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人権救済法案 危険な本質は変わらない (産経)

人権救済機関 なお懸念がぬぐえない 12月18日(日)信濃毎日新聞社
http://www.shinmai.co.jp/news/20111218/KT111217ETI090004000.html

 差別や虐待など人権侵害の解決に取り組むための「人権委員会」の概要を、法務省が発表した。

 かねて検討されていたメディア規制条項を見送ったのはいいとしても、何が人権侵害に当たるのか曖昧で、言論統制につながる心配が解消されていない。概要に沿った形の法制化には賛成できない。

 長年の課題である。旧自民党政権が2002年に法制化を試みたものの、廃案になった。

 日の目を見なかった理由の一つは、深刻化していた集団的過熱取材(メディアスクラム)の問題を背景に、メディア規制を盛り込んだことにあった。言論統制の懸念から慎重論が強まった。

 メディアスクラムについてはその後、新聞やテレビ業界で自主的な取り組みが進んでいる。規制を見送るのは当然だ。

 問題はなお残る。第一は、何が人権侵害に当たるか詰め切れていないことだ。

 法務省の発表資料によると、人権侵害とは「特定の者の人権を侵害する行為であり、司法手続きにおいても違法と評価される行為」を指す。

 委員会は人権侵害に加え「差別助長行為」も扱う。差別助長行為とは「差別的取り扱いを助長、誘発することを目的として文書を公然と摘示すること」だという。

 この規定では曖昧すぎる。拡大解釈され「報道の自由」が侵害される結果を招きかねない。

 民主党内には陸山会事件などにからみ、報道規制の動きがしばしば浮上する。人権救済の問題でも、われわれメディアとしては慎重に構えざるを得ない。

 問題の第二は委員会を法務省の外局とする考えでいることだ。

 そもそも人権救済機関が浮上したのは、警察、刑務所、入国管理局などで容疑者らの虐待が相次ぐ実態を是正するよう、国連の機関が日本政府に勧告したことがきっかけだった。救済機関を法務省に置くと身内が身内を監視する形になる。これでは国外からの目に対し説得力がない。

 委員会は法務省ではなく内閣府に置くべきだ。公正取引委員会、中央労働委員会などと同様、人事面で政府からの独立度が高く、強い権限を持つ「三条委員会」とするのがいいだろう。

 人権侵害は後を絶たない。迅速、丁寧に対応してくれる窓口の設置は急務である。弱い立場の人たちの権利を守るためにはどんな仕組みにしたらいいか、細部の詰めを急ぎたい。





【主張】
人権救済法案 危険な本質は変わらない

2011.12.19 03:18
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/111219/plc11121903190002-n1.htm

 法務省が新たな人権救済機関「人権委員会」の設置を柱とする「人権救済機関設置法案」の概要を発表した。

 メディア規制条項を削り、人権侵害の調査は任意とするなど強制力を弱めたというが、過去に指摘されてきた本質的な問題は変わらず、民間の言論表現活動に公権力が介入し、言論統制を招く危険性も消えていない。法務省は方針を撤回し国会提出も断念すべきだ。

 新たな人権救済機関は自公政権下でも検討されたが、多くの問題が指摘されて不成立に終わった。しかし、民主党は先の衆院選の政権公約で「人権侵害救済機関の創設」を掲げ、今年8月、江田五月法相がその基本方針を公表した。今回の法案概要は、この方針に沿ってまとめられたものだ。

 法案の最大の問題点は、肝心の人権侵害に関する定義が曖昧なことだ。「特定の者」の「人権」を「侵害する行為」とし、憲法違反や違法行為が対象というが、これでは何も定義しないに等しい。

 全国の弁護士会の人権救済勧告では、過去に学校の生徒指導・校則指導や国旗・国歌に関する指導が「思想信条の自由を奪った」とされ、警察官の正当な職務質問が「人権侵害」として訴えられた例もある。何が人権侵害かが明確にされないまま警察活動や学校教育を萎縮させる恐れが消えない。

 さらに、法務省外局に新設される人権委員会を、国家行政組織法3条に基づく「三条委員会」と位置づけていることも問題だ。

 「三条委」は公正取引委員会や国家公安委員会と同様の強大な権限を与えられる。人権侵害の調査は任意で行われるが、「深刻な侵害事案」と判定すれば対象者を刑事告発できる権限も付与されている。人権侵害の定義が曖昧なことと併せて、恣意的に運用される重大な懸念を指摘したい。

 地方に置く人権擁護委員は「地方参政権を持つ人」としている。民主党は結党時の基本政策で定住外国人への地方参政権付与を掲げた。外国人の選任に道を開きかねないのは極めて問題である。

 法務省は法案提出をめざす以前に、これらの懸念や疑問について国民に説明すべきだ。北朝鮮の拉致問題など本来なすべき課題も多い。そもそも、既存の人権侵害の大半は現行制度の下で解決しているという。こうした法案をつくる必要性は初めからないのだ。








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