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人権擁護法案 有害なものは妥協無く廃案へ

朝日新聞2008年1月18日 朝刊 3面
(あしたを考える)人権擁護法 再提出へ配慮と譲歩 より抜粋

①人権擁護法案:再提出へ配慮と譲歩
【人権侵害に侵害類型示す】(自民保守派の批判対応)
 「左右両派にここまで嫌われる法案も少ない。それぞれの立場に納得してもらうためにはトゲを抜くしかない」。新法案を検討している法務省幹部は、見直し作業をこう説明する。
 廃案になった旧法案には、日本の伝統や文化にこだわる「保守派」、人権関係団体にも配慮する「推進派」双方が異を唱えた。
 自民党内の保守派を刺激する「トゲ」は、「人権侵害の定義」と「国籍条項」が中心だ。若手議員でつくる「伝統と創造の会」(会長・稲田朋美衆議院議員)はこの2点に対する反論を軸に、反対意見書を検討している。

②人権擁護法案:再提出へ配慮と譲歩
旧法案では、人権侵害の程度が重いとみる「特別救済手続きについては対象事例を具体的に記したが、任意の一般救済措置は「広く人権侵害一般」とだけ定めた。保守派は「人権侵害の定義があいまいだ」と批判しており、
法務省は一般救済措置の対象範囲も法律に列挙する案を考えている。「人権侵害の定義はできないが、具体的類型を提示すれば、範囲が際限なく広がる不安は解消するのではないか」(幹部)というわけだ。

③人権擁護法案:再提出へ配慮と譲歩
また、旧法案は、地域で人権相談などにあたる約2万人の人権擁護委員について「国籍を問わない」と定めた。
この国籍条項に対し保守派は、在日本朝鮮人総連合会を念頭に「特定団体の影響力が強まりかねない」とかみついた。
政府・与党はこの条項を「市町村議会議員の選挙権を有する住民」と定め直す方針を示している。
実質的に日本人に限定する修正だ。

④人権擁護法案:再提出へ配慮と譲歩
ただ、この見直しには「本来は外国人であってもいいはず。その意義が薄れる」という指摘もある。
一方で、外国人参政権付与法が制定されれば結局、外国人も委員になれるため、なお反対する声も根強い。
 ほかに、新法案には「宗教は歴史的な問題では救済手続きを開始しない」という趣旨の文言を盛り込む案や、 勧告に対する不服申し立てなど「訴えられた側の保護」も打ち出すことも検討されている。

⑤【メディア規制削除検討】(報道機関・野党対応)
法制定は推進する立場ながら、旧法案には民主党は明確に反対した。「メディア規制」がその理由の一つだった。
 「犯罪被害者などに対する報道の人権侵害について特別救済措置を取ることができる」。
この条項が報道機関の取材を制限することにつながりかねないと批判を浴び、 与党は05年の時点で「別の法律で実施日を定めるまで凍結する」と修正方針を決めた。
 それでも、報道機関や野党に「凍結ならいずれ解除される」との警戒感が残ることから、政府・与党は条項を削除する検討を始めた。

⑥人権擁護法案:再提出へ配慮と譲歩
メディア規制の削除を前提に、成立を急ぎたい野党も軟化の兆しを見せ始めた。
実務を担う民主党議員の一人は「人権問題は政争の具にすべきではない。
細かい点を言えばきりがなく、まずは新制度をスタートさせる必要がある」と語る。
人権委員会を法務省の外局に置くことも「権力の監視にならない」と批判していたが、5年後の見直し条項を付けることで容認する方向だ。
 このため、新法案提出にこぎつければ成立する見通しだ。
ただ、自民党内の保守派には異論が残ることは避けられず、常執行部がとりまとめを先送りする可能性もある。
法案にかかわる政府関係者からは「自民党を二分するような法案で、議論を押し切ろうとするだろうか」と、通常国会提出に懐疑的な見方も出ている。

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