福田改造内閣・消費税増税の意欲しか伺えない閣僚布陣
【談話】変えるべきは政治の中身
――第2次福田内閣発足にあたっての談話――
http://www.zenroren.gr.jp/jp/opinion/2008/opinion080804.html
8月1日、福田首相は、内閣改造をおこなった。改造にあたって首相は、「(国民の)不安をできるだけ小さくする安心実現内閣」だと位置づけ、消費税率の引き上げや「新テロ特措法」延長に強い意欲を示し、早期の解散総選挙を否定したと報じられている。
公表された閣僚名簿でも、経済財政担当大臣や財務大臣に消費税率引き上げを主張する庶民増税論者を置き、同様に消費税率引き上げを主張してはばからない自民党幹事長を配置した。また、後期高齢者医療制度の廃止要求に背を向ける厚生労働担当の閣僚や内閣の要である官房長官を留任させ、緊急の課題が山積している農林水産、経済産業、国土交通などの担当閣僚に派閥の領袖を起用するなど、利権温存、大企業奉仕の自民党政治延命を図る布陣ともなっている。
後期高齢者医療制度の廃止や労働者派遣法の抜本改正などを求める世論と運動の高まりは、「構造改革」や庶民増税を強制して国民生活を貧困の淵に追いやる政治からの転換要求がその根底にある。第2次福田内閣の布陣は、そのような国民世論との矛盾を激化させる可能性を明らかにしている。
内閣改造の直前、7月29日に、政府は「社会保障の機能強化のための緊急対策(5つの安心プラン)」を公表しており、福田首相が述べた「安心実現」とは、その「5つの安心プラン」の具体化にあるものと考えられる。
しかし、「5つの安心プラン」には、財源の裏付けがなく実効性への疑問が強く、加えて、同じ日に決定された「09年度予算の概算要求基準」で、社会保障費2200億円削減を決定しているように、「構造改革」を継続する財政方針との政策矛盾が既に露呈している。この点からも明らかなように、第2次福内閣のもとでの政治的矛盾の激化は避けられない。
今、労働者・国民の生活は、「構造改革」の痛みに加えた物価の急騰によって、生活危機の崖っぷちに立たされている。後期高齢者医療制度廃止法案の早期成立や、常用雇用を原則として日雇い派遣を禁止する労働者派遣法抜本改正、原油・原料、食糧高騰への緊急対策などは切実、緊急の要求である。そのような労働者・国民の要求と、第2次福田内閣が進めようとする政治との矛盾が深まることも必至である。
全労連は、労働者・国民の切実かつ緊急な要求に基づく運動を強め、福田内閣の政策矛盾や行き詰まりを明らかにし、政治の転換を求める国民世論と運動を高めるため、引き続き奮闘する。
2008年8月1日
全国労働組合総連合
事務局長 小田川 義和
2008年8月2日(土)「しんぶん赤旗」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik07/2008-08-02/2008080202_01_0.html
主張
福田内閣改造
政治の中身も顔ぶれも…
福田康夫首相が、洞爺湖サミットいらいくすぶり続けてきた内閣改造に踏み切り、財務相に伊吹文明自民党幹事長、経済財政担当相に与謝野馨氏らが決まりました。自民党役員人事では、安倍晋三前内閣などで外相を務めた麻生太郎氏が幹事長に就任しました。
内閣改造は首相が任命する閣僚や党役員の首のすげ替えで、首相自身が代わるわけでもありません。閣僚や党役員の顔ぶれを変えるだけでは、国民に痛みを押し付ける政治の中身は変わりません。
もともとが党略で迷走
改造の結果、主要閣僚では、町村信孝官房長官、高村正彦外相、舛添要一厚生労働相、増田寛也総務相らがいずれも留任となり、交代した自民党の幹事長や総務会長らも閣僚に横滑りしました。改造後も代わり映えのしない内閣です。
もともと今回の内閣改造は、昨年九月の福田内閣発足が、安倍前首相の政権投げ出しを受け前内閣の閣僚をほとんど留任させたため、「福田カラー」で「人心一新」などを理由に行われたものです。福田首相には、発足いらい内閣支持率が下がり続け、洞爺湖サミットでも回復できなかったのを、内閣改造で目先を変え、支持率を引き上げたい思惑もありました。
ところが、早期の改造で八月末には臨時国会を開き、インド洋での給油継続法案を成立させ、来年度予算成立後の衆院解散・総選挙を目指すという首相の思惑に、与党の公明党や自民党の一部が反発し、臨時国会の召集は遅らせ、年末年始の総選挙を目指すべきだと主張したため、改造作業は迷走しました。一時は、改造もできない首相になるといわれたほど、首相は追い込まれていました。
改造の迷走は、公明党の助けがなければ政権が維持できないほど、自民党政権が危機にひんしていることのあらわれです。内閣支持率や総選挙に有利か不利かだけで、内閣改造や臨時国会など公〓ルビおおやけ〓の政治日程を取り扱ったことでは、福田首相も与党も同じです。文字通り党略で、国民から改造に期待がわかなかったのは当然です。
同時に、根本には昨年の参院選で自民が敗北し首相が政権を投げ出したあとも、「構造改革」路線を転換するとも、継続するとも、はっきり旗印が立てられなくなった、福田内閣のゆきづまりがあります。
福田内閣に国民が望む方向に政治を転換する意思がないことは、改造直前、今後の政権の目玉としてまとめた、社会保障の「安心プラン」が、高齢者対策や非正規雇用対策などをいいながら、中身は「検討」をいうものがほとんどで、実現の手立てが示されていなかったことからも明らかです。
しかも来年度の概算要求基準では、社会保障費の削減を続け、その先の消費税増税もあきらめていません。政治の中身を変えない改造をいくらやっても、支持を取り戻すどころか、国民との矛盾は、広がる一方です。
政府追い詰めるたたかいを
迷走を重ねた内閣改造の結果は、福田首相と自民党に、政権を担い続ける資格と能力が失われつつあることを、いよいよ証明しています。国民は閣僚の顔ぶれを変えるのではなく、国民に痛みを押し付ける政治の中身を変えることを切望しています。
福田内閣を追い詰める、国民のたたかいはいよいよ正念場です。
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