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2008年5月に作成された記事

「話し合い」に訴訟援助?、企業内女性差別も「話し合い」でというのか?、わざわざ話し合い法とは如何に。

ADRによる「話し合い解決法」素案を提案しました
太田誠一 at 2008/5/30 07:53:18
http://www.election.ne.jp/10829/59289.html

5月29日、人権問題等調査会を開きました。これまでの議論を踏まえて11項目の私の素案を皆さんに提案しました。その内容は、以下の通りです。

①法案の名称は、名は体を表わすこととするため「話し合い解決」法とした。

目的は、②人権尊重社会の実現などといった大上段に振りかぶった目的とせず、「法の支配の下で人権紛争を解決する」こととした。

人権救済の対象を限定し、③人権の定義や人権侵害の定義を行わず、人権侵害の類型を列挙して、それらだけを救済の対象とする法律とした。④任意の救済の対象から、“近隣との紛争”のようにいずれか一方が優越的立場にあるとは言えない類型を除外した。⑤「話し合い解決」の対象から具体的な内容を明示しない条項(バスケットクローズ)を除外し、差別的言動を反復して行われるものに限定して「言論の自由を妨げる」とする懸念に応えた。

制度の濫用を防止するため、⑥勧告など申し立てられる側に不利益な措置の対象を、「不法行為」に限定することにより、「委員会」は過去の判例によってしか判断することができなくなる。⑦申し立てられる側が申し立て自体を不当として人権侵害の救済を求めることができるとしたことは、濫用に対する強い牽制となる。

その他に、⑧民間ADRを活用するとは、行政各部から独立して設けられる「委員会」に『話し合いによる解決』を進める際、調停仲裁については「委員会」の責任において民間弁護士に委託してもよいということ。⑨差別的言動に関しては委員会の調査を拒否した場合においても過料を課さないこととし、「言論の自由を妨げる」とする懸念に応えた。⑩報道関係も「法の下に平等」とし、行き過ぎた取材活動(メディアスクラム)を問題にする条項は設けないこととする。⑪人権擁護委員の制度を現行通りとすることにより、外国人は除外される。

以下、素案の原文です。

(略称)話し合い解決法
「話し合い解決」等による人権救済法(案)

Ⅰ.目的:差別や虐待など人権侵害に対する現行の救済制度を明文化し、加えて「人権侵害を行ったとされる側との話し合いによる解決」等の新たな救済制度を導入し、人権問題を法の支配の下に置く。

Ⅱ.人権救済対象の限定
 現在でも行っている援助など任意の人権救済の対象を、憲法14条が定める人種等による差別、障害疾病による差別、及び職務上の地位を利用して行う性的な言動、優越的な立場においてする虐待などの人権侵害、及び名誉毀損・プライバシー侵害に限定する。
 人権救済の対象のうち「話し合い解決」等の対象となる類型を次のものに限定する。
  公務員及び事業者・雇用主が行う差別的取扱い
  公務員が行う虐待、児童虐待、施設内虐待他
  反復して行う差別的言動
  職務上の地位を利用して行う性的な言動のうち、被害者を畏怖困惑させるもの
  差別的取扱いを誘発する差別助長行為、及び差別的取扱いの意志表示
 ただし「話し合い解決」等は、事実の確認(調査)に基づく調停仲裁・勧告・訴訟援助等を言う。

Ⅲ.制度濫用の防止
 [制度濫用の防止]申し立てられる側に不利益となる措置は、その対象を、合理的に正当化できない行為(不法行為)に限定し、勧告に対しては不服申し立てができる。
 また、特定の歴史観に基づく被害申し立て等救済の対象から除外すべき類型を列挙する(別紙参照)。
 [申し立てられる側の保護]申し立てられる側が、申し立て自体を不当として対抗措置をとれることとする制度を創設し、同一の救済手続きの中で処理するものとする。

Ⅳ.その他
 1.「話し合い解決」等は委員会の責任で行い、随時民間ADRを活用する。
 2.差別的言動に対する調査については、過料の制裁を除く。
 3.報道機関については特別な取り扱いをせず法の下に平等な扱いとし、「話し合い解決」等の対象とするかについては、将来検討課題とする。
 4.人権擁護委員については現行制度を維持する。

(別紙)救済の対象から除外すべき類型
次のような場合には、人権侵害の申出があっても、救済の対象から除外する事を法律に定める。
 ①申出の内容に、次のような事情が認められるとき
 A学術上の論議、歴史上の事象又は宗教上の教義についての見解を根拠・前提として被害を受けたと主張するもの
 B法令が憲法に違反する旨の見解を根拠・前提として被害を受けたと主張するもの
 Cこれらのほか、その性質上、人権救済機関の調査・措置に馴染まないもの
 ②不正な利益を得る目的、他人の名誉を毀損する目的その他の不当な目的でされたと認められるとき
 ③被害が発生しておらず、かつ、発生するおそれがないことが明らかなとき
 ④名誉毀損については、公共利害事実に係わり、かつ、公益目的であったと認められるとき

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話し合いを強制・説示の名称と制度骨格の大幅相違

【主張】人権擁護法案 消えぬ「言論封じ」の危険
2008.5.31 03:04
http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/080531/stt0805310305000-n1.htm

 人権擁護法案の成立を目指す自民党の人権問題調査会で、太田誠一会長は人権委員会の権限を大幅に縮小した修正案(太田私案)を示した。

 私案は、人権救済の対象について、いくつかの類型を列挙し、人権侵害の定義があいまいだった以前の政府案に比べると、改善されたように見える。

 しかし、省庁と同格の「3条機関」(国家行政組織法)として人権委員会を新設し、民間の言動をめぐる議論に公権力が介入する枠組みは変わらず、憲法で保障された言論・表現の自由が制限される危険性は消えていない。

 例えば、人権救済の対象となる「差別的言動」を「反復して行われるもの」に限定したとしているが、言論を浸透させるためには、繰り返して主張することが必要である。言論自体が封じられる恐れは依然としてあり、「反復して」は無意味な付け足しに近い。

 また、法務省が平成14年に示した案には報道制限につながりかねないメディア規制条項があった。マスコミの批判を受けて太田私案では削除されたが、それは報道機関が特別扱いされないだけで、他の民間組織と同様、「差別的言動」の有無などについては人権委員会の監視を受ける。

 「話し合い解決法」とも称される太田私案は、制度の乱用を防ぐための不服申し立て措置を設けるなど、ソフトなイメージを強調している。だが、人権委員会が人権侵害と判断すれば、担当者を呼び出し、捜索・押収も行えるという基本的な構図は、政府案とほとんど変わっていない。

 調査会は、新たな人権侵害の例として、学校裏サイトへの書き込みによるいじめ自殺などのケースを挙げている。とはいえ、いじめは文部科学省の下で教育委員会が指導すべき問題であり、人権委員会が教育委員会を差し置いて調査に乗り出すべきではない。その他の人権侵害も、それぞれの省庁で解決できる問題が多い。

 人権侵害は、警察や検察庁、刑務所など、見えにくいところで行われるケースもある。そうした公権力による人権侵害を防ぐことには、だれも異存はなかろう。しかし、民主主義社会で民間の言論・表現活動をしばりかねない法律をあえてつくる必要があるのか、極めて疑問である。

 こうした根本の問題に立ち戻っての議論を改めてすべきだ。




人権法案 現行制度の改善の方が先だ
(5月31日付・読売社説)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20080530-OYT1T00863.htm

 人権擁護法案の装いを変え、なお今国会提出を目指す動きが自民党内にある。会期末を控え、党内すら議論を二分する法案を出すことには、多大な疑問がある。断念すべきだ。

 自民党の人権問題等調査会で会長私案が示された。反対派に配慮し、地域の人権問題に携わる人権擁護委員は日本国民に限られ、報道を規制する条項を外した。

 「あいまいだ」と批判の強かった人権侵害の定義を明示する代わりに、人権侵害に該当する例をいくつか挙げた。

 だが、大きな論点だった侵害の有無を判断する「人権委員会」の位置づけや権限は、不明確だ。

 従来の法案では、法務省の外局とし、裁判所の令状なく立ち入り調査できる権限を与えていた。

 人権侵害を起こしてきた刑務所や入管施設を束ねる法務省の外局では、独立性に疑問がある。

 しかも、私案で示された人権侵害の例には、「反復して行う差別的言動」「差別的取り扱いを誘発する差別助長行為」など、どういう行為を想定しているのか不明瞭(めいりょう)なものが掲げられている。

 拡大解釈可能な例示を基に、人権委の立ち入り調査権が残るとすれば、依然危険性が大きい。

 国連規約人権委員会の勧告に端を発した法案作りは、本来は公権力の逸脱を防止するためだ。例示には「公務員が行う虐待」も含まれてはいるが、他のあいまいな例と同列に並べられている。

 名古屋刑務所の刑務官による集団暴行事件を受け、収容者の不服申し立て制度が設けられた。

 だが、審査するのは“身内”の矯正管区長と法相だ。法相が「問題なし」と判断しようとする時だけ、法務省の別の部署に事務局を置く第三者の調査検討会が調べる。こうした仕組みこそ、実効性を持つよう改善すべきだ。

 警察でも、冤罪(えんざい)と判明した鹿児島県の選挙違反事件や富山県の婦女暴行事件をはじめ、取り調べなどをめぐる不祥事は絶えない。

 警察当局は取り調べ監督制度の導入などを打ち出しているが、こうした制度を定着させ、人権侵害を防ぐことが求められる。

 司法制度改革の一環として創設・機能充実が図られた日本司法支援センター(法テラス)や裁判外紛争解決手続き(ADR)も、もっと有効に生かすべきだ。

 現行制度を改善・強化し、不足を補う。ならば、個別の問題に対処する法律の改正が先だ。それが実効性のある人権侵害防止の仕組み作りの基本ではないか。

(2008年5月31日01時30分  読売新聞)

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3条委員会、言論規制、これで満足か?

6月3日(火)

◆政調、人権問題等調査会
 午前11時 本部901室

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糾弾からの「保護」法にする狙いなのか、不分明だ。

動員・昨日の自民党人権問題調査会は法案推進派が目立ちました
2008/05/30 14:43
http://abirur.iza.ne.jp/blog/entry/592018/

 本日は29日に開催された人権擁護法案の成立を目指す自民党人権問題調査会(太田誠一会長)の第12回会合の模様を、例によって原川記者のメモをもとに報告します。できれば今朝の産経政治面の記事「賛否両論派なお溝」をご参照いただきたいと思います。イザブログの字数制限(1万字)に引っかかるため、一部を省略したことをお断りします。やはり字数の関係で私の感想は入れないこととし、メモをそのまま提供します。

 《太田誠一氏:久しぶりに開会する。空白の時間に何をしていたかというと過去11回調査会で講師を呼び、活発なご意見の開陳をいただいた。なるべく事柄の本質を失わないように、われわれの案をつくらないといけないということでその案をつくる時間をいただいたわけです。だいたい方向が固まってまいりましたので、先週から個別に私どもの案を示してご意見をいただいてきたが、意見を聞いていない同僚議員もいるので、フェアでないので、今日ぜひ説明をさせていただきたい。(中略)

 【目的】法律の目的は「人権侵害を行ったとされる側との話し合いによる解決」等の救済制度を導入し、人権問題を法の支配の下に置く。旧法案は、人権尊重社会の実現を目的としていたが、大変大上段に振りかぶった目的だったが、淡々とやっていくんだということだ。

【人権救済対象の限定】現在の制度で行っている援助とか説教など任意の人権救済の対象を、今は大変広いが、それを憲法14条が定める人種等による差別や障害疾病による差別、名誉毀損、プライバシー侵害に限定する。従来の人権救済制度から何が除かれたかといえば、隣近所の紛争。対等な人の間のもめ事は対象にしないということをはっきりさせた。(中略)

言論の自由を脅かすことになるのではないかという差別的言動は、反復して行われるものに限定した。

【制度濫用の防止】どうやったら、逆差別とかがされないかということにも注意を注いだ。その結果、(中略)勧告に対しては不服申し立てができるとした。また特定の歴史観にもとづく被害申し立てといったものについては救済の対象から除外する類型をはっきりさせて、法律に盛り込む。申し立てられる側の保護ということで、対抗措置をとれる制度を創設し、同一の救済手続きの中で処理するものとする。例えば申し立てを受けた、それは自分を陥れるために申し立てているんだと申し立てられた側が思ったときには、申し立てに続いて即自分の保護申し立てをする。そうすると同じ委員会でこれが取り上げられて、例えば申し立てられた側に理があるということになれば、それがはっきりする。

【その他】 差別的言動については、微妙な取りか使いが必要だということで過料の制裁を除くことにした。報道機関について特別扱いせず、法の支配の下に平等な扱いとし、将来検討課題とする。報道機関のためにわざわざ条項をつくって、メディアスクラムといって集中豪雨的な取材をしてはいけないとわざわざ言うのではない。普通の国民と同じようにメディアも同じルールのもとでやってもらうということだ。特別扱いはしない。人権侵害があれば、厳しく普通の人とおなじように取り扱う。(中略)

人権擁護委員については現行制度を維持する。外国人は除外される。なぜならば今の人権擁護委員は地方参政権を持っていないといけない。地方参政権を持っている制度をそのまま継続することで、外国人は排除される。

 塩崎恭久氏:11回の勉強会の中で、われわれが学んできたことを要約して先生方の議論の前提にしていただいた上で、太田私案を検討いただきたい。そもそも今の人権擁護機関といっているが、地方法務局でやっている人権擁護の仕事の法的根拠はなにかといえば実は法務省の設置法しかないということが勉強会で分かった。人権擁護局の局長次第でやり方がどうにでも変わってしまうという法律立てになってしまうのが大前提で、それがゆえに今回のような提案があり得るということだ。(中略)

簡易な救済と積極救済。すなわちこの答申は一般的な救済制度として新たな人権救済制度を設けて簡易な救済と積極的な救済を設けなさいということになっている。勉強会で、日大の百地章先生も、基本的には答申を踏まえて議論したらいいのではないかと、おっしゃっている。(中略)

学校裏サイトみたいなのに書き込みをされていじめられ自殺するとか、学校を辞めざる得なくなるようなケースのときに、現状でどういう手だてがあるのか。A子死ねばいいとか、いろいろサイトに書かれて、A子はどう思うかというと書き込みを消してくれ、学校にも行きたい友達とも仲良くしたいと思っている。しかし、警察にいっても脅迫罪に当たるけれど、軽微だということでまったく相手にされないし、民民だということでやられてしまう。学校に行って相談しても学校がまともに受け止めなかった場合は泣き寝入りするが、裁判しかない。(中略)書き込みをやめるとか退学をとめてくれとか、まったく関係のないレベルでの裁判をやらざるをえないということで人権救済制度をつくったらどうかということだ。

 【主な議員の意見】

吉田博美氏:私は山口県の柳井市に生まれた。小学校4年のときに父の会社が倒産し、夜逃げ同然で山梨の方に両親が出稼ぎに行き、祖母のもとに預けられた。もちろん近所の人たちは大事にしてくれたが、かなりのみなさん方から「あれは夜逃げしたんだ。借金だらけだ」と言われ本当に嫌な思いをしながら学校に行った。そして最大のショックは同級生から「お前のおやじは夜逃げしたんだろう」。こんな嫌な思いを経験し、山梨に転校した。そしたら今度、「お前の言葉は山口県の言葉で全然分からない。外国人のような言葉だ」と言われ、また嫌な気持ちになってまた転校しなければならない。そうした嫌な気持ちを少年時代に持ったのが、いまだに50年たっても、気持ちから抜けさらない。
 そうした中で、人権侵害はいつどこで、誰に起きるか分からないわけです。そうしたときに、もちろん道徳教育等で人権侵害をなくすのは望ましいが、決してそうではない、今現実に人権で被害を受けている人がいる、そうした人をいかに救済するかが今私たちの果たす役目じゃないか。私は太田私案に賛成でございます。

近江屋信広氏:私も初めて発言させていただく。前回の調査会に出てみた。ある意味非常にびっくりした。そこで前回出された資料が行政救済制度の現状とか、あるいは行政的な解決手段がそれぞれの個別法であるのかどうなのかという資料で勉強したと思う。その際、資料として示されたのが5点か6点の論点整理だった。それに対し皆さんいろんな反対論もあり、結局太田会長がとりまとめて論点について検討していくとまとめられたので、てっきり今日はその論点について一つずつ検討がはじまるのかなあと思ったんですが、会長私案なるものが出てきて、この私案をここに出すことがみんなで決めたのかどうなのか。さっぱりよく分かりませんが。そのいずれにしても、この前出された4つか5つの論点整理、あれは内容がおかしいんだと思う。
 前回の議論を聞いていても論点は二つじゃないかと思う。まさに人権擁護法案か、今回の、実態は同じだが、名前を変えた法律が必要かという論点。もう一つは、個別の救済制度がなかったり不十分だったら、一つ一つ手だてを補填していけばいいのであって、そういう個別法の改善で十分対処できるのではないかという論点。二つの論点しかないと思う。この二つの論点のうち、今後どう取り扱っていくかというと、やはり新法は必要でなくて、現行法の対処で足りるということの方を先に論議すべきだ。それを、そういう論点整理の問題点。太田先生のこの前の最後のとりまとめとまったく違う進め方をしているというその進め方についての異論もある。前回の会議で、大前先生の意見非常にショッキングだったんですが…。

鶴保庸介氏:手短に。先生方発言はたくさんありますから。

稲田朋美氏:都合の悪い発言だけ遮るのはおかしいじゃない。

鶴保氏:(キレて)そうではありません!公平にやるために発言を簡潔にお願いをします!

近江屋氏:大前先生が前回、かつて同和の方から、地域改善の法律があって、あれは逆差別であり、新しい新法はこれを拡充し、固定化するものではないかという意見を聞き、私は大変ショックを受けました。こんな大変なことをこのまま看過できないと思った。その点も含めて、私もよく議論に参加させていただいて。人権確保ということは大切ですから、十分議論をしていきたいと思います。

鶴保氏:先生、ちょっと短めにお願いします。

岩屋毅氏:事前に私案についてお話ししていただいたものの一人だが、大事な問題なので勉強させていただきたいと答えたが、どうもすっきり府に落ちない。というのは法律万能主義的な気がしてならない。できるだけ弊害を生まないように、対象を限定する考え方でつくられているが、およそ人間関係のやりとり、特にメンタルな面での作用は、数学的機械的に場合分けできるものではないのではないか。やっぱり人権問題についてはふわっとした大網をかける基本法というのはつくっていいんだと思うが、いよいよ人権侵害行為について具体的な救済方法を考えるというときには、問題の所在が明らかで、当該侵害行為が形式的にも明確に判断できるものについて、個別具体的にピンポイントで対応するアプローチが正しいのではないか。(後略)

長崎幸太郎氏:私は弱者の視点、被害を受けた人の視点は重要だと思う。被害を受けるということは社会的にも弱い立場の人。いじめられているんですけど、どこにいったら今の窮状を救ってくれるんですか、というところを設ける必要がある。判例の枠を出ないということなので、不必要に広がる恐れはないんじゃないか。弱い立場から見れば、裁判起こすのはしんどいから、できるだけ穏便にやっていきたいという中で自らの立場にたってお手伝いいただけるところがあるというのは政治として重要だと思う。個別法の議論ですが、話し合いの手段で解決出来ないような問題かつ上乗せでやらないといけないようなときに、個別法をつくるべきだ。上乗せ処分が必要であれば、そこは個別法で上乗せするべきで、まず一般的な話し合いの入り口というのは、弱い人たちのために政治として手をさしのべるべきだと思う。

矢野隆司氏:一般法の存在意義、まったく同感。一つだけ例を申しあげるが、拘置所、刑務所に入ると、身分帳という囚人ファイルをつくられる。現在の犯罪者囚人ファイル。それぞれの犯罪者にあるのはかまわないが、例えば富山の冤罪事件。法務省に囚人ファイルはあるのかと聞くと、個別具体的なことはいえないが、あります、と言われた。なぜ犯罪事実がない人の囚人ファイルがなぜあるのかと聞くと、刑務所に入っていたことは事実だから行政文書として30年間保存しないといけない。なぜ保存する必要があるのか聞いたら、刑務所に入ったときに免許書が切れたときに、更新するときの書類が必要。免許証を更新するのに囚人ファイルがなぜ必要か。囚人ファイルの中身は、囚人の目つき、態度、言葉遣い、なまっているのか、どもっているのか、指があるのかないのか、入れ墨があるのか。犯罪事実のない一般人の囚人ファイルを30年も残すのは人権問題じゃないかといった。こういう人たちを救うのは、やはりこういう人権の救済機関、少なくとも太田私案にある公務員の行う差別的取扱に当てはまると思う。ぜひ、こういう法律をつくる必要があるという立場から発言させていただいた。

大前繁雄氏:包括法に対する批判が厳しいのでそれに対応する案としてつくられたと思う。ブラックリスト方式というか、問題があるものを列挙して、なんとかこの法案を通したいという意思はよくわかる。一点聞きたいが、人権救済法で、国際基準を満たすのかどうか。

西田昌司氏:太田先生ならびに塩崎先生のご説明をいただき、われわれがついてきたところ、かなり改善していただこうという気持ちは分かる。敬意を表したいと思う。ただやはりかなり無理がある。何度も行っているが、人権侵害というのはTPOによって、人権侵害だったか、しつけだったか、友達とのコミュニケーションであったかどうかは、全部変わる。これを法律で決めてしまうとぎすぎすしてしまうし、本来の人間の生活に支障が出てくる。

例えば私案の中でも、反復して行う差別的言動と書いてある。公衆浴場に行くと入れ墨の方お断りとなっているが、これも人権侵害になってくると思う。そういう入れ墨をどんどん若者が最近はしているが、それを放置していていいのか。そういう方々が、人権侵害だといって、いわゆる常識が通らない社会をつくっていいのかといことを私は恐れる。そうならないためにも法が社会を支配するのでなくて、モラルがあっての法なんだ。モラルが法によって犯されてしまっては、立ち直りできませんよ、日本は。そこは私は強く、皆様方に分かっていただきたいと思う。

塩崎先生がおっしゃった、例えばの案で、(学校裏サイト)メールで書き込みがあって、今まではできなかったが、新しい制度ではこれができるとおっしゃった。確かにそうかもしれないが、しかし、これでこの子の問題は解決できるんでしょうか。できないと思う。結局は自分で乗り越えないといけない。私の子供も中学のときにいじめに遭っていた。たまたま知って、それはその当事者を呼んできて、対決させて、お前何やっているんだ、お前も言うことないのか?と自分の子供にも言って、対決させない限り、それは乗り越えられませんよ。人権委員会に訴えて、消してもらえました、で気持ちが落ち着いて、次また友達と仲良くできるかといってもできない。
 結局、これは頭の中で考えたもので、現実の日本人の社会の常識というものが欠けてしまっている。本当に子供たちを救おうと思えば、乗り越えていかないといけない。ですから、法律でなくてモラルが社会を支配する、道義を大切にしていく、と。この法律をつくることによって逆に道義がなくなってしまい、モラルが方の支配のもとで消されてしまうことが一番問題だと思う。私はこの法律の問題はそこにあると思う。

早川忠孝氏:人権救済法という名称を変えたらどうか。社会的な弱者といわれるような権利救済を実現するような施策を根拠づける基本法みたいなものをつくっておいて、それで、それぞれの分野で個別にまだ現在の制度では裁判にはいきづらい、行政でも対応できない中間的なところについて智恵を出していく基本的な考えは、私は正しいと思うが、ただ、太田私案という形で調査会長が自ら案を出されてしまうと、これが一人歩きしてしまうので、むしろ、いくつかの案をみんなで出し合いながら、いいものをつくりあげていくという基本的な概念の中で、鍵的なものをあまり一律に厳しくやるという従来の政府が提出していた人権擁護法案は、これで完全に消えた思うので、新しいものをつくるためには、もう少し柔軟な対応をしないといけない。(後略)

稲田氏:12回参加しており、太田先生の熱意には感動しているが、私はやはり、調査会がこの法律を、とにかく人権に関する包括的な法律をつくるんだという前提でこうやって動いていることに私は反対なんです。法律は立法事実があるためにつくるかというと立法事実があるためにつくるのだが、何のために法律をつくるかいまだ分からないし、国民がこの法律をなんで臨んでいるかも分からない。

今回、この私案の中に、人権問題を法の支配の下に置くと書かれているが、人権擁護局長も、専門家だったら、日本は法治国家なんですよ、人権問題は法の支配の下に今も割る訳なんです。私はずっと12回議論を聞いてきて、だんだんと私たちの意見を細かく入れていただいたんだと思うが、私は、白紙で、昨日、私案を主人、弁護士20年以上やっている、私より優秀ですけど、見せましたら、「何が書いてあるか分からない」と言ったんですよ。「一体何がこの法律で書いてあって、何のためにつくるのか、はっきりって申し訳ないけど分からない」って言ったんですよ。私がそれが現実だと思う。
 一体何のために、法律をつくるのか。そして法律をつくったことによる弊害が大きい。不法行為を除くからいいだと言うが、そんな簡単なものですか人権擁護局長。不法行為がなんであるかを争って専門家が判例に基づいて最高裁まで争っている。不法行為を除くということはそんな簡単なものではない。また、セクハラ等の調停がある。話し合いなら民事調停がって、裁判に行く必要はないし、損害賠償だけでなく、保全処分があるのに、なぜ人権擁護局長は専門家だったら、ひな壇の先生方にきちんと説明されないのか不思議だ。私は、こういった法律をつくる余裕が一体わが党にあるのか。こんな問題はどんどん議論していく余裕が一体あるのか。そうすることによって、わが党が国民の民意からどんどん離れていくことを非常に危惧いたします。

太田氏:論点整理して、その通りにやっていないのは、その通りでございます。議論をしているなかで、論点整理しようとすると、論点整理の仕方そのものについて異論が多く出てくる。そうするといつまで経っても、旧人権擁護法に対するやりとりでまた終わってしまうので、大変申し訳ないけれども、そこはカットさせていただいた。(後略)

桜田義孝氏:多くの批判の中で、現在の人権問題が存在するのか、しないのか。存在するものに対する解決策が、批判の中では全然ないように思う。日本の社会は支え合い、助け合いが必要、法律以前の問題として解決する。アメリカ型の訴訟社会に日本を持ち込むが適当かどうかには大きな疑問を持っている人間だ。訴訟社会に持ち込むべきではない、話し合いの中で解決するのが日本人的な価値観。私はぜひこのようなことで太田私案を中心に進めていただければありがたい。

中谷元氏:人権が法の支配の下にはあると思うが、国連の活動も国際法があって戦争防止ということなっているが、やはり紛争は起こるので、そのために予防とか防止をする。そのために話し合い。カウンセリング、悩みとかを聞いてもらうだけでもかなり落ち着く。やはり制度としてこのような相談の場を設けて問題を処理するということにおいては、法でカバー出来ない部分を吸収できるということで必要ではないかと思う。論点整理の答がないという話だが、かなり論点を吸収して改善した点では評価できる。世の中自由も必要だが、自由平等博愛。平等をいかに実現するかも政治に求められていると思うので評価したいと思う。

 加藤紘一氏:私は太田私案はこれから手直しする部分がこれからあるのかもしれませんが基本的に賛成です。人権は守られる制度はできています。しかし、それが完璧に細かなところまで本当に行き渡っているかというと危ないところもある。私自身も自分が守られないと思うときがある。でも私は裁判に訴えません。そういうケースはいろいろあると思う。それを従来ぎすぎすしないようにしたのは、コミュニティです、家族です、親戚縁者です。その中で「おいお前、そんなこと言うもんじゃないよ」と、斜めの関係があった。隣のおじさんがうちの息子を怒ったり、どこかの町内会の野球を教えることが非常にしっかりしていたお兄ちゃんに怒られて、ですから、尊敬していたあの人に怒られたかといって、ちっちゃな子が、自分は悪いことしたんだと、そういうコミュニティがマーケットメカニズム世界、グローバライゼイション世界の中で崩れてきたからこういうことが起きているんで、そこはちゃんと認識して、裁判に至らない前のメカニズムを考えることは絶対必要だと思ってる。
 それから今日はじめて出席させていただいて、意見言って失礼したんですが、この会どうしたんですか。どうしてこんなに怒鳴り合うんですか、自民党の中で。33年自民党の議員してますけどね、そうですね、日中航空協定のときも、こんなに怒鳴り合いませんでしたよ。しっかりとした議論、冷静にしていただきたいと思います。
 
 赤池誠章氏:私も12回参加させていただいたが、やはりこの法案が、今、加藤先生、自民党らしくないというご指摘があったんですが、この法案自体が自民党らしくないから、こういう議論になるのかな、と感じております。
 それは保守政党というのはまず法の支配というのがまず大前提が、西田先生がおっしゃったように、慣習、いわゆる実態法の前に慣習法を尊重するのが大前提ですし、改革の仕方も、やはり漸進的にできるだけ現状を踏まえながらゆっくりとやっていくことが有るべき姿だと思う。そもそも論から言えば、今回の法案もそうだが、現実立法事実が残念ながら12回参加しても、新法をつくる現実の理由が見当たらない。(中略)
 人権侵害はあると思うが、例えば、吉田先生、山梨県で嫌な思いをされたということで、お詫びしたいが、これはひとえに学校長、学校の先生、ご承知の山梨県教組に支配されておりまして、学校の先生がきちっと対処しなかったことが、今50年経っても傷が除くということで、ひとえに学校長、先生が差別が絶対いかんという対処ができていないところが、いろんな問題になってくる。そうしたところをまず徹底的にやったところで、それでもまだまだできないというところは何かというところで初めて新法の必要性が出てくるのではないか。まだまだ現行法でやれることはある。それを一つ一つこの調査会で検討をお願いします。

 土屋正忠氏:…包括的な法律をつくったから救済できるか、という実効性は難しい。人権救済行政はできるかもしれないが、(いじめを受けた)その人間の救済になるのか、非常に難しいと思う。

 佐田玄一郎氏:この法案は、傘は小さく広げている。今までの12回のみなさん方の議論を踏まえて、こういう意見をつくられたわけだかが、この原案を含めて一つ一つをクリアするために議論すべき、またまとめる方向で努力していかないといけない。

 衛藤晟一氏:司会についても言いますが、加藤先生からいろいろお話しありましたが、失礼ですよ。近江屋先生がしゃべっている途中に、そんなに長くやったわけじゃない。で、執行部の方は、今日は最初から告示は一時間でしょ。1時間のうち43分しゃべったんだから。それでしゃべったらいきなり今度はやめろとか。しかも、僕みたいに毎回しゃべっているのは遠慮して最後の方しかしゃべらないんですよ。そのくらいの気を遣っているんですよ。で、初めて手を挙げられたのに、いきなりお前短くしろとか、それはやっぱりちょっと運営そのものがあまりにも横着だよ、こんなこと言うと悪いけど。
 百地先生の件も部分的にとらえてその通りですと言われたら困る。勧告(答申)のなかに、抑制的でなければならないということをはっきり言って、だから、理念法でやるのか、あるいは3条委員会で30万という過料を課すというのは人間社会においては罰金刑ですよね。そういうようなところまで行くのは問題でないですか。立法事実として個別法で対応できるのではないですかと、彼は言ったわけで、その途中のところだけとって、この部分だけ引用するのは善意に欠けている。
 

※会合後、鶴保事務局長(途中退席)の司会ぶりについて、近江屋氏が太田、塩崎両氏に詰め寄って抗議。塩崎氏「しっかり指導しますから」と平謝り。(了)》

 …今回の会合は、動員されたのか人権擁護法案推進派の発言が目立ちました。この結果について、反対派の重鎮議員は「それならば、次の会合ではこっち側の議員を動員するか」と話していました。まだまだ行方から目が離せません。

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問題は言論等の規制にあるのだが。

2008-05-29 21:39:20
早川忠孝の一念発起・日々新たなり
http://ameblo.jp/gusya-h/entry-10101279545.html

人権問題調査会はどこに行く/人権擁護法案はこれで消えたが
今日の人権問題調査会に、辛うじて出席できた。

私が顔を出せたのは、調査会長代理の塩崎議員が太田私案についての説明をしているところだった。

新しい法案の名称を、話し合い等により人権侵害を解決することを目指す、「話し合い人権救済法案」とする、取り扱う人権侵害事案を差別や虐待等に限定する、マスコミによる人権侵害は対象としない、新しい組織は裁判外紛争解決機能を担う、現在の人権擁護委員制度には手を加えない、といった内容だった。

一応の説明があった後、質疑に移ったが、出席議員からは、

「個別の救済法で対処すべきで、新しい組織は不要だ。」

「日本司法センター・法テラスを活用すべきだ。」

「これまでの論点整理と全く関係なしに、太田調査会長がいきなり太田私案なるものを出した、ということが納得できない。」

「そもそも立法事実がない。」

などという意見が出された。

これに対し、

「人権救済の道を広くして欲しい。」

「現在は裁判に訴えざるを得ないが、費用がかかる。

簡単に救済してもらえる制度を是非作って欲しい。」

「太田私案の方向性を支持する。」

という発言もあった。

今日の会議で誰からも反対意見が出なかったら、おそらく調査会としては太田私案を承認する、という流れになったのだろう。

十分議論しないまま中途半端な結論になったら困るな、と思っていたが、どうやら議論は継続になったようである。

まずは良かったと思う。

9時30分から法務実委員会の理事懇談会が開催されることになっていたので、会議の途中で退出せざるを得なかったが、私が見た限りでは、まだ議論を集約できるような状況ではない。

それにしても、法案修正協議や党内手続で大忙しのときに、なんで党内で大きく議論が分かれるような、こんな難しい問題を取り上げようとしているのか、私には不思議だった。

本当は、太田試案の方向性は、そんなに悪くない。

皆、先入観があるため、悪く悪く取ってしまうが、少なくともこれで前の人権擁護法案は完全に死んだことになる。一歩前進である。

太田私案などという形にしないで、色々な意見の人を委員にして、調査会の中にワーキングチームを立ち上げ、ワーキングチームの提案、という形だったら、もっと皆、冷静に意見の交換ができたのではないだろうか。

「人権侵害」という言葉を普通の「権利侵害」という言葉に置き換えるだけで、受け取り方が変わってくるはずだ。

裁判や行政の間に、新しく、裁判外の救済手続を設ける、という発想自体は、決して悪くない。

これを人権委員会などという厳めしい機関が担う、という人権擁護法案の発想を踏襲しているから、皆反発する。

太田私案をもう一ひねりして、いわゆる人権侵害(権利侵害)に対して、被害の種類や態様ごとに、その解決や被害者の権利救済に相応しい裁判外紛争解決手続を整備する、とすれば、物の考え方が変わってくるはずだ。

もっと柔軟な発想で、本当に機能する新しい人権救済システムを構築したいものである。

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公権力による人権侵害に限定した組織を

人権問題調査会、太田私案を提示
2008.5.29 23:04
http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/080529/stt0805292304007-n1.htm

 人権擁護法案の成立を目指す自民党人権問題調査会(会長・太田誠一元総務庁長官)は29日、現体制となり12回目の会合を開き、新設される人権委員会の権限を大幅に縮小した修正案(太田私案)を示した。古賀誠選対委員長らを中心とする推進派、安倍晋三前首相らを中心とする反対派ともに若手・中堅議員を大量動員し激しく応酬し、議論は平行線をたどった。調査会では今国会中に法案をまとめる方針だが、反対派は断固阻止する構えを見せており、緊迫の度合いを増している。

 「『話し合い解決等による人権救済法案』に名前を変えたい。大上段に構えず、人権紛争の調停・仲裁を淡々とやる法律だ」

 太田氏は40分間にわたり私案の概要を説明した。

 私案は反対派の意向を受けて人権委員会の権限を大幅に縮小した。「人権侵害の定義があいまい」との批判に応え、救済対象を「公務員、事業主らによる差別行為」などいくつかの類型に限定。学術、歴史、宗教に絡む申し立てを救済対象から外し、制裁措置の対象は民法上の「不法行為」に限った。「差別的言動」の調査では過料制裁を除外し、制度乱用を防ぐため不服申し立て措置も設けた。

 しかし、省庁と同格の「3条機関」として人権委員会を新設し、言動をめぐる争いに公権力が介入する枠組みは踏襲された。

 このため、反対派には「人権委員会の権限が縮小されても一度委員会が設置されればジワジワ権限を拡大していく可能性が大きい」と不信が根強い。「『話し合い解決の場』ならば家裁や地裁がある。なぜ人権委員会を作る必要があるのか」(稲田朋美衆院議員)との声も上がった。

 このため会合は2時間近く紛糾。初めて会合に出席した加藤紘一元幹事長は「一体どうしたんですか。こんなに怒鳴りあうなんて33年も議員をやっているがこんなのは初めてです」と戸惑いを隠さなかった。

  今回の会合に先立ち、太田氏は反対派の衛藤晟一参院議員らと水面下で接触し、「このままでは鼎(かなえ)の軽重を問われる」と妥協点を探ってきた。だが、衛藤氏は「そんなに人権委員会を作りたいならば公権力による人権侵害に限定した組織をつくるべきだ」と譲らず平行線をたどった。公権力に限定すれば最大のターゲットは刑務所や警察となり、法案を所管する法務省は飲めなかったようだ。

 法案の社会的反響は大きく賛成、反対両派の背後にそれぞれ支持層が形成され、「お互い引けない状況」(自民中堅)となっている。加えて民主党も賛否は分かれ、社民党は大筋で賛同、共産党は断固反対-と与野党の足並みはバラバラだ。新党構想を掲げる平沼赳夫元経済産業相(無所属)は反対派の急先鋒(せんぽう)であり、自民党の内紛がこのまま続けば、政界全体に波及する可能性もある。

人権擁護法案、新素案にも異論相次ぐ 自民党
2008年05月29日20時29分
http://www.asahi.com/politics/update/0529/TKY200805290292.html

 自民党の人権問題等調査会(太田誠一会長)は29日、人権侵害に対する救済制度を定める人権擁護法案の新素案について議論を始めた。素案の方向性を支持する声が出る一方、法案そのものを不要とする反対論もあり、引き続き意見集約を図ることになった。

 素案は「話し合い解決等による人権救済法」との名称。会合では、年明けから調査会で続けてきた論点整理に沿った内容であることから、「手直しする部分はあるかもしれないが、基本的に賛成」(加藤紘一・元幹事長)、「これまでの論点を吸収して改善した点は評価できる」(中谷元・元防衛庁長官)といった声が上がった。

 一方で、若手を中心に「何のために法をつくるのかいまだにわからない」(稲田朋美衆院議員)、「個別法の救済制度が不十分なら改善していけばいい。新法ではなく現行法の改正から議論すべきだ」(近江屋信広衆院議員)と異論が相次いだ。伝統や文化を重視する「保守派」が慎重な姿勢を崩していない表れだ。

 会合後、太田氏は記者団に「今国会中に何らかの結論を得るように進めたい」と語った。調査会幹部を中心とした推進派は今国会中にも政府による新法提出を求めている。ただ、反対論はくすぶり続けており、党四役の一人は「いま無理をする理由はない。状況次第だ」と様子見の構えだ。

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この内容なら現行法の改正をすぐに

自民党・人権問題調査会の太田会長、人権擁護法案の新たなたたき台提示も異論相次ぐ
http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00133711.html

自民党・人権問題調査会の太田会長は、29日朝の総会で、議論が続いていた、いわゆる「人権擁護法案」の新たなたたき台を提示して理解を求めたが、出席者からは異論が相次いだ。
太田会長の私案では、「人権侵害の定義が明確でない」などの批判に配慮して、人権救済の対象を「公務員や雇用主による差別的扱い」などに限定している。
さらに、法律の乱用防止のため、人権侵害を指摘された側の不服申し立てを盛り込んだ。
一方、批判の強かった報道機関への取材規制の条項は、「将来の検討課題」として削除された。
太田会長は、このたたき台をもとに今の国会への法案提出を目指す方針を示したが、「民意から離れている」などと、厳しい意見が相次いだ。
(05/29 14:10)

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何でもいいから「法律」とは如何なものか

2008.05.29 Thursday
人権調査会
執筆者 : 馬渡龍治
http://blog.mawatari.info/?eid=648647

きのうのブログで書いたように、きょうの人権問題等調査会で「“話し合い解決”等による人権救済法」というものが出てきました。“太田私案”ということです。「いままでの論点整理をやると先に進まないから、試案を出してそれを元に議論をしていただきたい」と太田会長の発言がありました。

「この私案の提出によって、完全に平成17年の法案が消えたということになるのでしょうが、この私案をたたき台にするのではなく、それぞれが案を提出して議論すべき」というまともな意見が出ましたが、きょうは推進派の意見も多く出ました。

「こどものころからイジメを受けていた経験があるので、人権を救う制度を強化してほしい。太田私案に賛成」、「人権侵害を受けた人たちが駆け込むところを作ってほしい」、「こどもが虐待を受けて殺されている。これを救う制度を早く作ってほしい」などの私案を容認する意見が多く出ていました。もちろん、反対派からも多くの意見が出て2時間の白熱した会議になりましたが、12回にわたる議論の積み重ねを総括したものではありませんでした。

きょう示された“太田私案”は〔人権救済対象の限定〕や〔申し立てられる側の保護〕、〔制度乱用の防止〕、〔差別的言動に対する調査については過料の制裁を除く〕、〔人権擁護委員については外国人を除く〕など、いままで反対派が述べてきたことを配慮して私案作成をした部分は見受けられますが、「調査権を持つ3条委員会を作る」ということに変わりはありません。

「報道機関については特別な取り扱いをせず法の下に平等な扱いとし、“話し合い解決”の対象とするかどうかは将来的検討課題とする」ということが“太田私案”に新たに含まれたので、これからマスコミが大騒ぎするのかどうか。

きょうは強行採決によって“太田私案”を承認するようなことはありませんでしたが、推進派の議員はかなり本気になってきました。古賀誠選対委員長はじめ推進派と見られる多くの大物議員の出席がそれを示していると思います。

人と人とが「ギクシャク」するような法律を作るより、個別法による解決をめざすほうが、“日本国らしさ”を守る選択であると思うのです。何でも「国連の勧告」に従うことがいいとは限らないです。

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太田会長あて意見

調査会での、いかなる「人権」関連法案の強行採決に反対する 
 

                 2008年5月29日
自民党人権問題等調査会
太田誠一  会長  殿

             全国地域人権運動総連合
              議 長  丹波 正史

 全国地域人権運動総連合は、前身の全国部落解放運動連合会の時代を通じ、国民融合にもとづき部落問解決を果たしていく運動を各地で展開してきた。同時に特権的同和行政や確認・糾弾路線のもと国民と部落住民の分断をはかる「解同」や権力に対して厳しく批判を行ってきた団体です。
 昨年来の調査会での議論を注視し、現行人権擁護法案の枠組みでは人権侵害を生じることから、国民の人権侵害実態のそもそもからの議論と制度のあり方を検討するよう貴殿および法務省にも求めてきました。
 このたび、報道では太田案がまとまり、本日29日の調査会にかけ、今国会提出をはかるとされています。
 そもそも市民の言動をどのように規定しようが「差別的言動」として、国家機関が介入・規制することは、憲法に反し、言論・表現の自由、内心の自由を侵害することになるものです。
 何を持って「差別的」とするのか司法でも難しい事案であり、言論規制は行うべきではありません。
 国連が求める、子どもや女性などの人権を保護する監視機関や、大企業内の人権侵害を迅速に解決する仕組みこそが求められているものです。
 国民に開かれた議論をすることなく、拙速で立法根拠のあいまいな、一部の有害な差別規制論を取り入れた法案の強行採決に反対します。
 

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立法根拠が曖昧。現行法案が下敷きの限界。有害でしかない。

2008.05.28 Wednesday
人権調査会
執筆者 : 馬渡龍治 http://blog.mawatari.info/?eid=648468

あしたの「人権問題等調査会」で“太田案”を強行的に採決しそうだという情報が入ってきました。“人権紛争の『話し合いによる解決』法案”というものです。

「目的:現行の人権救済制度を明文化し、新たに『話し合いによる解決』を中心とする制度を導入し、人権に関わる紛争を法の支配の下に置く」から始まる“太田案”は「4.その他 報道機関について特別扱いをせず、法の下に平等な扱いとする」ともあります。いままでマスコミが静かだったのは、「自分たちには関係ないから…」という感覚だったんでしょうから、これを知って蜂の巣を突いた様になるんではないでしょうか。

いずれにしてもあしたの調査会が勝負です。きのうから風邪をうつされてしまって体調は最悪ですが、調査会出席のためにもう寝ます。

あした調査会の内容を報告します。

メディア規制条項を削除 人権擁護法、自民が素案
2008年05月29日03時00分
http://www.asahi.com/national/update/0528/TKY200805280345.html

 自民党は28日、人権侵害を受けた被害者の救済制度を定める人権擁護法案について、新たな素案を取りまとめた。人権侵害の範囲について具体的に列挙したほか、メディア規制条項を削除したのが特徴だ。29日に開かれる同党の人権問題等調査会(太田誠一会長)で公表される。

 素案は「話し合い解決等による人権救済法」との名称で政府に対して新たな法案の枠組みづくりを求める。調査会幹部を中心とする推進派は、リベラルな人権関係団体だけでなく、日本の伝統や文化を重視する党内外の保守派にも配慮した素案をもとにして、今国会中での新法提出をめざしている。

 02年に提出され、03年の衆院解散・総選挙で廃案となった政府案では、人権侵害の程度が重いとみる「特別救済手続き」は対象範囲を明示していたが、任意の一般救済措置は「広く人権侵害一般」とだけ定めていた。このため、保守派から「人権侵害の定義があいまい」と批判された。

 素案では一般救済についても「人種、障害、疾病等による差別」「職務上の地位を利用して行う性的言動」「優越的な立場においてする虐待」など対象範囲を具体的に定めた。特別救済手続きについても、政府案にあった「差別的言動」との記述を「反復して行う差別的言動」に改めることを求め、対象範囲をさらに限定した。

 また、制度の乱用を防止する観点から「申し立て自体を不当として対抗措置をとれる制度を創設」と定め、「申し立てられる側に不利益となる措置は、その対象を不法行為に限定する」と明記し、申し立てられる側に配慮した。

 政府案では「犯罪被害者などに対する報道の人権侵害について特別救済措置を取ることができる」とするメディア規制条項があったが、素案は条項そのものを削除することを明確にした。(佐藤徳仁)

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調査会が動いた

5月29日(木)
◆政調、人権問題等調査会
 午前8時 自民党本部701室
 [1]差別の位置づけについて
 [2]その他

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鳥取県人権連のブログ

第5回地域人権問題全国研究集会鳥取県実行委員会発足

http://jinken-tori.at.webry.info/ 
http://jinken-tori.at.webry.info/200805/article_1.html

 08年5月21日、今年の全国研究集会にとりくむ現地実行委員会がたちあがった。
 藤田安一・鳥取大学地域学部教授を実行委員長に、佐々木康子・鳥取県地域人権運動連絡協議会準備会代表世話人を副実行委員長、田中克美・同準備会世話人を事務局長、川西聡・同準備会世話人を事務局次長にして発足した。

 発足の議論には機関会議で参加を決定していない団体からもオブザーバー参加で加わり、次回の実行委員会にむけ、今後団体参加も個人参加も広げていく予定だ。

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人権脅かす「人権擁護法案」

2008年5月27日(火)「しんぶん赤旗」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik07/2008-05-27/2008052702_03_0.html

人権脅かす「人権擁護法案」
自民、再提出へ執念

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 自民党内で「人権擁護法案」再提出の動きが活発化しています。

 自民党の支援団体である「自由同和会」は二十日に自民党本部で全国大会を開き、「再出発を図り、是が非でも成立を図らねばならない」(二〇〇八年度運動方針)として、自民党と一体となって法案の再提出・成立に執念をみせました。同法案を担当する自民党・人権問題等調査会(太田誠一会長)も昨年十二月から活動を再開させています。

廃案になった
 「人権擁護法案」は、法務省の外局につくられる「人権委員会」が不当な差別や虐待など人権侵害の救済にあたるとしていますが、何を差別的と判断するかは委員会まかせです。もし法案が成立し、市民の言動まで「差別的言動」として介入・規制することになれば、言論・表現の自由、内心の自由が侵害される恐れがあります。

 政府は〇二年に法案を提出しましたが、翌年の衆院解散で廃案に。〇五年に再提出の動きがあったものの、「人権」とは裏腹な内容に、メディアや世論の反発を受けて見送られました。

メディア規制
 ところが、「福田政権になり、自民党幹部に『人権擁護法案』推進派が多数登用」(自由同和会の〇七年度事業報告)され、動きが活発化。党人権問題等調査会の顧問には、伊吹文明幹事長、古賀誠選対委員長、谷垣禎一政調会長、二階俊博総務会長ら自民党四役が名を連ね、今年二月から四月にかけて議論を重ねてきています。

 この中では、メディア規制につながる報道関係条項について、「国民的関心が高いので削除すべきである」との意見が出る一方で、「報道機関による人権侵害を法案の対象から除外すべきでない」「報道機関を除外して議論するのは責任回避にすぎない」との強硬な意見も出されています。

 「人権侵害の定義」などをめぐって四月十一日の同調査会では「人権救済が人権侵害に結びつかないようにする範囲内で整理をした上で、出したらいい」と、法案を出し直す意見も出ています。

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市民や議会が先だろう 奈良市

解同幹部と非公開協議-見直し具体化前に【奈良市】 

(2008.5.24 奈良新聞)
http://www.nara-np.co.jp/n_all/080524/all080524c.shtml

  長期病気休暇問題で奈良市を免職された部落解放同盟県連合会の元役員の問題をきっかけに、長年続いてきた解放同盟との直接交渉のあり方を検討していた同市が、交渉の指針の策定を前に同盟幹部らと非公開による直接協議を行っていたことが23日、分かった。
  市の検討委員会が、人権文化センターなど関係施設の使用などについて今年2月に提言をまとめたことを受け、同盟側の求めに応じ、翌月、幹部らを呼んで市役所で説明の場を設けていたほか、市が8月をめどにまとめる人権施策の中身についても27日に2回目の会議を設けて示す予定という。特定の団体の要求を市が非公開の場で聞く「セクション別交渉」のあり方について検討委から問題性を指摘され、抜本的に見直すとしていた市の対応として、批判が出そうだ・・・

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アイヌを先住民族と認めるよう

アイヌ民族:「先住民族」国会決議案まとまる 政府、将来の補償懸念 /北海道

http://mainichi.jp/hokkaido/seikei/news/20080524ddlk01010163000c.html

 ◇認定にはハードル残る
 アイヌを先住民族と認めるよう求める国会決議案が23日、超党派の道内選出国会議員らでつくる議員連盟「アイヌ民族の権利確立を考える議員の会」でまとめられた。ただ、政府は、先住民族の認定が将来的に土地の補償要求などにつながることを懸念。自民党内には国会決議そのものに慎重論も残っており、北海道ウタリ協会(加藤忠理事長)の悲願である先住民族としての認定には、まだまだ高いハードルが残っている。【高山純二】

 07年9月に国連で採択された「先住民の権利に関する宣言」は「先住民族は、伝統的に領有、または占有かつ使用している土地や領土、資源に対する権利を有する」と明記している。このため、政府内では「宣言に規定される権利を要求されると困る」という意見が根強く、先住民族の認定は消極的だ。

 政府内の懸念について、議員の会世話人の鈴木宗男・新党大地代表は「ウタリ協会は大所高所にたって判断してくれている。政府や行政が懸念しているような話はない」と否定。代表世話人の今津寛・自民党道連会長も「加藤理事長は『土地の問題などはいっさい要望しない』と町村信孝官房長官にはっきり伝えている」と述べ、先住民族の認定と具体的な権利要求を切り離しているという考えだ。

 一方、ウタリ協会内部には漁業権や狩猟権のほか、教育や就職に対する特別な措置を主張する声も依然として残っている。加藤理事長は「(設置を求めている)有識者懇談会で討議してもらえばいい。(国会決議を)やる前から『これもだ』『あれもだ』ということにはならない」。

 国会決議に向けた動きについて加藤理事長は「言葉にならない。うれしくて言葉にならない」と涙を浮かべながら感謝の意を示した。

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 《アイヌ民族を先住民族とする国会決議(案)》(要旨)

 我が国が近代化する過程で、アイヌ社会や文化の破壊が進み、「同化政策」により伝統的な生活が制限、禁止された。法的には等しく国民でありながらも差別され、貧窮を余儀なくされたアイヌの人々が多数に上ったという歴史的事実を厳粛に受け止めなければならない。

 アイヌが民族としての名誉と尊厳を回復し、その文化と誇りを次世代に継承していくことは、国際的な価値観の共有であり、我が国が21世紀の国際社会をリードしていくためにも不可欠である。

 政府は左記の施策を早急に講じるよう、決議する。

 (1)政府は、アイヌの人々を北海道に先住し、独自の言語、宗教や文化の独自性を有する先住民族として認めること。

 (2)政府は、高いレベルで有識者の意見を聞きながら、これまでのアイヌ政策を推進し、総合的な施策の確立に取り組むこと。

毎日新聞 2008年5月24日 地方版

アイヌ民族:先住権、超党派議連が国会決議案まとめる 自民の対応焦点に

http://mainichi.jp/hokkaido/seikei/news/20080523ddj041010002000c.html

 超党派の道内選出国会議員らで作る議員連盟「アイヌ民族の権利確立を考える議員の会」(代表世話人=今津寛・自民党道連会長)は23日午前、国会内で会合を開き、アイヌを先住民族と認めるよう政府に求める国会決議案をまとめた。先住権の具体化へ向け有識者から意見を聞く機関の設置を求めることも盛り込み、今国会中の提出・採択を目指す。ただ、自民党内には慎重論もあり、同党の対応が今後の焦点となる。

 決議案はアイヌについて、日本の近代化の過程で労働力として拘束・収奪され社会や文化の破壊が進んだと指摘。「貧窮を余儀なくされたアイヌが多数に上った歴史的事実を厳粛に受け止めなければならない」と明記した。そのうえで政府に対し「アイヌを独自の言語、宗教や文化の独自性を有する先住民族として認める」「高いレベルで有識者の意見を聞きながらアイヌ政策を推進し、総合的な施策の確立に取り組む」ことを求めている。

 社民党の福島瑞穂党首と国民新党の亀井静香代表代行、新党日本の田中康夫代表が世話人に加わり、今津代表世話人は「すべての政党がそろって決議を目指すことになった」と強調。会合に同席した北海道ウタリ協会の加藤忠理事長は「歴史的な一ページで、感謝しかない。アイヌへの理解者が一人でも二人でも増えることがうれしい」と話した。

 今後、各党の世話人が決議案を持ち帰り、5月中の国会提出を目指し党内手続きに入るが、自民党内がまとまるかはなお不透明だ。【高山純二】

毎日新聞 2008年5月23日 北海道夕刊

アイヌ民族:先住権確立へ請願 政府、国会決議条件に有識者懇設置へ

http://mainichi.jp/hokkaido/seikei/news/20080523ddr041010002000c.html

 北海道ウタリ協会は22日、アイヌ民族の先住権確立に関する請願書を衆参両院に提出した。請願では(1)先住民族として認定(2)権利を審議する有識者懇談会を官邸に設置(3)社会的・経済的地位向上のため法的措置による総合的な施策の確立--を求めている。(2)について政府高官は22日、「国会決議が採択されれば設置する」と述べ前向きな意向を示した。

 請願に先立ち、東京・日比谷公園で行われた集会には約230人(主催者発表)が参加。加藤忠理事長が「絶対に先住民になるんだという思いで東京に来ている。(国が)アイヌの生命をきちんと受け止めてくれると願っている」とあいさつ。国会までの約1・5キロをデモ行進し、「差別撤廃と人権擁護を強化せよ」などとシュプレヒコールを上げた。

 加藤理事長らはまた、超党派の議員連盟「アイヌ民族の権利確立を考える議員の会」世話人の国会議員とともに、首相官邸で町村信孝官房長官と面会。効果的な施策の確立などを求める要望書を提出した。加藤理事長らによると、町村官房長官は「しっかりやります」と答えたという。

 「議員の会」は有識者懇談会の設置のほか、先住民族認定などを求める決議の今国会提出を目指している。政府高官は先住民族認定については「(有識者懇談会で)議論するということだ」と述べた。

毎日新聞 2008年5月23日 北海道朝刊

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全体がみえているのか?

旧同和地区の生活調査
在り方総点検委 関係団体から意見聴取

http://www.kyoto-np.co.jp/article.php?mid=P2008052100177&genre=A2&area=K00 

 京都市同和行政終結後の行政の在り方総点検委員会が21日、京都市下京区の崇仁コミュニティセンターで開かれ、関係団体からの意見聴取を行った。
  委員らは、旧同和地区内の生活実態など各団体から現状の説明を受けた後、改良住宅などの現場を視察した。また、同和奨学金の返済を市が全額補助する自立促進援助金制度の見直しのため法律的に検討する専門員会を設置し、6月上旬から議論を始めることも決めた。

 説明したのは部落解放同盟京都市協議会、京都地域人権運動連合会京都市協議会、自由同和会京都市協議会、崇仁まちづくり推進委員会の4団体。

 解放同盟は「差別や格差問題は解決されていない」との立場から「まず実態をつかむべき」と就労や教育実態の調査を求めた。

 人権連は「格差は基本的に解消している」との立場から「同和対策事業を継続してきた誤りを総括すべき」と主張した。

 自由同和会は「エセ同和行為排除」などを通じ、市民理解を得る必要性を指摘。改良住宅の一般公募推進などを提案した。

 委員からは「部落解放の取り組みは続けていくべき」「高齢化や低所得者の問題は日本社会を象徴しており、解放運動の経験を生かしていくべき」などの意見があった。

 一方、崇仁まちづくり推進委員会は「若い人が住み続けられるよう、新たな一歩を踏み出してほしい」と地域整備促進策を求めた。

 この後、総点検委員らは周辺の改良住宅や市営浴場などを視察、市職員から利用実態などの説明を受けた。 

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インターネットを利用した人権侵犯事件

平成19年中の「人権侵犯事件」の状況について(概要)
~人権侵害に対する法務省の人権擁護機関の取組~

http://www.moj.go.jp/PRESS/080327-2/080327-2.html

○新規救済手続開始件数   21,506件   (対前年比0.8%増加)
○処理件数 21,672件 (対前年比2.1%増加)

【新規救済手続開始件数からみた特徴】

① 学校における「いじめ」に関する人権侵犯事件の増加   2,152件   (対前年比121.2%増加)
② インターネットを利用した人権侵犯事件の増加 418件 (対前年比48.2%増加)
③ 児童虐待に関する人権侵犯事件の増加 600件 (対前年比12.4%増加)

3  特徴的な動向
(2)  インターネットを利用した人権侵犯事件の増加(図5)

インターネットの普及により様々な情報に容易にアクセスできるようになった反面,インターネットを利用した人権侵犯事件は,ここ数年急激な増加傾向を示している。

平成19年中に新規に開始した件数は,前年の282件を大きく上回る418件(48.2%増)で,大幅な増加となっており,このうち,名誉毀損事案が154件,プライバシー侵害事案が181件となっており,この両事案で全体の約8割を占めている。また,特定の地域が同和地区であるとする書き込みがされるなどの差別助長行為事案は12件あった。このうち,プロバイダ等に対し削除要請を行ったものは51件ある(対前年比54.5%増)。この中には,差別を助長する行為を行った者に対して「勧告」した事件や,犯罪を犯したとされる少年の顔写真や氏名がインターネット上の掲示板に掲載され,「プロバイダ責任制限法 名誉毀損・プライバシー関係ガイドライン」(プロバイダ責任制限法ガイドライン等検討協議会)に基づきプロバイダ等に対し削除要請を行ったものがある。

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「北海道アイヌ協会」

<ウタリ協会>「北海道アイヌ協会」に名称変更へ 来年度

2008年5月17日(土)10時33分配信 毎日新聞
http://news.nifty.com/cs/domestic/societydetail/mainichi-2008051700e001/1.htm

 北海道ウタリ協会(会員数約3500人)は16日、札幌市で開いた総会で、来年4月から名称を「北海道アイヌ協会」に変更することを決めた。長く差別されてきた「アイヌ」という民族呼称への拒否感が薄れたことに加え、昨年9月、国連総会で「先住民族の権利に関する宣言」が採択されたのを受け、アイヌを先住民族と認めていない政府に方針転換を迫る狙いがある。

 道ウタリ協会は1946年に「北海道アイヌ協会」として発足した。しかし、アイヌ語で「人」を意味する「アイヌ」の呼称は差別された歴史を思い起こすとして会員から変更を求める声が上がり、60年以降、「同胞」を意味する「ウタリ」を協会名に使ってきた経緯がある。これを再び「アイヌ」に戻す意見が近年強まっていた。

 加藤忠理事長は「会員の中にもいろいろな意見があるかもしれないが、国連の権利宣言採択で機が熟したと思う」と話している。

 協会はまた、北海道大アイヌ・先住民研究センターと共同で、道内に住むアイヌの生活実態調査を10月に実施することも決めた。

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無法違法な人権侵害が「差別」の名で行われてる

滋賀県愛荘町で行われた差別事件真相報告集会の資料

http://tottoriloop.blog35.fc2.com/blog-entry-204.html

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アイヌ民族、先住民族認定へ。「先住」と「民族」を分けて考えられないか、疑問がつきまとう。

アイヌ民族、先住民族認定へ 今国会決議 サミット前政府声明(05/15 06:41)

 自民、民主、公明、共産などの各党は十四日、アイヌ民族を先住民族として認め、権利の確立を求める国会決議を今国会中に行う方針を固めた。国会決議を踏まえ、政府も七月の北海道洞爺湖サミット前に、アイヌ民族を先住民族と認める声明を正式に発表する方向で調整に入った。

 三月に発足した超党派の北海道関係国会議員による「アイヌ民族の権利確立を考える議員の会」(代表・今津寛自民党道連会長)が、政府や各党と水面下で調整をしてきた。

 「議員の会」は十五日に各党代表による世話人会を開き、決議案の文案調整に着手する。決議案は、《1》先住民族として認める《2》名誉や尊厳、権利の確立を図る《3》政府にも先住民族の認定を働きかける-ことが軸になる。

 二十二日にはアイヌ民族の代表が官邸を訪れ、福田康夫首相や町村信孝官房長官らに権利の確立を要請する。政府は国会決議後に、首相自らによる声明文か、官房長官談話の発表を検討している。

 国連は昨年九月の総会で「先住民族の権利に関する宣言」を採択した。しかし、政府は「アイヌ民族の権利を認めると財政措置が必要になる」(首相周辺)などの理由から、国内での適用に難色を示していた。


http://www.hokkaido-np.co.jp/news/politics/92785.html

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ありがとうございました

3月から在宅ホスピスを選択し、穏やかに死去した父(満79歳)の葬儀が5月13日、多くの方に見守られ執り行うことができました。

看護・介護を優先したことから、多くの方々にご迷惑をおかけしましたが、それ以上に励ましやご支援をいただき、心から感謝している次第です。

遺族として整理すべき事が多々ありますが、徐々に日常に戻ってゆきます。

ありがとうございました。

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「言論・表現の自由」を損なう恐れがある「人権擁護法案」

4月30日

「日本会議国会議員懇談会」(平沼赳夫会長)の総会

三、「言論・表現の自由」、「国民固有の権利としての参政権」、「家族の絆」を守る立場からの政策立案を要望する。いま4月30日

「日本会議国会議員懇談会」(平沼赳夫会長)の総会

三、「言論・表現の自由」、「国民固有の権利としての参政権」、「家族の絆」を守る立場からの政策立案を要望する。いま、「言論・表現の自由」を損なう恐れがある「人権擁護法案」制定の動きや、国民固有の権利である参政権を永住外国人に付与する動きが活発化しつつある。我々は「言論・表現の自由」を守るため、「人権擁護法案」の制定に反対する。一方、永住外国人に対しては、地方参政権付与ではなく、帰化要件についての検討を優先させるべきである。また、親子別姓を容認し、家族の絆を弱めることになる「夫婦別姓法案」には改めて反対を表明する。制定の動きや、国民固有の権利である参政権を永住外国人に付与する動きが活発化しつつある。我々は「言論・表現の自由」を守るため、「人権擁護法案」の制定に反対する。一方、永住外国人に対しては、地方参政権付与ではなく、帰化要件についての検討を優先させるべきである。また、親子別姓を容認し、家族の絆を弱めることになる「夫婦別姓法案」には改めて反対を表明する。

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NHKは何を企んでるのか

「その時歴史が動いた 〜全国水平社・差別との闘い〜」の放映についての申し入れ

        全国地域人権運動総連合
                     議長 丹波正史
 

全国地域人権運動総連合は、全身の全国部落解放運動連合会の時代を通じ、国民融合にもとづき部落問解決を果たしていく運動を各地で展開してきた。同時に特権的同和行政や確認・糾弾路線のもと国民と部落住民の分断をはかる「解同」や権力に対して厳しく批判を行ってきた。
また、一昨年以来露になった関西方面での「解同」と行政の構造的癒着問題でも、公正・中立に背向くその報道のあり方にかかわり貴社に対しても幾度か抗議と申し入れを行ってきた経緯がある。
今回、08年4月16日に放映された「その時歴史は動いた〜全国水平社・差別との闘い〜」の放送についても、その資料協力者とゲストの配置、そしてなぜ今この時期の放送なのかなどについて多くの疑問を持たざるを得ない。これら番組編集の課題とあわせ、放送された内容について、以下の問題点を指摘する。

1、 番組全体は、水平社結成当時を再現させる映像や特定の個人、スタジオゲストの証言や評価を交えて、厳しかった部落差別の一面を強調し、現在もなお引き続いている、という流れに終始している。
2、 穢多、非人の呼称を用いながら、江戸時代と明治で問題は大きな変化はなかったごとく描いている。そして部落問題の捉え方についてその職業に重きを置き、あたかも部落問題が職業を起源とする差別の問題であるかのごとく理解される説明となっている。また、穢れを忌避する「社会的習慣」が問題の最大の要因であるかのごとく描かれている。
3、 番組は、半封建制の残滓であるという部落問題の属性について正確な言及をせず、「差別」全体に無理やり連関させ、近代社会の「能力」による差別などと混同させる内容となっている。それは、国民の「心」、「習慣」などの改変を呼びかけるもので、道徳的教訓のみに陥る傾向を持っている。
4、 水平社の運動が、今日の日本国憲法の精神にいかに反映されてきたか、今日の人権確立にどういうかたちで結びついてきたのか、などが明確にされていない。その一方で、「地名総鑑」を現在も広範な被害をもたらしている問題として取り上げ、また50年前に差別を受けたという広島の女性を登場させてあたかも部落問題がいまなお深刻な問題であるかのごとく描き出している。
5、 総じてこの間のNHKの部落問題の取り上げ方は、解決にむけて大きく前進した状況を正しく国民に知らせることを放棄し、問題や課題の背景に部落問題解決に逆行する「解同」の糾弾路線や特別な対策と予算を継続する行政・教育のもたらす「逆差別」があることも指摘しないなど、公正中立、真実の報道にほど遠い実態にある。かかる姿勢を全面的に見直すことを強く求めるものである。

以上の点について、責任ある担当者との話し合いを行うことを申し入れる。

(資料)

第322回
人間は尊敬すべきものだ
〜全国水平社・差別との闘い〜 
  http://www.nhk.or.jp/sonotoki/2008_04.html#03

放送日
本放送 平成20年4月16日 (水)
22:00〜22:43 総合 全国
再放送 平成20年4月21日(月)
17:15〜17:58 BS2 全国
平成20年4月22日(火)
3:30〜4:13 総合 全国(近畿除く)
平成20年4月22日(火)
16:05〜16:48 総合 全国(広島除く)
平成20年4月26日(土)
10:05〜10:48 総合 近畿ブロック(和歌山除く) 
※再放送の予定は変更されることがあります。当日の新聞などでご確認ください。

出演者
スタジオゲスト  秋定嘉和(あきさだ・よしかず)さん(大阪人権博物館館長)
主要著書『近代日本人権の歴史』(明石書房)『近代と被差別部落』(解放出版社)
『近代日本の水平運動と融和運動』(解放出版社)ほか
キャスター 松平定知

番組概要
その時: 1922(大正11)年3月3日 午後1時
出来事: 全国水平社創立大会が開かれる
この大会で日本最初の人権宣言とされる水平社宣言が発表された

「人の世に熱あれ、人間に光あれ」で知られ、日本最初の人権宣言とされる水平社宣言は、1922年京都・岡崎公会堂で開かれた全国水平社創立大会で読み上げられた。水平社宣言の起草者は、当時27歳で奈良県の被差別部落出身の西光万吉。西光は、差別から逃げ続ける青年時代を送っていたが、1918年シベリア出兵をきっかけとする米価高騰で極限まで追い詰められた部落の人びとが米騒動に参加、その後厳しく断罪されたことに衝撃を受け、部落差別撤廃に起ち上がることを決意する。
一方米騒動には政府も危機感を覚え、部落内外の融和を図る運動に力を入れるようになる。しかしその多くは部落の人々に生活態度の改善を求め、一般の人々の同情に頼ろうというものだった。これに対し、西光は被差別部落民の団結により差別撤廃を進めようと訴え、「人間は互いに尊敬すべきものである」という理念を掲げる。真の自由・平等とは何かを問いつめ、到達した普遍的な人権思想だった。そしてついに全国水平社の創立へと至る。こうして生まれた部落民自身による解放運動は、瞬く間に全国へと広がり、各地で部落差別撤廃に向けた活発な活動を行っていく。
その後、太平洋戦争下で活動の中断を余儀なくされた水平社運動は、戦後、部落解放運動に引き継がれるとともに、水平社宣言の精神は、幅広く人権問題に取り組む出発点となっている。番組では、日本における人権擁護運動の原点となった全国水平社結成のときを見つめる。
番組の内容について
水平社宣言
1922年3月3日全国水平社創立大会で発表、採択され、日本最初の人権宣言とされる。「全国水平社創立宣言」とも呼ばれる。番組で使用している筆文字の宣言は、創立大会で配布されたとされる宣言の文字を起こして作成、旧字体使用などもそれに準じている。
西光万吉
1895年奈良県生まれ、1970年没。本名は清原一隆。被差別部落にあった西光寺の跡取り息子として、村人に可愛がられて育つが、進学後は差別により、2度の学業放棄を経験、上京して絵の勉強をする。しかし東京でも差別に苦しみ、以後故郷と東京を行き来していたころに米騒動を体験した。

水平社創立大会
1922年3月3日午後一時、全国水平社創立大会開会。大会では、開会の辞、経過報告の後、全国水平社の綱領と宣言、決議が採択された。

不適切とされる表現について
番組では、歴史用語としての「穢多(えた)」や「非人」という言葉を使用しているほか、明治大正期の差別を表現するために「エタ」などの言葉を使っている。とりわけ水平社宣言には、「全国に散在する吾が特殊部落民よ団結せよ」「吾々がエタである事を誇り得る時が来たのだ」の文章があり、差別と正面から闘う姿勢を示そうとした歴史的な言葉として、そのまま伝えることが宣言の意義を伝えるために重要と考えた。

スタジオ右下のマスコットデザイン
「差別との闘い 全国水平社」の文字の下に敷いているデザインは「荊冠旗」からあしらった。荊冠旗は、全国水平社の社旗であり、西光万吉のデザイン。

えた
中世・近世における賤民身分の称。江戸時代には皮革業、警察的な役務などに従事。農村部では農業に従事しながら雑業を行うのが一般。特権として、斃牛馬処理権を持っていた。

非人
中世・近世における賤民身分の称。江戸時代には警察的な役務を課せられていたほか、芸能の仕事に携わる者も多かった。

当時52万人あまりとされた部落民
『明治初期各府藩県人員表』などを基にした。ちなみに日本の総人口は1872年で3480万人。

当時の部落差別の実状について
当時の人々の差別意識や部落の実状についての描写は、1915年刊行で奈良県が県下の村の詳細な調査を行った資料『奈良県風俗誌』などによった。

東京時代の西光の独白について
1968年12月12日NHK教育テレビ放送「 教養特集 部落 第2回 〜100年の歩み〜」より要約して引用。

米騒動での処分者について
検察まで回された検挙者8185人のうち部落民は887人。全人口の2%以下の部落民が検察による処分者の10%以上を占めている。とりわけ京都、三重、和歌山、岡山では被検挙者の3〜4割以上。死刑宣告された2名もいずれも和歌山県の部落民だった。(『米騒動の研究』(井上清、渡部徹編)より)

官邸の意見について
雑誌『大観』1巻6号に載録された貴族院議員で帝国公道会会長・大木遠吉の話より、要約して引用。帝国公道会は、部落への社会の同情をよびかける政府側の運動の中心で米騒動後、政府・内務省の意向を受けて部落への働きかけを行った。

西光たちに運動の道筋を示した論文
雑誌『解放』1921年7月発行に載録された当時早稲田大学教授の佐野学による「特殊部落民解放論」。部落民自らが不当な差別の撤廃を要求し、その後労働者と連帯すべきと論じ、感激した西光たちは東京に佐野を訪ねている。この後、佐野も2度にわたって奈良の西光たちを訪ねている。

西光たちが各地に送ったパンフ
『よき日の為めに』1921年12月初刷、この後数次にわたって増刷される。パンフレットは、創立メンバーの一人・阪本清一郎の父親が関わっていた部落改善運動団体「大和同志会」の機関誌「明治之光」の読者名簿を利用して、各地に送付された。東京で労働運動に関わっていた福島県出身の平野小剣なども、このパンフレットを受けとって、西光たちに合流したと考えられる。

水平社の名前に込めた意味
1982年NHKの取材の取材に対し、西光の友人で水平社創立メンバーだった阪本清一郎氏がインタビューに答えている。その中で、「水平社」の名前に、「自然によって作られた平等の尺度」という意味を込めたと語っている。

西光たちが訪問したジャーナリストについて
大阪時事新報の社会部長・難波英夫氏。西光達の訪問の後、全国水平社創立に協力、戦後に至るまで部落解放運動に関わり続けた。西光とのやりとりは、「西光万吉座談会」(阪本清一郎、木村京太郎、難波英夫、北川鉄夫)「一社会運動家の回想」(難波英夫)などを基に再現。

水平社宣言「人の世に熱あれ人間に光あれ」読み方について
番組では「人間」を「にんげん」と読んだが、「じんかん」と紹介されている場合もある。水平社創立大会のときに配布されたとされる宣言文にはルビがついていないが、大会の翌月関東水平社出版部により発行されたパンフレットで「にんげん」とルビをふったのが初出。部落解放運動のなかでは、一般的に「にんげん」と読まれてきた経緯もあり、番組でも「にんげん」の読みを採用した。

高松差別裁判事件について
部落民であると告げずに結婚しようとしたことを誘拐罪に問おうとした裁判に対し、全国水平社が闘いをおこした。1933年5月高松地方裁判所で開かれた初公判で、検事は「特殊部落民でありながら自己の身分を秘し」と数回にわたって、差別語である「特殊部落」の言葉を繰り返し、地裁は懲役刑を下した。全国水平社は判決取り消しを求めて抗議行動を組織。この結果、被告は刑期を残して仮釈放、担当検事は左遷された。

「部落地名総鑑」について
1975年11月「部落地名総鑑」の販売が発覚、現在までに10種類の存在が判明している。作成者は興信所関係者で購入者の大半は企業、採用にあたり部落出身者を調べるためだったが、なかには個人の購入者もあり、結婚にあたって使用する目的だった。番組内で紹介したものは一昨年、大阪市内の興信所で見付かったもの。

番組で使用した資料
「ドキュメンタリー 証言・水平社運動」(1981年3月3日NHK教育テレビ放送)より、松本吉之助さん、田中松月さん、米田富さんの証言を使用。
「シリーズ人権 第3回人の世に熱あれ人間に光あれ(1)〜水平社運動70年〜」(1992年3月25日NHK教育テレビ放送)より、西浦忠内さんの証言を使用。
皮なめしの絵『洛中洛外図屏風』 九州国立博物館
『太政官布告』『岩崎村触書』 水平社博物館 
主な参考文献
『西光万吉集』(解放出版社)
『西光万吉著作集』(濤書房)
『証言 全国水平社』(福田雅子 日本放送協会出版協会)
『近代と被差別部落』(秋定嘉和 解放出版社)
『日本庶民生活史料集成』第14巻、25巻(三一書房)
『部落の歴史と解放運動 現代編』(馬原鉄男 部落問題研究所)
『西光万吉』(師岡佑行 清水書院)
『米騒動の研究』(井上清・渡部徹編 有斐閣)
『写真記録 全国水平社』(部落解放同盟中央本部編 解放出版社)
『図説 水平社運動』(「(仮称)水平社歴史館」建設推進委員会編 解放出版社)
『至高の人 西光万吉』(宮橋國臣 人文書院)
『水平社の源流』(解放出版社)
『水平社の原像』(朝治武 解放出版社)
『全国水平社を支えた人びと』(水平社博物館編 解放出版社)
『部落の歴史 近代編』(秋定嘉和 解放出版社)
『三浦参玄洞論説集』(浅尾篤哉編 解放出版社)
『人権ブックレット 米騒動 水平社への道のり』(部落解放研究所)
※絶版となったものもあります。出版社などにご確認下さい。 
                                    

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府の責務? 解同の機関に委託が公平に値するか?

ヒューライツ大阪への支援の継続
大阪府知事に緊急依頼しました。
http://www.hurights.or.jp/t/information/0804/01.html

  2008年4月11日に、大阪府の出資法人改革プロジェクトチームによる財政再建プログラム試案が公表されましたが、それによりますと2009年度からはヒューライツ大阪については「撤退」(補助金の全面廃止、派遣職員の引上げ)の方向性が示されました。これが実施されますと、ヒューライツ大阪の事業活動の遂行が難しくなります。ヒューライツ大阪として、試案が公表された日に、大阪府知事に対して、ヒューライツ大阪への支援の継続を求める依頼の文書を、次のとおり、所管である大阪府人権室に手渡しました。みなさまには、ヒューライツ大阪への引き続きのご支援・ご協力をよろしくお願いします。

大阪府知事 橋下 徹 様
財団法人アジア・太平洋人権情報センター
会 長 武者小路公秀
理事長 前川  朋久
所 長 白石   理

ヒューライツ大阪への公的関与の継続について
(緊急依頼)

 日頃からヒューライツ大阪の活動について格段のご配慮をいただきまして、ありがとうございます。大阪府では、府の施設や出資法人について見直しを進められており、当財団についても、2008年度の補助金は、7月までの暫定予算になっていることはもとより、大阪府の公的関与のあり方(大阪府補助金により人件費、事務所経費、事務費等)をゼロベースで見直し作業が進められ、本日、大阪府の出資法人改革プロジェクトチームの素案が公表されました。
 当財団は、事業費については、基本財産の運用益、出版・受託研修・会費等の自己収入でまかなっておりますが、この根本となる人件費・事務所費等は、補助金(大阪府・大阪市・堺市)に頼っており、これが大幅に見直されますと財団の日常活動が困難になることとなり、これまで進めてきました国際人権情報の提供活動や啓発、アジアへの人権情報を広める国際貢献活動が大阪の地で衰退することとなります。また、これまで当財団で進めてまいりました国連との関係やフィリピン・韓国・タイ等をはじめとする国際的なNPO・NGOとのネットワーク、日本国内の様々な団体とのつながりなどの財産をも失いかねない状況となります。
 大阪府における財政状況が非常事態であること、また今現在において何らかの対策を講じることの必要性は充分承知しておりますが、国際貢献や人権知識の普及・啓発活動は、すぐには結果のでない息の長い活動であることを充分理解していただくとともに、これらの活動は、大阪府が本来自らの責務として行うべきことであることを再度認識していただき、素案を再考し、今後も公的関与を継続していただきますようお願いいたします。

緊急依頼
http://www.blhrri.org/topics/topics_0232.html

橋下大阪府知事への、部落問題をはじめとする人権問題の早期解決に向けた2008年度予算措置を求めるメール・手紙送付のお願い
 2008年2月に就任した橋下徹大阪府知事直轄の改革プロジェクトチーム(PT)が4月11日、「大阪府財政再建プロジェクト試案」(PT案)を発表しました。このPT案によりますと、「人権問題学習支援事業」をはじめこれまでに私ども社団法人部落解放・人権研究所に補助、委託してきた諸事業が2008年8月以降、ごくわずかな事業を除き、すべて廃止という内容になっています。もしこれが実行されますと、部落問題をはじめとした人権問題解決のための諸施策が大きな後退を余儀なくされるとともに、研究所の存続も危機的な状況にさらされることになってしまいます。

 このPT案をめぐる今後の日程は、5月の連休明けにPT案の第2次案が提示され、その後知事査定を経て、6月中旬には改革プログラム最終案が公表される予定となっております。

 そこで、皆さまに緊急のお願いがあります。

 橋下知事に対して、部落問題をはじめ人権問題の早期解決に向けた諸施策の継続、とくに「人権問題学習支援事業」の継続を求めるメッセージを、5月31日までにメールまたは手紙で送っていただきたく存じます。なお、メッセージには、お名前あるいは団体名と住所、さらに可能であれば個人の場合、所属・肩書き等もご記入をお願いします。

 また、メッセージは具体的に記述していただくとより効果がありますので、参考としてそのポイントを以下に紹介させていただきます。

「人権問題学習支援事業」に係わった研究所による図書資料収集事業ならびにウエブサイト運営事業等について、これまでの実績をあらためて評価し活用していくための予算措置を講じること。
最終年度を迎えた「大阪の部落史編纂事業」(最終巻第10巻通史編の編集・刊行)に対する予算措置を講じること。
大阪人権教育啓発事業推進協議会の事業を継続するための予算措置を講じること。
 なお、橋下知事宛てに送られたメッセージについて研究所へもお送り願うとともに、皆さまにはこれまで以上の私ども研究所に対するご支援・ご協力をお願い申し上げる次第です。

 また、参考資料として、研究所による橋下知事への要請文、ならびに「人権問題学習支援事業」を簡単に紹介した資料を添付しますので、ご参照ください。

[メール送信先]
大阪府庁のHP >ようこそ知事室へ > 知事への提言 > 提言の入力はこちらをクリック から

[手紙送付先] 
意見・要望送付用紙(PDF)

〒540-8570 大阪市中央区大手前2 大阪府知事 橋下徹様宛

2008年4月21日
(社)部落解放・人権研究所
理事長 寺木伸明


【資料】
2008年4月17日

大阪府知事
橋下徹様

社団法人部落解放・人権研究所
理事長 寺木伸明

部落問題をはじめとする人権問題の早期解決に向けた大阪府の2008年度予算編成に関する要請書

冠省

私ども研究所は人権・部落問題の解決をめざし、大阪府から「人権問題学習支援事業」をはじめとしたご支援を受け、人権・部落問題に関する専門図書室やウエブサイトの充実・発展等に努めてきました。その実績は別紙の通り大きな位置を占めるに至っています。

しかしながら2008年4月11日、大阪府改革プロジェクトチームから「財政再建プログラム試案」が示され、「人権問題学習支援事業」に関して、「教育センターや図書館等で代替が可能と考えられ、本事業としては廃止」とされています。

この試案は、実情を踏まえていないだけでなく、大阪府人権尊重の社会づくり条例やこれに基づく基本方針、大阪府同和対策審議会・答申(2001年9月)ならびに大阪府同和問題解決推進審議会・提言(2008年2月)を全く無視したものといわねばなりません。

橋下知事は、本年2月、上記審議会から提言をうけた際、これを尊重することを表明されています。また、本年3月議会の代表質問(3月7日)に答え、部落差別は今日なお厳存していること、人権教育・啓発の重要性を答弁されています。

こうした経緯と観点を踏まえ、7月議会に提案されます予算案には、「人権問題学習支援事業」等の所要の予算措置をされますよう要請いたします。

以上


【参考資料】人権問題学習支援事業の概要
 「人権問題学習支援事業」は、人権問題学習を支援するための情報収集提供事業であり、2007年度の具体的な内容は、部落解放・人権研究所による1.図書資料収集等の事業と、2.ウエブサイトの運営事業に対する補助、3.大阪の部落史編纂事業に対する補助から構成されています。

 以下にその概要を紹介しますので、ご参照下さい。また、2007年度に研究所が受託した大阪人権教育啓発事業推進協議会(大阪府、大阪市、堺市で構成)による「提案型公募事業」についても紹介させていただきます。

1.部落解放・人権研究所の図書資料室に関する事業について
部落問題を中心とした人権問題の図書・雑誌の蔵書数 …… 35,693冊
部落問題を中心とした人権問題の資料の点数 …… 57,560点
年間利用者数 …… 4,268人
Webサーバーへの年間アクセス件数 …… 269,286件
年間レファレンス数 …… 848件

2.部落解放・人権研究所の開設するウェブサイトに関する事業について
部落問題(5割)、人権問題(5割)の情報量 …… 約5,000頁
入門を基本に時事、専門分野、その英語版と多岐にわたる内容
年間アクセス数 …… 2007年度 150万9,000人、約475万頁

3.大阪の部落史編纂事業について
1995年度より『大阪府史』の補完的事業として府の全面的な支援を受けて史料収集をはじめとした編纂事業に取り組んできました。そして既に全10巻中9巻まで刊行し、2008年度刊行予定である『通史編』はこれまでの史料編を活用し、啓発に生かす上でも重要な位置を占めています。
※この事業の終了年度は2008年度

4.大阪人権教育啓発事業推進協議会の事業について
2007年度より「提案型公募事業」が実施され、人権教育啓発推進事業(人権教育啓発相談事業、同和問題についての参加型学習教材開発事業)と人権教育啓発研究事業(人権啓発の現状把握と効果検証に向けた指標作成研究事業、児童養護施設経験者に関する調査研究事業)を部落解放・人権研究所が受託しました。

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