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衆議院法務委員会議事録第2~4号 城内委員質疑

平成23年10月25日         
衆議院法務委員会第2号

○城内委員 城内実でございます。

 本日は、平岡大臣に、人権侵害救済機関の設置の問題について、そして、時間がありましたら、司法修習生の給費制の存続の問題について質問させていただきたいと思います。

 私は、平成十七年、自民党の国会議員でありまして、その年の三月十日に自民党法務部会・人権問題等調査会合同会議に出席しました。反対の立場で私は発言をいたしました。その後、平沼赳夫先生とともに真の人権擁護を考える懇談会を創設いたしまして、その事務局長として本件に携わってまいりました。

 これまで人権救済機関設置に係るさまざまな問題について、昨年来、千葉大臣、柳田大臣、江田大臣と同じ質問を繰り返ししてまいりましたが、いまだに明確な答弁をいただいておりません。平岡大臣は人権派の弁護士でいらっしゃるわけですから、当然、きょうは明確な答弁をいただけると確信しております。

 では、大臣、私のような慎重派、反対派が、どういった立場から、あるいはどういった懸念を持って反対なのか、慎重なのか、まずお答えしていただきたいと思います。

○平岡国務大臣 いろいろあろうかとは思いますけれども、当時議論されていたところから、また今まで議論されているところまでいくと、それが我々が今提案しようとしているものと必ずしも一致するものではありませんけれども、例えば、人権委員会の委員あるいは人権擁護委員の方々に外国籍の方が入るのではないかというようなこととか、あるいは人権委員会の権限が強過ぎるのではないかとか、あるいは人権侵害というものの定義といいますか考え方自体が、これはちゃんとしたものではなくて、過大な行政権の介入になるのではないかとか、あるいは人権委員会が行う行為というものが表現の自由等に対して影響を与えるのではないかとか、そのようなさまざまな御指摘があったというふうに私としては承知しておるところでございます。

○城内委員 今大臣御指摘したとおりでありますし、さらに、人権侵害したとされる加害者の人権の保護が不十分という点もあります。先ほど平沢議員そして稲田朋美議員が、大臣が太田総理という番組で被害者よりも加害者の方に同情的な発言をされましたが、それは論外として、それにしても、人権を侵害された、私が被害者ですという人の救済措置はあるにもかかわらず、人権侵害をしたとされている者についての救済措置がないという非常に不平等な、そういう制度なんですね。

 もう一つ質問したいと思いますが、大臣、私は保守派ですが、いわゆるリベラルな日本共産党はどういう立場であるか御存じですか。わからなかったら私が答えますよ。

○平岡国務大臣 ちょっと、私自身は、具体的な共産党の主張については存じ上げておりません。

○城内委員 日本共産党は、部落解放同盟の利権の維持になる、だから反対、二つ目、法務省の外局で人権救済機関をつくるということは権限が強過ぎるので反対、三つ目、差別の定義があいまいであり、表現の自由を侵害する。日本共産党ですら反対なんですよ。

 平岡大臣は、どうしてこの人権救済機関をつくるんですか。どういう理由か、ちょっと私に納得いく説明をしていただきたい。

○平岡国務大臣 共産党さんが反対しておられるということについては御指摘のとおりかとは思います。

 人権擁護の問題について言えば、法務省にも人権擁護局というのがある、人権問題についてこれまでも取り組んできたということでございますけれども、国際的な動向からすると、こうした人権擁護局のような、ある意味では一人の政治家の指揮下にあるというような形で人権問題を考えていくのではなくて、政府から独立性の高い組織が中立的あるいは公平に人権問題について取り組んでいくべきであるというような基本的な考え方に基づいて、今の我々の行おうとしている提案というものがあるというふうに考えているところでございます。

○城内委員 しかし、今、中立、独立の機関とおっしゃいましたけれども、法務省の外局に置くわけですよね。刑務官による人権侵害の問題もありますし、また、人権委員会のメンバーは国会の同意人事ですから、もし衆参でねじれていなければ、民主党さんが国会同意人事で自分たちの都合のよい、民主党寄りの人権派の学者や弁護士さんを委員に指名することができるじゃないですか。どこが中立で独立なんですか。

○平岡国務大臣 法務省の中にというか、法務省の外局として委員会を置くということではありますけれども、これはあくまでも委員会制度で合議制の組織としてやるわけでありますから、法務大臣の指揮命令下で行うということではございません。したがって、矯正施設等において行われているような人権侵害問題について、法務省の中にあるから影響を受けるのではないかということは当たらないというふうに思います。

 それから、国会同意人事について言えば、我が国には国会同意人事の仕組みはたくさんございます。今はたまたま民主党政権ということでございますけれども、参議院では、ある意味では与野党ねじれといいますか、必ずしも与党だけで多数を占めているわけでもない、こういう状況もございます。

 そういう中で、私は、今までの国会同意人事というものが、一党一派に偏した形で同意が行われてきたというふうには思っておりません。政府が提案する人事については、与党に対しても野党に対しても、私は、できる限りの同意が得られるような、そういう人材を選んでくる努力をしてきているというふうに承知しているところでございます。

○城内委員 例えばアメリカの場合は、そういった機関に、与党と野党で三対二とか、野党からもそういったメンバーを送れるような仕組みがあるというふうに聞いておりますけれども、実際、国会同意人事だったとしても、民主党が与党であれば、与党寄りの人間が委員に選ばれる、その結果、場合によっては不当な、表現の自由が侵害されるようなケースが起きてくるんじゃないかと私は思います。

 もう一つ質問ですけれども、では、大臣、人権侵害救済機関を設置しないと救済できない人権侵害事案の具体例を挙げていただきたいんです。私、一生懸命探しているんですけれども、なかなかないんですよね。どうか具体的に挙げてください、大臣は法務大臣なんですから。

○平岡国務大臣 一つの答弁のあり方として、今、個別法による救済というものが行われているものと、そういう個別法がないものとがあるという状況があろうかというふうに思います。そういう意味では、個別法による救済制度はそれはそれとして機能させていくわけでありますけれども、そういう個別法による救済制度が整備されていない分野、例えば雇用の場面以外の差別であるとか、あるいは学校における体罰、いじめとか、そういうような問題については、こうした人権救済制度というものがあるということが望ましいというふうに思います。

 その上に立って、それをどういう仕組みで行うのかという組織論的な問題、権限の所在の問題について言えば、先ほど来から申し上げているように、委員会制度という形でやることが中立性あるいは公平性といったようなものに適しているというふうに私は思っていまして、これが一つの国際的な原則のもとになっているというふうに考えています。

○城内委員 今、大臣、学校におけるいじめの問題と。では、そういう個別法をまたつくればいいじゃないですか。実際、個別法をつくって対応するというのが一番きめ細かくていいんですよ、お金もかかりませんし。私も何度もこの場で申し上げているように、ネズミはネズミ取り、ゴキブリはネズミ取りじゃなくて、ゴキブリはごきぶりホイホイとか、そうやって個別具体的にきめ細かく対応していけばいいわけであって、そんな人権委員会というお化けみたいな、下手すると暴走しかねないそういう機関をつくる必要はあるんでしょうか。

 では、もう一つ質問させていただきたいんですけれども、国際的な要請、国際的な要請といいますけれども、大臣がつくろうとしている巨大な権限を持った人権救済機関を持っている国を先進国の中で挙げていただきたい。どこの国が持っているんですか。

○平岡国務大臣 先ほどの個別法による対応の問題でありますけれども、これは、いろいろな人権侵害については、新しい態様の人権侵害というものが出てくるわけで、その都度、個別法による対応ということであるとするならば、迅速な対応が不可能であるという問題もあろうかというふうに思います。

 さらに、個別法で対応するという形にした場合は、それぞれに個別の救済機関みたいなものをつくらなければいけないといったような課題もあろうかというふうに思います。そういう意味での行政のスリム化というような問題もあろうかというふうに思います。

 各国のものについては、ちょっと持ち合わせがないので、調べてまた御答弁申し上げます。

○城内委員 今、大臣、行政のスリム化とおっしゃいましたけれども、人権委員会をつくることが逆行しているんですよ。今まさに民主党さんは事業仕分けをしているわけですよね。

 これは、例えば公正取引委員会はいわゆる三条委員会、今、政府・民主党、与党民主党がつくろうとしている人権救済機関も三条委員会ということですが、例えば公正取引委員会は予算が年間どれだけかかるか御存じですか。答えられなきゃ私がお答えしますよ。約八十億円です。

 では、今まさに事業仕分けなどをやって無駄を排している政権与党が、人権委員会を設置した場合にかかる予算、経費、人員について、私は当然、計算して準備して制度設計していると思いますが、その具体的な数字、大まかで結構ですから教えていただきたいと思います。

○平岡国務大臣 コストについては、現在、制度設計の詳細を詰めているところなので、具体的な費用の検討までには至っていないというふうに報告を受けているところでありますけれども、今、法務省の人権擁護局で行っている人権擁護施策について言えば、人件費を除いたところで約三十億円の費用がかかっているというふうに承知しているところでございます。

○城内委員 私は、法務省の人権擁護局、人権啓発等の活動で、まさに地方の法務局や地域でボランティアで頑張っていらっしゃる人権擁護委員の草の根の活動で、関係者は本当に頑張っていると思うんですよ。ですから、むしろ、そういった人権啓発に予算を振り向けたり、あるいは人権擁護委員の方々が、無給ではありますけれども、人権問題を解決するに際してのいろいろな経費を負担するとか、それをまずやるべきであって、何か巨大な組織をつくって、それをつくったことによって一体どれだけの効果があるのか、大臣だってお答えできていないじゃないですか。それは、何か最初から結論ありきで、おかしいと思いませんか、大臣。どうですか。

○平岡国務大臣 今、巨大な組織という表現をされましたけれども、我々としては、基本的には、法務省にある既存の人員といったようなものを活用するということを考えておりますので、今回、委員会制度になったからといって、巨大な組織になるというような認識は持っていないところでございます。

 先ほど、ほかの国で人権委員会制度を持っているのはどこかという御質問がありましたけれども、イギリス、カナダ、フランスといったような国がこういう人権委員会の仕組みを持っているというふうに承知しております。

○城内委員 いや、巨大な組織ではないとおっしゃいましたけれども、現にいわゆる三条委員会でありますし、独立、中立の機関をつくるわけですから、当然やはり人的な措置が、では、法務省の中につくるんですか、そういうことも含めて、いろいろな意味でお金と人員がかかるわけですから、私はそれは、特に権限も入れれば本当に巨大な組織になるというふうに確信しております。

 そして、今、大臣、カナダとかアメリカ、フランスの例を挙げましたが、私の手元の資料には、確かにあるんですよ、例えばアメリカには、雇用機会均等委員会あるいは司法省公民権局。ただし、これはあくまでも、雇用の場で差別されない、いわゆる人種や皮膚の色、出身国、性別、宗教によって差別されない、あるいは、公共施設、住宅等において、皮膚の色や人種、宗教等で差別されない、そういう具体的な事案に対応する機関であって、今大臣がつくろうとしている、何でもかんでものみ込めるようなそういう機関を持っている国というのは、先進国では、ないんですよ。

 カナダだって、人権委員会、審判所、同じですよ。イギリスだって、例えば障害者権利委員会、障害者の差別をしてはならないということを監視する、あるいは人権平等委員会、同じく、アメリカ、カナダのように、人種、皮膚の色、出身国、宗教、国籍などによって、雇用等で差別されない。機会均等委員会というのもイギリスにありますけれども、これも雇用の機会と。

 そうやってピンポイントで委員会がつくられていて、もう何でも、それこそドメスティック・バイオレンスでも、高齢者虐待でも、刑務官の人権侵害でも、何でもかんでも対象になるなんという機関を持っている国というのは、私が調べた限り、先進国の中ではないんですよ。にもかかわらず、なぜそのような機関を日本だけがつくる必要があるんですか。明確な御答弁をいただきたいです。

○平岡国務大臣 個別法による対応の問題点というのは先ほども御説明申し上げましたけれども、さらにつけ加えて言うならば、やはり、国民にとって、見てわかりやすいといいますか窓口が一本化されている、ここに駆け込めば人権問題についてはとりあえず窓口となってくれるというところがあることの利便性というのもあるだろうというふうに思っております。

○城内委員 いや、窓口というのは、それは各市町村にもそういった人権関係の部署もありますし、人権擁護委員が全国に人権擁護委員という札を掲げて、もう身近な存在として存在しているんですよ。窓口といいますけれども、では、東京まで北海道や沖縄の人が出てくるんですか。そういう、何か詭弁を弄さないでいただきたい。

 そして、人権というと、むしろ、中国のチベットやウイグルといった少数民族、あるいは、きょうも議員会館の前で法輪功の皆さんが中国当局による虐待、拷問について訴えておられましたけれども、そういったものがまさに差し迫った喫緊の課題でありますよ。そして、北朝鮮による拉致被害者なんて、これなんか誘拐されているんですよ。これは人権侵害の最たるものですよね。こういったことにまさに国として限られた予算と人員を充てるべきではないかと思いますけれども、大臣はどう考えていらっしゃるんですか。

○平岡国務大臣 人権擁護委員の話をされましたけれども、人権擁護委員について言えば、我々の人権救済機関、人権委員会のようなものをつくるときには、この人権擁護委員の方々にもその組織の一つの重要な役割を担う方々として活動していただくということを考えていますので、既存の組織あるいは人員については十分に活用した中での窓口というようなイメージを持っていただければというふうに思います。

 それから、委員から御指摘のあった国際的なというよりはむしろそれぞれの諸国における人権侵害問題、あるいは国際的な人権侵害の問題については、我が国としても、それは国際的ないろいろな場面がございますので、そういう場面でしっかりと人権が救済されるような、人権が擁護されるような活動をしていくことは当然のことだというふうに思っておりますけれども、まずはこの人権侵害救済機関、人権擁護機関というようなものについては、国内に目を当てて、国内でしっかりと対応しようというところで今やっているということで、それと先ほど御指摘になった国際的な問題というものは、ちょっと分けて考えていただくということも必要ではないかというふうに思います。

○城内委員 いや、私は、人権侵害には日本人も中国の方も関係ないと思うんですよね。やはりこれは国籍を超えて、現に拷問を受けたり、虐待している人がいたら、それを助けてあげたりするのが人としての務めだと私は思いますから。何でそういった人たちにもっと目を向けないで、一生懸命人権侵害事案をつくり出すかのような、そういう機関をつくる必要があるのか。私は、本当に甚だ疑問でなりません。

 そこで、もう一つ質問ですけれども、例えば、私が国会議員としてこういった委員会の場で平岡大臣に、平岡大臣はもしかしたら部落解放同盟の回し者じゃないかと、回し者みたいなこういう表現、これは差別的表現と言えるんじゃないですか。これが差別的表現として、あるいは著しく不快になる人権侵害として、私のこの発言が将来人権委員会ができたときに問題とされる可能性があるのかないのか、ないとしたらその根拠はどこにあるのか、教えていただきたい。

○平岡国務大臣 個々の事案について、それが人権侵害に当たるか否かについては、やはり具体的な状況等がございますので、私がここで一概にそれが当たるとか当たらないとかというようなことを申し上げることは適当でないというふうに思います。

 ただ、一般論的に言いますと、例えば議会、委員会においての発言については、院外あるいは国会外で責任を問われることはないというようないろいろなルールがありますから、そういうようなルールに照らして今の御指摘の問題については考えていくということも必要ではないかというふうに思います。

○城内委員 いや、それはおかしいじゃないですか。国会議員と、あるいはメディア条項がないということですからメディアはよくて、一善良な市民がちょっと口が滑って、今私が申し上げたようなことを、根も葉もないうわさかもしれませんけれども発言して、それを著しく不快あるいは差別的言動である、そういうことを主張して、まさに合法的な恐喝、ゆすり、たかりをしたり、あるいは、本当に人権委員会にこの問題を取り上げてもらったりして、それが報道されたりすると、その人はもうおしまいですよね。

 だから、アメリカやカナダやイギリスですら、雇用とかあるいは住居の貸し借りとか、そういったものに限定して機関をつくっているにもかかわらず、何でもありですよ。これだったら、ちょっとしたさじかげんで、これは人権侵害、この人はそうじゃないとか、基準、定義が甚だあいまいですよ。この点についてどう思いますか。

○平岡国務大臣 個別の事案についての当てはめの問題については、先ほど言いましたように、それぞれ具体的状況が不明でありますから答えることは困難でありますけれども、基本的な考え方というふうな視点で申し上げれば、憲法の人権規定に抵触する公権力による人権侵害のほか、私人間においては、民法、刑法、その他の人権にかかわる法令の規定に照らして違法とされる行為というふうに我々としては考えているところでございます。

 したがいまして、この人権救済機関で取り扱う話としては、司法救済を補完するものとして位置づけられますことから、救済の対象は司法手続においても違法と評価される行為であることを前提としているということでございます。

○城内委員 いや、それでもやはりあいまいですから、まず、ぜひ、ちゃんとリストをつくって、具体的な事例を挙げて、それをまさに国民とともに、法務委員会のみならず、やはり国民の理解をいただいた上で進めていただきたいと私は思います。もしそれを進めれば、国民は、こんな機関は必要ない、そういう結論を必ず下すと私は思います。

 何か政務三役が密室でいろいろと法務省の官僚の皆さんと議論してやっていたみたいですけれども、これは、公正取引委員会や公害等調整委員会のように特定の企業あるいは団体を対象にしているんじゃなくて、日本に住んでいるすべての日本国民及び外国人が対象となる極めて重要な機関でありますから、なおさら、そういった定義をきちっとつくる、限定的に適用するといったことをやっていただかないと、将来、独裁的な政権が誕生した場合に、この人権救済機関を使って、こいつは人権侵害だといって政治的にその人を抹殺することが容易にできる。

 私はドイツで十年生活しておりましたけれども、ドイツはナチスの経験がありますから、闘う民主主義ということで、何でもかんでも自由に認めるんじゃなくて、やはりそういった、特に人権という問題については非常に定義をはっきりとさせてやっておりますので、そこら辺はやはりきちっとやっていただきたいと思います。

 もう時間が余りありませんので、この人権侵害救済機関については、私は質問したいことがまだたくさん残っているので、ぜひ次回は、大ざっぱでいいですから、どれだけ人員と予算がかかるのかというのをお答えしていただきたいと思います。
















平成23年12月2日         
衆議院法務委員会第3号

○城内委員 何かもう全く理解のできない答弁で、これ以上時間を消費したくないので、この問題については、また質問させていただきたいと思います。

 前回、十月二十五日の法務委員会で、私は人権救済機関について質問させていただきました。残念ながら、大臣が余りこの問題について詳しくない、大変失礼な言い方をしますと、勉強不足であるというような印象を受けました。その間、一カ月以上たっているわけですけれども、この問題については、大臣も所信で非常に重要な案件だとお認めになっているわけですから、かなり深く勉強されたと思うんですが、いま一度、前回と繰り返しになりますけれども、この問題について質問させていただきたいと思います。

 まず、大臣に質問ですが、人権救済機関を設置する必要性について、政府としての見解を質問したいと思います。所信の立場と現在もお変わりないのでしょうか。

○平岡国務大臣 変わっておりません。

○城内委員 では、大臣は記者会見で、これは九月二日の大臣就任の記者会見です。先ほど野田総理から六点の重要課題について御指示を受けたと。その中の三番目の項目として、新たな人権救済機関の設置というふうにおっしゃっておりましたけれども、野田総理からどういう指示を受けたのでしょうか。お答えできますでしょうか。

○平岡国務大臣 正確な一言一言を覚えているわけではございませんけれども、新たな人権救済機関の設置に向けて仕事をしてくれということであったというふうに思います。

○城内委員 私は、野田総理は常々、この問題については、どちらかというと慎重派であったというふうに理解しているんですけれども、本当にそういう指示が総理からあったとはにわかに信じられないんですが、具体的にはどういう形式で指示を受けたのですか。口頭ですか、それとも文書ですか。

○平岡国務大臣 これは文書に基づいて、口頭で指示もいただきました。今、ちょっと手元に、そのときのものが入りましたので、申し上げたいと思います。

 総理からは、国民の人権が保障され、安心して暮らせる社会をつくるため、新たな人権救済機関の設置に向けた具体的作業を進めるということの指示をいただいたわけであります。

○城内委員 要するに、野田総理から、そういう文書で指示を受けたということですね。

 次の質問に移りますけれども、大臣が以前、記者会見で、来年の通常国会での法案提出に向けて今作業を進めているというようなことをおっしゃっておりましたけれども、その中で、国民の理解を得られるような制度の構築を目指しというふうにも述べておられるんですが、私も国民の一人なんですが、全く理解が得られていないんですね。

 この点について、現在の進捗状況というのをお答えいただきたいんですけれども、今どういう状況なんでしょうか。

○平岡国務大臣 これは前の政務三役の体制でございましたけれども、人権救済機関についての基本方針というものが出されました。それに基づいて、今、関係する省庁あるいは関係する団体等との間でいろいろな具体的な詰めを行っているというような状況でございます。

 先ほど委員の方から法案提出の話にちょっと触れられましたけれども、そのときは、個人的には遅くとも来年の通常国会には提出したいというふうに申し上げたような記憶がございますけれども、この段階に至っておりますと、遅くともという言葉が多分もう実務的にも事実上も難しい状況になってきているのかなというふうには考えております。

○城内委員 TPPもそうなんですけれども、私も手元に法務省政務三役の基本方針がありますけれども、プロセスを全部明らかにしろとは言いませんけれども、この政務三役の基本方針の二枚紙が公開されただけで、全く、だれがどこでどのような議論をしているかというのがわからないんですね。これは、まさに先般のAPECにおけるTPP参加表明と同じように、もう最初から結論ありきで、そのプロセスについては一切知らされてない。私は、どちらかというとこの人権救済機関については常にアンテナを張って情報収集をしているんですけれども、本当に断片的なものすら入ってこないんですね。

 ですから、これは本当に、一億二千万人を超える日本に住んでいる国民あるいは外国人すべてが対象となるわけですから、こういった議論というのはむしろ積極的にオープンにして、今法務省ではこういうふうに検討しています、どうでしょうかということを、今ホームページ、インターネットの時代ですから、一般の国民の皆さんに意見を問うたらどうですか。大臣、それをおやりになりますか。

○平岡国務大臣 委員御指摘の点については、私も、できる限り、国民の皆さんにこの議論に参加していただけるようにといいますか、議論が深まっていくような努力をすべきであるというふうに思っています。

 実は、基本方針を出しましてから、いろいろな問い合わせが法務当局の方に来ているようでございまして、そういう問い合わせの中で、ちゃんとこれは、もう少し詳しく説明しなければならないんじゃないかとか、あるいは、場合によっては誤解をされている面があるかもしれないので、もうちょっときちんと説明しなければいけないんじゃないかということについては、この基本方針をしっかりと説明するようなものをつくりました。たしか来週の初めぐらいにでもそれをホームページに立ち上げて、この基本方針で考えていることが具体的にどういうことなのかということをもっと説明するものを出したいというふうに思っております。

 ぜひ、そういう作業も通じて、国民の皆さんとしっかりと対話といいますか議論を深めていきたいというふうに思っておりますし、これはいずれ法案という形で国会で御審議をしていただくということにしたいというふうに思っていますけれども、その立法作業の過程の中でも、できる限り国民の皆さんの意見が聞けるような、そういう努力はしてまいりたいというふうに思います。

○城内委員 重ねて申し上げますけれども、この問題というのは国民すべてが対象になる非常に重要な案件ですので、十分やはり議論をしていただきたいと思います。

 今、基本方針のお話をされましたけれども、ちょうど九月二日の大臣の初登庁後の記者会見で、大臣はこういうことをおっしゃっているんですね。野党の方々に理解をしていただけるような内容に、少しマイルドなものにしていくというようなことも考えなければならないと。マイルドなものにするというのは、そもそも原案が劇薬のように大変危険であるから、野党ものんでもらうためにマイルドにしたというふうにしかとれないんですね。

 私、基本方針を持っておりまして、見たところ、七の特別調査については、本来ならば調査拒否に対する過料等の制裁を想定されていたんでしょうけれども、当面置かないこととする、改めて検討すると。八の救済措置についても、訴訟参加及び差しとめ請求訴訟の提起については当面導入をしないということで、マイルドなものにしたと。一番問題なのは九の「その他」で、「制度発足後五年の実績を踏まえて、必要な見直しをすることとする。」と。

 これはもう要するに、子供だましじゃないですけれども、マイルドなものにして野党にも賛成させて、何か民主党のPTでも発言があったらしいですが、小さく産んで大きく育てると。最初はマイルドなようなものに見せておきながら後で劇薬にするということじゃないかと思うんですが、この点について、大臣、どのようにお考えですか。

○平岡国務大臣 委員が、もともとのものは劇薬でなかったのか、そういう御発言でございますけれども、実はまだ民主党政権になって具体的なものを発表したことはございません。あくまでも、この基本方針の中でいろいろるる語っているのは、平成十三年の人権擁護推進審議会の答申で出されたものを踏まえて、当時の政府から法案が提出されています。その法案の中に、ここに書いてあるような、今議員が御指摘になったようなことがるる書いてあるわけですね。そういうことについての議論もいろいろあったという理解のもとに、先回の、前の政権が出された法案で検討されていたこういうものについては、今回我々の法案の中ではこういうふうにしていこうよというふうにしたということであります。

 それともう一つ、九番目の、見直しなんですけれども、これは、小さく産んで大きく育てるという人もいるかもしれません。でも、そうじゃなくて、こういう仕組みをつくるときには、通常、何年間かたってしっかり見直しをするというのは従来からよく行われている話でございますし、こういう委員会制度をつくった前例となるものにもこうした見直し規定というものが入っているということなので、我々としても、やはり改めるべきは改めるという姿勢は常に持ちながら、こうした重要な法案について取り組んでいきたいということをお示しさせていただいたというふうに思います。

○城内委員 私は、とりあえずつくって見直しというんじゃなくて、そもそもこういう機関は必要ないんじゃないかということを極めてこれまで論理的に述べてきたつもりであるんですけれども、やはり最初から設置前提ありきで、小さく産んで大きく育てるということを大臣はまさにおっしゃったわけですけれども、違いますか。(平岡国務大臣「いやいや、そういう人もいるかもしれませんと言っただけです」と呼ぶ)

 まあ、もう時間が余りないので、次の質問に移らせていただきます。

 まず、人権救済機関を設置しないと救済できない人権侵害事案の具体例について、大臣は前回、十月二十五日の質問で、雇用の場面以外での差別とおっしゃいました。その一例として、大臣は、学校における体罰、いじめ、これはまさに私としても看過できない大きな人権侵害事案だと思いますけれども、これこそ、個別法をつくったり、あるいは教育の現場でしっかりと指導をするとか、そういう対応が私はより現実的だと思いますけれども、大臣はどのように考えていらっしゃいますか。

○平岡国務大臣 この前も、個別法による対応ということを委員の方からもいろいろと御指摘がございました。

 我々としては、個別法による救済制度が重要であるということは当然だとは思いますけれども、個別法による救済制度の整備されていない分野というのは、先ほどの御指摘があったような点については整備されていないということでございますけれども、これからどのような人権問題が発生してくるのかというのは、時代の推移によってもいろいろ変わってくるという点もあると思いますし、あるいは、この問題についてはどこに言ったらいいんだろうかというような点について、国民の皆さんにとって幅広い窓口となっている、利用のしやすさというような問題もあろうかというふうに思います。

 さらに言えば、例えば、個別問題でつくれば、それによって、またそれに対応する組織というものをつくっていかなければいけないといったような問題もあろうかというふうにも思います。そのこと自体は、行政のスリム化というような点からも問題があるというふうにも思います。

 そういうことを考えますと、やはり我々が今提案させていただこうとしている人権救済機関というのは存在意義があるというふうに考えているところでございます。

 なお、この点については、先ほど私が申し上げました人権擁護推進審議会、平成十三年の五月に答申をいただいておりますけれども、その場においても同じような考え方で指摘がされているところでございます。

○城内委員 今まさに、大臣、個別法をつくっていけばまた新たな組織をとおっしゃって、行政のスリム化が重要だと。私は、まさに、人権侵害救済機関をつくることが行政のスリム化に逆行するということをこれまで何度も指摘させていただいたんです。別に、個別法をつくっても、人権擁護局という立派な組織があるわけですから、そこで新たな組織をつくらずにきちっと対応できると私は思いますので、その点は、大臣がおっしゃっていることは全く理解に苦しみます。

 ですから、機関を設置しないと救済できない人権侵害というのは何かあるんですかね。そういうニーズがあればいいですけれども、これから将来そういうものが出てくるという非常に不確実な状況において、とりあえずつくっておこう、そして大きく育てていこうと、何かこれこそまさに行政のスリム化に逆行すると思います。

 では、いじめ以外に具体的に何かあるんですかね、そういう機関を設置しないと救済できないと大臣がおっしゃる人権侵害事案があるんでしょうか。あったら教えていただきたい。

○平岡国務大臣 個別法により救済制度が整備されていない分野としては、先ほど、雇用の場面以外の差別ということの例の一つとして、学校における体罰、いじめというふうに言われましたけれども、実は、学校における体罰、いじめという範疇も当然含まれる場面がありますけれども、雇用の場面以外の差別というものとして、例えば女性に対するもの、高齢者に対するもの、障害者に対するもの、同和関係者に対するもの、外国人に対するものといったようなもので、かつての人権侵犯事件として取り上げたものもございます。それから、名誉毀損、プライバシー侵害ということで、これまで人権侵犯事案として取り上げてきたものがあるということでございます。

○城内委員 今の御説明を聞いて、やはり人権侵害救済機関というのは設置する必要がないんじゃないかというふうにしか一般の国民は理解できないと思うんですね。

 差し迫った、次から次へと新たな形態の人権侵害というものが続出しているという現状があればまだしも、私の承知している限りでは、年に二万件ある人権侵犯事案のうち、ほとんど、九九%以上が適切に処理されて、それはやはり、全国に散らばっていらっしゃる人権擁護委員の方々が適切に対応しているし、また人権擁護局も人権啓発に努力しているから、こういう、国際標準でいえば非常にいい成績がある、状況であると私は思っています。

 本当に救済できない人権侵害というのは事実上ないと私は思うんですが、ちょっと質問の切り口を変えます。

 先般、外国における人権救済機関の点について、大臣は、よくわからないということで、事務方から何か紙をもらって読んでいましたけれども、その後、相当勉強されたと思います。例えば、米国やスウェーデンの人権救済機関というのは、人権侵害の被害者のタイプに応じてきちんと整理してやっていて、日本の、まさに大臣が目指している、何でもありの化け物のような人権侵害救済機関というのはほとんどないというふうに私は理解しているんですけれども、大臣、どうでしょうか。

○平岡国務大臣 その点についても、いろいろ調査もさせていただきました。

 委員が御指摘の、何でもありの化け物というのはないというお話なんですけれども、実は、人権委員会等については、どういう権限のもとにどういう分野を扱うのかという点がまさに重要でありまして、委員が御指摘になっているものについては、分野を限定して書いてあるような部分については、権限がかなり強い部分についてそういうふうに書いてあるというような状況になっておりました。

 手元に私が持っているものの中で、国連人権高等弁務官事務所、OHCHRが平成二十一年に調査結果を出したものを見ますと、これは、百カ国を超える国内人権機構にアンケートをし、六十一機関から回答を得たというものでございまして、それについては、その八五%、四十七機関が、個人からの申し立てを取り扱う権限というのはすべての個人の権利をカバーしているというふうに回答をしているというものがございます。

 諸外国の機関が取り扱う人権侵害の範囲を法律上限定しているような形で書いているのは、法律に明記された権限が限定されていることを意味するにすぎませんで、法律に列挙された人権侵害以外の人権侵害についても、行政指導等の任意的な手法により、個人からの申し立てに対応している機関が存在しているというふうに考えているところでございます。

○城内委員 であれば、大臣、諸外国でそういう機関がある、だから日本もそういう機関を設置する必要があるとおっしゃっているんですか。

○平岡国務大臣 これは諸外国の例を参考にして議論をしているということでありまして、諸外国がそうだから日本もこれがということじゃなくて、やはり日本においても、これまで、人権問題については法務省の人権擁護局というのが、まさに法務大臣の指揮下のもとに取り扱ってきたわけでございます。

 パリ原則によりましても、そういう人権を担当する組織というのは政府からできる限り独立した存在でやはり取り扱うべきである、こういう考え方があるわけでありまして、我々は、今まで人権擁護局でやってきた、これは六十年以上にわたる歴史を持ってやってきた、このことを、法務大臣がその権限のもとに行うというよりは、むしろ政府から独立した第三者機関という立場に立った人たちが中立公正な立場で物事を進めていくということをまず第一に考えたい。

 権限について言えば、本当にありていに言えば、今まで人権擁護局がやってきたものについて言えば、法律的には設置法の根拠しかないような状況になっているわけですね。そういうものもしっかりと法律的な位置づけを明確にして、しかしながら、基本方針にも書いてありますように、強制的な権限を持ってやるとか、あるいは強制的な措置を講じるとかというような部分は、できるだけ今までやってきたことと並びの形で整理をしていきたい、こういうふうに考えているということでございます。

○城内委員 大臣は今、政府から独立したとおっしゃいますけれども、まさに法務省の外局ですよね。そして、いわゆる三条委員会という相当強い権限をもって、日本に住んでいるあらゆる人たちを対象にするわけですね。これは本当に、暴走をして、非常に危険な機関になる可能性があると私は思います。

 また、独立したとおっしゃいましたけれども、法務省の職員の方とかを配置がえして、あるいは先ほど窓口という話をされましたけれども、一本化された窓口が必要であると。そういう窓口というのであれば、地方の法務局が当然その窓口になると思いますけれども、別に抽せんで例えば人権委員会の委員を選ぶわけじゃなくて、国会の同意人事ですよね。そうしたら、当然、場合によっては与党の御用学者みたいな方が選ばれる可能性だってあるわけですから。

 私からすると、本当に政府から独立した機関をつくるのであれば、まさに裁判員のように、一般国民から募集するようなことであればまだしも、全然独立でも何でもなくて、法務省の影響が非常に強い、一見独立しているようだけれども独立していない、極めて強い権限を持っている三条委員会の機関にしか見えないんですけれども。反論していただけますか、私の今述べたことに対して。

○平岡国務大臣 委員の御指摘も、いろいろな角度から見た場合にはあるのかもしれませんけれども、例えば、今の日本にある三条委員会の委員の構成というものが、本当に特定の政党の、あるいは特定の政治勢力の強い影響下のもとに選ばれた人がそういう方針に基づいてやっているのかといえば、私は決してそんなことはないだろうというふうに思います。そこは、今までの三条委員会の委員の選任についての長年の蓄積の中で、やはりこういう組織にはこういう人がふさわしいんだという多くの方々の賛同が得られた方がついておられるということで御理解いただきたいというふうに私は思います。

 それから、三条委員会という強い権限を与えてというふうに言われましたけれども、三条委員会がどういう権限を持つのかという点について言えば、これはまた法律で具体的に規定をしていくわけですね。その中で、こういう組織の三条委員会にこういう強い権限を与えるのはおかしいじゃないかということであるならば、その権限はまた法律で弱めていくとか、あるいは与えないでいくとかいうこともそれは当然あるわけでありまして、基本方針の中に示させていただいている三条委員会が持っている権限というのは、私は、そんなに強い権限を与えてはいない。調査をするのに罰則で担保してやるとか、あるいは強制的な措置をさせるとかというようなことについては、それは中には含めさせていただいていないということでございます。

 さらに、こういう点について問題だということがあれば、それはまたしっかりと議論をさせていただきたいというふうに思います。

○城内委員 今そういうことをおっしゃいましたけれども、三条委員会でやること自体がやはり権限が強いんですよね。今、大臣が、特別調査とか救済措置については当面やらないと。だから大丈夫だということにはならなくて、これは悪意を持って、将来、まさに特高警察じゃないですけれども、こういう機関を使ってレッテルを張って、おまえは人権侵害をやった者だというのを恣意的にレッテル張りをして、政治生命を奪うようなことだってあるわけですよ。そういう可能性はあるわけですよ。

 私はドイツにおりましたけれども、ナチスの経験があるから、こういう危険な機関をつくるときには、非常に、例えば人権の定義を本当にしっかりして、利用されないようにするということをやはり歴史から学んでいるわけですから、本当にその点をよく検討していただきたいと思います。

 まだまだ質問したいことはたくさんありますけれども、もう時間がないのでこれで終わりますけれども、また次の機会に、この人権侵害救済機関について質問させていただきたいと思います。

 ありがとうございました。















第4号 平成23年12月6日(火曜日)
衆議院法務委員会議事録


○城内委員 次に、人権救済機関の設置の問題について、十二月二日にちょっと時間が足りなかったので、残された課題について質問させていただきたいと思います。

 会期は九日までということのようですが、このまま閉会となればきょうが最後の質疑の機会となります。次は来年の通常国会での議論となりますが、二日の法務委員会で大臣は、法案提出の時期について、「個人的には遅くとも来年の通常国会には提出したい」中略「この段階に至っておりますと、遅くともという言葉が多分もう実務的にも事実上も難しい状況になってきているのかな」と、何か非常にあいまいにおっしゃられました。いつ法案提出となるかという質問は、私自身も、恐らく法務省にも数多く来ていると思うんですね。国民の関心が非常に高い問題です。いつなのか。

 そこで確認ですけれども、遅くともという言葉が難しいということはどういうことなんですか。断念しているわけじゃないんですが、もう少し議論を深めて、もっともっと、一年、二年後にするということなんでしょうか。あるいは、早ければやはり来年の通常国会に提出したいということなんでしょうか。はっきりとお答えいただきたいと思います。

○平岡国務大臣 私がこの前ここで答弁させていただいたことは、実は、たしか九月の十二日だったと思いますけれども私がインタビューに答えて言ったときに、遅くとも来年の通常国会にはということを個人的には思っていますということで、そのときには、臨時国会も念頭に置いて、早ければ臨時国会、遅くとも来年の通常国会ということでございました。早ければ臨時国会というのはもう選択肢としてなくなったということなので、先ほどの遅くともという言葉がもう使えなくなったということをこの委員会で答弁申し上げたということでございます。

 逆に言えば、そういう状況になったということであれば、個人的には早ければ来年の通常国会にもというふうには思いますけれども、ただ、今の作業状況等を考えますと、今法務大臣として確定的にこのときまでにということが言えるような状況ではないということも承知しているところでございます。

○城内委員 早ければ来年の通常国会ということですが、やはりこの問題は国民全員あるいは日本に居住している外国人全員にかかわる非常に大きな問題ですから、しっかりと時間をかけて、拙速を避けていただきたいと思います。

 次の質問に移りますが、改めて、人権救済機関を設置したらお金がどれだけかかるのかと私は何度も何度も質問しているんですけれども、大ざっぱな数字すら出てこないんですね。

 大臣は、十月二十五日の法務委員会で私の質問に対して、人権擁護局の人権擁護施策について年間約三十億円の費用がかかると。これは、人件費を除いて、要するに給与を除いて多分人権啓発等にこれだけかかっているということですが、実際幾らかかるのかというのは、やはり費用対効果もあります。私は、よもや、これは法務省のOBの天下り先として、法務省のOBの人権ならぬ人件費を捻出して救済する機関、国民の人権救済機関じゃなくて法務省のOBの方々の人件費捻出救済機関になるんじゃないかなと。非常に皮肉を込めて言っているんですけれどもね。

 まず、人件費も含めて、どれだけの組織をつくって幾らお金がかかるのかというのを、これは三条委員会なんですから、強力な権限を持っている機関ですから、何か人権擁護局の隅っこに机を一つ並べてという話じゃないわけですから、それをはっきりと出していただきたい。

 そして、本当にそんなどでかい組織をつくって、人をいっぱい、そして給与を手当てして、でも年間一、二件しか相談に来ないなんということになったら、これは公務員のまさに人件費捻出救済機関みたいになってしまいますから、私はこれは冗談で言っているんじゃなくて、まずこういうことにもっと真剣に皆さんの方で理論武装してくださいよ。そういう説明が全くないから、こんなのは必要じゃないという声がインターネットを初め国民の中から出てきているんですよ。

 大臣、どうですか。

○平岡国務大臣 どれだけの費用がかかるのかということについて言えば、今現在、新しい組織をつくる場合の組織権限の詳細とか、あるいは救済手続のあり方とか、引き続き検討を要する事項が少なくないので、今検討を進めているという状況のもとでございます。予算や人員に関しては、関係省庁との協議が必要であることから、確定的なことは申し上げられないということは御理解いただけるんだろうというふうに思います。

 確定的なことは申し上げられないということを前提でお答えいたしますれば、この前、八月に法務省政務三役で基本方針というものを示させていただきました。それを大まかに、ある程度こんなことになるんではなかろうかということを想定しながら申し上げるわけでありますけれども、現在の法務省の人権擁護局の所掌事務をすべて新たな人権救済機関が所掌することになれば、新たな機関の設置に伴って人権擁護局は廃止されることになるであろう。そして、人権救済機関の地方組織については、基本方針において、全国の法務局、地方法務局及びその支局の組織の活用、充実を図ることとしている、その方針に沿って今検討を進めている。さらに、基本方針では、全国の人権擁護委員についても、現在の委員及びその組織体を活用し、活動の一層の活性化を図るものとしているということでございます。

 そういうことで考えますれば、新たな人権救済機関の予算や人員については、既存の組織を改廃、活用する方向での検討状況を踏まえて、これから引き続き検討していくことになるわけでありますけれども、せんだって私が申し上げましたように、平成二十三年度の法務省の人権関係の予算は、人件費を除いて約三十三億円ということであり、人権担当職員の定員が二百六十二名ということでございますので、これに人件費一人当たりどのぐらいかというのを掛ければ、二十億円程度ぐらいなのかなというふうにも思います。合わせれば五十三億円、これが平成二十三年度でありますけれども、今私がるる申し上げたような仕組み、あるいは人員というものを考えていきますれば、この数字と大きく変わるようなことは余りないであろう。

 先ほど、委員が法務省のOBの人件費捻出救済機関ではないかというふうに言われましたけれども、OBというふうに言われた趣旨がよくわかりませんけれども、特にOBをこの組織のために新たにどんどん取り込んで、そこに人件費を払っていこうという発想は、今の検討の中では特に私としては聞いていないところでございます。

 なお、先ほど九月十二日のインタビューと言ったのは、九月十三日の間違いでございますので、訂正させていただきます。

○城内委員 ですから、今大臣まさにおっしゃったのは、既存の組織を使って、それで人権擁護局を廃止してというようなお話がありましたけれども、やはり人が足りなければ、例えばOBの活用も含めていろいろと、では、裁判員みたいに人権救済機関の職員を急に抽せんで選ぶんですか、そうじゃないと思いますよ。やはり法務省のOBとかそういった方々も含めて、これははっきり言うと焼け太り作戦のような感じですから、そういうことを実際やるのかどうかということをちゃんと国民に提示していただいてやっていただかないと、私は国民の理解は得られないというふうに思っております。

 そしてまた、既存の組織を使うというのであれば、どこが政府から独立した機関なのか。形だけ、形式的に独立しているように見えても、実際は、人権擁護局はそのまま廃止になって、新たな巨大な人権救済機関という組織ができて、人員がふえて予算もふえているということを多分目指しているんじゃないかなと私は推測をしますけれども、そうしたとしても、やはりきちんと、どういった組織をどの程度つくるのかという、財務省に要求する概略ぐらいは示していただきたいなと思います。

 ほかにもまだ聞きたいことはたくさんありますけれども、きょうはこれで私の質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

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