高知民報より
四万十市で「報告学習会」 田中市長が出席 主体性堅持 解同の企業名公表要求に応じず
http://www11.ocn.ne.jp/~jcpkochi/minpo/topic/2010/100131shimanto.htm
四万十市は2008年10月に同市内の民間企業内であった部落問題に関する「差別発言」(※)についての「報告学習会」を1月21日、同市文化センターで開催しました。報告学習会には田中全市長が出席し「差別発言の発生は申し訳ない」と陳謝したものの、市側が司会を行い、部落解放同盟の執拗な企業名公表の要求に応じないなど、市としての主体性を堅持した対応をとりました。
報告学習会の主催は四万十市。同市は事前に日程を市民や市議会議員、各種団体、市職員、教員、報道機関などに公表して市民にオープンな形で開かれ、四万十市の田中市長、杉本整史副市長、沢田俊典・人権啓発課長に加え、宿毛市と黒潮町の幹部も出席。解同県連や同地区連絡協議会の構成員、市職員など約100人が参加しました。「報告学習会」は市職員や教職員の「自主研修」として位置づけられていましたが、「動員はかけていない。来ていたのは10数人程度ではないか(沢田課長)」。
冒頭あいさつで田中市長が「部落差別が今なお本市に存在している現状から人権教育・啓発に新しい事業を工夫し展開していく」と発言し、沢田課長が「差別発言」の内容を詳細に確認する報告が行ないました。
会場の最前列には山戸庄司・県連書記長ら部落解放同盟幹部が並び、市の報告が発言があった企業名を伏せていることに対し、『企業名を公表すべき」、「日を改めて再度『学習会』を開催せよ」などと繰り返しましたが、市側は「相手企業の了承がなく公表はできない」、「これで終わりにしたい」と拒否。「企業側も反省して改善の努力をしている。さらに制裁を加えるようなことを市としてすべきでない」(田中市長)
解同側の参加者が立ち上がって「今から電話をかけて企業を呼んでこい」などと大声を出す場面も一部にありましたが、公開の場であることもあり、取り立てて威圧的な言動はみられませんでした。
※2008年10月に四万十市内の民間企業内で黒潮町で起こした客とのトラブルに関連し、差別的な発言があったというもの。同年11月から09年1月にかけて宿毛市、黒潮町、四万十市の担当者が同社に聞き取り調査を行い、企業側から「表現が適切でないことを痛感する」、「従業員の教育ができず迷惑をかけた。職員の学習の場作りに努める」という反省の弁を得ており解決済の問題。
(2010年1月31日 高知民報)
「子ども会」の違い強調 同和問題の「壁」再生産 高知市教研
http://www11.ocn.ne.jp/~jcpkochi/minpo/topic/2010/100207kodomokai.htm
高知市教育研究会(前田志郎(追手前小校長)会長、以下市教研 ※1)が1月20日、高知市内で開いた教科外部会で、人権学習指導案として校区内の旧解放子ども会(※2)と、それ以外の子ども会との「違い」を児童に教え込もうという授業が提案されました。「違い」を強調し、教育の側から壁をつくる授業には見学した教員から「具体的に何を学ばせたいのか。かみ合っていない」という意見が出されるなど戸惑いもみられました。
教科外部会は市内各学校に一斉に分散して特別活動、図書館教育、進路指導、生活指導、視聴覚教育、教育相談、学校給食などの課題で研究活動が取り組まれ、人権教育部会では、「子ども会」を題材に小学校高学年を対象にした授業が、同部会に所属する教員40人が見学する中で提案されました。
授業テーマは「○○子ども会(旧解放こども会、実際には実名)について知り、自分たちにできることを考える」。指導の留意点は「○○子ども会とそれ以外の子ども会の違うところを確認する」などとされています。
クラスでは、この日までにクラス内で子ども会ごとに発表をさせ、子ども会所属が子ども同士に判別できる状態にしておいた上で、教員が授業で「○○子ども会だけ、少し違うということに気が付きましたね」などと繰り返し、ことさらに「違い」を強調しました。
授業後の意見交換会では「子どもには難しい。何を学ばせたいのか。かみ合っていない」という意見が出され、雑談の中では「何十年も前と同じ。まだこんなことをやっているのか」、「こんな授業ならやる必要ない」などという声も聞かれる一方、「中学校での『核心指導』(賎称語を教える)への土壌を耕す実践に感心した」と高く評価する教員もいました。
※1 市教研 高知市内の大半の教職員が参加して授業研究を中心に取り組んでいる団体。事務局は市立教育研究所内、会員が納める年会費(1500円)と、市教委の補助金288万円(2009年度)などで運営される官製研究会で、行事は校内研修として教職員が公務として参加。
※2 解放子ども会 部落の完全解放を担う人間をめざすことを目的にする「部落の子」で組織される子ども会。
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解説 提案授業で強調された旧解放子ども会と、それ以外の子ども会との「違い」。この日の段階では遠まわしにしか語られていませんが、「違い」とは、「部落差別を受けてきた子ども会」であるということに尽きます。
このような授業が市教研の場でモデル的な実践として今日も提案されていることは、平等を教えるはずの人権教育の場で、教育が「違い」をことさら強調し、同和問題の壁を再生産して子どもに注入する「解放教育」の残滓が、高知市の教育現場にいまだに根強いことの表れといえます。
最大の問題点は、子どもや保護者の考え方とかかわりなく、教員が授業を通じて、学校教育とは別個の営みである旧解放子ども会に属する子どもを一方的にクラス内で公表していくこと。かつてまかり通っていた教員による児童への「立場宣言」の事実上の強要と同質の性格を帯びるものです。
同和教育に詳しい市教委関係者は「このような実践は聞いたことがない。この子ども会が、被差別の立場にあるだけにとどまらず、差別をはねかえしていく運動に取組んできたことも教えねばならない。提案授業は高知市教委の人権教育の流れの中にあるものだと思う」と「被差別の立場」を教えることに問題はないという認識を示しました。(2010年2月7日 高知民報)
広報で偏見を拡散 県人権共闘が南国市に申し入れ
http://www11.ocn.ne.jp/~jcpkochi/minpo/topic/2010/100214nakoku.htm
南国市広報「なんこく」に掲載された同和問題特集に偏見を広げる不適切な記述があるとして2月4日、県人権共闘(窪田充治代表)は藤村明男・副市長に是正を申し入れました。
問題になったのは昨年の広報12月号。内閣府の「同和問題に関し、現在、どのような人権問題が起きていると思いますか」(下線は高知民報)との意識調査結果を用い、現在も部落差別が頻発していると断定して、インターネット上の差別的な「噂」を事実であるかのように紹介した個所でした。
鎌田伸一・副議長が「調査は『思い』を質問しているのに、広報では実際に部落差別が『起きている』と書いている。いつどこでおきているのか」と指摘。「実際には児童生徒の落書きや一部の不心得者の発言ばかりで南国市民に部落差別がまかりとおる状況はない。終結宣言(※)をした南国市が広報で偏見をまきちらし、解決に向かっている意識を引き戻すことをすべきでない。善意であっても逆効果だ」と強調しました。
藤村副市長は「記事は人権啓発広報委員に頼んで書いてもらっており訂正はできないが、意見を聞かせてもらい是正すべきところがあれば是正していく」。担当者は「ネット上の不正確な情報を鵜呑みにしないようにという意味で載せた」などと述べました。同市教委生涯学習課によると人権問題のページの執筆は市役所内外(高専教授、中学校教員、市職員)5人の人権啓発広報委員に委託しています。
※平成8年6月議会で「同和行政の終結、人権と民主主義の確立に関する決議」として全会一致で議決している。(2010年2月14日 高知民報)
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