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障害者虐待防止法案

社説:障害者虐待防止 超党派で法案成立を 7月11日

http://mainichi.jp/select/opinion/editorial/news/20090712k0000m070127000c.html

 与野党の障害者虐待防止法案が国会に提出された。いずれの案も虐待の定義を(1)身体的虐待(2)性的虐待(3)心理的虐待(4)ネグレクト(5)経済的虐待の5類型とし、介護者(家庭内)、福祉職員(施設内)、使用者(雇用の場)による虐待を救済の対象としている。発見者に通報義務を課し、通報を受けた行政機関は立ち入り調査や、被害者の一時保護、施設や会社に対する行政処分、後見人を付ける審判請求などを行い、救済や再発防止に当たるという内容だ。

 障害者への虐待は古い時代からあるが、社会問題とされるようになったのは、96年に水戸市の工場での虐待を毎日新聞が報道したころからである。国会で質問された小泉純一郎厚相(当時)は「聞けば聞くほど胸がふさがれるようだ」と答弁し、この事件を題材にしたテレビドラマが話題となった。それ以降、施設や就労先、学校での虐待は毎年明るみに出てきた。殴る、ける、熱湯を浴びせる、薬漬けにする、トウガラシを目にすりつける、性的虐待、賃金や年金の搾取……信じ難い虐待ばかりである。

 深刻な被害がなかなか表面化せず、ようやく発覚しても救済されにくいのが特徴で、被害にあっていること自体の認識が持てない、必死に助けを求めても無視される、無力感によって声を上げることすらあきらめている--など理由は複雑だ。わが子を預けている負い目や他に行き場がないために親たちは沈黙し、希望を抱いて就職した若い職員が施設の暴力体質に自ら染まり、あるいは幻滅して職場を去る。そんな現実を挙げれば切りがない。家族や職員も傷ついているのだ。

 判断能力にハンディがあり、自らSOSを発することが難しい人には、早く発見して救済に結びつける手続きが法的に保障されてきた。子どものための児童虐待防止法(00年)、お年寄りのための高齢者虐待防止法(05年)などである。障害者のためにも立法化への具体的な取り組みが与野党議員によって何度か行われたが、突然の郵政解散などもあり、頓挫を繰り返してきた。

 今回、通常国会の終盤になって提出された与野党の法案は、通報を受ける機関を都道府県に置くか市町村に置くかなどの相違はあるが、大きな隔たりはない。両案の内容をすり合わせて一本化し、超党派の議員立法による成立が模索されている。

 助けを求められないまま泣いている障害者は今も各地にいる。総選挙間近、結果次第で政権交代という局面ではあるが、各党は立場を超えて協力し成立を目指すべきだ。政局に翻弄(ほんろう)され続けているのでは障害者は浮かばれない。

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