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定義拡大解釈…何が人権侵害か 人権救済機関

定義拡大解釈…何が人権侵害か 人権救済機関の骨格公表 
2011.8.2 産経新聞

http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110802/trl11080222590006-n1.htm

 法務省政務三役名で2日明らかにされた人権救済機関の基本方針は、これまで指摘されてきた制度への根本的な疑義を払拭できる内容ではなかった。報道への規制や調査拒否への過料などは「ない」としたが将来どうなるかはわからない。「人権侵害」のレッテルを貼られ、糾弾の末に社会的に葬られる「人権侵害社会」が到来する危惧をぬぐい去ることはできない。

 ▼「そもそも必要か疑問」

 平成14年以降、何度も構想が浮かんでは消えてきた人権救済機関だが、「そもそもそうした組織が必要なのかが疑問。法律の全貌を示さずに断片的な情報を小出しにしながら批判回避に明け暮れている」(百地章日大教授)という指摘が今回もある。

 「何が人権侵害にあたるのか」という肝心の問題点も、相変わらず曖昧なままだ。基本方針にそうした定義はない。過去の民主党の人権侵害救済法案(平成17年案)では「人権侵害とは『不当な差別、虐待その他の人権を侵害する行為』をいう」とあり「何人も他人に、次に掲げる行為、その他の人権侵害をしてはならない」。これではどうにでも拡大解釈が可能だ。

 ▼言葉が独り歩きの恐れ

 これまで、何が人権侵害とされるのか。各地の弁護士会にある「人権救済」の勧告制度をみると、学校での生徒指導や校則指導、さらに国旗や国歌をめぐる出来事が、「学ぶ権利」や「意見表明権」「思想信条の自由」を奪ったとして「人権侵害」とする例が後を絶たない。

「学校教育や指導自体が脅かされかねない。国旗国歌の問題での弁護士会の主張も一面的断罪に流れる傾向が強い。既存の制度すら問題なのに、新たな制度ができると、人権侵害という言葉が独り歩きして混乱に拍車をかける危険が高い」(百地教授)

 拉致事件をめぐる北朝鮮への批判や警察の職務質問…。何が人権侵害とされるかへの疑問は尽きない。

 ▼「恐怖社会化が進む

 基本方針では「調査に強制力はなく、調査拒否した場合の罰則規定も当面設けない」とした。その一方で法施行後5年程度をめどに活動内容を見直す条項も含んでいる。政治情勢次第で内容が強化される恐れは十二分にある。

 基本方針の発表を受け、国会内では民主党の「人権侵害救済機関検討プロジェクトチーム(PT)」(座長・川端達夫衆院議院運営委員長)の会合が開かれ、法務省が基本方針について説明した。会合では「5年後に見直すのではなく、今しっかり議論をしよう」との慎重審議を求める意見が出された。

 しかし、基本方針の根幹は6月にPTが示した取りまとめに沿っており異論はほとんどなく終了。会合終了後、川端座長が慎重派の議員に「ずいぶんハードルが低い基本方針になっているだろう?」。糾弾の横行や統制社会をもたらすといった危惧を認識していないかのような口ぶりだった。

 拓殖大学大学院の遠藤浩一教授は「批判回避を図って小細工をしても人権救済機関の設置は密告による社会的抹殺を促し、政治弾圧を横行させ、左翼全体主義的恐怖社会化を進めることになるだろう。そうした法案を進める民主党はもちろんだが、危機感をもって対(たい)峙(じ)しない自民党にも危うさを感じる」と警鐘を鳴らしている。(安藤慶太)

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