平成20年度知事記者会見録知事定例記者会見(2008年4月7日)
3 人権救済条例(子どもの人権)の検討について
(質疑事項)
8 人権救済条例(子どもの人権)の検討について
3 人権救済条例(子どもの人権)の検討について
●知事
それから、4月に入りまして順次新しい窓口を開いたりいたしております。人権相談も開始をいたしまして、既に3件ほどは相談が来ております。そういう状況も見ながら、これから[鳥取県]人権[侵害救済推進及び手続に関する]条例についての検討をしていくことになろうかと思いますけども、一つ憂慮をいたしておりますのは、先般、[県立]鳥取盲学校について[鳥取県]弁護士会の方に救済の申し立てがなされているという点であります。[県]教育委員会は教育委員会として現在調査をされたり、襟を正すべきことがあるかどうか、今、調査やその対策に追われているとは思います。
しかし、一般論として、こうした子どもたちの人権についての問題も提起をされているということもありまして、弁護士会からもかねて、子どもの人権問題について条例の検討をすべきではないかというお話もありましたので、弁護士会の方での検討に、私ども協力する形で、そうした対応を進めていきたいと思っております。本日、総務部長などを弁護士会の方と接触をさせようと考えております。
いずれにいたしましても、これ以外にもいろんな提起をされた人権についての問題点もありまして、私どもとしては粛々と、淡々と人権問題一般について、検討委員会で提起された論点を庁内的に検討していきたいと思っております。
8 人権救済条例(子どもの人権)の検討について
○山陰中央新報 太田満明 記者
先ほど人権条例の話が出まして、子どもに関する部分の条例を弁護士会と協力しながら進めていきたいという話でしたけれども、あれは検討委員会の方でたしか3つの条例に分けるような話が出たと思うんですけども、その中の子どもの部分を特化して、特化という言い方はおかしいのかな、最初にやろうというお考えなんでしょうか。
●知事
これは、経緯を申し上げますと、[鳥取県]弁護士会の方から、かねて子どもの部分について条例化を自分たちで検討したいと、県も協力してほしいというお話がございまして、それを私どもの方で答えを今出そうとしています。
私どもの正直な事情を申し上げれば、相談も始まりまして、現に何件か相談も来ております。中には既にいろんな部局で連携して対応しなきゃいけない相談事もあって、そういう態勢にも入っておりますが、こういう実情を見ながら、検討委員会で出された論点についての対応策を考えていきたいと。
条例がいいか、あるいは条例というよりも別の形が考えられるかとか、いろいろと含めながらやっていきたいと思うんですが、この子どもの部分に限って、弁護士会の方から、自分たちが検討したいと思っているんで協力してくれないかという御依頼が来ておりました。
そこに今回、[県立]鳥取盲学校の問題が生じまして、私は憂慮いたします。いろんなことが教育現場では起こっていると思うんですけれども、当事者である[県]教育委員会の中の駆け込み寺しかないという状況のままでいいのだろうかということは、我々もこの機会に考えなければならないだろうと思います。
折しも、人権救済条例の一連の検討の中で子どもについて考えようじゃないかというテーマがありますので、この点はかねて弁護士会の方から一緒に検討しようという依頼が来ておりますので、この部分は弁護士会と協力しながら検討してみようかということであります。
もちろん全般的な人権についてのさまざまな検討委員会での御報告が寄せられました。そのすべてのテーマですね、これひとしく我々の方の本庁の方で部局横断的に今検討している最中でございまして、これと並行しながらということになろうかと思いますが、民間のお知恵をといいますか、弁護士会の方が特に興味を持ってやろうとしておられること、これにこたえていくような形で、鳥取盲学校の問題もあり、協力してくれという弁護士会側の要請にこたえていく必要があると考えたところです。
○日本海新聞 村上俊夫 記者
人権条例の全体の流れの中では、知事は、現条例はいずれ廃止せざるを得ないのではないかという見解を出されている。その中で、今回、県の弁護士会の要請にこたえる形で、子どもの部分をいわばセパレートして、そこの部分の検討に着手すると。流れからすると、やはり個別条例主義に転換をするのかなというふうに思うわけですけれども、そういう認識でいいのかということと、それから、弁護士会とはいえ民間団体との協力の中で、成果物を、その弁護士会の方で、例えば条例にするための陳情をするだとか請願するだとか、あるいは請求するだとか、いろいろなことがあるんでしょうが、成果物を引き受けて県でその条例化するというようなことも考えられるんでしょうか。
●知事
まず前段の方については、私は一般的な包括救済条例について、いろんな世論もあり、現に検討委員会でも御提言いただきましたけれども、実現性として非常に困難が多いと思っています。ですから、それでもやはり人権についての問題状況は発生しているというのは検討委員会の認識で、その領域の一つが子どもの問題だったと思っています。
ですから、子どものことだけ取り上げるとか、障害者というような領域もありましたけれども、そうした分野分野ででき得る方策を検討するというのが、検討委員会の問題提起にかなう我々のスタンスだろうと思っていますんで、そういう意味では、包括的な一般的な救済条例からは方向転換をしようというのは間違いないと思います。
それから、あと2点目ですけども、弁護士会で出された案がそのまま県条例になるかというと、私はそういうことでもないんだろうと思ってるんです。今いただいているお話というのは、要は勉強会をやろうと。我々は我々で検討のための委員会も立ち上げまして、私どもなりに問題点の整理を今やっているところでありますけども、弁護士会は弁護士会で検討したいと。
その勉強会の場に県も加わるような形、あるいは市町村とかも加わるような形でできないだろうかという、そういうようなお話がありまして、それは民間レベルの検討だということだと思いますけども、我々も協力できることは協力していく必要があるだろうと。
ただ、ここで決まった意見が、どういう形で決まるかわかりませんが、決まった意見がそのまま条例の素案になるとかということでもないんだろうと思うんです。それは、いろんなところでいろんな人たちが勉強会をやられるということはあるわけでありますので、それに協力をしていく必要があるだろうと思っています。
ただ、今回の[県立鳥取]盲学校の問題もありますので、一定の人権状況が見え隠れしているというか、それが表面化しつつあるということかもしれないなと思いますので、この点は他とは若干ペースは違うかもしれませんが、弁護士会からの要請もあり、それにこたえるような形で勉強会に参画していくという形をとりたいと思っています。
○山陰中央新報 太田満明 記者
知事、確認ですけど、その弁護士会との勉強会というのは、将来的には子どもに関する条例を作っていこうということと考えてよろしいんでしょうか。
●知事
弁護士会さんはそういう御意思だと思いますね。ただ、勉強会でありますので、そこでいろいろと現実の状況なんかを見ていただきながら勉強していくということだと思います。結論をすべて決めた上でやられるという御提案ではないと思っています。
○山陰中央新報 太田満明 記者
それと、盲学校のことに関心があるとおっしゃっているんですけれども、障害者の問題と子どもの問題というのは微妙に違うんじゃないかと思うんですけれども、そのあたりのすみ分けはどういうふうになりますか。
●知事
私は、県としては全面的に、今、検討委員会から出された論点はすごく多岐にわたっていまして、これをオールラウンドに、今、個別領域ごとに順番に検討会をやっています。順次、日を設定してやっておりまして、このペースを変えるつもりはありません。
ただ、その片方で、盲学校の問題が浮上してきたり、弁護士会の方の御意見も出されてきましたので、それにこたえる形で勉強は、この領域については弁護士会が一つ中心となった形で研究しようという動きになっていますので、それに協力をしていくということだと思っています。
ですから、障害者の問題だとか、あるいは一般人権の問題だとか、ほかに提起されたことについて、その歩みをとめようとかいうことではないですけども。もちろん現実に検討していこうと思って、みんな一遍にということに最後になってこないかもしれませんから、どっかその条例化が進んでくれば、それがやはり労力を割かれることになるかもしれませんけども、今は勉強会をやろうと言ってますんで、それに参画をしていこうと思っています。
その中で、今回、[県立]鳥取盲学校で、我々の方で疑問点といいますか、問題意識を持っている面もありますので、そんなことも当然そういう場では議論していかなければならんだろうと思っています。
○山陰中央新報 太田満明 記者
それは、だから障害者の問題と子どもの問題というのも一緒に論議するということなんですか。
●知事
弁護士会がやろうとしているのは子どもの問題です。障害者の問題は、彼らは今、範疇の中に入れてないと思います。
○山陰中央新報 太田満明 記者
通底する部分というのはあると思うんですけれどもね、障害者の問題、子どもの問題というのは。ただ、知事が盲学校の問題に興味があるんで子どものことをとおっしゃるんで、そこのところのすみ分け、分け方がどうなっているのかなと思ったものですから。
●知事
要は検討委員会ですね、かつての救済条例の検討委員会で提起されていましたのは、子どもさんが問題を抱えたときに訴え出る先が教育委員会の中しかないのは問題ではないかと、こういうことですよね。今回、それと非常に関連性の深い事象が起こっているというように思います。
もちろん教育委員会で今調査をされたり、その内容について調べをされているところだと思いますので、それを我々は、教育委員会とはちょっと別の立場ですから見るしかないんですけれども、ただ、そうした問題状況があり得るということは、今、我々も把握しつつあると思います。そういう意味で、非常に私どもとしてはそれに対する答えを何か考えなきゃいけないだろうと。
ちょうど弁護士会の方でも勉強会をやろうという御意思が出されましたので、それではそれに協力する形で私どもも参画をしていこうかということであります。こういうように、教育委員会以外の訴え先を探したいというのが検討委員会のお考えでしたので、その問題領域の中での検討になるんじゃないかと思っています。
○読売新聞 北島夏記 記者
同じく人権条例のことで、今の知事のお考えを伺っていますと、いろいろ並行していろんな問題を今検討されている中で、子どもの人権に対することは、実際に実例があって、対処が急がれるということだと思うんですが、その子どもに対する人権を救済するための条例というのを、今のところは必要性が高まってきたという御認識なんでしょうか。
●知事
それを勉強してみたいということですが、教育委員会だけに訴える先が限られていいかどうか、これは広く県民の皆さんにも御議論いただく値打ちのある政策課題であろうと思います。そういう意味で、私たちも勉強会に参画をする形で、教育委員会以外に訴え先を作る新しい制度の仕組みについて一緒に勉強してみようと思っているわけです。
○読売新聞 北島夏記 記者
じゃちょっと一歩進んだという形ですか。
●知事
そうですね、一歩進んだというか、今の[県立]鳥取盲学校の問題をそのまま放置していくのが誠実かどうかということだと思います。片方で検討委員会がかねてこのことを指摘されていましたので、それに思いをいたせば一定の検討に入るべきではないかと思います。ただ、我々としては全庁的にオールラウンドに検討委員会が出された課題を整理していきたいと思ってまして、若干時間はかかるかもしれません。そういう中で、別途、弁護士会の方は勉強したいと言ってるんで、それは参考になるかもしれません。そういう意味で参画をしていきたいということです。
○毎日新聞 小島健志 記者
確認なんですが、結局その訴え、今回の盲学校の問題で訴えている人は、学校と教育委員会が隠ぺいを図っているという趣旨で訴えているんですね。それを受けて放置できないと、県でも検討していかなければいけないという趣旨でよろしいんでしょうか。
●知事
今回、実際に訴え出られた先が弁護士会ですよね。これは、やっぱり訴える先として信用できる相手方がどこにあるかという問題点が私は出ているように思います。本来は教育委員会の中にもそういうカウンセリングを行ったり、正常に機能して対応していく場面はあるんです。現にそれも役に立っていると思います。ただ、事象によっては、それ以外に訴え先を、ここにありますよと示しておく必要があるかもしれない。それが今回の盲学校の議論から提起されているのではないかと私は思っております。
だから、学校の教育の現場が余りにもおかしくて、だから子どもの人権について検討するということではないです。むしろ、それをどうやって、間違いがえてして起こるものだと思います、あってはならないことであっても。それに対して是正をしていく手段を子どもたちに与える必要があるのではないかというのが、今回の問題点の一つだと思っています。
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