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人権委法案 どさくさ紛れはだめだ 信濃毎日新聞

人権委法案 どさくさ紛れはだめだ 10月01日(月) 信濃毎日新聞

http://www.shinmai.co.jp/news/20121001/KT120929ETI090003000.php

 民主、自民両党の党首選や尖閣問題の陰に隠れた、どさくさ紛れのやり方と批判されても反論できないのではないか。

 法務省の外局に人権救済機関「人権委員会」を設ける法案を政府が閣議決定した。

 実効性に疑問が残る上に、報道規制に道を開く心配がある。このまま国会提出へ進むことには賛成できない。落ち着いた環境のもとで問題点を洗い直すよう、与野党に求める。

 長年の懸案である。国連の委員会が1998年、日本政府に対し人権救済機関を設けるよう勧告したのがきっかけだ。日本の警察、刑務所、入国管理の現場などで差別や虐待、暴力行為がなくならない実情が背景にある。

 旧自民党政権が2002年に法案をまとめたものの、最終的に廃案になった。盛り込んだメディア規制条項に対し批判が高まったのが一因だった。

 今回閣議決定した法案からは、メディア規制条項は削除されている。だからといって、それでよしとするわけにはいかない。

 反対する理由をここでは2点挙げる。第一は、何が人権侵害に当たるのかあいまいなことだ。

 法案は「不当な差別、虐待その他の人権を違法に侵害する行為」を禁じている。これでは漠然とし過ぎる。拡大解釈され、公権力の乱用やメディア規制につながる心配が否定できない。

 第二は、人権委を法務省の外局とすることだ。地方の案件ついては実務を法務局が担当する。

 人権侵害がしばしば問われる分野の一つに、刑務所、入管など法務省関係機関での虐待がある。身内が身内に目を光らせる仕組みでは内外の理解は得られない。委員会は政府からの独立性の高い機関にすべきだ。

 タイミングもよくない。国会閉会中になぜ、閣議決定を急がなければならないのか。

 民主党は前回総選挙の公約に人権救済機関の創設を掲げていた。「公約違反」との批判をかわすためのアリバイづくりと受け取られても仕方ないやり方だ。

 人権侵害は世界共通の問題である。国連総会は1993年の決議で救済機関をつくるよう各国に要請した。おもな先進国の中でこの種の機関を持たないのは日本だけという。設置は急務だ。

 日本弁護士連合会は先日、独立性の高い仕組みにするよう求める会長声明を発表した。各界の意見を聴きながら、臨時国会で一からの議論を始めたい。




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