したという点では評価したい。司法や行政的な対応では、これほど迅速で実効的な結果は示せなかったと思う。報道機関の自主的な対応が個別救済のための社会的機能を果たしうることを示した例だ。

 一般論で言えば、政治家の資質を問う場合、必然性があればいかなる領域であっても果敢に書くべきだ。2回目以降の連載でそれを示していくつもりだったのかもしれないが、初回の記事では示し得ていなかったのではないか。委員会や社の見解からうかがえるのは、週刊朝日編集部には同和問題を取り上げる際の最低限必要な配慮や出版後に想定される当事者側からの反発を受け止める覚悟が決定的に欠けていたということだ。

 一方、委員会が週刊朝日の記事を朝日新聞と同じ編集・報道の基準で評価したのには違和感が残る。新聞とは別のメディアである雑誌の力を失わせかねないからだ。篠崎充社長代行が見解を受けて出したコメントは、委員会の検証結果をほぼそのまま受け入れた内容だが、もう少しせめぎ合いがあってもよかった。見解を重く受け止めることは当然だが、表現の自由の範囲を自らが狭め、表現の多様性を損ないかねない結果をどう克服するか。重い課題を背負うことになった。(談)





特集ワイド:「打ち切って終了」でいいのか 週刊朝日問題 橋下市長の言い分と識者の見方

毎日新聞 2012年10月25日 東京夕刊
http://mainichi.jp/feature/news/20121025dde012010013000c.html

 「権力の監視」はメディアの仕事だ。ならば、今もっとも注目される政治家の一人であるこの人については、どこまで書くべきなのか。16日発売の週刊朝日に掲載された記事を巡り日本維新の会代表の橋下徹・大阪市長が抗議した一件は「おわび」「連載打ち切り」に終わった。とはいえ、ことは差別問題と知る権利の微妙な境界にかかわる。橋下市長が記者に語った「言い分」と識者の見方を紹介する。【江畑佳明、井田純】

 ◇「文春、新潮は選挙戦の範囲」

 ◇問題は表現取材拒否に疑問/他メディア萎縮/議論深まっていない

 「今回の週刊朝日のやり方は有権者の判断のための情報じゃなくて、要は人格否定、もっと言えば家族抹殺。そういう意図がはっきり見えた」。22日午後5時過ぎ、大阪市内での囲み取材で、橋下氏は改めて同誌を批判した。言葉はさらにエスカレートし、筆者のノンフィクション作家、佐野眞一氏に対して「(佐野氏の)ルーツも暴いてほしい」、朝日新聞全体については、親族への取材方法や謝罪のあり方を取り上げ「人間じゃない」「鬼畜集団」とまで言い放った(後に「事実誤認」と陳謝)。

 橋下氏が「家族抹殺だ」と憤った記事は「ハシシタ 奴の本性」と題した「緊急連載」の1回目。佐野氏と週刊朝日の記者2人が「本誌取材班」として名を連ねる。同和地区名を具体的に記述し、さらに橋下氏の実父の縁戚者のインタビューや家系図を掲載。実父が暴力団関係者だったなどと書いている。橋下氏は「一線を越えている」「血脈主義、ナチスの民族浄化主義に通じる極めて恐ろしい考え方」と激怒し、朝日新聞などの取材を一時拒否。週刊朝日が23日発売号で河畠大四編集長名の「おわび」を載せるに至ったのは周知の通りだ。

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 一つの疑問がある。橋下氏の生い立ちや父親の人物像などについては、大阪府知事だった橋下氏が大阪市長選にくら替え出馬しようとしていた昨年10月、「新潮45」「週刊文春」「週刊新潮」が既に報道している。この時、橋下氏はツイッターなどで<バカ文春><バカ新潮>と罵倒する一方、<直接僕に質問してこい。いくらでもその機会は作る>と呼びかけ、選挙戦に入ると「結構毛だらけだ!」とネガティブキャンペーンを逆手にとった。

今回の朝日への対応とは「温度差」があるように感じる。再び22日の囲み取材。その点を橋下氏自身にぶつけた。「僕はこういう立場ですから一定の情報が出ることは仕方がないと思ってます。(大阪市長選という)選挙戦において公人たる人物を判断するうえで、先祖だったり親を出すということは一定の範囲だったらありうる。文春、新潮だって落としてやろうという意図があったのは間違いないが、まあそれは、選挙戦の範囲の中で、有権者にそういう情報を提供するという……(略)頭にくるけど、まあ選挙戦」

 週刊朝日の記事で、佐野氏は<この連載で橋下の政治手法を検証するつもりはない>と断りつつ<もし万々が一、橋下が日本の政治を左右するような存在になったとすれば、一番問題にしなければならないのは、敵対者を絶対に認めないこの男の非寛容な人格であり、その厄介な性格の根にある橋下の本性>と、両親やルーツを調べることの“正当性”を主張してはいる。

 橋下氏はこう続けた。「文春、新潮の時にああいう抗議で収めたから、週刊朝日が調子に乗ったということがあるかもしれない。文春、新潮への態度も、もう一回考えなきゃ」

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 大阪府在住の作家、高村薫さんは週刊朝日の記事を読み、<この男は裏に回るとどんな陰惨なことでもやるに違いない>といったどぎつい表現に「ぎょっとした」と語る。

 「昨年の週刊誌の報道については、知事という職についている以上、出自について書かれるのは仕方がないと思いましたが、今回の連載は必要以上に個人を侮辱するものです。そもそもタイトルからして、あえて『ハシシタ』などと呼ぶ必要があるのか。橋下市長が怒るのは理解できます」

 「同和地区が特定できるように表記した部分は確かにひっかかるし、問題だ」と指摘するのは、立教大メディア社会学科の服部孝章教授だ。河畠編集長自身、今週号の「おわび」で<ジャーナリズムにとって最も重視すべき人権に著しく配慮を欠くもの>だったと認めている。

 しかし、「連載中止」という週刊朝日の判断が正しかったかどうかは別途、検証すべきテーマだろう。「記事内容が不適切だったのであれば、わびるべきはわび、正すべきは正すとしても、連載自体までやめる理由はない。政党の代表ともなればいろんなことを書かれるのは当然で、表現さえ気を付ければ、正当な取材に基づくノンフィクションとして継続してもよかった。いろんな力が働いたとしか思えない」と高村さんは言う。

 服部教授は「週刊朝日の対応を“潔い”と評価すべきではありません」と強調する。

「連載1回目の冒頭、日本維新の会の旗揚げパーティーの模様を描いた部分などは内実をよく描写しており、興味深く読みました。2回目以降、まだ知られていない事実が明らかになったかもしれないのに、それが書かれなくなってしまった。国民の知る権利に資すべき報道をやめてしまったということです。抗議を受けて謝罪、連載中止に追い込まれたことで、他のメディアまで萎縮してしまう。橋下氏個人の周辺報道がしづらくなるといった悪影響を懸念せざるを得ません」

 連載中止の真意を朝日新聞出版に尋ねたが「(不適切な表現で人権に著しく配慮を欠いたなどとした)『おわび』が全て」との答えだった。

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 かたや橋下氏が、週刊朝日の発行元の朝日新聞出版のみならず親会社の朝日新聞社にも矛を向け、「見解を聞くまでは質問に答えない」と同社や関連の朝日放送の取材を拒んだことには「恣意(しい)的な取材拒否を招きかねない」との批判がある。「週刊誌と新聞は別媒体。坊主憎けりゃけさまでというのはどうか。ご本人は弁護士なのですから、取材拒否ではなく、出版差し止めの仮処分申請など法的手段を取るべきでしょう。裁判だと時間がかかるというのは理由にならない。市長のようにメディアを集めることができない一般の人であれば、それ以外の手段がないのですから」(高村さん)

 メディア批評誌の月刊「創」編集長・篠田博之さんは「この件で『被差別部落問題に触れると何となくまずい』という空気だけが残る事態は避けるべきだ。週刊朝日が何に謝っているのかがあいまいなため、議論が深まっていないことが最大の問題です」と語る。

 首相に望む声さえあるとびきりの「公人」橋下氏。今回の騒動が、有権者の「判断」の材料になることは間違いなさそうだ。

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全国人権連第5回定期大会開催(2012.11.17-18 さいたま市)

http://zjr.sakura.ne.jp/?p=787

1,新たな役員の選出 yakuin.pdf

2,「地域人権憲章」採択 kensilyou.pdf

3,大会宣言採択  sengen.pdf

4,特別決議「国政選で真の革新勢力を勝利させよう」採択 ketugi.pdf

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16日解散! by 城内 実


http://www.m-kiuchi.com/2012/11/15/%e2%97%8e%e3%80%80%e6%94%bf%e3%80%80%e6%b2%bb%e3%80%80%e2%97%8e%e3%80%80%ef%bc%91%ef%bc%96%e6%97%a5%e8%a7%a3%e6%95%a3%ef%bc%81/

◎ 政 治 ◎ 16日解散!

2012年11月15日 07:32 by 城内 実

 ついに野田総理が解散を決断した。遅きに失したくらいだがまずは歓迎する。
 ただ、野田総理が政権延命のため、今行われている日朝協議やTPPなどが急展開し、外交面で得点を稼ぐというようなことがあるような気がしてならない。相手国も野田政権が存続している内に駆け込みたいという思いがあるだろう。
 それにしても、来週火曜日に予定されていた法務委員会で一時間ほど時間をいただいて滝法務大臣に人権委員会設置法案について質問する予定だったが、法務委員会もこれでほぼ開かれないことが決まり、人権委員会設置法案の審議入りもなくなった。なんとかなったという感じだ。

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法務大臣閣議後記者会見の概要11月9日

法務大臣閣議後記者会見の概要
平成24年11月9日(金)
http://www.moj.go.jp/hisho/kouhou/hisho08_00358.html

 今日の閣議では,当省関係は2件あります。1件目は,人権委員会設置法案,人権擁護委員法の一部を改正する法律案について,今国会で提出することを閣議決定しました。2件目は,質問主意書です。田中前法務大臣の国会欠席問題及びいわゆる東京電力女性社員殺害事件で無罪が明らかになったことについての質問に対する答弁書を提出しました。人権委員会設置法案について申し上げますと,御承知のとおり,本年9月19日に,法案の内容について既に閣議決定しているところでして,そのときから,国会に提出する際には改めて閣議で決定するということでした。今国会は,大変厳しい状況ですのでどうなるか分かりませんが,この法案の審議入りを促進していくように努めていきたいと思っております。
人権委員会設置法案を国会提出することに関する質疑について
【記者】
 人権委員会設置法案の提出が閣議決定されたということですが,法務省としてこの法案の成立に向けた見通しや審議入りの促進に向けた取組というのはどのようなものをお考えですか。
【大臣】
 人権委員会設置法案の提出には長い歴史があることは,御承知のとおりです。まず平成14年に当時の政府が国会に提出しましたけれども,平成15年の衆議院解散選挙で廃案になりました。それを受けて,直ちに国会に提出すべく,法案の取りまとめをしましたが,そこまでに至らずに終わってしまいました。これが自民党政権時代の経緯です。また,それを受けた格好で,平成17年の小泉元総理大臣の解散総選挙の前に,民主党がこの法案を取りまとめて国会に提出しましたけれども,小泉内閣の衆議院解散に伴って,これも廃案になったということでして,そういう意味では,自民党時代から続いてきたこの法案の必要性を継承して,ようやく閣議決定をし,取りまとめに至ったということです。10年振りに政府として国会に提出する運びになったということの重みというものを感じながら,国会の審議入りを期待していきたいと思っています。
【記者】
 人権委員会設置法案について,大臣は先ほど審議入りを促進していきたいとお話されていますが,法案の成立というのは,やはり相当難しいという認識に立っての御発言ということでよろしいのでしょうか。
【大臣】
 国会が始まった段階では,まずは審議入りの指し手争いに少し時間が取られますので,なるべくこれを法案審議の中で取り上げてもらうということがまずは第一歩という意味で申し上げました。
【記者】
 法案の内容と国会提出を二度に分けて閣議決定するということは,非常に珍しいケースであると思うのですが,なぜ二度にわたって決定する必要があったのかを改めて説明していただけますか。
【大臣】
 法案の内容を決める閣議決定が通常国会閉会後であり,次の臨時国会がどういうような時期に開かれるかということは,まだペンディングの状態でした。ルールがあるわけではありませんが,従来の慣行に倣って,改めて国会提出のための閣議決定が必要ということで二度に分けられたということです。
【記者】
 臨時国会では,特例公債法案がやっと審議入りしたような状況ですけれども,今後の成立の見通しというのはいかがでしょうか。
【大臣】
 今後,国会がどういう展開をするかということは,今の段階で何とも言えませんが,ともかく審議入りを目指して努力をしたいと思っております。

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定数削減実現に道筋なら16日解散…野田首相

定数削減実現に道筋なら16日解散…野田首相

2012年11月14日(水)15時40分配信 読売新聞

http://news.nifty.com/cs/domestic/governmentdetail/yomiuri-20121114-00898/1.htm

 野田首相は14日の党首討論で、衆院の定数削減について実現の道筋が付くならば、16日に衆院を解散する考えを表明した。

 自民党の安倍総裁に対し、定数削減への協力を求める中で明らかにした。首相はまた、赤字国債発行に必要な特例公債法案に関しても、16日までに成立させるよう求めた。

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法務委員会と人権委員会設置法案 by 城内 実

法務委員会と人権委員会設置法案

2012年11月13日 20:09 by 城内 実

http://www.m-kiuchi.com/2012/11/13/houmuiinnkaigakaikai/

 本日、今国会初の法務委員会が開催された。
 委員会に先立つ理事会の場で、私は人権委員会設置法案および人権擁護委員法の一部を改正する法律案について、国民の理解が十分に得られていないなかでは、きわめて慎重な扱いが必要である。これからも時間をかけて議論することが必要であり、今国会で性急に審議、採決をするようなことがあってはならな旨、しっかりと申し上げた。
 平岡秀夫法務委員長はじめ、辻恵理事はじめ与党は聞きおくという対応だった。
 なお、そのあとの所信聴取において滝実大臣より以下のような言及があった。

「七 人権救済のための体制整備等」というくだりで、大臣は、「今国会においては、人権委員会を設置すること等により、人権の擁護に関する施策を総合的に推進する『人権委員会設置法案』及び『人権擁護委員法の一部を改正する法律案』を提出しております。十分に御審議の上、速やかに成立させていただきますようお願いいたします」、と述べた。

 審議するかしないかを決めるのは、国会、さらに直接的にいえば、委員会の理事会の場である。今般の政情にかんがみて、よもや与党民主党が強引に審議入りし、強行採決などということはないと信じたいが、そういったことがないよう、私は野党自民党理事として、引き続き重大な関心をもって最優先で取り組んでまいりたい。

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人権救済法案審議入りを断念 政府・民主党

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/121112/plc12111223540004-n1.htm

人権救済法案審議入りを断念 政府・民主党
2012.11.12 23:51 [民主党]
 政府・民主党は12日、人権侵害救済機関「人権委員会」を法務省の外局として新設する「人権委員会設置法案」(人権救済法案)の今国会での審議を断念する方針を固めた。法案に反対する自民党を押し切る形で審議入りすれば、特例公債法案をめぐる与野党修正協議に影響が出かねず、今国会成立は困難と判断した。

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週刊朝日の橋下徹・大阪市長連載記事に関する佐野眞一氏のコメント

http://publications2.asahi.com/3.html

 「週刊朝日」10月26日号に掲載した橋下徹・大阪市長をめぐる連載記事に関し、第三者機関「朝日新聞社報道と人権委員会」が見解を表明したことを受け、本日12日、佐野眞一さんがコメントを出されました。佐野さんからの依頼を受け、当社ホームページに掲載いたします。


朝日新聞出版

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見解とお詫び


 報道と人権委員会の厳しい評価と重い処分が出たことを深刻に受け止めています。この件に関する私の意見を申し述べたいと思います。
 まず初回で連載打ち切りの事態になり、日本維新の会代表の橋下徹氏を通じて現在の未曾有の政治的停滞状況と言論の置かれた危機的状況を描きたいという筆者の真意が読者の皆様にお伝えできなかったことが残念でなりません。 人物評伝を書く場合、私には鉄則があります。テーマとする人物の思想や言動は、言うまでもなく突然生まれたわけではありません。
 生まれ育った環境や、文化的歴史的な背景を取材し、その成果を書き込まなくては当該の人物を等身大に描いたとはいえず、ひいては読者の理解を得ることもできない。それが私の考える人物評伝の鉄則です。 ましてや公党の代表である公人中の公人を描く場合、その人物が生まれ育った背景を調べるため、家族の歴史を過去に遡って取材することは、自分に課したいわば私の信念です。
 取材で得た事実をすべて書くわけではありませんが、取材の自由は保障されなければなりません。それが許されなければ、まさに言論と表現の自由の危機です。
 こうした手法を取るのは、当該の人物を歴史の中に正確にポジショニングして描くためであって、差別や身分制度を助長する考えは毛頭ありません。
 しかしながら、ハシシタというタイトルが、不本意にも橋下氏の出自と人格を安易に結び付ける印象を与えてしまい、関係各位にご迷惑をかけてしまいました。
 人権や差別に対する配慮が足りなかったという報道と人権委員会のご指摘は、真摯に受け止めます。また記述や表現に慎重さを欠いた点は認めざるを得ません。
 出自にふれることが差別意識と直結することは絶対あってはならないことです。差別に苦しめられながら、懸命に生きてきた心から尊敬できる人は数多くいます。
 そのことが重々わかっていたつもりだったにもかかわらず、それら心ある人たちのひたむきな努力や痛みに思いを致せない結果となってしまいました。
 私の至らなかった最大の点は、現実に差別に苦しんでおられる方々に寄り添う深い思いと配慮を欠いたことです。その結果、それらの方々をさらなる苦しみに巻き込んでしまったことは否めません。 今後はこのようなことがなきよう、慎重な上にも慎重な記述を心がけます。関係者の皆様にご迷惑をおかけしたことを深くお詫びいたします。

2012年11月12日 佐野眞一






「報道と人権委」の見解、橋下市長に報告 朝日新聞出版

http://www.asahi.com/national/update/1112/TKY201211120201.html

 橋下徹・大阪市長を取り上げた「週刊朝日」(10月26日号)の連載記事をめぐり、同誌を発行する朝日新聞出版は12日、大阪市役所で橋下氏に対し、朝日新聞社の第三者機関「報道と人権委員会」の見解などを手渡し、改めて謝罪した。同出版の神徳英雄社長が辞任し、篠崎充取締役を社長代行とする人事も決めた。

 見解は「見出しを含め、記事は橋下氏の出自を根拠に人格を否定するという誤った考えを基調とし、人間の主体的尊厳性を見失っている」などと指摘した。

 これを受けて、同出版は(1)記者の人権研修の徹底(2)記者規範研修の徹底(3)発行人と編集人の分離――などを柱とする再発防止策を発表した。


週刊朝日の橋下徹・大阪市長連載記事に関する「朝日新聞社報道と人権委員会」の見解等について(1)

http://publications2.asahi.com/index.html

 弊社発行の「週刊朝日」10月26日号に掲載した、橋下徹・大阪市長をめぐる連載記事の件につきまして、以下の通りお知らせいたします。

 弊社は9日、第三者機関「朝日新聞社報道と人権委員会」から、橋下市長をめぐる連載記事についての「見解」を受け取りました。同見解では、記事について「出自を根拠に人格を否定するという誤った考えを基調にしている」といった根幹にかかわる指摘を受けました。こうした見解を踏まえて、今後の再発防止策などを盛り込んだ「報道と人権委員会の見解を受けて」を作成し、記事掲載と事後対応の「経緯報告書」とあわせ、本日12日、大阪市役所で橋下市長にご説明し、改めておわびしました。

 なお、これに先立ち、本日12日に開催した弊社臨時取締役会で、代表取締役社長・神徳英雄(こうとく・ひでお)の辞任と、その後任として、取締役・篠崎充(しのざき・みつる)の代表取締役社長代行への就任を決めました。また、前週刊朝日編集長の河畠大四(かわばた・だいし)について、停職3ヵ月及び降格とする処分を決めました。このほか、本件記事を担当した副編集長を同じく停職3ヵ月及び降格、弊社の雑誌部門の責任者である雑誌統括兼コンプライアンス担当を停職20日とする、計3人の懲戒処分を決めました。こうした一連の人事・懲戒処分なども合わせて橋下市長にお伝えしました。

また、今回の件に関する弊社のコメントは以下のとおりです。

 『「報道と人権委員会」から、今回の記事について「出自を根拠に人格を否定するという誤った考えを基調にしている」との根幹に関わる指摘を受けました。差別や偏見と闘うことを使命とする報道機関として、深く反省しております。神徳英雄社長は事態を重大に受け止め、すべての経営責任を負って本日、辞任しました。今後は社員の人権教育を徹底し、読者の信頼回復に努めます。』


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週刊朝日の橋下徹・大阪市長についての連載記事に関する、朝日新聞社報道と人権委員会の見解


2012年11月9日

朝日新聞社報道と人権委員会
委員 長谷部恭男
委員 藤田 博司
委員 宮川 光治


1.当委員会の調査の経緯と見解の要旨
 当委員会に対し委員藤田博司から,本年10月20日,週刊朝日10月26日号掲載の標記記事(以下「本件記事」という。)に関して,重大な人権侵害,及び朝日新聞出版記者行動基準に触れる行為があると判断されるので当委員会で取り上げることが相当であるとする問題提起があった。また,株式会社朝日新聞出版(以下「朝日新聞出版」という。)から,10月24日,今後の再発防止策等を検討するため記事の内容や作成過程,批判を招いた事態などについて見解を示すよう要請があった。当委員会は調査を開始した。まず,朝日新聞出版より企画段階から取材・報道,連載中止に至るまでの経緯について報告書の提出を受けた。次に,本件記事の取材・報道に関わった週刊朝日編集部(以下「編集部」という。)の河畠大四編集長(以下「編集長」という。),デスク,記者,雑誌部門の責任者である雑誌統括ら及び筆者であるノンフィクション作家・佐野眞一氏から聞き取りを行った。11月3日,委員会を開催し,朝日新聞出版から詳細な説明を受けたうえで,編集長,デスクらのほか佐野氏からもあらためて説明を聞いた。そして,以上の調査の結果を踏まえて審議し,以下の通り本見解をまとめたものである。

(当委員会の見解の要旨)
 本件記事は,橋下徹・大阪市長(以下「橋下氏」という。)についての人物評伝を意図したものであり,10回から15回を予定した連載の第1回分であるが,見出しを含め,記事及び記事作成過程を通して橋下氏の出自を根拠にその人格を否定するという誤った考えを基調としている。人間の主体的尊厳性を見失っているというべきである。そして,部落差別を助長する表現が複数個所あり,差別されている人々をさらに苦しめるものとなっている。また,各所に橋下氏を直接侮辱する表現も見られる。さらに記事の主要部分が信憑性の疑わしい噂話で構成されており,事実の正確性に関しても問題がある。
 以上は,報道を通じて差別や偏見などの不当な人権抑圧と闘うことを使命の一つとし,正確で偏りのない報道に努めなければならない報道機関として,あってはならない過ちである。本件記事の作成及び掲載に携わった者たちは差別に対する認識及び人権への配慮を欠いていたというべきで,編集部におけるチェック体制が的確に機能していないという問題も存在している。
 また,企画段階からタイトルの決定,表紙の作成,情報収集,原稿チェック,おわびの掲載まで編集部が主体になり,佐野氏は編集部の意向を受けて取材・執筆活動をしており,問題の責任は全面的に編集部側にある。ただし,佐野氏も人権や差別に対する配慮の足りない点があったと思われる。
 以下,企画から掲載後の対応に至る経緯を検討し,そこにおける問題点を指摘する。

2.企画段階での問題
 この連載企画は,本年春頃,編集部において,編集長の提案により将来の首相候補とも言われる橋下氏の人物評伝として検討され,編集部の「目玉企画」として部数増対策の一環にも位置づけられた。編集長は外部の作家に執筆を依頼した方がよりインパクトの強い記事ができると考え,ノンフィクション作家として多くの実績があり孫正義ソフトバンク社長の評伝『あんぽん』を上梓した佐野氏が適任であると判断し,同氏と親交があるデスクに本企画を担当させた。担当デスクは,『あんぽん』と同様の手法で,橋下氏の人物を描くことはもちろんのこと,家族の視点で日本の社会史を描くというスケールの大きい作品をイメージした。
 デスクは佐野氏と話し合い,企画の狙いとして概ね次の3点を説明し,単なる人物評伝にとどまらず,各視点を総合した作品とすることに関して佐野氏の同意を得た。①橋下氏を知る多くの人たちの証言を得て橋下氏の人物像に迫り,それが彼の政治姿勢や政治思想とどう関わるのかを探る。②橋下氏の巧みなマスコミ操作を検証し,他方,メディアに今何が起きているのかを考える。③ツイッターを多用する橋下氏の手法を通じて,政治とネット社会を探る。担当デスクは,①との関連で,橋下氏の政治信条や人格に出自が投影しているであろうとの見方に立ち,出自について書くべきだと考えていた。それが差別を助長することにならないかという点に関しては,橋下氏は公人中の公人であり,知る権利,表現の自由からもその名誉及びプライバシーは制限されること,その人物の全体像を描くこととの関連で取材の対象に家系を構成する人々を入れることは必然であることから,表現することは可能であると考えた。
 6月末頃から,記者2人が取材活動を開始した。9月半ばまでに,橋下氏の親戚,各地の知人,維新の会議員,関西政界関係者,部落解放同盟関係者,郷土史家ら,60人近い人々に取材した。9月中旬には数日,佐野氏も取材に出向いた。9月20日頃,デスクは佐野氏から構想について書かれたペーパーを受領し,説明を受けた。2回目までは父親の話,3回目,4回目は母親の話,5回目以降は橋下氏の中学・高校時代,弁護士時代,知事時代,市長時代と続き,各回においてマスコミ論やツイッター社会論に触れるという構想であった。10月初め,10月16日発売の10月26日号から連載を開始することが決定した。
 以上の経緯によれば,本企画は,多様な視点を含みつつも,差別や偏見を助長する危険の伴う極めてセンシティブな内容であったことが認められる。したがって,本企画については,その狙いの当否,各視点の相互関係,手法,表現のあり方等について,社内において慎重に議論すべきであった。しかし,これらを検討する資料となる企画書はなく,レジュメもコンテもない。佐野氏が示した連載展開の概要像も編集部で検討した事実はない。本件は,企画の段階において,慎重な検討作業を欠いていたというべきである。

3.タイトルの決定及び本件記事の問題
 9月23日頃,担当デスクと佐野氏が打ち合わせる中で,デスクは孫正義氏に関する評伝が,孫氏の通名であった「安本」からとった「あんぽん」というタイトルであることにも影響され,また,すでに週刊朝日(8月17日,24日合併号)で,橋下氏の父が「ハシシタ」姓を「ハシモト」に変えたと報じていたこともあり,連載のタイトルをもともとの呼び名である「ハシシタ」とすることを思いつき,佐野氏に提案した。佐野氏はこれを了承した。
 氏名はその人の人格を表象するものであり,氏名権は人格権の一つとされている。一般に,氏名と異なる呼称をことさらに用いることは,人格権を侵害することにもなりかねない。本件では,「ハシシタ」とことさら呼称することに,読者は橋下氏に対する侮蔑感情を読み取ると思われる。また,「奴の本性」というサブタイトルの「奴」「本性」という言葉にも橋下氏への敵対意識,侮蔑意識を窺うことができる。それらが大きなタイトル文字として表紙を飾っていることが,一層,敵対・侮蔑の度合いを強めている。なお,表紙の作成には佐野氏は関与していない。
 表紙の「DNAをさかのぼり 本性をあぶり出す」といった表現を含め,本件記事全体の論調から,いわゆる出自が橋下氏の人柄,思想信条を形成しているとの見方を明瞭に示している。人物像を描く際に,出自をたどる取材をすることはあり得る。しかし,極めて慎重に報道することが求められる。出自が人格と何らかの関連を有することがあり得るとしても,それは人格を形成する非常に多くの要因の一つにすぎないのであって,決定的要因とはなり得ないものである。出自と人格を強く関連づける考えは,人間の主体的な尊厳性を見失っており,人間理解として誤っているばかりか,危険な考えでもある。なお,家系図を掲載しているが,こうした流れに照らすと橋下氏が家系(血筋)に規定されているという前提での参考図と位置づけられているとも理解でき,極めて問題である。
 本件記事の主要部分は,「大阪維新の会」の旗揚げパーティーに出席していた正体不明の出席者と,縁戚にあたるという人物へのインタビューで構成されている。彼らの発言内容は,橋下氏の親族に関する話であり,橋下氏の出自につながる部分であるが,噂話の域を出ていない。前者は発言自体から信憑性がないことが明白である。後者はその信憑性を判断する手がかりが読者にはまったく提供されていない。人権に関わる伝聞事実については裏付け取材をすることが基本であるが,本件記事ではそうした裏付け取材がなされていることを読み取ることができない。
 本件記事には被差別部落の地区を特定する表現がある。朝日新聞出版記者行動基準には「報道を通じて,民族,性別,信条,社会的立場による差別や偏見などの人権侵害をなくすために努力する。」とあるほか,報道の取り決めにも「人権を守る報道」に関する基本的な考えが示されている。また,取り決めには,具体的に「被差別部落の場所が特定されないよう十分配慮する。」と明記されてもいる。本件記事は,これらに明白に違反している。

4.記事チェック段階での問題
 10月9日夕刻,本件記事の原稿が佐野氏から担当デスクの手元に届いた。デスクと2人の担当記者は読んだが,編集長の手元に原稿が届いたのは12日昼頃であった。遅れた理由について,デスクは「原稿には秘匿すべき情報提供者らの名前が入っており,そのままでは渡せなかった」と言っている。しかし,編集長は当然すべての情報源を知るべき立場にあり,編集部の責任者にデスクが情報源を伝えないという考えは誤りである。
 原稿を読んだ編集長は,部落差別に関連する文章上の問題点をデスクにいくつか指摘し,同時に,雑誌統括に当該原稿をメールで転送した。折り返し雑誌統括は「こんなことを書いていいと思っているのか。掲載できると思っているのか」と編集長と電話で激しくやり合った。雑誌統括からの依頼で原稿を読んだ他部門の社員からも,原稿には多数の問題があるという指摘があった。12日夕刻にも雑誌統括の依頼で原稿を読んだ雑誌編集の経験が長い社員は,「出自が悪い者はろくなやつがいないという考えそのものが誤りだ。完全な差別表現であり,これはダメだ。」という意見を述べている。雑誌統括はこうした意見を編集長に伝え,編集長は,デスクに佐野氏と交渉して直しを検討するよう求めた。佐野氏は当日,テレビのゲストコメンテーターとしての仕事があり,検討が遅れたが,締め切り日である13日夕刻,数点の修正を行った。雑誌統括は,さらに被差別部落の地区の特定その他の削除を強く求めたが訂正されなかった。最後は,編集長が「これは佐野さんの原稿です。これで行かせてください」と押し切った。表紙が12日に校了しており,この段階では掲載中止は困難であった。掲載するか雑誌自体の発行を停止するかという選択であったが,発行停止が検討された形跡は見られない。
 こうして16日発売に至った。
 編集部内ではこれまで,このようなセンシティブな問題に関する記事掲載の際には,顧問弁護士に助言を求めるリーガルチェックを行うことがあった。しかし,締め切り間際に表現の手直しに追われたため,今回はリーガルチェックを受けることもなく,最後は「時間切れ」の状況で,掲載に至っている。出自が人格を規定しているという誤った考え方を基調とし,主要部分を信憑性が乏しいインタビューで構成していることが問題なのであって,表現の手直しでは解消できる問題ではなかった。編集部としては,その点にいち早く気づき,本件記事の掲載を止めるべきであった。佐野氏から本件記事の原稿が編集部に届いたのは9日夕刻であり,デスクが原稿を直ちに編集長に示していれば,編集長は社内の意見を聞くとともにリーガルチェックを受けることが可能であった。
 なお,社内では差別的表現や侮蔑的表現に関し多くの点が指摘されている。編集部はデスクを通じて佐野氏にすべて伝えたとしているが,佐野氏は「指摘があったところで飲めないところはなかった」といい,言い分が食い違っている。社内の指摘が担当デスクを通じて佐野氏に的確に伝えられていたかどうか疑問である。また,編集部は筆者のオリジナリティーを大切にしたいという思いがあったとしているが,そのような範疇の表現ではなく,事柄の重大性に対する認識が欠けていたといわなければならない。
本件記事と同内容に近い記事が既に他の月刊誌・週刊誌等に複数掲載されている。編集部や記事をチェックした者たちは,それらについては橋下氏からの特段の抗議はなく,社会問題ともなっていないと即断し,こうしたことから本件記事も許されるものと考えたとしている。しかしながら,仮にそうだとしても,人権侵害を拡散し,再生産した責任を免れることはできない。

5.掲載後の対応の問題
 掲載後の対応にも問題があった。橋下氏が記者会見をした10月18日前日の17日夜に朝日新聞出版が発表した「今回の記事は,公人である橋下徹氏の人物像を描くのが目的です。」などとするコメントは,発行から2日経っていながら,本件記事の正当化とも受け取れるものである。また,18日夜に発表したおわびコメントや,週刊朝日11月2日号に掲載した編集長名での「おわびします」でも,タイトルや複数の不適切な記述に関するおわびにとどまっていた。この段階においても,問題の本質に気づいていなかった。
 連載中止については,佐野氏は「1回目だけを読んで判断すべきではない。中止は言論機関の自殺行為だ」としている。また,この問題に関する新聞等の報道では,中止は読者の期待を裏切り,知る権利を損なうことを意味すると指摘する識者もいた。しかし,連載を続けるためには,この問題についての検証,編集態勢の見直し,企画の狙いや記事執筆の基本的な考え方などの再検討,タイトルの変更などが必要だった。さらに,2回目以降も橋下氏の親族を取り上げることが予定されており,過ちを繰り返さないためには一層の慎重さが求められた。以上の点を考えると,継続は困難であり,連載中止はやむを得なかった。

以上


週刊朝日の橋下徹・大阪市長連載記事に関する「朝日新聞社報道と人権委員会」の見解等について(2)

http://publications2.asahi.com/2.html

1.企画立案

 橋下徹・大阪市長の連載は、今年4月、週刊朝日の河畠大四編集長(当時)がデスク会(編集長と副編集長6人で構成される編集会議)で提案した。維新の会の支持率が高まり、将来の総理候補とも言われ始めた橋下氏の人物像を掘り下げ、「人間・橋下徹」の全貌に迫りたいと編集長は考えた。デスク会の中では「今なら橋下市長が一番注目を集める」という話が出た。編集長は当初、編集部員に取材・執筆させようとしたが、ノンフィクション作家のほうがインパクトがあると考え、人物評伝で数々の作品がある佐野眞一氏が適任ではないかと思い、以前から親交のあるデスクを担当にあてた。しかし、編集部内で企画書やレジュメが作られることは最後までなく、企画の詳細な内容について本格的に議論されないまま進んだ。
 5月8日、編集長、担当デスクら4人で佐野氏と会い、編集長が「佐野さんが『あんぽん 孫正義伝』で描いたように、(重層な内容で)橋下氏の本質に迫ってほしい。橋下氏の半生はもちろんのこと、その時代の空気や、社会が抱える問題なども描いてほしい」と橋下氏の評伝の執筆を正式に依頼し、了承を得た。
 以後、担当デスクが佐野氏と何度か話し合い、橋下氏の成育環境や中学・高校・大学時代、弁護士になった頃、タレント弁護士時代、政治家になって以降を、多くの人の証言を得て人物像に迫り、それが彼の政治哲学や思想とどう関わるのかを探ること、その中でマスメディアの使い方や、ツイッターを多用する手法などにも触れるといった狙いが、取材チームで共有された。
 このうち、橋下氏の成育環境については、昨年秋に週刊誌や月刊誌で父親のことが報じられ、橋下氏が報道を激しく批判したことがあった。編集長と担当デスクは、橋下氏は政界のキーマンとなる公人中の公人であり、プライバシーは一般の人より制限されると考えた。また彼の政治信条や人格に本人の出自が投影しているであろうと考え、書かなければならないと考えていた。さらに「他誌がどんどん報じており、自分の中で(書くことの)ハードルが下がっていた」(担当デスク)。
 しかし、公人とはいえ、出自を書いていいのか、なぜ必要なのか、どういう文脈で書くのか、どこまで書くのか、それが政治姿勢とどう関わりがあるのかなどについて、デスク会はおろか、編集長と担当デスクの間でもきちんと議論されていない。企画立案の段階で、極めて重大な問題があった。

2.取材から掲載まで

 取材は6月下旬からスタートした。取材記者2人が基礎的な証言や資料を集め、それ らを基に佐野氏が再取材して原稿を書く方法だった。取材記者2人が取材予定を担当デスクに伝え、デスクが了承する形で進めた。取材した内容はメモにしてメールでデスクに送られ、それをデスクが佐野氏に転送して情報を共有した。9月初めまでに取材した人は、橋下氏の親族、幼少期を過ごした東京都渋谷区の店主、中学・高校・大学時代の友人、弁護士仲間、元テレビプロデューサー、維新の会議員、関西政界関係者ら約60人になった。佐野氏は9月中旬に関西に取材に入った。
 この間、編集長は担当デスク任せで、どういう取材が進んでいるのか、連載の内容はどうなるのか、把握していなかった。雑誌統括兼コンプライアンス担当(以下、雑誌統括)には、8月初めまで連載を始めることも伝わっていなかった。
 これだけの大型連載であれば、通常は各回のレジュメを作り、検討するのが通例だ。しかし、編集長がおおまかな企画の構成を知ったのは連載開始が近づいた時期だった。
 連載のタイトルは担当デスクが9月23日に佐野氏宅に出向いた時に決まった。担当デスクは、橋下氏の親が姓の読み方を変えたいきさつについて8月初めの誌面で報じたことを思い出し、自らタイトル案を提案した。担当デスクは「『あんぽん』(のタイトルイメージ)が色濃くあった」と話している。
タイトル案について編集長は週明けに、担当デスクから伝えられた。編集長は特に違和感を持たなかった。
9月25日のデスク会で、担当デスクが連載のおおまかな流れを説明し、編集長がタイトルを伝えた。他のデスクからは特に異論は出なかった。
 10月9日(火)に編集長は「今週号から連載を開始します」と社長室に伝え、同日午後6時前に佐野氏の原稿が届いた。通常の進行であれば、翌日にはゲラになる予定だったが、作業が遅れた。編集長は結局、校了前日の12日(金)午後になって初めて原稿を読んだ。編集長は原稿を一読して担当デスクの席に行き、「この表現はだめだ」として、「日本維新の会」旗揚げパーティー会場にいた男性の差別的な発言▽同和地区を特定している箇所▽橋下氏の父親に関する表記を指摘した。
 編集長は雑誌統括に原稿をメールで転送した。雑誌統括は、すぐに編集長に「この原稿を載せることはできない」と言って編集長を呼び、「朝日新聞と違うコードで誌面を作っているわけではない」と削除や再考するように厳しく指摘した。法務担当や他の社長室メンバーからも「出自を材料に人を攻撃する文章は許されない」などの声があり、雑誌統括は編集長に約10カ所の指摘をした。
 神徳英雄社長は、雑誌の記事作成には関わっておらず、編集長らに任せているのが実態だ。この記事については、12日(金)夕、雑誌統括から原稿を渡され、さっと目を通したものの、次の予定が詰まっており、雑誌統括に「問題表現が多い。直るね」と概括的な指摘にとどまった。
 校了は翌13日(土)夜に迫っていた。12日夜は佐野氏がテレビの報道番組に出演していたため、作業は翌日に行うことになった。編集長は、雑誌統括から指摘された点をまとめて担当デスクに伝え、直しを検討するよう指示した。編集長は橋下氏の写真を使った表紙がすでに校了していたことなどから、掲載を延期して原稿を根本的に検討する措置は頭になかった。
 翌13日、担当デスクは編集長から指摘された点について佐野氏に電話で伝えて相談し、差別的な表現の一部を削除したり、表現を変えたりした。編集長からは指摘されていない表現を直した箇所もあった。しかし、橋下氏の父親のことについては、担当デスクが「原稿のどこかに書かなければいけない」と思っていたため、削らなかった。場所を特定した箇所についても、表現を一部変えたものの削らなかった。担当デスクは「作家のオリジナリティー表現を最大限認めよう、記者が書くものと作家が書くものは性質が違うと思っていた」。編集長は担当デスクが入れた直しを見て、それ以上の指摘はしなかった。他のデスクがゲラを見ることはなかった。
 雑誌統括は13日も編集長を呼んで、前日に指摘した箇所について繰り返し修正を指示した。最終ゲラが出たのは午後8時半ごろ。雑誌統括は、場所を特定した箇所と、父親に関する表記だけは削るように指示した。しかし、編集長は「これは佐野さんの原稿ですから」「これで行かせてください」と譲らず、校了した。 編集長は「ぎりぎりの表現をすることが、読者が興味を持つものになる。記事のインパクトを弱めてはいけない」と考えていた。表紙がすでに降版していて電車の中吊り広告も校了しており、刷り直すか、この号の発行をやめない限り、掲載がストップできない状況にあった。
 校閲は橋下氏に関する8月初旬の記事で、差別表現について指摘したことがあった。今回の原稿でも当然気づいていたが、編集部はそれも踏まえたうえでやっているのだろうと思っていたことや、外部筆者の原稿であえてそうした表現を使っているのだろうと思い込み、指摘を怠った。
 雑誌統括は「発行停止を社長に上申できなかったのは私の決断のミスだと思う」としている。編集長は「差別を助長する不適切な表現を削除できなかったことは、編集長として痛恨の極み。佐野眞一さんに対し、直してきた原稿をさらに直すよう要請することに遠慮が働いたことが潜在意識にあったかもしれない。しかし、多くの人を傷つけ、佐野氏の名誉をも傷つけたことは慙愧の念に堪えない」と言っている。

3.発行後の経過

 16日(火)の発売後、橋下徹・大阪市長が17日(水)朝、報道各社のぶら下がり取材で、この記事を批判し、「朝日新聞社やABC放送を含めて、朝日新聞社関連の質問には、答えることは控えさせてもらいたい」との考えを表明した。メディア各社からも取材が相次いだ結果、発行の責任は朝日新聞出版にあり、朝日新聞出版が対応すべき問題であることを明確にすることに注力することになった。
 そのため、同日午後7時に発表したコメントでは、「週刊朝日は、当社が発行する週刊誌であり、朝日新聞とは別媒体です。同誌を含め、当社の刊行物は当社が責任を持って独自に編集しています。今回の記事は、公人である橋下徹氏の人物像を描くのが目的です」と、「別媒体」であることを強調することに意識が集中してしまい、「おわび」の具体的な検討にまで至らなかった。
 雑誌統括は「原稿を止めきれずに、出してはいけないものが出た、おわびしなければならないと思った。ただ、朝日グループの取材拒否という事態に対し、市長や各メディアに『別媒体』であることをわかってもらうことを急いだ。それが結局、おわびの遅れにつながった」と話している。
17日午後9時前、市長に面談をお願いする編集長名のファクスを大阪市報道課に送った。

◯ファクスの文案(要旨)

「本件記事に関するご批判やご意見などは、弊社で真摯に受け止め、責任をもって対応させていただきます。週刊朝日の記事に関する編集権は株式会社朝日新聞出版にあり、朝日新聞社や朝日放送は本件記事には関係ありませんので、その点はご理解賜りたく存じます。つきましては、本件記事に関しまして、直接お会いしてご説明をさせていただく時間を頂戴できれば幸いです。ご都合のよろしい日時をご指定いただけませんでしょうか」
 18日(木)朝には、編集長が市報道課に電話し、口頭でも面会をお願いした。しかし、同日は多忙で時間が取れないとの打ち返しがあり、同日午後の定例会見で市長は「人格を否定する根拠として先祖や縁戚を徹底的に暴いていく。その考え方自体を問題視している」「どこどこ地域が被差別かどうかを明らかにするのは日本の社会においては認められていない」と批判した。この会見を受け、朝日新聞出版は同日午後7時に、「おわび」コメントを発表。

◯「おわび」(要旨)

「同和地区を特定するような表現など、不適切な記述が複数ありました。橋下市長はじめ、多くのみなさまにご不快な思いをさせ、ご迷惑をおかけしたことを深くおわびします。私どもは差別を是認したり、助長したりする意図は毛頭ありませんが、不適切な記述をしたことについて、深刻に受け止めています」
 19日午後、朝日新聞出版の顧問弁護士と相談した。同弁護士から「決定的な問題は、地区を特定していること。その地域の住民に対する差別を助長するもので、重大な人権侵害だ。タイトルからして問題があり、連載中止の判断もありうるのではないか。もし中止を決めるなら、いますぐ早急に対応すべきだ」との見解が示された。社外の関係者の抗議や、読者からの批判の声も届いた。
 朝日新聞出版の発行物で表記する場合は、「差別や偏見などの人権侵害をなくすために努力する」ことを「基本姿勢」に掲げている記者行動基準(朝日新聞出版の基準は、朝日新聞と同じ内容)等の社内の規定が基準になる。今回の記事はそれに反して決定的に人権意識に欠けるもので、「連載中止」が妥当と判断した。同日午後7時に「連載中止」のコメントを発表。

◯「連載中止」(要旨)

「記事中で同和地区などに関する不適切な記述が複数あり、このまま連載の継続はできないとの最終判断に至りました。橋下市長をはじめとした関係者の皆様に、改めて深くおわび申し上げます。不適切な記述を掲載した全責任は当編集部にあり、再発防止に努めます」
 23日(火)発売の週刊朝日11月2日号に、編集長名の「おわびします」を掲載した。上記と同趣旨のおわびとともに、「今回の反省を踏まえ、編集部として、記事チェックのあり方を見直します。さらに、社として、今回の企画立案や記事作成の経緯などについて、徹底的に検証を進めます」と表明した。
 橋下市長をはじめ、多くの人々に多大な苦痛を与えた今回の記事について、迅速に検証して公表し、同時に再発防止策も明らかにする必要があった。検討の結果、常設機関で中立性が担保されている第三者機関「朝日新聞社報道と人権委員会」に見解の表明を要請することになり、24日に申し立てを行った。

以上


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「朝日新聞社報道と人権委員会」の見解を受けて


株式会社朝日新聞出版
代表取締役 篠崎充
(しのざき・みつる)
2012年11月12日


 弊社発行の「週刊朝日」10月26日号の連載記事により、橋下徹・大阪市長とそのご家族、さらには多くのみなさまを傷つけることとなり、深くおわびいたします。
 弊社は第三者機関「朝日新聞社報道と人権委員会」に、弊社がまとめた報告書「週刊朝日記事についての経緯」を提出し、関係者からのヒアリングなどの調査をしていただきました。その上で委員会に「見解」を出していただきました。
 今回の記事について、「出自を根拠にその人格を否定するという誤った考えを基調としている」「差別や偏見など不当な人権抑圧と闘うことを使命の一つとし、正確で偏りのない報道に努めなければならない報道機関として、あってはならない過ち」と根幹に関わる指摘を受けました。
 代表取締役社長・神徳英雄は今回の深刻な事態を重大に受け止め、「報道と人権委員会」の見解を機に、週刊朝日及び朝日新聞出版が再スタートを切らせていただくためにも、自らの判断により本日付ですべての経営責任を負って辞任しました。また、弊社は河畠大四・週刊朝日前編集長を停職3カ月および降格としたほか、担当デスクを停職3カ月および降格、雑誌統括兼コンプライアンス担当を停職20日とする懲戒処分を行いました。
 週刊朝日編集部と朝日新聞出版は今回の反省の上に立ち、人心を一新して社員の人権教育を徹底し、報道機関として二度と過ちを繰り返さないために再出発すべく社員の意識改革を図っていきたいと存じます。

◯人権意識の欠如

 今回の記事について、「報道と人権委員会」から「出自と人格を強く関連づける考えは、人間の主体的な尊厳性を見失っており、人間理解として誤っているばかりか、危険な考えでもある」などと報道機関としての根幹を否定されるに等しい指摘を受けました。指摘のとおり、今回の記事に関して、週刊朝日編集部と弊社には、人権意識が極めて希薄でした。
 タイトルや、「橋下徹のDNAをさかのぼり本性をあぶり出す」との表紙文字をはじめ、出自に関して橋下市長を攻撃する材料に使った本記事は、一貫して人権意識が決定的に欠如した差別記事でした。橋下市長を深く傷つけるばかりか、出自が人格のすべてを規定しているかのような趣旨は、人権抑圧と闘っている人々の気持ちを踏みにじるものであり、ジャーナリズムの仕事からかけ離れたものでした。被差別部落の地区を特定する表現は、関係する人々への差別を助長する記述でした。
 連載をスタートするに当たり、父親のことをなぜ書く必要があるのか、それが政治姿勢とどう関わるのかといった記事の根幹に関わる重要な項目について検討されておらず、企画立案当初から致命的な欠陥がありました。その結果、公人の全体像を描くという当初の趣旨とはかけ離れてしまいました。
記事の掲載は中止すべきでした。しかし、編集長、担当デスクは、父親のことについてはすでに他の雑誌で報じられていたこと、代表的なノンフィクション作家の原稿であるという思いがあったことが致命的な甘さにつながり、掲載中止の決断に至りませんでした。雑誌統括は記事の問題点を強く指摘したものの、結果として掲載を止められませんでした。
 企画から記事作成、校了という一連の経過の中で、人権意識を欠いていたことが最後まで尾を引くことになりました。社全体の人権意識の欠如が、社全体の危機意識の薄さを生み、そのことが発行の停止という決断に至らず、「連載中止」の決定の遅れにも影響しました。
 背景には、発行人と編集人を兼ね、週刊朝日について大きな責任と権限を持っている編集長が、強いリーダーシップを発揮できずに、個々のデスクが自分の判断で動いたりするなど、編集長が部全体を統率できなくなっていたことがあります。
 会社は記事の掲載中止、本誌発行後の回収など根本的な措置をとることを判断すべきでしたが、タイトルや表現の「おわび」にとどまり、対応の決定的な遅れを招きました。
 出版社として発行を止める損害・混乱と、人権を侵害する深刻さを考えたとき、すべてを犠牲にしても人権を守らなければなりませんでした。ジャーナリズムの使命で最も大事にしなければいけない人権を守る、差別をなくすという基本を踏みにじり、差別を助長してしまいました。

◯チェック体制の欠陥

 「報道と人権委員会」による指摘に、編集部のチェック体制の欠陥がありました。「見解」で明らかなように、編集部は企画書もないまま取材をスタートさせ、編集部全体で検討していません。編集長、複数のデスクでの企画内容の検討が致命的に不足していました。原稿を貫く危険な考えが、最後までチェックされることはありませんでした。
 原稿が届いた後、担当デスクは「秘匿すべき情報提供者の名前が入っていた」として、編集長に渡したのは校了日の前日でした。編集長にデスクが情報源を伝えないことはあり得ず、基本的な動作もできていませんでした。デスク間での原稿の相互チェックなどは行われず、編集長と担当デスクの二人だけで編集作業は進められました。
 原稿を読んだ雑誌統括は、社内でも多くの指摘があった点を編集長に対して修正を命じたにもかかわらず、担当デスクが作家の原稿であることで問題箇所を残したまま編集作業を進め、最終的に編集長も「これは佐野さんの原稿です。行かしてください」と押し切りました。編集長とデスクは作家のオリジナリティーを大切にするということばかりに気を取られ、人格攻撃の差別記事という自覚がなく、表現の問題との考えにとどまっていました。橋下市長の出自に関して、ほかの雑誌がすでに書いていることを理由に問題にはならないだろうと思い込み、自らチェックできませんでした。結果的に掲載を止められなかったことは、社としてチェック体制が機能しなかったためです。

◯再発防止策

 人権意識の決定的欠如、チェック体制の欠陥が週刊朝日編集部のみならず社全体にも及んでいたことを深く認識しています。二度と過ちを繰り返さないために、再発防止への考えとその対策を述べます。

1.記者の人権研修の徹底化
週刊朝日編集部への集中的な人権研修及び、全社員に対して定期的な研修を繰り返し、会社が一丸となって人権意識の向上を目指します。
2.記者規範研修を改めて徹底
見解では、事実の信憑性を疑われる記述があると指摘されました。この反省に立ち、事実の確認や裏取り取材を確実に行うために記者が求められている倫理観や順守すべき基本原則を学ぶ記者規範の研修を行います。
3.発行人と編集人の分離
週刊朝日の編集長はこれまで発行人と編集人の両方の権限を持っており、権限が集中しすぎていました。両者を分けることにより、相互チェックを働かせます。
4.コンプライアンス担当の専任化
記事のチェックをするコンプライアンス(法令順守)担当はこれまで雑誌統括と兼務としていましたが、雑誌統括から独立させて専任にします。
5.デスク(副編集長)の原稿相互チェック体制の強化
編集部内にこれまで設けていなかった原稿チェック専門の副編集長(デスク)を置き、編集部内の相互チェックを強化します。

◯読者への誓い

 創刊して90年の長い歴史を持つ週刊朝日は、今回の記事で社会からの信頼を失い、読者を裏切りました。なぜ今回のようなことが起きたのか、なぜ止められなかったのか、その原因を徹底的に探り、その問題点を排除、克服することから始めなければ、読者の信頼は回復できないと考えています。
報道と人権委員会からの「報道機関としてあってはならない過ち」との指摘は、雑誌の根幹に関わることであり、心に刻まなければなりません。
 週刊朝日の原点は、「家庭で安心して読めるニュース週刊誌」でした。私たちは、編集部のみならず、全社員が危機感を共有し、社をあげて失墜した信頼の回復に全力で努めていく所存です。

以上


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人権委員会設置法案閣議決定 9日 by 城内 実

人権委員会設置法案閣議決定
2012年11月9日 23:59 by 城内 実

http://www.m-kiuchi.com/2012/11/09/jinkeniinkaisettihouankakugikettei/

 今朝の朝9時過ぎにベルリンの日独フォーラムの会合を終えて、ドイツから日本の成田空港に戻ってきた。早速、空港から人権委員会設置法案が気になって関係各所に電話連絡した。案の上というか予定どおり、本日の閣議で人権委員会設置法案が「閣議決定」されることになった。9月の会期末に続く二度目となる今回の閣議決定は、法案の国会提出を認めるものである。国民の理解がまったく得られていない状況下で、党利党略のために法案提出を決めた野田政権に本当にあきれてしまうばかりだ。
 もっとも、すでに予想された流れではあった。先週、自民党の法務部会役員会があり、閣議決定が近いこと、提出が決まった場合の対応についてなど、稲田朋美部会長、柴山昌彦法務委員会筆頭理事ほかとじっくりと協議した。ドイツ出張中も関係者と電話でやりとりし、種々自分なりの意見を述べさせていただいた。ここで詳しくは申し上げれないが、われわれもしっかりと法案阻止に向けて準備していることを改めてお知らせしたい。さらにあえて踏み込んで言えば、自民党内では、法案に断固反対である某党最高幹部のもと、党としてしっかりと法案反対の姿勢を示すための調整を行っている。
 実は本日、滝実法務大臣の所信聴取をし、来週から法務委員会も動き出す予定であった。当初、平岡秀夫委員長の私的都合で朝一番の開催が予定されていたが、結局理事の城内が不在であるということで、委員会開会は見送られたのであった(抜き打ち不意打ちが得意な民主党らしい。なお、小生はきちんと衆議院に前もっと請暇の手続きをとってわが国の代表として外国出張したことはいうまでもない。)。
 来週火曜日には、あらためて法務委員会が開会されることであろう。その後、所信に対する質疑が行われ、委員会では 各種法案審議が始まることになる。
 この際、先に提出予定とされている法案が複数あるにもかかわらず、政府は人権委員会設置法案の審議を民主党の数少ない某支援団体の圧力で強行するかもしれない。私は法務委員会の自民党理事として、 柴山筆頭理事とともに引き続き先頭に立って法案の委員会提出を阻止するべく体を張る所存である。基本的に審議拒否に否定的な小生も人権委員会設置法案については、例外的に審議拒否をも辞さない構えである。
 心ない保守派から城内は自民党に復党したのがけしからんと言われることがいまでもあるが、あえて言おう、この三年間に無所属で何度も法務委員会でこの問題について質問したが、比較的大きな政党に所属しないと法務委員会の理事会のメンバーになれないのである。理事でなければ審議拒否ができない。なお、平成17年の郵政解散においても、郵政法案に反対したのは、その売国的な中身もさることながら、当時の人権擁護法案にとどめを刺すためであることだったことは言うまでもない。
 私が尊敬する平沼赳夫先生が党首でいらっしゃる「たちあがれ日本」の園田博之幹事長が法務委員会のメンバーでありながら、一度も人権委員会設置法案について質問するどころか、稲田朋美や柴山昌彦同志などのわれわれ反対派のバックアップをしていただけないのは残念な限りである。石原新党が連携を模索している日本維新の会が、TPPには賛成であるが(なお、小生は反対派の急先鋒である)、「人権擁護法案」と「在日外国人の地方参政権」については表面的に立場を明らかにせず、日本維新の会の支援団体の関係もあり本心では賛成であることに気兼ねしてのことなのだろうか。竹中平蔵氏がブレーンである以上しかたがないかもしれない。私の憶測が間違っていることを祈るばかりである。
 ブログを読んでくださっている皆様においても、是非とも草の根での反対活動をお願いしたい。

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人権救済法案 拙速な進め方は禍根残す sankei

【主張】
人権救済法案 拙速な進め方は禍根残す
2012.11.11 03:22
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/121111/plc12111103230006-n1.htm

 野田佳彦政権が、人権侵害救済機関「人権委員会」を法務省の外局として新設する「人権委員会設置法案」(人権救済法案)を閣議決定して衆議院に提出した。

 法案は、言論統制や新たな人権侵害につながりかねないと批判されている。原案通り成立すれば、将来に禍根を残す。決して急いではならない。

 人権委員会は、持ち込まれた事案を調査し人権侵害と認められれば、勧告や告発、仲裁などの措置を講じる。政府から独立した「三条委員会」となるから、公正取引委員会と同様、権限は強大だ。

 何が人権侵害に当たるかなど重要な判断を誤れば、その権限が不当に使われ、逆に人権侵害を招いたり、言論や表現の自由が阻まれたりする危険をはらんでいる。

 恣意(しい)的な解釈や運用を避けるには、人権侵害行為を厳格に定義しておくことが欠かせないはずだ。にもかかわらず、「特定の者に対し、不当な差別、虐待その他の人権を違法に侵害する行為」としているだけで、曖昧この上ない。

 自民党の安倍晋三総裁らがかねて、「大切な言論の自由の弾圧につながる」と懸念してきたのも当然だろう。だが、政府与党には、そうした不安を払拭しようという十分な努力はみられない。

 政府与党が、既成事実を重ね、なし崩し的に法案成立を図っているようにみえるのも問題だ。

  先の通常国会で、政府は法案提出見送りをいったんは表明した。だが、推進派の巻き返しもあり、会期末直前になって突然、「法案内容を確認する」(藤村修官房長官)ためとして、最初の閣議決定を行っている。一部の慎重な閣僚が外遊で不在のすきを狙ったかのような姑息(こそく)なやり方だった。

 解散風が吹きだしたこの局面での法案提出は、選挙の人気取り政策にしたい思惑からではないか、という疑念も拭えない。

 法案の会期内成立は難しいとの見方もある。しかし、本来、懸念を払拭するための修正が必要な重要法案である。それを駆け込み提出して採決に持ち込むような進め方は、言語道断だ。

 人権の尊重は普遍的な大原則である。だが、人権救済法案は、自由な社会を維持する上で弊害が多い。提出された以上、国会は「人権救済」の美名に惑わされることなく、法案の危険な本質を見据えて、慎重に取り扱うべきだ。

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人権法案を国会提出

人権法案を国会提出 会期内成立は困難
2012.11.10 00:16

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/121110/plc12111000180000-n1.htm

 政府は9日、新たな人権侵害救済機関「人権委員会」を法務省の外局として設置する「人権委員会設置法案」(人権救済法案)を衆院に提出した。早期成立を目指しているが、与党内にも「人権侵害の拡大解釈で『表現の自由』が侵されかねない」との反対論がある。衆院解散・総選挙をめぐる与野党対立のあおりも受け、今月30日までの会期内成立は困難な状況だ。

 人権委員会は政府から独立した権限を持つ「三条委員会」として設置され、調査で人権侵害が認められれば勧告や告発などの措置を講じることができる。人権侵害の定義が曖昧で、恣意(しい)的な運用が可能になるとの懸念が強い。

 法案には民主党の一部や自民党が猛反発している。審議に入れば、衆院の「一票の格差」是正に向けた0増5減など野党の協力が不可欠な法案の審議に影響を及ぼす可能性もある。



人権救済法案、法相「最優先に取組む課題」
2012.11.6 21:54
 新たな人権侵害救済機関「人権委員会」を法務省の外局に設置する法案(人権救済法案)について、滝実法相は6日の会見で、「最優先に取り組んでいかなければならない課題だ」と述べ、成立を任期中の最優先課題とする姿勢を示した。

 同法案は国会閉会中の9月19日に閣議決定されており、政府は今国会で提出を目指している。滝法相は会見で「政権交代以来3年にわたり法案を用意し、ようやく党内をとりまとめ閣議決定までこぎつけた」と強調した。

 同法案では、人権委が政府から独立した権限を持つ「三条委員会」として設置され、調査で人権侵害を認めれば、告発、調停、仲裁などの措置を取る。ただ、人権侵害の定義が曖昧で、逆に新たな権利侵害が生じるなどの批判が出ている。




人権救済法案 強引な閣議決定おかしい
2012.9.20 03:16 (1/2ページ)[主張]
 野田佳彦政権は、新たな人権侵害や言論統制を招きかねないとの批判が出ていた人権侵害救済機関「人権委員会」を法務省外局として設置する法案を閣議決定した。

 今回の閣議決定は不可解な部分が少なくない。藤村修官房長官は「政府として人権擁護の問題に積極的に取り組む姿勢を示す必要がある。次期国会提出を前提に、法案内容を確認する閣議決定だ」と強調した。

 だが、国会提出時には再度、閣議決定を経る必要がある。人権救済法成立に前のめりな党内グループに過度に配慮しただけではないのか。同法案に慎重な松原仁国家公安委員長の外遊中を狙った節もあり、疑念がつきまとう。

 人権委員会は政府から独立した「三条委員会」で、公正取引委員会と同様の強大な権限を持つ。調査の結果、人権侵害と認められると告発や調停、仲裁などの措置が取られる。

 最大の問題は、人権侵害の定義が相変わらず曖昧なことだ。「特定の者」の「人権」を「侵害する行為」で憲法違反や違法行為を対象とするというが、これでは何も定義していないに等しい。恣意(しい)的な解釈を許し、言論統制や萎縮、密告による新たな人権侵害を招きかねない。

 こうした法案への疑念や危惧、抵抗感は国民は無論、与党や閣内にも根強い。にもかかわらず、いま行われている民主党代表選、自民党総裁選で、この問題が問われていないのは重大な欠落だ。

閣議決定に対し、自民党の林芳正政調会長代理は「なぜ、この時期なのか」と政府の意図に疑問を投げた。安倍晋三元首相も法案に対し「大切な言論の自由の弾圧につながる」と指摘した。石破茂前政調会長は以前、法案に反対としながらも、救済組織の必要性は認めていた。

 政府・与党は先の通常国会終盤にも法案提出に意欲を示したが、批判を受けて見送ったばかりだ。国論が二分している法案を閣議決定して既成事実化するやり方は、到底適切な手続きといえない。

 自民党内にも人権法案に前向きな意見もあるが、言論統制とは無縁の自由な社会を維持するために果たしてこの種の法案が必要なのか。民主、自民両党首選の立候補者は少なくともこの問題への立場を鮮明にし、国民的な議論を積み重ねてもらいたい。



人権救済法案閣議決定、選挙に向け「どさくさ紛れ」で実績作り 保守系から強い懸念
2012.9.20 00:31 (1/2ページ)[選挙]
 政府が19日、「言論統制につながる」との批判が絶えない人権救済機関設置法案(人権救済法案)の閣議決定に踏み切ったのは、衆院解散・総選挙をにらみ、人権団体など民主党の支持基盤にアピールするための「実績作り」が狙いだ。民主党代表選や中国による沖縄県・尖閣諸島での挑発行為のさなかに「どさくさ紛れ」で既成事実を作ったと指摘されても仕方がない。(千葉倫之)

 法案の最大の問題点は、救済対象となる人権侵害の定義が「不当な差別、虐待その他の人権を違法に侵害する行為」とあいまいで、拡大解釈の恐れがあることだ。これまで全国の弁護士会が行った人権救済勧告では、学校の生徒指導や国旗・国歌に関する指導、警察官の職務質問が「人権侵害」とされた事例もある。

 新設される人権委員会が偏った思想・信条に基づく申し立てに公正な判断を下す保証もない。法案は人種や信条などを理由に「不当な差別的取り扱いを助長・誘発」する目的での文書配布なども禁じているが、これでは北朝鮮による拉致問題への抗議活動も「不当な差別」とされかねない。

 ましてや、公正取引委員会などと同じ「三条委員会」として政府からの独立性と強い権限が与えられるため、「人権の擁護に関する施策」を推進する人権委員会が人権侵害の片棒を担ぐ可能性もゼロではない。

「人権委を一度設置すれば、将来、法改正することもできる。『小さく産んで大きく育てる』のが推進派の狙いだ。人権侵害の定義もあいまいで、権力による言論弾圧につながる」

 人権救済機関設置問題に詳しい日本大学の百地章教授(憲法学)はこう述べ、閣議決定を強く批判した。

 国会閉会中を狙った唐突な閣議決定も、与野党に波紋を広げた。

 自民党総裁選候補者は19日、「言論の自由の弾圧につながる」(安倍晋三元首相)、「なぜこのタイミングなのか」(林芳正政調会長代理)などと一斉に批判を始めた。民主党からも「慎重派の松原仁国家公安委員長が外遊中の閣議決定は理解に苦しむ」(長尾敬衆院議員)との反発の声が上がったが、野田佳彦首相の周辺は「慎重な閣僚がいないから閣議決定してもいいではないか」と話した。

 法案には選挙で影響力を持つ人権団体のほか、公明党も法整備に前向きだ。「解散風」が強まる中、今秋の臨時国会で成立する可能性は否定できない。

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閣僚資産公開:法相

閣僚資産公開:法相、7月マンション購入…規範抵触の恐れ

毎日新聞 2012年11月09日 21時45分(最終更新 11月09日 21時55分)


http://mainichi.jp/select/news/20121110k0000m010079000c.html

 滝実法相が在任中の今年7月、マンションを購入していたことが9日公表された閣僚の資産公開で分かった。「大臣規範」は政務三役在任中の不動産取引の自粛を明記しており、抵触する可能性がある。滝法相は記者会見で「不明朗な取引はいけないが、一般に売りに出されているもの(を買ったの)で許されると判断した」と説明した。

 資産公開によると、滝法相は7月、東京都港区のマンションの1室約67平方メートルを購入し、家族と共有している。滝氏の事務所によると、今期で衆院議員引退を決めていて、現住所の赤坂議員宿舎(港区)を明け渡した後に住む物件を探していたところ、適当な物件を見つけたとしている。「規範の趣旨は、地位利用による取引を慎むべきだというもの。そのような取引ではなく、官房長官にも届けている」とコメントした。

 マンションは98年建築の14階建て。滝氏の事務所は購入価格を明らかにしていないが、不動産関係者によると、実勢価格は5000万円前後だという。【

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人権委設置法案を国会提出、今国会成立は

人権委設置法案を国会提出、今国会成立は困難

http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20121109-OYT1T01175.htm?from=ylist

 法務省は9日、新たな人権侵害救済機関を設ける人権委員会設置法案を国会に提出した。

  自民党は法案に反対しており、今国会での成立は困難な情勢だ。

 法務省は人権委を、独立性の高い国家行政組織法上の「3条委員会」として、同省の外局に設置するよう目指している。救済対象となる人権侵害の定義は、「特定の者の人権を違法に侵害する行為」と説明されているが、民主党内にも「あいまいで通常の表現活動まで規制されかねない」などと慎重論が出ている。







政局:「年内解散」風強まる…首相、TPP参加争点に

毎日新聞 2012年11月09日 22時04分(最終更新 11月09日 22時11分)

http://mainichi.jp/select/news/20121110k0000m010092000c2.html
 衆院の「年内解散」風がにわかに強まってきた。野田佳彦首相が「近いうち解散」の約束履行に本腰を入れ始めたからだ。特例公債法案の成立など解散3条件の実現だけでは選挙向けのアピールにならないため、首相は環太平洋パートナーシップ協定(TPP)交渉参加を衆院選の争点に掲げたい考え。ただ、交渉参加を表明すれば民主党内のTPP反対派が集団離党へ動くことも予想され、首相が党分裂覚悟で捨て身の年内解散に踏み切れるかに注目が集まる。

 ◇輿石氏抵抗「あり得ない」

 今国会初の党首討論の14日開催が決まった9日、首相と自民党の安倍晋三総裁とのニアミスが共同通信加盟社の懇親会で発生した。

 首相は「この国会の最大の争点の一つは特例公債法案の扱いだ」とあいさつ。首相は衆院解散の「環境整備」として(1)赤字国債発行に必要な特例公債法案の成立(2)衆院の「1票の格差」是正と比例定数削減(3)社会保障制度改革国民会議の設置−−の3条件を掲げる。

 自民党は解散を迫るため特例公債法案成立を容認する構えで、同法案は19日にも成立する見通し。国民会議の設置も「時間はかからない」(政府関係者)。安倍氏は懇親会で「来週は衆院予算委員会、党首討論。クライマックスを迎えていく。近いうち解散は国民との約束」と語り、党首討論などで年内解散を表明するよう首相に促した。

 首相は自民党からの「ウソつき」批判をかなり気にしており、周辺は「年内解散は選択肢の一つだ」と語る。しかし、政権浮揚を図れないまま解散・総選挙に突入すれば、民主党の惨敗は濃厚だ。

 9日の閣議後記者会見では「TPP反対か賛成かを公約に掲げ争点化すべきだ」(前原誠司国家戦略担当相)、「結論はそんなに先送りできない」(岡田克也副総理)など、首相に近い閣僚からTPP交渉への早期参加に前向きな発言が相次いだ。閣僚の一人は「追い込まれ解散ではなく、少しでも打って出る姿勢を示すにはTPP交渉への参加決定しかない」と強調する。

しかし、年内解散には輿石東幹事長が立ちはだかる。輿石氏は9日、TPP反対派の山田正彦元農相と会談し「そんなことで解散するのはあり得ない」とTPPの争点化を明確に否定。輿石氏は「今、解散したら50〜60人しか残らないだろう」とも語ったという。自公両党が求める12月16日投開票の日程とするには11月22日までに解散する必要があり、輿石氏は「時間的に無理だ」と抵抗している。だが、「吹き始めた解散風は止められない」(民主党議員)との観測が広がり、「年末解散・来年1月投開票」や「1月解散・2月投開票」も取りざたされている。

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人権委設置法案:今国会提出を閣議決定 成立は不透明

人権委設置法案:今国会提出を閣議決定 成立は不透明

毎日新聞 2012年11月09日 11時55分
http://mainichi.jp/select/news/20121109k0000e010200000c.html

 政府は9日、人権救済機関として新たに設置する「人権委員会設置法」の関連法案を今臨時国会に提出することを閣議決定した。同法案は、滝実法相が法務省の「最優先」法案と位置付けているが、今国会での成立見通しは不透明だ。

 現在の法務省内の人権救済機関(法務局や地方法務局など)は独立機関ではないため、政府自体が人権侵害を起こした場合、公正・中立な対応ができない可能性があると指摘されている。

 同法案は、法務省の外局として、国会で同意された委員による独立した人権委員会を設置することを盛り込んだもので、国会閉会中の9月、法案内容について異例の閣議決定をしていた。

 滝法相は6日の報道各社の共同インタビューで「通常国会後に閣議決定までした法案なので(臨時国会で)最優先で取り組まないといけない」と話し、他の法務省関連法案より優先して審議を求める姿勢を示していた。

 各国の人権状況を審査する国連の「普遍的定期的審査」では先月末、加盟各国から日本に「速やかに独立した人権救済機関の設置を進めるべきだ」とする勧告が相次ぐなど、国際的には早期の法案成立を迫られている。しかし国内では「法案における人権侵害行為の定義があいまいだ」などと反発も強い。

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人権委員会設置法案閣議決定を受け   民主党・長尾たかし議員

人権委員会設置法案閣議決定を受け、皆さんにお願いしたいこと

民主党・長尾たかし議員

2012-11-09 09:35:35 | 国会

http://blog.goo.ne.jp/japan-n/e/490564789331b28057d73f1ca13be885

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【拡散希望】

残念ながら、ステージが議会へ移ってしまいました。党内で止めることが出来なかったことを心からお詫び致します。

記事

この際、主戦場は「議会」ということを再認識させて頂ければと思います。

賛成反対議員が、与野党超えて入り乱れています。政党を見るのではなく、個々の議員に向けて、反対を促すような皆さんの後方支援をよろしくお願い致します。

法案の背景、我々の敵は、「法務省役人の成果主義と、それに乗じた推進団体、賛成をする個々の議員」との戦いです。

短期の決戦です。敵を、ターゲットを見間違うことなく、本丸を攻撃していかなければなりません。

議員間では与野党反対派議員で動いています。みなさんは、外部からいろいろなツールで働きかけてくださいるとあり難いです。よろしくお願い致します。

追記・・・・
皆さんがお住まいの議員事務所に足を運んで頂いて、訴えてくださいると嬉しいです。メール、FAXなど「飛び道具」にはある種の限界があります。議員、もしくは、秘書さんに訴えてみて下さい。

※13:08追記


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人権委法案を閣議決定

人権委法案を閣議決定
2012年 11月 9日  11:12 
http://jp.wsj.com/Japan/Politics/node_545163

 政府は9日午前の閣議で、法務省の外局に人権救済機関「人権委員会」を設置する法案を今国会に提出することを決定した。同日午後に提出する。同法案は、人権侵害に対する救済や予防を目的に国家行政組織法に基づく「三条委員会」を設置する内容。

 滝実法相は閣議後の記者会見で、2002年に小泉内閣が提出した「人権擁護法案」に触れ、「10年ぶりに政府として国会に提出する運びになったことの重みを感じながら、審議入りを目指して努力したい」と述べた。ただ、月末までの今国会中の法案成立は厳しい情勢だ。 

[時事通信社]

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11月9日午前「人権委員会設置法案」が閣議決定の予定

11月9日(金)午前の閣議に、「人権委員会設置法案」が法律案件としてかけられ、閣議決定される予定

by 日本会議地方議員連盟 2012/11/08 Thu 17:05
http://prideofjapan.blog10.fc2.com/blog-entry-4536.html#asset-middle

11月9日(金)午前の閣議に、「人権委員会設置法案」が法律案件としてかけられ、閣議決定された後、衆議院に提出されるとの情報が入ってきました。


●滝実法務大臣
  議員会館 FAX  03-3508-3861

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人権委法案が最優先=滝実法相

人権救済法案、法相「最優先に取組む課題」
2012.11.6 21:54

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/121106/plc12110621570011-n1.htm

 新たな人権侵害救済機関「人権委員会」を法務省の外局に設置する法案(人権救済法案)について、滝実法相は6日の会見で、「最優先に取り組んでいかなければならない課題だ」と述べ、成立を任期中の最優先課題とする姿勢を示した。

 同法案は国会閉会中の9月19日に閣議決定されており、政府は今国会で提出を目指している。滝法相は会見で「政権交代以来3年にわたり法案を用意し、ようやく党内をとりまとめ閣議決定までこぎつけた」と強調した。

 同法案では、人権委が政府から独立した権限を持つ「三条委員会」として設置され、調査で人権侵害を認めれば、告発、調停、仲裁などの措置を取る。ただ、人権侵害の定義が曖昧で、逆に新たな権利侵害が生じるなどの批判が出ている。




人権委法案が最優先=滝実法相インタビュー

http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2012110601012

 -田中慶秋前法相の辞任を受けて再起用された理由をどう考えているか。
 今回は緊急事態だ。(先の内閣改造で)後を継いでもらった田中前法相が体調不良で辞任したので、直前の法相としてカムバックしろということだと理解している。
 -最優先の課題は。
 人権委員会設置法案は、最優先に取り組んでいかなければいけない。民主党としても政権交代以来、この法案を用意してきて、ようやく党内で取りまとめることができた。(9月に)法案を閣議決定できた意義は大きい。

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人権委員会設置法案をできれば提出したい

法務大臣閣議後記者会見の概要

平成24年10月30日(火)

 本日の閣議では,法務省案件はございませんでした。

臨時国会への取組み姿勢等に関する質疑について

【記者】
 臨時国会が昨日始まりました。法務省関連の法案について,優先順位などどういう姿勢で取り組まれるかお聞かせください。
【大臣】
 法案としては,出したいものがいろいろありますが,会期が1か月ということですから,当省関係としては,人権委員会設置法案をできれば提出したいと考えています。






滝法務大臣初登庁後記者会見の概要

平成24年10月24日(水)

今回,総理からの指示事項の中には,新たな人権救済機関の設置ということも特に意識的に指示をされてますけれども,やはり入国管理の問題も,今,焦点になっていますので,そのようなことも新たな気持ちで取り組んでほしいという指示もありました。

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危うい「教訓」 週刊朝日・橋本市長問題

危うい「教訓」 週刊朝日・橋本市長問題を考える
(東京新聞「こちら特報部」10月25日)

http://asumaken.blog41.fc2.com/blog-entry-7268.html

 週刊朝日が橋下徹大阪市長を取り上げた連載を中止した問題で、同誌は編集長名でおわびを掲載した。誤りを「同和地区を特定するなど」と説明したが、地名を書いたことが問題なのか。一方で、識者の間では政治家は主張や政策で評価されるべきで、出自に触れるべきではないといった論調も散見する。しかし、それは言論の自主規制につながらないか。「教訓」の危うさを探った。 (荒井六貴、上田千秋)



 「同和地区を特定するなど極めて不適切な記述を複数掲載して…」
 ノンフィクション作家の佐野真一氏と編集部が取材して掲載した「緊急連載 ハシシタ 奴の本性」の連載中止決定の理由について、週刊朝日は十一月二日号で、おわびの文章にそう載せた。

 疑問がある。「同和地区(部落)を特定する」ことが誤りか。そうした技術的な問題なのか。
 というのも、被差別部落の地名は部落解放運動関連の出版物にも記されている。例えば、狭山事件についてはどうか。

 一九六三年に女子高生が誘拐されて殺され、犯人を取り逃がした警察が被差別部落に見込み捜査を集中、住民の石川一雄さん(再審請求中)を犯人とした事件だ。この事件を扱った数多くの著作にも、地名は不可欠な要素として登場する。

 部落解放同盟中央本部でマスコミの差別表現の問題に取り組んできた「にんげん出版」(東京)代表の小林健治さんは「単純に地名を記したことが問題なのではない。逆に必要性や合理性があれば、部落の地名を特定することに問題はない。差別を許さないためにはむしろ、タブーはダメだ」と語る。つまり、週刊朝日の「おわび」は誤りの要点を理解したものではないとみる。
 小林さんは被差別部落の地名を掲載する基準について「記載する狙いに部落に対する侮辱の意味を込めた差別性があるかどうかという点こそが大切だ」と説明する。

 「今回の連載で問題と思えるのは、橋下さんをおとしめるという目的に沿って、部落の地名を記したということだ。被差別部落を侮辱視することが前提になっている」
 週刊朝日はおわびの中で「タイトルも適切ではない」としている。
 小林さんは「ここで言う『タイトル』とは『ハシシタ』と記述したことだと思う。おわびに適切でない理由の記述がないため、単に名前を正確に記載しなかったことが間違いだったようにも受け取れる」と話す。

 「だとすれば、部落問題の中で名前の持つ意味の大きさを自覚していない。明治時代、支配層が被差別部落出身者に名前をつける際、巧妙に名前で出身者と分かるようにしてきた歴史がある」
 七〇年代以降、就職や結婚で被差別部落出身者を排除するため、部落の名前や住所などを一覧にした「部落地名総鑑」がたびたび地下出版され、糾弾されてきた。

 小林さんは「週刊朝日の報道はこの総鑑と似ている」と指摘する。
 「政治家のみならず、芸能界やスポーツ界にも被差別部落の出身者はいる。それを明らかにできないのは今の社会に差別が厳然とあるからだ」
 もう一つ重要な論点は政治家の出自に触れることについての是非だ。
 「政治家は主張や政策で判断されるべきで、出自を取り上げる必要は全くない」という意見も少なからずある。

 だが、作家の宮崎学さんはこうした見方に異を唱える。「公人である政治家の出自、血脈を取材して発表することは当然のことだ」と言い切る。
 宮崎さんは二〇〇六年、「安倍晋三の敬愛する祖父岸信介」を著した。当時、首相だった安倍晋三氏の思考の背景には、祖父で元首相の故岸信介氏の影響があるとみた。

「政治家の思想は父や祖父との間で連続性、類似性がある。それを書かないのは逆に不自然だ」
 報道機関は有力政治家について、生まれ育った環境を含めて取材し、記事にする。例えば、麻生太郎元首相は福岡県で絶大な力を誇る財閥出身、鳩山由紀夫元首相の実家も名門中の名門の政治家一家で、彼らが打ち出す政策、発言は育った生活環境と無縁ではない。

 橋下氏も有力政治家として取材対象となることは避けがたいが、今回の連載で宮崎さんが問題視するのは、前出の小林さんと同様、部落を揶揄(やゆ)したようなタイトルと、「部落イコール悪」と読み取れるような部分が随所に出てくる点だ。

 「今回の場合、橋下氏の政治理念に出自が影響しているということが、連載の一回目からは読み取れない。父親や本人が部落出身であることと政治理念の結びつきがみえない。だから、橋下氏批判と血脈を結び付けた今回の記事はおかしい」

 著書「近代の奈落」の中で、自身の父親が部落出身者であることを明かしている宮崎さんは「肌の色で分かる人種差別と違い、部落差別は長年にわたって言葉で伝えられてきた。だからこそ、表現する時は気を付けなければいけない」と話す。 宮崎さんは橋下氏についての本を執筆するため、すでに取材を始めているという。「ツイッターなどを分析しているが、橋下氏が部落問題をそう勉強をしているようには思えない。行政のトップとして、それでは通らないし、週刊朝日もしかり。両者とも問題の本質を理解をしないままにやりとりしているようだ」

 ただ、今回の連載中止がメディア全体に余波を
広げることは必至だ。
 「週刊朝日も一回で連載を打ち切るくらいならば、最初からやらなければよかった。今回の件を受けて、今後、ものすごい勢いでマスコミの自粛が加速するだろう」

◆関連事業予算は削減傾向

 橋下氏は十八日の会見で、今回の自らの抗議と部落解放運動とは別という見解を示している。実際、大阪市長に就任して以降、同市の関連事業予算は削減傾向にある。
 今年七月にまとめた「市政改革プラン」では、かつて部落解放運動の拠点にもなった旧人権文化センターなど十施設を来年度いっぱいで全廃する方針を打ち出した。施設はいずれも同和対策事業特別措置法に基づいて造られ、〇一年度に同和対策事業が終了して以降は「市民交流センター」に衣替えしていた。

 橋下氏が「展示内容が暗く、子どもが夢を持てない」と語った大阪人権博物館への補助金も来年度以降、打ち切られる。同施設は部落やアイヌ民族、水俣病などの人権侵害問題に触れている。
 被差別部落関係者の一人は「『本人さえ頑張れば何とでもなる』『金がないんだから仕方ない』というのが橋下さんの理屈だが、横並びに何でも切っていくやり方はどうなのか」と話している。

<デスクメモ> 新聞、出版業界周辺には「部落問題は触れると“事故”のもと」という暗黙の忌避感覚がありがちだ。姿勢自体も誤りだが活字がどうあれ、いまやインターネット上には差別書き込みが絶えない。だから、お茶を濁すような“自粛”こそ避けねばならない。差別を正面から学び、論じ合う好機としたい。(牧)

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同和地区を掲載することは「絶対に」許されないのか?

同和地区を掲載することは「絶対に」許されないのか?
http://blogos.com/article/49149/
http://www.tachibana-akira.com/2012/10/5137


「ハシシタ 奴の本性」について、『週刊朝日』に編集長の「おわび」が掲載された。今後は第三者機関が記事掲載の経緯を検証し、結果を公表するという。結論が出るまでにはかなり時間がかかるだろうが、今後の議論の参考に事実関係を整理しておきたい。

最初に、以下のことを断わっておく。

「ハシシタ 奴の本性」は、出自や血脈(ルーツ)を暴くことで橋下市長を政治的に葬り去ることを目的としている。だからこれは、ノンフィクションというよりもプロパガンダ(政治的文書)だ。

記事のこうした性格を考えれば、橋下市長が、記者会見での回答拒否を含むあらゆる手段を行使して『週刊朝日』に謝罪と連載中止を求めるのは当然だ。一連の行為が正当かどうかは、今後、有権者が判断すればいいことだ。

著者である佐野眞一氏の、「両親や、橋下家のルーツについて、できるだけ詳しく調べあげ」るという手法に反発したひとは多いだろう。私もこうした手法には同意しないが、だからこそこの事件は表現の自由についての本質的な問題を提起している(正統なノンフィクションであれば、そもそもこんな問題は起こらない)。

原理主義的なリバタリアニズムでは、表現の自由こそが絶対でプライバシーは権利として認めない。私はこうした異端の主張で議論をいたずらに混乱させるつもりはないが(この論理に興味のある方はこちらをどうぞ)、表現の自由とプライバシー権は相対的なものだというより穏当な主張なら多くのひとが同意するだろう。

『週刊朝日』編集部の「おわび」では、連載を中止した第一の理由は、「同和地区を特定」したことだ。もちろん、正当な理由なく同和地区を誌面に掲載することが許されるはずはない。

だが、同和地区のタブーは絶対的なものではないはずだ。同和地区を特定することでそこに住むひとたちが被る不利益よりも、社会全体がより大きな利益を得ることができるならば(あるいはそう確信しているならば)、表現者は自らの意思でタブーを踏み越えていくことができる。

ここでは、こうした視点からあらためてこれまでの経緯をまとめてみたい。

「ハシシタ 奴の本性」掲載まで

(1)『新潮45』2011年11月号にノンフィクション作家・上原善広氏の「「最も危険な政治家」橋下徹研究 孤独なポピュリストの原点」が掲載された(ちなみにこの記事は第18回「編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞」大賞を受賞している)。

上原氏は被差別部落出身であることをカミングアウトしており、『日本の路地を旅する』で第41回大宅壮一ノンフィクション賞を受賞している(上原氏は中上健二にならって被差別部落を「路地」と呼んでいる)。

「橋下徹研究」で上原氏は、橋下市長の実父が大阪府八尾市の被差別部落出身であることと、橋下という姓がもともと「ハシシタ」と呼ばれていたことを書いた。また実父の弟(橋下市長の叔父)に話を聞き、兄(実父)が土井組というヤクザに属していたこと、同和事業を引き受けて成功した後、放漫経営で会社を倒産させ、ガス自殺したことなどを語らせている。この記事で橋下市長の叔父は、「わしもアニキも同和やゆうのに誇りをもっとった」と述べ、その出自を自ら明かしている。

(2)『新潮45』の上原氏の記事を受けて、『週刊新潮』11年11月3日号は、「「同和」「暴力団」の渦に呑まれた独裁者「橋下知事」出生の秘密」を、同日発売の『週刊文春』も「暴力団組員だった父はガス管くわえて自殺 橋下徹42歳書かれなかった「血脈」」を掲載した。これらの週刊誌も、実父の生まれた被差別部落を実名で掲載している。

週刊誌の記事では、叔父が愛人に産ませた息子(橋下市長の従兄弟)が駐車場をめぐるトラブルから金属バッドでひとを撲殺し、傷害致死で5年の懲役刑を受けたことや、大阪市長選の前夜、橋下氏の秘書がラブホテルを借り切って乱痴気パーティをやっていたことなどが書かれている。

(3)それ以外にも、『許永中 日本の闇を背負い続けた男』や『同和と銀行』などの著書のあるノンフィクションライターの森功氏が『g2』で「同和と橋下徹」を連載し、そこで橋下市長の実父が被差別部落で生まれたことを地名を特定して書いている。

(4)『週刊朝日』の「ハシシタ 奴の本性」は、すくなくとも第1回を読むかぎりでは、先行する『新潮45』『週刊新潮』『週刊文春』『g2』の記事の焼き直しであり、新しい事実はなにひとつ書かれていない。また自らの出自を暴いたこれらの雑誌に対し、橋下市長は現時点まで名誉毀損などの法的措置をとっていない。

部落差別と表現の自由

『週刊朝日』編集部は、連載中止のいちばんの理由に、同和地区の地名を掲載したことを挙げている。正当な理由なく被差別部落を名指しするのが重大な人権侵害であることは間違いないが、上記の経緯を踏まえると、「ハシシタ 奴の本性」で橋下市長の実父の出生地を明かしたことについては一般論では括れない事情がある。

(1)「「最も危険な政治家」橋下徹研究」を書いた上原善広氏は、自身のブログで次のように述べる。

差別的にしろ、なんにしろ、ぼくは路地について書かれるのは全て良いことだと思っています。それがもし差別を助長させたとしても、やはり糾弾などで萎縮し、無意識化にもぐった差別意識をあぶりだすことにもなるからです。膿み出しみたいなものですね。それで表面に出たものを、批判していけば良いのです。大事なのは、影で噂されることではなく、表立って議論されることにあります。そうして初めて、同和問題というのは解決に向かいます。

これは1960年代のアメリカで、同性愛者の反差別運動のなかで生まれた「クローゼット壊し」の考え方に近い。同性愛者の過激な活動家たちは、「ホモセクシャルである自分を“クローゼットに隠して”日常生活を送っていることが社会的な差別を生む」と主張し、芸能人やファッションデザイナー、メディア関係者などの有名人がゲイであることを、本人の意思を無視して積極的に暴いた。クローゼット壊しは、“自分が同性愛者であることを受入れられない抑圧された魂を解放する”とされたのだ。

もちろんこうしたラディカルな運動は、プライバシーの侵害だとして激しい批判を浴びた。しかしその一方で、クローゼット壊しがゲイがカミングアウトできる土壌をつくったことも確かで、その評価はいまだに定まっていない。

上原氏は、「大事なのは、影で噂されることではなく、表立って議論されること」という思想信条から、陰で囁かれていた橋下市長の出生の秘密を暴いた。こうした手法が成立するのは、いうまでもなく、上原氏自身が被差別部落出身であることをカミングアウトした「当事者」だからだ。

上原氏の記事を橋下市長が無視したのも、社会がとりたてて問題視しなかったのも、それが当事者の自覚的な行為だったからだ。だとすると、佐野眞一氏の記事が大きな社会問題になったのは、佐野氏が被差別部落出身ではない“一般人”、すなわち当事者ではないからだ、ということになる。

だが、一見わかりやすいこの考え方には大きな矛盾がある。

表現の自由が普遍的な権利なら、当事者(被差別部落出身者)なら許されて、当事者でない一般人が同じことをすると社会的に厳しい制裁を受ける(黙るしかない)のは明らかにおかしい。上原氏はもちろんこのダブルスタンダードに気づいていて、次のように述べる。

まず佐野氏の連載は、えげつないことは確かですが、いまもっとも話題の政治家・橋下氏の記事としては許される範囲でしょう。心配される路地(同和)への偏見については、しっかりフォローすることも大事ですので、今後の佐野氏の書き方次第だと思います。しかし、こうして一般地区出身の作家が、路地について書くことは、とても重要な意味をもつ画期的なことです。

私はこの発言が、今回の一連の騒動のなかで、議論に値するもっとも重要なものだと思う。だが被差別部落出身の当事者によるこの“不都合な発言”は、「差別」の大合唱のなかで完全に黙殺されている。

同和地区の名称を名指しすることが「絶対に」許されないのなら、上原氏も同じような社会的制裁を受けなければならない。逆に上原氏の記事が許容されるならば、佐野氏の同じ記述も表現の自由の範囲内ということになるだろう。

当事者性によるダブルスタンダードを認めないなら、このように考えるほかはない。

(2)上原氏が寄稿した『新潮45』は部数の少ない月刊誌で、『週刊朝日』は国民的な週刊誌だから影響力が違う、という批判もあるかもしれない。しかしこれは、事実として間違っている。

上原氏の記事を受けて同和地区の名称を実名で報じた『週刊新潮』と『週刊文春』は『週刊朝日』の2~3倍の部数があり、両誌を合わせれば100万部を超える。それに対して『週刊朝日』の発行部数は20万部程度だとされている。

すでに1年ちかく前に、はるかに影響力の大きな週刊誌2誌で報じられた内容を、より影響力の小さな(部数の少ない)雑誌に掲載したら社会的な制裁を受ける、ということはやはり筋が通らない。

『週刊朝日』の今回の記事が「絶対に」許されないのなら、『週刊新潮』や『週刊文春』の記事も遡って批判されるべきだ。『週刊新潮』や『週刊文春』の記事を社会が受け入れているのなら、『週刊朝日』も同様に扱われるべきでだろう。

もちろんこれに対しては、出版社系の(独立した)『週刊新潮』や『週刊文春』と、新聞社系の(朝日新聞社が親会社である)『週刊朝日』では事情が違うという意見があるだろう。私はもちろんこのことを承知しているが、だがこの論理は先ほどと同じ矛盾に逢着するだけだ。

日本では、出版社系か新聞社系かで雑誌に書いていいことが違う(出版社系なら同和地区の名称を名指しできるが、新聞社系は許されない)。このダブルスタンダードを、表現の自由という普遍の権利から説明することはできない。

(3)先行する『新潮45』『週刊新潮』『週刊文春』に比べて、今回の『週刊朝日』の記事はより悪質だという見方もあるだろう。たしかに、「ハシシタ 奴の正体」というタイトルや、「橋下徹のDNAをさかのぼり本性をあぶり出す」という表紙コピーは強烈だ。だがこれは『週刊朝日』編集部の判断で、記事のタイトルや表紙コピーに書き手が関与することは原則としてできない。

したがって、もしもタイトルに問題があるのなら、編集部はそのことを橋下市長に謝罪し、タイトルを変更したうえで連載をつづければいいだけだ。書き手はタイトルになんの責任もないのだから、そのことを理由に連載を中止されるのは理不尽きわまりない。

(4)編集部の「おわび」では、連載を中止した理由は、「同和地区を特定するなど極めて不適切な記述を複数掲載したこと」と、「タイトルも適正ではなかった」こととされている。

だがこのうちタイトルは、編集部の責任ではあっても著者とは無関係だ。また「同和地区を特定する」ことも、一般論としては許されることではないとしても、上記で述べたように、今回のケースでは表現の自由の範囲に収まると主張することもじゅうぶんに可能だ。したがって、この2つだけでは連載を中止する理由にはならない。それ以外の「不適切な記述」については、いまに至っても一切説明がない。

それではなぜ、『週刊朝日』編集部は連載を中止したのか?




連載中止の経緯こそ検証すべきだ

『週刊朝日』編集部が「ハシシタ 奴の本性」の連載を中止したのは、誰もが知っているように、上位の権力から命じられたからだ。これによって編集部は、本来なら継続すべき連載を中止する理由を探さなくてはならなくなった。このように考えると、『週刊朝日』の「おわび」の意味がよくわかる。

(1)前回も述べたように、佐野眞一氏は「確信犯」で橋下市長の「血脈」を暴こうとしており、今回の騒動で橋下市長に謝罪するつもりはまったくない。『週刊朝日』編集部は自らこの連載を佐野氏に依頼し、その原稿を全面的な同意のうえで掲載したのだから、連載中止にあたって、佐野氏の記事を部落差別だと認めたり、橋下市長に謝罪するよう求めることができるはずはない。すなわち、橋下市長に対する記述は最初から連載中止の理由にできない。

(2)こうして窮余の末に見つけ出してきたのが、「同和地区を特定」した箇所だ。これであれば、「遺憾」の意を表したとしても佐野氏は橋下市長に謝罪したことにはならず、また編集部としても、本来であれば伏字にすべきものを掲載してしまったという“単純ミス”なのだから、佐野氏の記事を否定することにもならない。これが両者がぎりぎり妥協できる落とし所だったのだろう。

(3)しかしこれだけでは、編集部が橋下市長に謝罪する理由がない。そこで見つけたのが、著者とは関係のないタイトルと表紙コピーだ。これについて勝手に編集部が橋下市長に謝罪するのなら、著者としてはどうしようもない。

(4)『週刊朝日』編集部は当初から「極めて不適切な記述が複数ある」と述べていたが、同和地区を特定した箇所以外にどこが不適切なのかを明らかにすることができない。これは当たり前のことで、橋下市長を批判した部分を「不適切」とすることを佐野氏が認めるはずはない。

(5)橋下市長は、「ハシシタ 奴の正体」がナチスの優生思想と同じだと批判した。今回、『週刊朝日』編集部が反論もせず謝罪したことで、社会的には「橋下市長の主張を認めた」と受け取られた。

こうして、大宅壮一ノンフィクション賞と講談社ノンフィクション賞をダブル受賞した佐野眞一氏は、「部落差別作家」のレッテルを貼られることになった。私は佐野氏の今回の記事を評価しないが、それでも雑誌づくりが著者と編集部の共同作業であることを考えれば、一人の書き手として、『週刊朝日』編集部の今回の仕打ちはきわめて不当なものだと思う。これでは、著者を後ろから撃つのと同じだ。

(6)佐野氏は今後、どこかの雑誌で連載を再開するか、単行本版『ハシシタ 奴の本性』を刊行しようとするだろう(手がけたい出版社はいくらでもあるはずだ)。その評価は、作品が完結してから読者(と社会)が行なえばいいことだ。

(7)ここまで述べたように、今回の問題の本質は「同和地区を特定する記述を掲載したこと」ではなく、すべてが完全に自覚的に行なわれた出版行為であるにもかかわらず、『週刊朝日』編集部が手のひらを返すように橋下市長に謝罪し、連載を中止したことにある。第三者機関には、ぜひその経緯を検証してもらいたい。

(8)もちろん、それでも差別は絶対に許されない、というひともいるだろう。だが、「ハシシタ 奴の本性」を全否定し、バッシングすることは部落差別の新たなタブーをつくるだけだ。

上原善広氏は自身のブログのなかで、日本のマスメディアの体質について述べている。

そもそも大新聞各社は二年前、ぼくの『日本の路地を旅する』が発刊されたとき、「同和問題はどのような本であれ、紙面では紹介できない。ただし大宅賞をとったら載せてあげても良い」と豪語しました。これは自分たちの問題意識を低さに乗っかった、大新聞の傲慢な態度だと思います。結局、ぼくは大宅賞を受賞して、メデタク掲載していただきましたが、あまり嬉しくありませんでした。

ぼくがテレビに出れないのは、路地(同和)を書いているからなんですね。確かにルックスはデブなので見苦しいかと思うのですが、それだけではないのです(多分…)。機会があればぜひ出てみたいのですが、まずは同和タブーがなくらないかぎり、土台、無理な話なのです。

これが、「差別」だ。

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「福島住民の健康の権利守れ」国連人権理事会が勧告

朝日新聞デジタル記事2012年11月3日20時00分

http://digital.asahi.com/articles/TKY201211030340.html?ref=comkiji_txt_end_kjid_TKY201211030340


「福島住民の健康の権利守れ」国連人権理事会が勧告

【ジュネーブ=前川浩之】日本の人権政策について、各国が質問や勧告(提案)ができる国連人権理事会の日本審査が終わり、2日、各国による計174の勧告をまとめた報告書が採択された。福島第一原発事故について、住民の健康の権利を擁護するよう求める勧告が盛り込まれた。

 普遍的定期審査(UPR)と呼ばれ、加盟国すべてに回る。日本は2008年以来2回目で、討論には79カ国が参加。法的拘束力はないが、日本は来年3月までに勧告を受け入れるかどうかを報告するよう求められる。

 福島事故をめぐり、オーストリアだけが「福島の住民を放射能の危険から守るためのすべての方策をとる」よう求めた。日本は、11月中に健康の権利に関する国連の特別報告者の調査を受け入れると表明した。

 このほか、フランスなど欧州各国が死刑制度や代用監獄の廃止を勧告。中国、韓国、北朝鮮、コスタリカ、オランダの5カ国が従軍慰安婦問題を取り上げ、責任の所在や補償などを求めた。アイルランドなどが子どもの連れ去りを禁じるハーグ条約の早期加盟を求め、カナダなどが性的少数者(LGBT)の権利擁護の法制化を求めた。児童ポルノの単純所持禁止や、男女平等の促進を求める国もあった。

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東日本大震災関連の人権問題

「避難生活に伴うストレス」「差別的な言動」「いじめ」…懸念視されている東日本大震災関連の人権問題
【コラム】 2012/11/01(木) 07:08   
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2012&d=1101&f=column_1101_006.shtml

  内閣府は2012年10月22日、人権擁護に関する世論調査の結果を発表した。それによると、日本における人権課題のうち東日本大地震・震災に関連した問題で関心を寄せている項目としては、「避難生活の長期化によるストレスに伴ういさかいや虐待」と答える人がもっとも多く、回答率は6割を超えていたことが分かった。次いで「差別的な言動をされること」「職場や学校などで嫌がらせやいじめを受けること」などが続いている(【発表リリース】)。

今調査は2012年8月23日から9月2日にかけて、20歳以上の日本国籍を有する人を対象とし、層化2段無作為抽出法で3000人を選択。それらの人に調査員による個別面接聴取法で尋ねたもので、有効回答数は1864人。男女比は841対1023、世代構成比は20代151・30代248・40代324・50代315・60代417・70歳以上409。

  東日本大地震・震災やそれに関連する形での福島第一原子力発電所の事故などにより、現在被災者にどのような人権問題が起きていると思うかについて尋ねたところ、もっとも多くの人が同意を示したのは「避難生活の長期化によるストレスに伴ういさかいや虐待」だった。64.9%もの人が避難生活が長期化することにより、ストレスが蓄積され、トラブルが生じているのではないかという懸念を抱いている。

  第二位は回答率が22.2%と大きく下がるが「差別的な言動をされること」がついている。第三位の「職場、学校などで嫌がらせやいじめを受けること」とほぼ同意であり、ゆゆしき問題といえる。

  これを男女別に見ると、他の設問同様に女性の回答率がやや高めだが、大きな違いはない。東日本大地震・震災周りの人権問題については事象の発生からまだ日も浅く、現在も進行形のものが多いことから、少なくとも性別の差異は起きていないようだ。

  最後に回答者の世代別。意外にも若年層ほど高い懸念意志を示しており、高齢者ほど関心度は低い。周囲や報道から対象となる「問題」を聞いていないのか、該当しそうな状況を知っていても問題だとは思っていない・当たり前だと考えているのか、あるいは単に慣れているだけなのか。今件だけでは判断は難しい。

  とはいえ、例えば「避難生活の長期化によるストレスに伴ういさかいや虐待」で、世代間にて最大30ポイント以上もの差が出ているのは多分に気になるところではある。この類の問題は性別・世代を超えて認識し、解決意識を持たねば、解決は容易ではないからだ。

  今件はあくまでも第三者による関心度のあるなしを示したものであり、実際の人権値問題の発生度・数を示したものでは無い。他方、東日本大地震・震災に直接・間接的な事象を用い、不特定多数を惑わし、驚かせ、煽動し、自らのふところを温めたり、権益を拡大するという「不逞の輩」は減るところを知らない。一部報道機関や公的立場にある人の中にも、率先してそのような行為に走る者が確認されている。

  得てしてそのような煽動に惑わされやすい傾向がある高齢者には、本人自身も合わせ、十分啓蒙は行われねばなるまい。(情報提供:Garbagenews.com)

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国連人権理事会 日本の人権状況審査

国連人権理事会 日本の人権状況審査
11月1日 7時32分
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20121101/k10013163061000.html

国連人権理事会は、日本の人権状況について審査を行い、ヨーロッパ各国は、死刑制度の廃止を改めて求めたほか、韓国は、いわゆる従軍慰安婦の問題について日本がきちんとした対応を取っていないとして批判しました。

国連人権理事会は、すべての加盟国の人権状況を4年に1度審査しており、日本が対象となるのは2008年に続いて2回目で、31日、国連のヨーロッパ本部で行われた審査では、82の国と地域の代表が質問やコメントを行いました。
このうち、ヨーロッパ各国の代表は、死刑の執行を停止したうえで最終的に死刑制度を廃止すべきだと主張したのに対し、日本の上田秀明人権人道担当大使は、「日本では極めて凶悪な犯罪については死刑もやむをえないという意見が多数を占めており、死刑を直ちに廃止することは適切ではない」と述べました。
また、いわゆる従軍慰安婦の問題について、韓国は、「日本は心からの対策を取っていない。法的責任を認識し、必要な措置を取るべきだ」と批判したのに対し、日本の代表団は、「苦痛を経験したすべての方々におわびと反省の気持ちを従来から述べてきた。法的な問題については条約などで解決済みだ」と反論しました。
人権理事会は、今回の議論を踏まえたうえで、日本の人権状況の改善に向けた報告書を取りまとめることにしています。

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