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人権侵害救済機関検討PT中間とりまとめ(案)

2011年6月8日

人権侵害救済機関検討PT中間とりまとめ(案)
PT座長  川 端 達 夫

第1 法案の必要性
 国内人権機関を設置することについて、政府は2002年3月8日、参議院に人権擁護法案を提出し(閣法第56号)、民主党としても2005年8月1日、人権侵害による被害の救済及び予防等に関する法律案(人権侵害救済法案)を衆議院に提出してきた(衆法第33号)。いずれも廃案にはなったが、議論は積み重ねられている。
 民主党のマニフェストにも記載している上、政権交代後の政府として、総理大臣も法務大臣も国内人権機関が必要であることを明言している。近時は、確かに各種の差別禁止を含めて人権関係の法案がある程度は整備されつつはあるものの、まだまだ我が国では人権侵害の事例が後を絶たない現状をも踏まえると、早急に法整備が必要となっている。

第2 主な論点整理
 論点1 人権救済機関を審議会程度にするか3条委員会として設置するか。
  →いわゆる3条委員会として設置する。

○ 我が国において、政府からの独立性を担保するための機関としては、国家行政組織法3条(内閣府設置法49条)に規定する委員会が最も適当である(人事権、規則制定権を有する。)。
* 民主党案も旧政府案も、人権委員会をいわゆる3条委員会として立案し、委員の任命は国会同意人事としている。

論点2 どの府省に人権救済機関を設置するか。
 →法務省に設置する。

○ 法務省は、現に全国の法務局・地方法務局において人権救済活動を行っており、当該業務について知識・経験の蓄積がある。
○ 現在の組織を活用することによって新制度への移行がスムーズに図れる。
* 平成17年の民主党案は、人権委員会を内閣府に設置するものとしているが、これは法務省が刑務所や入管など直接的な権力作用を司る部署を所管していることを考慮したものである。しかし内閣府にも警察庁があり、直接的な権力作用を担っている。
* いわゆる3条委員会として設置する場合、内閣府であれ法務省であれ、法律上、政府からの独立性に変わりはない(人事権、規則制定権を有する。)。

論点3 地方組織の形態について
 →国の機関として地方事務所を設置し、法務局・地方法務局も利用する。

○ 全国同一レベルでの救済が実現できる。
○ 既存の組織を利用することで、全国レベルで新制度への円滑な移行を図ることができる。
○ 地方事務所や法務局・地方法務局をアクセスポイントとし、人権委員会との連絡を密にすることで、地方にもきめ細やかに対応することができる。

論点4 人権擁護委員について
 (1)報酬等について
 →無給のままとし、既存の組織を利用する。

○ 既存の組織をそのまま利用することにより、新制度への円滑な移行を図ることができる。
○ 審議会答申も、「職務の対価としての報酬は支給しない取扱いを維持することが適当である」としている。
* 無給としながらも、運用では現行制度よりも多少手厚く実費費用を弁償する方向が考えられる。

(2)いわゆる国籍条項について
→現行の人権擁護委員法と同様に、地方参政権を有する者に限定する。

○ 民生委員の選任方法も同様である。
* 人権委員会の委員が日本国籍を有する者に限定されることは当然。

論点5 調査拒否に対する過料の制裁を設けるか。
 →当面は設けない。

○ 過料の制裁に対しては、「人権委員会の権限が強すぎる。」などの強い反対意見がある。
○ 過料の制裁の適用自体をめぐって紛争が生じ、本来の救済手続が滞るおそれがある。
○ 導入後の運用状況により、必要性を見極めるのが妥当である。

論点6 救済手続について
 →救済手続においては、一般や特別などの区別を設けない。

○ 利用者の視点に立てば、事件の受理、調査手続において、異なる手法があるのは分かりにくく、一本化されていた方がよい。
○ 調査拒否に過料の制裁を設けないのであれば、特別救済手続というカテゴリーを設けることの意義は小さい。

論点7 特別措置の類型について
 →特別措置の一部(訴訟参加、差止請求訴訟など)は導入を見送る。

○ 特別措置の各類型には、種々の反対意見(訴訟参加に対し「一方当事者に人権救済機関が加担することは、司法手続における当事者の公平を害する。」、差止請求訴訟の提起に対し「表現行為に対する規制につながる。」等)がある。
○ 旧政府案で特別措置として規定されているものの中で、調停・仲裁、勧告・公表、資料の閲覧・謄抄本の交付程度にとどめておくのが穏便ではないか。
○ 新制度の発足に当たっては、ドラスティックな措置の導入を避け、導入後の運用状況により、必要性を見極めるべき。

論点8 報道機関等による人権侵害について特別の規定を設けるか。
 →設けない。

○ 中間報告では、「報道機関等による人権侵害については、特段の規定を設けないこととし」としている。
○ 報道機関による自主的な取組による改善に期待すべきである。

論点9 見直し条項をどうするか。
 →見直し条項を設ける。

○ 民主党案でも見直し条項を設けていた。
○ 法施行後5年程度を目途として、人権委員会の意見を聴取した上、内閣府設置移管も含め人権委員会のあり方や活動内容などについての見直しを行う趣旨の見直し条項を設けるのが適切である。

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