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オバマの演説 日本のは・・如何ともしがたい

特集ワイド:オバマ氏の名演説 にじみ出る人生観

http://mainichi.jp/select/world/news/20090120dde012030012000c.html

 米国時間20日(日本時間21日未明)、米国の首都ワシントンで大統領就任式が開かれ、第44代大統領バラク・オバマが誕生する。オバマ氏の就任演説を聞くため、史上最多の200万人が首都に詰めかけるという。何がそんなに米国人を興奮させるのか。これまでの名演説から探ってみた。【國枝すみれ】
 ◇苦しむ庶民への共感/理想主義と楽観主義/経済危機に対する視点…心ひとつに あなたの悩みは「私の問題」

 「ケネディ大統領とキング牧師の演説を足して2で割ったようだ」と評されるオバマ氏の演説。インターネットを使えば無料で100を超える演説原稿を読むことができるし、一部は音声と映像も視聴できる。演説がこんなにも米国人の心をつかむとは--。

 米ハワイ大学の吉原真里教授(アメリカ研究)が教えてくれた。「オバマ氏は多くの米国人が苦しんでいることを理解している。彼の演説にはどんな人がどのように苦しんでいるのか、具体的に出てくるのです」

 例えば、昨年3月18日のペンシルベニア州フィラデルフィアでの演説には、オバマ氏の選挙運動を手伝う23歳の白人女性アシュリーさんが登場する。

 <アシュリーが9歳のとき、母親ががんになりました。仕事を数日休んだために解雇された母親は健康保険を失い、一家は破産しました。母親を助けるために何かしなくては、と考えたアシュリーは「マスタードとレリッシュ(タマネギやピクルスを刻んで作った付け合わせ)のサンドイッチが何よりも食べたいの」と言い張りました。それが一番安い食べ物だと知っていたからです。アシュリーは母親の病気がよくなるまで1年間、これを食べ続けました>

 米国の子どもたちが大好きな弁当といえば、普通はピーナツバターとジャムのサンドイッチか冷えたピザ。家計を思ってうそをつく少女の心情に思いをはせ、人々は涙ぐんだ。

 投票日前日の昨年11月3日、フロリダ州ジャクソンビルでの演説では政治集会で会ったロビンさんが出てくる。

 <私はロビンさんが送ってきたメールを忘れることができません。出会ってからまもなくして彼女の息子が心臓発作を起こしかけ、数万ドルもかかる手術をしない限り治る見込みはないと診断されたのです。ところが保険会社は手術代の支払いを拒否。ロビンさんの家族に十分なお金はありませんでした>

 オバマ氏自身、母親をがんで亡くしている。医療費の支払いを心配する母親が保険会社から送られてきた書類をじっと読み返していた--。演説ではそんな思い出も語り、医療保険制度改革を約束する。公約を並べるのではなく、身近な人の苦しみを語ったオバマ氏に米国人は親近感を持ったのだ。

     ■

 オバマ氏は、中央政界デビューのきっかけとなった04年民主党大会の基調演説を数カ月かけて書いたという。いまも原稿はスピーチライター任せにせず、深夜に1人で推敲(すいこう)する。「どんなに逆境にあっても未来はもっと良くなる」「政治は世の中を変えることができる」「米国人は基本的には慎み深く、寛大で、高潔だ」。前向きな言葉が繰り返される。

 米国人がオバマ氏を愛する理由はここにある、と吉原教授はいう。「オバマ氏は(自信を失いかけた)米国民に理想主義と楽観主義を提供してくれた。この二つこそ、最も米国的なもの。米国人の根本的な特質なのです」

 それだけではない。

 「複雑な問題を白黒つけようと単純化しない。勧善懲悪で片づけない。歴史と現状を正しく踏まえた上で前に進む具体策を出すことができる」

 例えば、シカゴで通っていた教会の黒人牧師の過激な白人攻撃発言がネットで流された。窮地に陥ったオバマ氏を救ったのが昨年3月18日の演説だ。

 <牧師とは縁を切れません。それは私が黒人社会と、私を育ててくれた白人の祖母と、縁を切れないのと同じです。祖母は世界で一番私を愛してくれたが、街を歩く黒人男性が怖いと告白したこともありました。……彼らは私の一部であり、私が愛するこの米国の一部なのです>

 歴史を語り、白人と黒人の心情を語り、「過去を乗り越えて連帯しよう」と訴えたのだ。

     ■

 現在は支持率83%という驚異的人気を誇っているが、就任直後から難題を抱えることになるオバマ氏。金融危機をどうみているのか。

 <この金融危機は歴史の偶然ではありません。市場に対する常識的な規制と監視さえも必要ないとするワシントン(政界)とウォールストリート(金融界)の考え方が我々をここまで追い込んだのです。消費者保護はいいかげんで規制だけが緩和された結果、企業幹部は無謀になりました。ロビイストは欲しい物を手に入れ、政治家は手遅れになるまで問題から顔を背けていました。米国人はいま、そのつけを払っているのです>

 オバマ氏はリーマン・ブラザーズ破綻(はたん)直後の昨年9月19日、フロリダ州マイアミでそう演説した。大統領になったら「間違った考え方」の支配を終わらせると明言した。

 当選後の勝利演説はこうだ。

 <メーンストリート(市井の人々という意味)が苦しんでいるのにウォールストリートだけが栄えるということがあってはならない。私たちはひとつの国、ひとつの国民として共に栄え、共に苦しむのです>

 両親が離婚し、母と祖父母に育てられたオバマ氏は集会で「金も名声も地位もなかったが、愛情と教育は与えられた」と話すのが常だった。妻の出身地であり、オバマ氏自身が貧しい人を助ける活動をしていたシカゴ南部を取り上げ、04年の民主党大会基調演説でこう訴えていた。

 <シカゴ南部の貧困地区に字の読めない子どもがいたら、自分の子でなくても私の問題なのです。薬代と家賃とどちらを払うか選ばなければ暮らせないお年寄りがいたら、自分の祖父母でなくても私の人生を貧しくするのです>

 ブッシュ政権の8年で貧富の格差が極まった米国に、オバマ氏の連帯と分配の思想は根付くだろうか。

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毎日新聞 2009年1月20日 東京夕刊

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