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行政の逸脱行為が市民の人権を抑圧している 滋賀

「愛荘町役場への東近江市民による電話での同和地区差別問い合わせ事件に伴う真相報告集会」なるものについて

 「えせ同和行為」(「エセ同和行為」「似非同和行為」などとも書きます)とは、「同和問題」を口実に、企業や個人、団体、行政などを相手に、なんらかの利益を求めて圧力をかける行為です。

 「問い合わせ」の折に、他人・同和関係者を騙ったことは当事者を正すべきですが、これをもって「えせ同和行為」とどうしてよべるのか。この定義のどこに該当する事案なのか、理解できません。
 しかも、解同県連の任意であるべき対策会議に県や関係行政が出席し、さらに集会参加動員要請が、「実行委員会」なるもので通知されるなど、私人間の事案を、公的行政機関が関与して「問題化」すること、こうした異常な人権侵害行為こそ、非難されるべきものです。

 私たち全国人権連は、「三重の弓矢裁判」について、6月21-22日の第3回大会で、以下の記述をしました。「確認・糾弾」につながる「関係者会議」も違法であるという判例を社会に広める立場からです。

 

 弓矢教諭の居住地(三重県松阪)での発言に関わる人権侵害を糺す裁判は、06年3月その違法性を認め二審では損害賠償額を引き上げ、また「確認糾弾会」への公務員の参加も違法と断じました。しかし弓矢教諭の言動を「差別事件」とし、「解同」を免罪するなど問題点もあり、最高裁に闘いが継続されていましたが、06年10月双方の上告が棄却され、高裁判決が確定し330万円の慰謝料支払いを県に命じました。
 高裁判決の成果は、①糾弾行為による「被糾弾者の自己変革を促す」となると違法、②確認・糾弾会に公務員が参加することは公務とはいえず違法、③確認・糾弾への出席・出席準備の指示、事後報告をさせる行為や確認・糾弾と結びつく場合「関係者会議」も違法、④確認・糾弾会への参加を求める職務命令は違法、⑤糾弾学習会に教員の参加を強要することは行政の中立性に反する。行政関係者の参加も行政の中立性に反する、行政職員が糾弾会場を手配したことも行政の中立性からして当を得ないとした、⑥反省文の作成を強要したことは違法、というものです。
 一方で高裁判決は、事案の核心をなす「お嬢さんの将来にいいかもしれませんね」との弓矢教諭発言と町内会分離運動を「比較的重大な部落差別事件」と断定し、なにが差別かの論拠も示さないまま、この断定に寄りかかって確認・糾弾会を主催し実行した「解同」関係被告の責任を不問に付すという重大な誤りを犯しています。
 にもかかわらず、判決が内心の自由への侵害は違法として確認・糾弾に制約を課し、その確認・糾弾会への出席強要と反省文、感想文の作成強要やそれの配布など、糾弾の準備行為、関連行為を明確に違法としたことには意味があり、確認・糾弾行為の強行実施を不可能にするものです。

 「市民」の発言が、「行政機関無限責任論」で追及される謂われはありません。
 「市民啓発」の参考にと言うのであれば、「問題」と認識する人等が「見解」をまとめ、提示すればいい話です。こうした「見せしめ的制裁」による行政締め付けこそ、市民の自由な社会的交流に大きな阻害を持ち込むものと考えます。


弓矢人権裁判高裁判決の成果と問題点等   
1、判決の主文
 1審原告の控訴に基づき原判決中、1審被告三重県に関する部分を次のとおり変更する。
(1)1審被告三重県は、1審原告に対し、金330万円及びこれに対する平成12年12月8日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
(2) 1審原告の1審被告三重県に対するその余の請求を棄却する。
  2 略
  3 1審被告三重県の控訴を棄却する。 
4 略

2,三重県の違法性と賠償責任の根拠(積極的勝訴の部分)
(1)高裁判決は県教委職員と校長・同推教員の違法について五点あげて賠償責任をしめした。
①森山が「糾弾をうけてボロボロになれ」と机を蹴って脅迫したことは違法。
②解同の確認会のあと「自分を見つめて」の加筆、訂正を強要した事は違法。
③県教委・校長が確認・糾弾会へ出席を強要した事は違法。
④森山・板谷は糾弾会の準備行為としての反省文。また糾弾会後の「感想文」を強要した事違法。
⑤森山等が弓矢さんの居住団地に「自分を見つめて」を勝手に配布しプライバシイを侵害した事は違法。
 以上5点の行為によって弓矢氏は精神的苦痛を被ったので三重県は賠償責任がある。


判示・・・審被告三重県、1審被告森山及び1審被告板谷について
1審被告三重県は、1審被告森山及び1審被告板谷が同推委員としての職務を行うについて、また、永井校長及び県教委職員が教員に対する人事上の指示を行う職務を行うについて、1審原告に対し故意によって違法に、「糾弾をうけてボロボロになればいい」と言って机を蹴った行為、糾弾会への出席強要、「反省文」作成の及び手直しの強要、糾弾会後の感想文の強要、「自分を見つめて」⑩の居住地への配布した行為等により一審原告に生じた損害を賠償する責任がある。

(2)確認・糾弾会への参加による精神的苦痛は参加を指示した県教委の責任
 解同の確認・糾弾行為で受けた精神的苦痛はかなり大きいと考えられるが、その責任は確認・糾弾会を開催した解同にはなく参加を強要した県教委と校長・同推教員にあると判示している。ここには論理の矛盾があるが、判決文の上では、解同の確認・糾弾会への参加による精神的苦痛を認めていることは注目に値する。しかし、解同の責任は免罪している。


判示・・・また、確認会・糾弾会に出席するよう指示する行為であるから、確認会・糾弾会への参加による精神的苦痛を含めこれにより1審原告に生じた損害を賠償する責任がある。(114P)

3、勝訴判決に見られる成果(今後の運動上役立つ部分)
① 糾弾行為による自己変革を促すことは違法。
 判決に解同の糾弾行為を容認する誤った判示をしているが、無原則に容認したのではなく「この限度に止まる限りはこれらの行為が直ちに違法であるとはいえない」として規制が設けられている。その限度は「批判し反省を求め、真実を明らかにするよう求める」ことであり、それをこえて「被糾弾者の自己変革を促す目的」となると違法となることを示している。
従って解同は糾弾方針で『「糾弾は教育である」と位置づけ、差別意識をなくすことによって人間的変革を求める闘い』 「部落の解放をめざす人間に変わっていくことを求める闘い」と位置づけていますが、これらは限度を越えるものとして違法ということが出来る。

判示・・関係者から厳しい批判を受けて反省を求められ、またその前提として動機や背景事情を含め事実関係の解明の要求にさらされることは覚悟し受忍せざるを得ない場合があるというべきであって、この限度に止まる限りはこれらの行為が直ちに違法であるとはいえない(原判決93頁)」

②「確認・糾弾会に公務員が参加することは公務とはいえず違法。
 「糾弾学習会」と呼称する糾弾会は通常の学習会とは無縁で、三重県教委と解同との連携に一定の規制が示された。今後、糾弾会を学習、研修の場とすること、「糾弾会は教育の場である」として参加を呼びかけることにも一定の歯止めをかけることが出来ることになる。糾弾会に120名余りの教職員が出張・研修で参加したことは違法とされた。この当たり前の道理が認定されたことは大きな成果であり、今後、このような事象を起こさせない闘いの武器となる。

判示・・・民間主催のその相当性や適法性に異論のある確認会・糾弾会への公務員の出席は正当な公務の範囲を逸脱するというべきである。(104p)

③確認・糾弾への出席・出席準備の指示、事後報告をさせる行為は違法。
 確認・糾弾を前提として反省文を書かせることやその準備のための指示・指導は違法であることが示された。事象によって指導・研修が必要な場合でも、あくまでも校内(内部)研修の範囲であって確認・糾弾行為と連携する場合は準備行為として違法となると解する事ができる。三重では学校現場において人権・同和教育と関わって解同幹部も加わった「関係者会議」が開かれることがあるが解同の確認・糾弾と結びつく場合はそれ自体違法された。


判示・・本件を主題として1審原告を追及することになる確認会・糾弾会に出席するよう指示する行為及びこれを前提として事前に準備させ、あるいは事後に報告等をさせる行為は違法であるというべきである。(104p)

④確認・糾弾会への参加を求める職務命令は違法。
 確認・糾弾会への出席を本人の意思の如何に関わらず、県教委や校長から出席をもとめる行為は職務命令として理解するのが相当であり、これは違法であることが明示された。かりに、本人が出席を了解していても管理職からの出席要請は違法である。それは確認・糾弾行為の違法性によるからである。


判示・・・主催者である解同から開催を告知され、参加を了解しているにもかかわらず、重ねて校長から出席を求めるということは、正に職務命令として出席を命じたと理解するのが相当である。
(111p)

⑤糾弾学習会に教員の参加を強要することは行政の中立性に反する。
 糾弾会に学校行事を変更して全員参加をすることは行政の中立性に反することであり問題があると判示したことは重要である。これは②の「民間主催のその相当性や適法性に異論のある確認会・糾弾会への公務員の出席は正当な公務の範囲を逸脱するというべきである。」(104p)という判示に反することであり、確認・糾弾会への参加は行政の中立性に反すると判示したことになる。行政関係者の参加も当然、行政の中立性に反することになり、松阪市の職員が糾弾会場を手配したことも行政の中立性からして当を得ないとした。


判示・・・糾弾学習会に松商の全教員が参加を強要されたとも主張するところ、それが行政の中立性に反するとしても、そのことが独立して1審原告に対する不法行為を構成するものではなく、・・(111P)

⑥反省文、「自分を見つめて」の作成強要は違法
 解放大学卒業生のサンプル「自分を見つめて」を示して自己批判書(自分を差別者として懺悔させるもので糾弾会向けの準備物)を書かせたことは違法であると判示した。確認会で解同幹部から「両親の差別心について書くように」いわれ、それを受けて森山・板谷が強要した⑦~⑩の強要は準備行為で違法であるとした。しかし、解同との共謀による解同関係一審被告の違法は認めなかった(注・上告申立理由第3点)。
 弓矢氏は9回書き直しをしているが⑦以降が違法で①~⑥は違法でないと判示したことは「糾弾会に向けた準備行為は違法」とした判示と矛盾するものである。(注・上告申立理由第4点)


判示・・・「自分を見つめて」⑦以降は祖父母や両親の差別心を示す記載が現われ、それがより具体的詳細になっていっており、1審被告森山及び1審被告板谷が確認会の経緯などをふまえて、1審原告に対しこれらの点を補充するよう求めたものと推認することができるところ、その記載内容や6回目ないし9回目という訂正回数に照らし、1審原告はこれに任意に応じて自ら記載したものとは考えがたく、意に反して応じざるを得なかったものと推認できる(これに反し、1審原告が任意に加筆訂正したかのような1審被告森山本人の供述(12回期日調書29頁)は不自然で採用できない。) から、違法というべきである。(101P)

⑦「自分を見つめて」を居住団地に配布したことは違法行為である。
 「自分を見つめて」⑩を居住団地に配布した行為はプライバシイの侵害で違法と判示した。「一緒に配りに行った」ように外形的には認めていても、意に反した違法な行為と判示したことは重要である。弓矢氏は6月8日以降、外形的には屈服し、容認、謝罪することで問題が解決すると考えたが、これらは確認・糾弾を恐れた上での意に反した行為であり、このような精神的苦痛を生み出した解同・県教委や学校、同推教員の違法な共謀行為を認定すべきであった。


判示・・・「自分を見つめて」⑩を配布した行為については、1審原告自身、校長と1審被告森山がこれを配布する必要があると述べたのに対し断れず、一緒に配りに行ったと供述しているものの、その内容に照らして、1審原告が任意に承諾したとはいい難く、他に1審原告がこれに同意していたと認めるに足りる証拠はない。そうするとその配布は、1審原告の意に反して行われた違法な行為というべきである。(112P)

⑧同推教員森山らの行為は原告の被った精神的苦痛と大きい因果関係がある
 まず、弓矢氏の「精神的苦痛は確認会・糾弾会の内容、そこに置かれた一審原告の立場にかんがみるとかなり大きい」と確認・糾弾会が精神的苦痛を与える場であったことを容認している。(しかし、主催者である解同の責任は不問に)そこで、確認・糾弾会への参加を余儀なくした森山、板谷、校長及び県教委の担当者の行為は精神的苦痛と大きい因果関係があるから賠償責任を負うとしている。ここにも解同を不問にすることによる矛盾がある。

判示・・・一審被告森山、一審被告板谷永井校長及び県教委の担当者による違法行為自体によって、一審原告は相当程度の精神的苦痛を被ったと推認される上、1審被告森山らは1審原告がこれを受けて確認会・糾弾会に参加を余儀なくされ、それによって精神的苦痛を被るであろうことを容易に予測できたはずであることからして、1審原告が確認会・糾弾会において被ったと推認される精神的苦痛とも相当因果関系を有すると解するのが相当である。そして、これらの精神的苦痛は確認会・糾弾会の内容、そこで置かれた1審原告の立場等にかんがみるとかなり大きいと考えられる。(118P)

⑨「糾弾を受けてぼろぼろになったらええんじゃ」と森山のとった行動は違法。
 津地裁での一審では認定されなかった違法性である。6月8日の段階で確認・糾弾会を前提に原告を畏怖させ脅迫する行為と判示したことはその後の解同・県教委・学校の共謀行為の出発点を認めたことになる。(しかし、判決全体では多くの矛盾を含みながらも共謀性を認めていない。)

判示・・・1審原告に対し、確認会・糾弾会に参加するよう指示する行為は違法であるところ、少なくとも1審被告森山はこの時点で1審原告の態度次第では確認会.糾弾会に出席させようと考えたものと推認でき、また、1審被告森山の同行動は、そのことを1審原告に対し表明し、しかも、それを「糾弾を受けてぼろぼろになったらえんじゃ。」という不相当な発言や机を蹴るという暴力的手段をとることにより強調しており、1審原告を畏怖させるに足りる脅迫であって、違法な行為といわざるを得ない。(99P)

⑩三重県の基本方針や同推委員の地位や権限についての判断は避けた(判断を避けた部分)
 裁判では三重県同和教育基本方針や人権教育方針に運動団体との連携をうたい、同推教員の地位や権限が学校教育法に違反し、今回の事案の原因になっていることが争われたが判決では判断を避けた。判断からあえて逃げた感じがするが、「方針の違法性や同推委員の地位や権限に関する問題点は(あるが)直接影響を与えるものではない」と否定していない。学校現場では解同系同推(人推)教員が指導・監督するケースが多いだけに横暴を批判する手がかりにすることが出来る。


判示・・・1審原告は、1審被告三重県の基本方針等の違法性や同推委員の地位や権限の問題点について、るる指摘するが、本件において1審被告三重県や1審被告森山らが前記方針等に沿って行動し、あるいは、同推委員の地位や権限に間題があつたからといって、本件各行為が当然に公共の利害に関する事実にかかり、もっぱら公益を図る目的となって適法とされうるわけではなく、また、反対にこのような目的等を欠いていることからただちに違法であるとされるわけでもないから、本件各行為の違法性こそが争点というべきであって前記方針の違法性や同推委員の地位や権限に関する問題点は本件各行為の違法性に直接影響を及ぼすものではない。(96P)

7、最高裁へ上告受理申立理由書を提出し是正を求めた点
 弓矢氏と弁護団は4月3日最高裁に上告受理申立をした。高裁判決に含まれる多くの矛盾点、審査不備の中で特に4点にしぼって上告理由申立書が作成された。申立書は57ページに及ぶ膨大なものであり、事実と道理に基づく主張は説得力と今後の運動や内心に関わる人格権(プライバシー、名誉権)を守る闘いでは示唆に富んだものとなっている。
 
第1点 原判決は団地内にゴミ、排水路等の生活改善上の問題があり、原告の呼びかけで団地住民も同意し、分離運動が起こったことを認定しながら、本件発言と運動を「比較的重大な部落差別事件」であると判断し、解同による確認・糾弾行為を受忍しなければならないほどの比較的重大な部落差別事件であると判断したことは重大な誤りであり、原判決は、差別の判断を誤り,憲法14条を解釈した最高裁判例に反するので,破棄されなければならない。
第2点 原判決は、確認会・糾弾会への県教委の出席強要が違法とされ、かつ、そこで1審原告が受けた精神的苦痛がかなり大きいものがあると認めながら、確認会・糾弾会を主催し、1審原告を追及した解同関係1審被告の責任を認めなかったことは重大な背理であり、違法である。
第3点 「自分を見つめて」⑦~⑩の書き替えの強要等は、2回にわたる確認会における解同関係1審被告の追及を受けて、同推教員森山らの手で行なわれたものであって、そこに両者の共謀に基づく違法が認容されて当然であるのに、同推教員らの責任のみを認めて、解同関係1審被告の関与行為を認めなかった重大な違法である。
第4点 「自分を見つめて」⑦~⑩の作成強要の違法が認容されたからには、同じように、確認会・糾弾会の準備行為として作成された「自分を見つめて」①~⑥の作成強要の違法性も認められなければならないのに、それを認めなかった原判決の判断の違法である。

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