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人権救済機関 独立性ある組織なのか

人権救済機関 独立性ある組織なのか
http://www.chunichi.co.jp/article/column/editorial/CK2011082402000013.html

2011年8月24日


 差別や虐待など人権侵害の解決にあたる「人権救済機関」の基本方針が公表された。国連からも勧告を受けた宿題だが、法務省の外局に置かれる案だ。本当に独立性が確保されるのか疑問符が付く。

 国内人権機関を早急に創設することは、国連の国際人権規約委員会などから勧告されていた。「政府からの独立性を有している」ことも求められていた。

 現在の制度では法務省人権擁護局が担当しており、独立性の点で新機関が必要とされてきた。

 江田五月法相が公表した基本方針では、新たな人権救済機関「人権委員会」は国家行政組織法の第三条などに基づく「三条委員会」として設置するとした。公正取引委員会などと同じで、規則制定権や人事権などを持ち、独立して職権を行使できるという。

 二〇〇二年に同機関をつくる人権擁護法案が提出されたが、実現しなかった。裁判所の令状なしで立ち入り調査できる強い権限や、メディアを規制する条項があったことなどが批判されたためだ。

 今回は救済機関に強制力を持たせず、メディア規制条項も盛り込まなかった。「報道機関の自主的取り組みに期待する」と記されているにとどまる。集団的な過熱取材の問題などについては、報道する側も改善のために努力を重ねていきたい。

 人権委員会の委員らは、衆参両院の同意を得る、いわゆる国会同意人事で選任される。それでも、真に独立性が保てるか疑問視されるのは、この機関が法務省の外局として設置される点だ。

 同省は刑務所や入国管理収容施設などを持っている。刑務所での暴行や入管施設での長期収容などの人権侵害事案の申し立てが予想される。救済する側が同省の外局であっては、何らかの影響を受けないか疑念が払拭(ふっしょく)できない。とくに調査・救済活動など人権擁護の実務を行う地方組織は、現行どおり全国の法務局が担う。本当に独立性が高いといえるだろうか。

 人権委員会は法務省とは完全に分離させるべきだ。内閣府の外局とする案を再考してはどうか。地方組織も法務局に委託するのではなく、専門性を持った自前の組織をつくった方がよい。

 さらに国会同意人事だけだと、多数政党の意向に影響されうる。むしろ弁護士会や人権NGO、裁判所などで推薦委員会をつくり、国会に人選を提案する仕組みにしてはどうだろう。

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