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人権擁護法案は「解同擁護法案」。これから本筋の議論に至るか。

155 - 参 - 法務委員会 - 4号
平成14年11月07日

○江田五月君 あっちに書いてあるからこっちに書かなくてもいいという話とは違うと思いますし、また人権教育・啓発法の方はいま一つぴりっとしないというところもあるような気がするんですが。そして同時に、一つ一つの人権救済というもののプロセス自体が実は人権の意識の確立、人権教育につながっていくんだということもあると思うんですが、ちょっとその点は不満ですね。
 次に、この法案の提出に至る経緯、背景、これについて質問をいたします。
 既に同僚議員からの質問もございましたが、私は二つの大きな経緯あるいは流れがあると思います。一つは、部落差別問題を原点とする日本の国内の流れ、もう一つはパリ原則に代表される国際社会の流れです。
 まず、本法案提出に至る国内の流れ、経緯について説明をしてください。さっきありましたので、簡単にぽんぽんぽんとで結構ですから。

○政府参考人(吉戒修一君) 先ほど申し上げましたけれども、平成八年五月にいわゆる地対協の意見具申が出されまして、その意見具申の中で、今後、人権救済制度の充実強化ということが取り上げられたということが一つございます。これを受けて、同年の十二月に人権擁護施策推進法が制定され、翌年から、この法律を受けて人権救済制度の在り方について調査審議する人権擁護推進審議会が法務省に置かれ、その審議会におきまして、ある程度の期間を掛けて、昨年の五月に人権救済制度に関する答申をお出しになり、また十二月には人権擁護委員制度の改革に関する答申が出され、こういうふうなものを踏まえて今回の法案をお出ししたというのが国内的な事情でございます。

○江田五月君 その地対協の意見具申の前に、それにさかのぼってさらに、さらにといいますか、同対審の答申がありますよね。
 それは一体何が問題かというと、日本社会の中で、長い長い歴史の中で被差別部落というものができ上がって、これが日本の社会の言わば差別の構造であると、そういうものを私ども、日本社会を次の世代にバトンタッチする者として解消しなきゃならぬという、その言わば長い歴史の取組が、歴史を経た取組があったと、それが今日のこの人権擁護法案の提出にずっとつながっているんだという認識だと私はしておるんですが、その点はいかがなんですか。

○政府参考人(吉戒修一君) 委員御指摘のとおり、同和の問題といいますのは我が国固有の非常に深刻な問題であるというふうに考えております。
 同和の問題を解決するために同対審の答申があり、長い年月を掛けて同和地区に対する特別対策が講じられてきたと。その特別対策を終了するに当たりまして地対協の意見具申が出され、その地対協の意見具申の中では、従前の同和地区に対する特別対策を総括いたしまして、同和地区については物的な状況は改善されたけれども、なお依然として同和関係者に対する心理的な差別が残っておると、これを解消するためにもしっかりした人権救済制度を確立すべきであるというような御提言がなされたものと思っております。
 そういう認識でございますので、全く委員の御指摘のとおりだと思っております。

○江田五月君 さらに若干伺いますが、部落差別というものは特別の、特別救済で対処する時期は過ぎたと。そして、それは一般救済に移行させようと。しかし、同時に、じゃ、もう部落差別はなくなったのかというと、確かにそういうある特定の地域の物的な条件というのはそれは随分改善された、いや、それでもまだいろいろという話もありますが。しかし、人々の意識の中にまだ依然として強く残っているというのはある。
 最近、インターネットは本当にもう、どういうんですか、とても見ていられないようなひどい差別的な言辞が書かれているようなところがありますね。これの規制というのはまた、どう規制していいかがなかなか難しいので、それはそれで大変なんですが、部落差別はまだ日本で解消されていないと。これをやはりちゃんと解消していくために、この人権擁護法案で作るシステムというのは機能しなきゃいけないものだと、こういう認識をお持ちかどうか。

○政府参考人(吉戒修一君) 同和地区に対します地域改善対策、これが今年の三月で失効いたしました。これは、昭和四十四年から約三十年にわたります約十六兆円を投じた財政措置によりまして同和地区の物的な状況は改善されたということによるものと思いますけれども、しかしながら今、委員御指摘のとおり、同和関係者に対する差別という問題はまだまだ深刻な問題として残っておるというふうに考えております。

○江田五月君 これは大臣にも一言その点の確認をしておきたいと思いますが、同和問題、部落差別問題というのはまだまだ、特に人々の意識や日常の社会の動きの中にかなり深く残っていて、この解消はこれからも日本社会の人権確立のための大きな課題である。その課題の解決に資するためにこの人権擁護法案というもので作られるシステムは役に立たなきゃいけないものだと、こういう認識をお持ちかどうか、大臣、お答えください。

○国務大臣(森山眞弓君) 委員おっしゃるとおりだと思います。
 同和問題というのは、随分長い間、歴史的にもう昔からずっと持ち越されてきた非常に重要な課題でございまして、最近数十年間の努力で物的には解決したとはいえ、心の中、意識の中にそのような問題がまだまだ根深く残っているということはもうおっしゃるとおりだと思います。これによって起こるいろんな事件については、この新しく作られるべき人権擁護委員会におきまして対処していくべき問題だというふうに思っています。

○江田五月君 そこで、部落差別という現実の中で、現に差別をされている皆さん方がいろんな運動をしておられるわけですが、そういう皆さんの意見というものはこの法案に十分入っているというふうにお考えですか。そうではないんですか。

○政府参考人(吉戒修一君) この法案の前提となります人権擁護推進審議会の調査審議の過程におきましては、同和団体の関係者からも十分なヒアリングをいたしておりますし、また公聴会の場におきましても御意見をお聞きしております。
 でき上がりました法案におきましては、例えば法案の三条でございますけれども、これはいわゆる差別禁止規定を明確に書いておりますが、この差別禁止規定などは、かねてから同和団体の方が各種の基本法の制定運動をなされておりましたけれども、その中に取り上げている事項と全く軌を一にするものであるというふうに考えております。

○江田五月君 それにしては、同和団体の皆さんが私どものところに大変に強い強い批判的な意見を言ってこられますので、十分意見を聞いたのかなという気はするんですが、同和団体もいろいろありますから、そして同時に我々も、そういう団体の皆さんに言われたからということではなくて、それは立法府にいる者としてこの法案についての対応はしていきますが、いずれにしてもどうも十分な意見を聞いていないんではないかという、そんな心配をちょっといたします。
 もう一つの流れ、パリ原則に代表される国際社会の流れ、これはどういうふうに認識をしておられるか、説明してください。

○政府参考人(吉戒修一君) 委員御指摘のとおり、こういうふうな人権に関する立法に当たりましては、国際的な潮流を十分踏まえる必要があるというふうに考えております。
 この法案は、委員御指摘のとおり、パリ原則、それから国連の規約人権委員会並びに人種差別撤廃条約からの勧告等にも沿う内容を含んでおりまして、国際社会の要請にも十分こたえたものとなっているというふうに考えております。
 まず、少し詳しくなりますけれども、よろしゅうございますか。
 まず、パリ原則との関係でございますけれども、人権委員会は、いわゆる三条委員会として、独立の行政委員会として設置されまして、委員長及び委員の任命方法、身分保障、職権行使の独立性の保障などによりまして、その職権の行使に当たりましては内閣や所轄の法務大臣から影響を受けることがないよう、高度の独立性が確保されておりますこと、それからその所掌事務といたしまして、人権救済事務とともに人権啓発事務を扱うほか、政府及び国会に対する意見提出権、これも非常に画期的なものだと思いますけれども、こういうふうな意見提出権を有することなどから、基本的な部分におきましてはパリ原則の趣旨に沿った国内人権機構と評価し得るものと考えております。
 それから、規約人権委員会でございますけれども、これは先ほども御質問ございましたけれども、平成十年十一月に我が国の報告書に対する最終見解の中で、人権侵害の申立てに対する調査のための独立した仕組みを設置すること、とりわけ警察及び出入国管理当局による不適正な処遇について調査及び救済の申立てができる独立した機関等を設置することを我が国に勧告いたしたわけでございます。
 本法案は、さきに述べましたとおり、高度の独立性を有する独立行政委員会として人権委員会を設置し、人権委員会が被害者の方の申出に基づいて行う人権救済の手続を整備いたしますものである上、公権力による差別や虐待につきましては特別救済という、より実効性の高い救済手続を整備するなど、規約人権委員会の勧告の趣旨にも十分沿った内容になっているものと考えております。
 次に、人種差別撤廃委員会でございますが、これは平成十三年の三月に我が国の報告書に対する最終見解の中で、人種差別を非合法化する法律の制定が必要であると指摘しております。
 この法案は、公務、物品、不動産、権利、役務の提供、雇用という私ども人間が社会生活を営むにおいて必要不可欠な領域における人種等を理由とする不当な差別的取扱いを禁止する我が国で初めての包括的な差別禁止法でございまして、こういう意味からも、人種差別撤廃委員会の指摘にも沿うものというふうに考えております。

○江田五月君 パリ原則についての細かな説明はもう皆、共通の認識ですから省略をしますが、そのパリ原則の中に、この「国内機構の地位に関する原則」というわけですが、「構成並びに独立性及び多様性の保障」というところがあって、その2のところは、「国内機構は、活動の円滑な運営にふさわしい基盤、特に十分な財政的基盤を持つものとする。この財政基盤の目的は、国内機構が政府から独立し、その独立に影響を及ぼすような財政的コントロールに服することのないように、国内機構が独自の職員と事務所を持つことを可能にすることである。」と、こういうような書き方とか、いろいろ書いてあるわけですが、とにかく政府の機関から独立していなきゃならないんだということを強く言っておるんですね。
 ところが、今回作ろうとする人権委員会は法務省の外局ということになっておると。私どもは、これは国際社会から見ると、いかにも日本は何やっているんだというような感じに映るんじゃないかと心配をするんですが。法務省の外局、つまり法務省というのは、これはもちろん必要なことでいけないと言っているんではないですが、一方で入管も所管をされている、矯正も所管をされている。これは、入管にしても矯正にしてもどこか所管がなきゃならぬので、そういう行政があっちゃいかぬと言っているんではないですよ、それは誤解しないようにしていただきたいんですが。
 しかし、そこを所管している者が同時に人権擁護も所管をするということになると、右手で人権侵害しながら、もちろん刑務所に入れるのは人権侵害にそれはそのままで当たるわけじゃないけれども、元々、自由を剥奪するんですからその限りでは人権侵害、ただし、それは所定の手続で所定の理由があってやるわけですから人権侵害にならないということで。一方では、しかし形だけ見ればそれは人権侵害にぎりぎりのところまで行っているわけです。ちょっと間違えば人権侵害になる。現に人権侵害になっている事例もある。それを一方で所管をしながら、行うことをですよ、他方で救済を所管するというんじゃ、一人の人間がそんなことを両方できるわけがないじゃないかというのが国際社会の常識じゃないかと思うんですが、いかがですか。

○政府参考人(吉戒修一君) 人権委員会は、先ほどから申し上げておりますけれども、国家行政組織法三条二項に基づく独立の行政委員会として設置され、高度の独立性が確保されていますことから、その権限行使に当たりまして、矯正・入管部門を指揮監督する法務大臣から影響を受けるおそれはございません。
 今、委員、ちょっと例えとして一人の人間が矯正、入管をし、人権というふうにおっしゃいましたけれども、組織上は人権委員会は法務大臣の下にはございませんで、法務省のフィールドにはございますけれども、法務大臣の指揮命令を受けませんので、一人の者が矯正、入管と人権を所管するということではございません。
 また、人権侵害事件の調査に当たる事務局の職員につきましては、これはこれまでの実績あるいはノウハウの蓄積等の観点から、法務局、地方法務局の職員をその主たる供給源とせざるを得ませんけれども、これらの職員も、委員御案内のとおり、矯正・入管部門の業務に携わった者ではございませんで、その影響を受けるおそれはございません。
 さらには、これは委員会発足後のことでございますけれども、こういうふうな矯正、入管の部門との間で人事交流を今後行わないというような配慮も人権委員会の中立公正さを担保するためには必要なことであるというふうに考えております。
 したがいまして、委員御指摘の点につきましては問題がないというふうに考えております。

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