« けっこうアルコールが残るものだ | トップページ | 鳥取条例の本質的問題点 松本弁護士の指摘 »

独立した子どもの人権機関5年以内に

http://www.yomiuri.co.jp/net/feature/20081201nt08.htm?from=os2
児童ポルノ ネットが加速

 インターネットの発達やグローバル化の裏で、児童ポルノが世界中に流布し、子ども目当ての買春旅行が広がっている――。

 ブラジルで開かれた「第3回児童の性的搾取に反対する世界会議」は、子どもの性的搾取の問題が国境をまたいで劇的に深刻化している現実を浮かび上がらせた。対応が遅れる日本も、子どもを守る国際連携に追いつく必要性が明確になった。(リオデジャネイロ 榊原智子、写真も)

虐待画像、2割が3歳以下

「児童の性的搾取に反対する世界会議」。約3000人の参加者が児童ポルノの根絶などについて話し合った 「ネット上の違法な情報はこの数年で急増した。昨年、世界中から通報され確認できた違法情報は28万件。テロや麻薬関係のものもあるが、半分が子どもの性的虐待の画像だった」

 国際ネットワーク組織「INHOPE」(本部・アイルランド)の代表は、会議の分科会でこう話すと顔をしかめて続けた。「子どもの虐待画像の実に2割は3歳以下の子どもだった。目を背けたくなる内容だ」

 今回の議論で各国の参加者が口々に強調したのが「増大するインターネットの脅威」だった。2001年以降、欧米や日本だけでなく東南アジアなど各国でも法規制の強化や官民協力が進み、子どもの人身売買や買春、ポルノへの対策が講じられた。ところが、それを上回る勢いでネットや携帯電話などのIT(情報技術)が発展。子どもを巻き込む被害の拡大に、対応が追いつかない危機感が参加者には共通していた。

 「オンラインの児童ポルノは推計100万件以上ある」。基調講演でそう指摘したニュージーランド政府の代表は、「その90%が先進国から流出しているが、被害者で特定できたのはわずか1000人ほど。子どもの保護や救出が全く追いついていない」と焦りをあらわにした。

 携帯電話が普及したフィジーで、若者の間でポルノ画像の流布が問題になっている――。会議中に飛び交った各地の情報は、技術発展の陰で、子どもたちが新たな搾取の犠牲になっている現実を浮き彫りにした。

所有容認で日本を問題視
 そうした中、日本がインターネットの先進国でありながら、児童ポルノを個人がパソコンにダウンロードするなどして所有する「所持」を容認した法律を見直しておらず、マンガやアニメなどのバーチャルな性的搾取の画像も規制していない状態であることが改めて問題視された。

 全体討議で日本を名指しした著名な児童ポルノ問題の研究者、エセル・クエール氏は「問題の画像をある国で規制しても、別の国で規制していなければ国境を越えて流入してくる画像を防げない」と指摘。努力する国々の足を引っ張る存在になっていることを示唆した。

 第2回世界会議にも参加した東京工業大の森田明彦・特任教授(国際人権論)は「悪質なマンガやアニメなど子どもの性的虐待のイメージも、子どもの人権や尊厳を傷つけている意味で搾取にあたるということが国際社会の共通認識であることが今回の会議で明確になった。日本は国際標準に追いついていない面をどうするか、早急に取り組む必要がある」と指摘する。

サイト接続防止策「ブロッキング」
 「ネットの脅威」への対抗策として注目されたのが、プロバイダー(接続企業)と協力して児童ポルノサイトへの接続を止める「ブロッキング」と呼ばれる取り組みだ。

 IT企業との連携を取り上げた分科会で、ノルウェーの捜査機関の代表が同国で04年から始めた制度を説明した。ネット利用者やNGO(非政府組織)から問題サイトの通報を受けて警察がブラックリストを作り、それをもとにプロバイダー各社が接続を遮断するというものだ。

 「閲覧しようとすると『ストップ』と警告する画面が出てアクセスが阻止される。1日に1万5000回、年間550万回の閲覧を止めている」。同国の大手プロバイダー5、6社が協力し、リストに掲載されたサイトは04年は274だったが、今は5898に上ると報告した。

 日本でも警察を中心にブロッキングの検討が始まり、同会議に参加した警察庁少年課の中尾克彦課長は「各国の具体的な話を聞くことで、日本でも何ができるか参考になる」と話した。

「リオ協定」の要旨
 世界会議では、各国が取り組むべき方策を示した行動計画などを「リオ協定」としてまとめた。(1か月後に正式決定)

・子どもの人権のための国内委員会や苦情調査機関など、独立した子どもの人権機関を5年以内に創設する。

・子どもの性的搾取に関連した国内の情報を集めたデータベースを開発する。2013年までに子どもの性的搾取関連の情報交換を行う地域機構を発足させる。

・性的搾取の犠牲になった子どもに包括的な支援策を提供するため関係専門機関が連携する仕組みを創設する。

・旅行、金融、インターネットサービス、広告などにかかわる民間企業に対し、社会的責任(CSR)による行動を促す政策や計画を作る。

児童の性的搾取に反対する世界会議
 児童買春や児童ポルノなどの根絶を目指し各国の政府代表やNGOなどによる国際会議。今回はブラジル政府、ユニセフ(国連児童基金)などの主催。1996年にスウェーデンで開催された第1回会議で、日本は「児童買春の加害国、児童ポルノ大国」などと批判された。2001年の横浜での第2回会議では、インターネットの普及による被害拡大防止のため、国境を越えた捜査協力の必要性などが話し合われた。

(2008年11月30日  読売新聞)

|

« けっこうアルコールが残るものだ | トップページ | 鳥取条例の本質的問題点 松本弁護士の指摘 »

つれずれ」カテゴリの記事