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障害者関連法 課題はあるが個別人権法改正が進む

障害者基本法:改正案が衆院委で可決…防災対策も盛る
http://mainichi.jp/life/health/news/20110616k0000m040045000c.html

 障害者と健常者の共生を目指す障害者基本法改正案が15日、民主、自民、公明各党による修正を加え、衆院内閣委員会で、全会一致で可決された。東日本大震災を受け、国と自治体に障害者の生活実態に応じた対策を義務づけるなどの防災・防犯対策を新たに盛り込んだ。週内にも衆院を通過する見通し。

 震災で車椅子利用の身体障害者が逃げ遅れたり聴覚障害者が防災無線を聞き漏らすなどしたため、障害者団体側が規定を盛り込むことを求めていた。修正案は、このほか、障害者の定義に「発達障害」も明記。普通学校か特別支援学校かといった障害児の入学基準について、児童・生徒、保護者に「十分な情報提供を行い、可能な限り意向を尊重しなければならない」とした。



全国障害者問題研究会
第45回全国大会(大阪)基調報告(案)
http://www.nginet.or.jp/news/45osaka/45osakakityouv1.html 
常任全国委員会

はじめに

2011年3月11日、巨大地震と大津波は、東北・関東地方に甚大な被害をもたらしました。死者・行方不明者は約2万 5千人、今も多くの人々が避難を強いられています。「レベル7」の原発事故は今なお収束の見通しが立っていません。こうしたなかで、障害者・患者・高齢者などは厳しい状況にあります。避難情報さえ届かず、逃げることもできずに亡くなったり、取り残された方が数多くいました。まだ全貌はつかめていませんが、内閣府の発表でも一般の2倍の死者・行方不明者とされます。必要な支援や医療、生活サポート等を受けることができず、命、健康、安心・安全な生活が、避難所でも仮設住宅でも避難先でも保障されず、「がまん」「あきらめ」を強いられています。

 今回の大震災は自然災害であると同時に人災でもあります。阪神大震災で、被災の実態は、日常の社会保障・社会福祉の貧困をあらためて浮き彫りにしましたが、16年を経た今も事態は変わらず、むしろより悪くなっています。1990年代から進められてきた構造改革は地方を衰退させ、福祉、医療を危機に追い込み、その結果、自治体職員・福祉関係職員は削減され、公立病院の削減により医師・看護師が確保されない状況が作り出されました。これらは被災者の救援やその後の地域社会の復興に十分手が回らない状況を生んでいます。障害者自立支援法による「応益」負担、日額報酬制も、大震災後、よりいっそう障害者の生活や事業所に重くのしかかっています。

 障害者団体はひとかたまりとなって、全力で支援活動や対政府、対自治体との交渉に取り組んできました。その成果は随所にあらわれてはいますが、さまざまな困難を強いられる障害者の生活実態を正確に把握し、必要に応じたきめ細かな支援を行うにはいまだ不十分です。障害者への多面的で重層的な支援のあり方が問われます。

 大震災発生の数時間前、「障がい者制度改革推進本部」は、障害者基本法改正案を了承しました。この改正案は多くの問題を抱えています。

 今、日本全体の社会の有り様を大きく変えていかなければならない時です。その時、「国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」(25条)とした憲法と、「障害者福祉施策の充実は、憲法等に基づく障害者の基本的人権の行使を支援するものであることを基本とする」を明文化した2010年1月の自立支援法違憲訴訟団と国との「基本合意」は、震災後の社会保障、障害者福祉に重要な意味をもちます。加えて障害者権利条約を導きにし、人権と発達が保障されるインクルーシブ社会をつくりましょう。

1. 障害者制度改革をめぐる情勢

1)自立支援法の延命をねらう改正自立支援法
 2010年12月3日の国会最終日に、改正障害者自立支援法案(障がい者制度改革推進本部等における検討結果を踏まえて障害保健福祉施策を見直すまでの間において障害者等の地域生活を支援するための関係法律の整備に関する法律案)が、可決されました。厳しい批判と大きな反対運動が繰り広げられましたが委員会でも本会議でもほとんどまともに審議されないまま、廃止するはずの法律の延命をねらうような改正がなされたのです。

 現在、自立支援法に替わる「総合福祉法」(仮称)づくりに向けて、推進会議・総合福祉部会で議論されていますが楽観を許さない状況が続いています。

2)障害者基本法改正案をめぐって
 推進会議は、2010年6月に、制度改革の基本的理念に関する第一次意見を、12月には障害者基本法の改正に向けた第二次意見を公表しました。第二次意見では、基本法抜本改正の趣旨・目的、障害や差別の定義、基本方針などの総則(12分野)、個別の実定法の基本理念及び原則を明らかにした各則(16分野)、推進体制などが述べられました。

 推進本部(3月11日)では、障害者基本法の改正案が了承されました。しかし、この改正案は、第二次意見と大きなへだたりがあります。言語に手話を含むことが明言され、勧告や応答義務を盛り込んだ推進体制(「障害者政策委員会」)など、前進面もあります。しかし、「前文」が入っていないこと、「権利」規定がないこと、随所に「可能な限り」という文言が入っていること、「合理的な配慮」の言葉はあるものの「差別」や「合理的配慮」の定義が明記されてないこと、精神障害者の社会的入院の解消や医療の問題がないことなど多くの問題点が指摘されています。教育と労働分野も極めて消極的です。

 障害者権利条約の理念を真に実現させるために、さらなる運動の強化が必要です。

3)税と社会保障の一体改革など新自由主義の構造改革路線への新たな流れを押しとどめよう
 2011年度予算案では自立支援医療の低所得者無償化が先送りされています。
 「障害者の介護保険優先の撤廃」が要求されていますが、介護保険全体の「改正」がすすむなかで、連帯した運動が必要です。

 「子ども・子育て新システム」(案)では、企業やNPO参入が可能になり、サービス量に応じた応益負担が徹底されます。このため人件費抑制に伴う労働条件の悪化と保育の質の低下を招き、障害のある親子や低所得家庭が排除され、負担増から利用をあきらめ、子どもが放置される事態も懸念されます。すでに介護や障害者福祉で問題化している利用抑制や逆選別が、「こども園」で起きかねません。

 この間、民主党政権のもと、地域主権改革推進一括法案が提案され(関連三法は2011年4月28日成立)、介護保険制度を改悪する一方で、高齢者医療保険制度を廃止しないなど、旧自公政権下に進められた新自由主義の基礎構造改革路線を「社会保障改革に関する集中検討会議」などを通じて、そのまま推し進めようとする政策動向が目につきます。特に最近は、官僚サイドからの障害者制度改革の流れを押し戻そうとする動きが強まっています。

4)障害者権利条約の批准にむけて
 障害者運動は、格差の拡大と貧困の増大をもたらす新自由主義の理念にもとづく構造改革路線と対峙してきました。このなかで推進会議の設置など一定の成果も作りだしてきました。保育、高齢者や医療などの分野とも連携をさらに強めながら、大きな運動をつくりだしていく必要があります。こうした大きな運動のなかで、権利条約の批准が、現状を追認する形だけでのものはなく、その理念を実質的なものにしていくことが可能となっていくでしょう。






障害者虐待防止法成立:発見者に通報義務づけ
http://mainichi.jp/select/wadai/news/20110617k0000e010045000c.html

 議員立法による「障害者虐待防止法」が17日午前、参院本会議で全会一致で可決・成立した。家庭や施設、勤務先で虐待を発見した人に通報を義務づけ、自治体などに調査や保護を求める内容。埋もれやすい被害の発見と救済に乗り出す法的根拠となる。

 同法は虐待の定義を身体的虐待▽性的虐待▽心理的虐待▽放置▽経済的虐待--の五つに分類。「家庭内」の親など養護者、「施設内」の職員、「職場」の上司など使用者による虐待を通報対象とした。通報者は守秘義務違反に問われないと規定。通報を受けた自治体は安全確認や保護、施設や会社への指導や処分、後見人を付けるための家庭裁判所への審判請求などを行う。

 家庭内の虐待の通報先は市町村で、被害者の生命や身体に重大な危険が生じる恐れがある場合、市町村職員は家族の許可がなくても自宅へ立ち入り調査できる。施設については通報先の市町村から報告を受けた都道府県が監督権限に基づき調査し指導、虐待の状況や対応を公表する。職場での虐待は通報先を市町村か都道府県とし、報告を受けた労働局が調査・指導にあたり実態などを公表する。

 対応窓口として全自治体に、家族の相談や支援にあたる「市町村虐待防止センター」と、関係機関の調整も行う「都道府県権利擁護センター」を置く。国と自治体は虐待を受けた障害者の自立を支援するほか、市町村は専門的な知識や経験を持つ職員の確保に努める。学校や病院での虐待は通報の対象外。付則で3年後をめどに見直しを図る。施行は12年10月1日。

毎日新聞 2011年6月17日





解説:障害者虐待防止法が成立 被害発見へ一歩
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20110617dde007010028000c.html
 障害者への人権侵害が後を絶たない中、17日成立した障害者虐待防止法。通常、傷害や強姦(ごうかん)、金銭横領などの被害は申告を受けて刑法や民法で解決が図られる。だが、知的障害者の場合は意思を伝えたり証拠を示すことが難しく、司法救済どころか行政にも動いてもらえない。

 判断能力にハンディがあり、訴えづらい人の被害を発見し保護を図る仕組みは、児童虐待防止法(00年)と高齢者虐待防止法(05年)で制度化された。障害者虐待はそれ以前の96年、水戸市の工場で従業員が殴打や性的暴行を繰り返されていたことが毎日新聞の調査報道などで表面化。04年には福岡県の施設での傷害事件も問題化した。

 今回成立した法律にも課題はある。病院や学校は通報の対象外とされた。通報の受け皿となる市町村には児童相談所のような組織はなく、機能できるか不安視する声もある。だが、「3年後に見直す」との付則の意味もそこにある。

 埋もれた被害を掘り起こす一歩が踏み出された意義は大きい。【野倉恵】

毎日新聞 2011年6月17日 東京夕刊

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