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何でもいいから救済法とは。立法府の見識が疑われる。

   
自民党 人権問題等調査会 平成20年第六回会合
 
http://blog.goo.ne.jp/jinken110/e/dcba160338db2211f7edb637cf8686f1


3月28日(金)、自民党本部1階101号室で、午前8時~午前9時頃にかけて人権問題等調査会が開催された。

今回は、「人権救済制度の現状と問題点について」富田善範人権擁護局長より説明があり、議論が行われた。

以下、複数の情報源に基づき、発言の内容を紹介する。発言内容は、概要であり、逐語的再現ではない。

【太田誠一会長】
これまで有識者を三名お招きした。この方々は単なる評論家ではなくてこの議論に深く係ってきた実践的な学者であるので、発言の一つ一つに重みがある。この方々の講演要旨を私の責任で纏めた。我々は取材を受けて10分話しても一行にもならないといった経験をしているので、要約するのは危険でもあるが、政治家が物事を決めるのは、膨大な中から一点に絞っていかねばならないので、皆さんのお叱りを覚悟で纏めた。是非ご参考にされたい。今後も各界からのヒアリングを続けていきたい。

どんなことがあっても反対という御意見があるのは百も承知だが、最低これだけなら認められる、という考えに変っていただけないか。

雨降ってくるから傘をささねばならない。その傘は、布を張ってないものもある。骨だけになっても法案を出さなければならない、というのが私の考えである。

【鶴保庸介 事務局長】
有識者の講演要約をもう一度読み直していただき、会長の趣旨を理解してほしい。答申を最大限尊重することは、各先生ともおっしゃっている。これを共通の出発点としたい。

【富田善範 人権擁護局長】
「人権救済制度の現状と問題点について」説明した。
ここでは具体的事例の紹介は割愛する。
局長の主張はあらまし以下の通りである。

1.「差別的取扱い」には個別の行政救済はない。
(斡旋・調停など話し合いによる解決、と加害者への指導・処分はある。)

2.一般的救済機関の必要性

3.人権救済機関含め多くの機関がアンテナ機能をもつ必要性

4.縦割りの弊害で速やかな対応できない事例あった。

5.侵害の軽重と措置の軽重は必ずしも一致しない。人権侵害の認定をすれば該当するものも、認定に至らない措置で処理できているものも多い。

6.認定は、民法の不法行為に当たるかどうか、司法判断と矛盾しないよう慎重に判断している。

7.任意調査のため実効性が上らなかった事例、事実認定に非常に時間が掛かった事例もある。話し合いの場を設定できたり、被害者の裁判を援助する仕組みがあればより良い解決ができたと思われる。

【国会議員の発言】

1.傘が骨だけになってもいいというのは不穏当。当該の人がぬれないようにする程度の必要最小限のものならあってもよい。しかし傘が大きすぎるのではないか、先が尖っていて振り回すと他の人を傷つけるのではないか、という心配がある。もしナショナルセンターのをつくるなら、問題が起こった時、どこにいけばいいか分かるような交通整理をするような、ミニマムなものにすれば受入れられるのではないか。

2.人権侵害は定義が曖昧で議論してもよくわからないことにもっと留意すべき。だからこそ救済方法もできるだけ抑制的であるべき。

3.何度も同じことを言うのは疲れるが、一般法を作る意味、人権の定義、司法と別の機関をつくる必要性が依然理解できない。人権委員会の人権侵害を誰がどうやって救済するか、も不明である。

4.事例集をみると、いまの人権擁護委員が頑張っていると感じられた.。徳島刑務所の事例などは官に直訴して解決できることが必要なのではないか。

5.刑務所内の人権と一般社会の人権を同列に扱っていいのか、という社会常識的問題がある。

6.精神障碍者の措置入院を24時間受け入れている施設では、いきなりきた患者にも対応しなければならない。便所にいかせたら脱走したり、ベランダから落ちて自殺した例もある。にもかかわらず一人で行動させなかったから人権侵害といわれたら、施設はどうしたらいいのか。現に東京では措置入院24時間受入れを国立病院が辞退してしまった。

7.法律つくることが目的になって、反って人権侵害を引き起こしている。

【局長の回答】
1.事例だけを読むと大したことではないように思われるかもしれないが、紹介は簡単に書いてあり、内容は詳しくここで話すことはできない。人権侵害と認定した事案は、裁判所で判断しても同じ判断がでると確信している。

2.今までの行政救済法では救済が準備されておらず、また十分でないところもあるので、塩野教授指摘の通り、新しい制度が必要。基本的にはソフトな手法で国民的ニーズに応えていくのが一般的救済機関の役割。

3.予算がついたので、全小中学生にSOSレターを配った。一万通の返事が来てそのうち三千通はイジメだった。このように子供はイジメを教師にも親にも言えないでいるので、このような機関が必要。

4.人権擁護局の扱った案件で表現の自由を侵した、というものはなかった。少年事件で顔写真出したのを批判したことは当然である。司法と別の判断をすることはない。

5.あまりにも任意では実効性ない場合があるので、いくつかメニューをつくった。答申では積極的救済を図るべきものを列挙してある。答申にあるよう、人権問題は最終的には司法で救済されるべき。しかし司法救済できない人、事例についても救済を図る必要ある。それは司法判断に準じた対応であるべき。

6.裁判上は、国家賠償と民法上の違法性は同じなので、刑務所と一般社会とで人権侵害が全く別のものとは考えていない。両者を扱う人権に関する国内機構として一体性は必要である。人権委員会の人権侵害は、国家賠償の対象で司法で最終解決されるべきもの。

7.公務員についても、任意では調査できないのを、強制力もつことで救済をはかることができる。独立性をもつことで法務大臣の指揮権限が及ばなくなる。

8.答申当時と比べて人権侵害が減っているとは言えない。インターネット、虐待、障害者を酷使していた事案、行政庁で把握できなかった事例が少なからずあるのが事実。これに対して行政として一定の対応できないか。

*国会議員より、法案ができたらどのように救済されるか、例えば刑務所の事例等を挙げて人権局長に回答を求めた。しかし局長からしっかりした回答がえられなかった。〔やってみなければわからない〕という無責任な回答に国会議員の怒りが噴出。結局、副大臣が後日の回答を約束することで、調査会は終了した。

【太田会長】
冒頭、また適切さ足りないこと言った気もする。
しかし雨は降っていると認識しているので、今日の事例説明もやってもらった。答弁は十分ではなかったと私も思っている。
私たちは正しいことをやろうと思って立法に携わっている。正義には複数あってその中で折り合いつけるのが我々の仕事。人権侵害を救済するのが一つの正義であり、この場はそういう場であると認識している。





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