「私たちが求める国内人権機関についての要望」への賛同のお願い
投稿日:2012年3月25日
http://blog.rainbowaction.net/ra/2012/03/1246
レインボー・アクションでは昨年末より「わたしたちが使える国内人権機関を!」のNGO共同アクションに参加していますが、このたび、民主党に対して要望書を提出することになり、賛同団体を募集しています。「わたしたちが使える国内人権機関を!ブログ」より転載し、紹介させていただきます。ご賛同いただけます団体の方、ご興味がお有りの場合も含めて、ぜひお気軽にお問い合わせください。
「私たちが求める国内人権機関についての要望」への賛同のお願い
市民団体のみなさまへ
みなさまの日ごろのご活動に敬意を表します。
私たちは、さまざまな人権侵害とたたかってきた当事者・支援者の立場から、国際基準に合致し、実効性のある国内人権機関の設置にむけてとりくんできました。このたび、下記のような要望を、政府および民主党に提出いたします。
私たちのまわりには多くの差別や人権侵害があります。法律や制度に起因する差別、立法不作為による差別の温存、行政や司法機関など公権力による人権侵害、企業・学校・地域社会における根強い偏見と差別意識がもたらす排除やいじめ、ヘイトスピーチに典型的な差別助長行為等々、枚挙にいとまがありません。日本では多くの人権侵害事例は裁判に訴えても解決されません。国際人権条約機関から設置が勧告されてきた国内人権機関の役割は、人権救済のみならず、人権にかかわる政策提言、人権教育、国際的な協力の機能を持つものです。
望ましい国内人権機関のあり方については、長年人権問題にとりくんできた諸団体からいくつもの提言が出されています。また、法務省は昨年12月、「人権委員会設置法案の概要」を発表しましたが、これには多くの問題点があります。
下記の要望書は、私たちの経験をふまえ、私たちが使える人権機関とはどういうものかをまとめたものです。国内人権機関の設置については、差別や人権侵害をなくすために長年とりくんできた当事者や支援団体の意見を法案に反映させるべきです。
ぜひ、私たちの提言をご検討下さい。
下記要望にご賛同下さるよう、よろしくお願いいたします。
ご回答は2012年4月15日までに下記連絡先あてお願いします。
*要望書は、4月中に政府および民主党に手渡したいと思います。
2012年3月
呼びかけ団体
国内人権機関と選択議定書を実現する共同行動 / 公益社団法人アムネスティ・インターナショナル日本 / 石原都知事の女性差別発言を許さず、公人による性差別をなくす会 / レインボー・アクション / すぺーすアライズ
連絡先 e-mail kokunaijinken@gmail.com
内閣総理大臣 野田佳彦 様
法務大臣 小川敏夫 様
私たちが求める国内人権機関についての要望
私たちは、実効性のある、また国際的にも通用する、独立した国内人権機関の設置を求めます。
私たちは、この日本の社会において、日々数多くの人権問題を経験し、目にし、そして解決しようとしています。そのために欠かせない存在が、実効的な国内人権機関です。国内人権機関については、国連や条約機関から度重なる勧告を受け、日本でもその設置に向けた動きが長く続いてきました。政府が2002年に出した人権擁護法案もそうした試みの一歩でしたが、人権を侵害する危険性の高い制度を所管する法務省に人権委員会を設置するなど、独立性を満たしていない案であったこともあり、十分な支持を得られませんでした。
国内人権機関が準拠すべき国際的な指針であるパリ原則は、国内人権機関がその業務の執行の上でも、また予算、財政の確保の上でも、行政府からの独立性を確保しなければならないとしています。さらに、国内人権機関が果たすべき機能として、政府の施策に対して国際的な人権基準から見た問題点を指摘し、改善を求めることができる政策提言機能を重視しています。
しかし、現在、政府案として出されている案は、依然として法務省の外局として設置することとしているほか、政策提言の機能を、既存の人権擁護施策の範疇に制限し、取り上げる人権侵害も、国内の司法審査で違法性が認められたものを前提とするという極めて不十分なものとなってしまっています。これでは、私たちが望む独立した機関とは成り得ません。
私たちが、この日本社会に必要だと考えている国内人権機関は、パリ原則に完全に合致し、効果的に人権に関する政策提言を実施できる機関です。具体的には、次のような要素を備えるものです。
1. 目的規定をパリ原則に合致したものにすること
ー 政策提言機能、人権救済、国際人権基準の実現を目的として掲げること
2. 国の制度的な人権侵害について有効な政策提言をおこなう機能を持つこと
ー 国や地方公共団体が行っている政策自体に対する批判的提言をおこなう機能を持つ
こと
ー 各行政機関の枠を超えて直接かつ自由に提言を出せること(縦割り行政からの独立)
ー あらゆる行政機関の施策に関し、調査、立入検査、提言を直接かつ自由に行えるよ
うにすること
3. 条約機関その他の国際的な機関からの勧告の実施に関わる業務を担当すること
ー 人権の定義において、国際条約に準拠する旨を記載すること
ー 国連諸機関や特別手続、条約機関などから受けた勧告や提言に対し、その実現や制
度改善に向けた調整機能を果たすことを明記すること
4. 取り扱う人権の範囲については、国内の司法審査の基準ではなく、国際人権基準に合致さ
せること
ー 取り扱う人権侵害の事例に関して、受付段階での門前払いを禁止すること
ー 特定性および違法性要件を取り扱いの際の必須要件としないこと
ー ヘイトスピーチやヘイトクライムなどについても取り扱える余地を確保すること
ー 差別事由の中に「国籍」を含めること
5. パリ原則の独立性要件に準拠すること
ー 予算、財政が行政府から独立していること
ー 業務執行に際して司法府および行政府の関与ができない旨を規定すること
6. 委員・職員の多元性の確保
ー 国籍要件を撤廃すること
ー 被差別当事者の委員就任を確保すること
ー 委員の要件として、人権政策の提言、人権救済、その他人権に関わる活動の経験を
有するものでなければならないことを明記すること
ー 委員の選任にあたっては、社会の多元的構成が反映されることを要件とすること
ー 委員選任の手続きは透明性を確保し、個々の選任にあたって、社会のさまざまな層
からの意見をできるだけ聴取すること
7. 調査に対する協力の在り方を明確に規定すること
ー 公権力の行使にともなう人権侵害、事業者による人権侵害、医療・福祉施設におけ
る人権侵害、学校における人権侵害については、相手が調査や立入検査に応じない場合にはその事実を公表することができるようにすること
ー 公務員又は行政機関は調査や立入検査を拒否することができない、と定めること
ー 公務員又は行政機関への調査や勧告に対しては回答期限を設けること
8. 人権機関がとり得る措置には法的処分としての効果が伴うこと
ー 人権機関が措置を講ずる場合には適正手続の保障がなされること
ー 不服申し立ての機会や処分の透明性が確保されること
こうした諸点を十分に実現することなしには、実効性のある国内人権機関は実現しない、と私たちは考えています。私たちは、政府に対し、上記の諸点を満足する国内人権機関を設置するよう求めます。
参考資料→人権侵害の当事者・支援者の声◆「私たちが使える人権機関を!」市民集会・院内集会での発言 (2012年2月1日、2月2日)
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