社説 宮崎日日新聞社 もう設置を決定するべきだ
社説 宮崎日日新聞社
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人権救済機関
2012年01月20日
もう設置を決定するべきだ
法務省が人権救済機関の「人権委員会を「法務省の外局として新設する法案を発表、民主党に内容を説明するなど通常国会へ提出する方向で動き始めた。野田佳彦首相も重点項目として人権委の設置を挙げている。
人権救済機関は国連が必要性を強調している。国際人権規約を運用する自由権規約人権委員会が1998年、日本政府報告書審査の際、最終見解で設置を求めるなど再三取り上げられてきた。
法案を放っておいても大きな問題は起きないかもしれない。しかし内外に国の基本姿勢を明らかにする重要な意味がある。そろそろ設置を決めないと、日本は人権の救済に無関心な国だとみなされ、国際社会から愛想をつかされることだろう。
■独立性は人権委の命■
政府は2002年、人権擁護法案を国会へ提出。しかし人権委の独立性が弱いことや罰則付きのメディア規制条項が批判を浴び、廃案になった。
政権交代後、法務省の政務三役は独立性確保の観点から人権委を内閣府の外局とする方針を示した。しかし民主党作業チームが検討の結果、法務省の外局ならば人権擁護局の組織や人権擁護委員などを活用できるとして今回の案をまとめた。
注目点は二つある。1点目は、国家行政組織法3条に基づき政府から独立した権限を持つ「三条委員会と位置付け、委員長や委員は国会の同意人事としたことだ。
独立性は人権委の命であり、できれば法務省から分離すべきだが、手足となる公務員が手薄な内閣府では新組織の設立は難しい。検察官や省庁幹部らを要職には据えない人事面での制限が確保されれば、最小限の独立性は保たれる。
■拒否時の罰則設けず■
2点目は、人権委が行う人権侵害の調査は任意とし、調査相手が拒否したときの罰則は設けないことだ。人権擁護法案には、拒絶すれば過料の制裁が待つ特別調査の制度があったり、被害者の損害賠償請求訴訟に国が補助参加して支援する仕組みになっていたりし、強権的な姿勢が強かった。
しかし人権問題は捜査官的な発想では解決が難しい。救済機関に求められるのは安易な権力発動ではなく、その意味では改善が図られている。
そのほかの主な内容としては、人権侵害が認められた場合、人権委が告発や調停・仲裁の措置をとれることだ。当事者間の調整はトラブル解消に役立つに違いない。
今回の法案ではメディア規制条項が削られるなど過去の教訓が生かされている。まず創設し、じっくり育てていく選択肢も考えられるだろう。
国内には、行政が人権を守る擁護の考え方はあっても、行政などの人権侵害を「監視する発想はあまりない。国会が人権状況の監視役をするよう求める意見も出されており、検討を進めたい。
もっと知りたい ニュースの「言葉」
人権救済機関(2001年6月6日)人権擁護推進審議会(会長・塩野宏東亜大通信制大学院教授)が五月二十五日に法相に提出した答申で新設を提言した独立行政機関。公正取引委員会のような合議制の「人権委員会」(仮称)を想定し、事務局は法務省の人権擁護部門を改組、二○○三年設置を目指す。「差別」「虐待」「公権力による人権侵害」「マスメディアによる人権侵害」を積極的救済の対象とする。調査を拒むと罰金を科すなどの権限を持ち、一部の差別被害には裁判所に差し止め命令を申し立てるなど強制的な手法も導入する。メディアについては任意調査にとどめるが、調査...
人権擁護委員(2001年12月6日)1949年制定の人権擁護委員法に基づき、全国に約1万4千人が配置されている。市町村長の推薦を受けて法相が委嘱、無報酬で人権相談などにかかわる。市町村議会議員の選挙権を持つ住民から選任すると規定されているため、日本人に限定される。専門性が高い分野では人権擁護委員の中から、当事者の利害を調整する人権調整専門委員、子どもの人権専門委員などが指定されている。
人権擁護法案(2007年12月29日)差別や虐待など人権侵害行為に対応する「人権委員会」を法務省の外局に設置し、侵害を受けた人への助言や加害者への指導、調停・仲裁、訴訟援助などを行う法案。政府は2002年に国会に提出したが、人権委の独立性やメディア規制をめぐる批判を受け、03年秋に廃案となった。05年にはメディア規制部分を凍結し再提出を目指したが、自民党内で意見がまとまらず、見送った。
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