« 2007年10月 | トップページ | 2007年12月 »

2007年11月に作成された記事

人権擁護法案 誰を救済するのか

どうなる人権擁護法案 推進派・反対派の動き活発化 政局の火種にも?
2007.11.29

http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/071129/stt0711291942005-n1.htm

 2年前に自民党を賛否二分した人権擁護法案が再び動き出した。推進派で休眠状態だった自民党人権問題調査会(会長・太田誠一元総務庁長官)は、来年の通常国会への法案再提出に向け、来月3日の活動再開を決定。反対派も若手議員が29日に勉強会を開くなど活動を活発化させた。新党構想を掲げる無所属の平沼赳夫元経済産業相らも反対しており、推進派が法案再提出を強引に進めれば、政局含みの展開になる可能性もある。

 人権擁護法案は野中広務元幹事長が旗振り役となり、平成14年に国会に提出されたが、野党やメディアの反発を受け、廃案になった。17年2月に古賀誠選対委員長らが再提出を試みたが、安倍晋三前首相や平沼氏らが強硬に反対し、断念した。

 しかし、安倍氏の辞任を受け、空席だった党人権問題調査会長に古賀氏の腹心である太田氏が就任。顧問に伊吹文明幹事長ら党4役らが就任した。公明党も推進派を後押ししており、「自民党執行部にこれほど法案の理解者がそろうことは珍しい。今回が最後のチャンスかもしれない」(幹部)と期待を示す。

 福田政権発足により、反対派の安倍氏、中川昭一元政調会長、慎重派の麻生太郎前幹事長らはいずれも無役となった。反対派議連「真の人権擁護を考える会」のメンバーの多くは郵政解散で落選し、会長の平沼氏は無所属のままだ。民主党にも法案に大筋で賛同する議員が多いため、法案を再提出すれば、ねじれ国会の中でも成立する可能性は十分ある。

 反対派が危機感を募らせる中、若手有志の「伝統と創造の会」(会長・稲田朋美衆院議員)は29日、ジャーナリストの櫻井よしこ氏を講師に招き勉強会を開催した。

 櫻井氏は「非常に問題の多い法律で、悪用したい人がいれば、本当に便利な法律だ」と法案を激しく批判。出席議員からは「『人権』は、使い方により諸刃の刃になる危険な言葉だ」などと賛同の声が続いた。

 反対派は今後、民主党の一部とも連携し、超党派で反対運動を広げていく構えだ。「真の保守勢力の結集」を掲げる平沼氏も人権擁護法案に断固反対を表明しており、政府・与党の動き次第で政界再編を加速する可能性もある。

|

奈良市 やっと応能応益家賃へ段階移行導入へ

公営との格差解消-奈良市の改良住宅家賃等検討委

  (2007.11.28 奈良新聞)
http://www.nara-np.co.jp/n_soc/071128/soc071128a.shtml

  公営住宅法改正に伴い、奈良市の第5回「改良住宅家賃等検討委員会」(川村容子委員長)は27日、市営住宅の家賃制度が所得に応じて金額を設定する「応能応益制」に改正されて以後も定額制が採られていた同市内の旧同和地区にある改良住宅について、応能応益制を導入するとの方向を確認した。

 緩和措置として入居者負担金の上限を「法定限度額」の範囲とするなど、御所、桜井両市で導入されている制度も参考に、段階的に変えていくことなども話し合われた。検討委は年度内に提言をまとめ、藤原昭市長に提出する

|

人権擁護法案 多様な批判

2007年11月28日社説  世界日報

人権擁護法案/党略的な動機を厳に慎め
http://www.worldtimes.co.jp/syasetu/sh071128.htm

 人権擁護法案を再び国会に提出しようとする動きが出ている。鳩山邦夫法相が衆院法務委員会で「問題点をクリアできる方法を考え国会に再提出したい」と答弁、これを受けて自民党内では人権問題等調査会(太田誠一会長)に伊吹文明幹事長や青木幹夫前参院議員会長らを顧問に加え、再提出への体制づくりが進められている。

公平さを著しく欠く
 法案を制定すれば国政選挙に有利に働くというのが推進派の人々の主張である。だが、同法案は「人権擁護」が恣意(しい)的に利用され「言論弾圧」や「逆差別」を招きかねないとの批判を浴びたものだ。単なる修正で「問題点」をクリアできるものではない。党利党略的な動機による安易な制定は厳に慎むべきである。
 差別や虐待などの人権侵害が生じれば速やかに救済するのは民主主義社会の基本であり、人権擁護の仕組みづくりも不可欠だ。にもかかわらず政府が二〇〇五年に人権擁護法案の再提出を目指した際「問題点」があり過ぎると批判され、再提出を断念した経緯がある。

 同法案を先取りするものとして鳥取県は〇五年秋、人権擁護条例を制定したが、ここでも批判が噴出し、結局、〇六年六月の施行を無期限停止した。何が問題だったのか、政府・与党関係者はいま一度、想起しておくべきである。

 第一に、人権侵害の定義を「不当な差別、虐待、その他の人権を侵害する行為」と曖昧(あいまい)に表記し、不当な拡大解釈の恐れが強かったことだ。

 例えば、東京弁護士会は過激性教育を行った教員の処分や音楽教諭に国歌の伴奏を命じたことも「人権侵害」としている。国歌伴奏は今年二月、最高裁で合憲判決が下されたが、それでも「人権侵害」の主張を撤回していない。

 あるいは「慰安婦」問題で「民族差別、女性差別を扇動する問題発言」と指弾され講演会を開けなかった評論家もいる。このように人権侵害の定義が曖昧だと、人権擁護の下に逆に「言論弾圧」がまかり通りかねない。

 また法案は「人権侵害を助長、誘発する行為」も禁止するとし、「助長」「誘発」が何とでも解釈できる素地を残していた。

 第二に、新たに設ける人権委員会には司法も持たない強権が与えられていたことだ。

 人権委は人権侵害の「特別救済手続き」として関係者への出頭要請と事情聴取、関係資料の「留め置き」、立ち入り検査などの権限を持ち、それには令状は必要なく、拒否すれば罰金も科す。令状もなく立ち入るのは警察も持たない強力な「公権力」で、司法を無視した巨大な権限を与えていた。

 現行の司法体制では人権侵害として告発すれば、検察が調べて事件性があれば控訴し、裁判所で裁判官と検事、弁護士の三者によって審判が下される。だが、法案では人権委の委員の「独断」で決定が下される仕組みで、公平さを著しく欠いている。

 第三に、人権委の委員の選定に国籍条項がなく、「市民団体」などから選ぶとしていたことだ。これでは北朝鮮の拉致事件に関与した外国人でも「市民団体」に加わっていれば委員に選ばれかねない。外国勢力が「公権力」を行使することになれば、国家の在りようが根底から揺らぐことになる。

許されぬ安易な再提出
 こうした批判に対して与党内では人権侵害の定義に「違法性」を加え、国籍条項を設けるなどの修正が検討されているが、問題はそれだけではないのは明らかだ。安易な再提出は許されない。

|

同和対策事業の復活を不安視

平松次期市長「市民のため一緒に」
http://www.daily.co.jp/newsflash/2007/11/27/0000752449.shtml

 大阪市長選で民主党などに推され初当選した元毎日放送アナウンサー平松邦夫氏(59)が二十七日、市議会各会派の控室を訪れ、幹部らに協力を要請した。

 市長選で自民、公明両党は現職を推薦したが、平松氏は両党に「市民のためになることは一緒にやりたい」と述べた。

 公明党市議団から「市長選で市職員の労組や部落解放同盟の支援を受けた」として、不適切な職員優遇や同和対策事業の復活を不安視する声もあったが「職員厚遇問題は二度と起こさない。ガラス張りの運営で行く」と説明したという。

 平松氏は「民主党に推薦はもらったが、内容によっては対立することもあり得る」と強調した。

|

戸井田とおる衆議院議員 鳩山発言は驚き

人権擁護法案の鳩山発言は驚き!

http://blog.goo.ne.jp/toidahimeji/e/ab970508c9c9b097d22e545030c0c34d

こんにちは!戸井田とおるです!
いつもお世話になり、心より感謝申し上げます!

先日の祝賀会に関する投稿にたくさんのコメントが入っており、参加していただいた方からの感想や祝賀会の様子を楽しみしているといったコメントを期待していたのですが、開けてビックリでした。ほとんどが鳩山法相の「人権擁護法案」についての発言に対する内容で、皆さんの怒り心頭といったお気持ちは私も一緒であります。選挙にプラスと言う事でこのことは考えて欲しくないですね。これをクリアーして、次に「皇室典範」の改正なんて事にならない為にもここで頑張らなければと思います。

産経の記事を見て思ったのですが、鳩山大臣は確か「人権擁護法案」には反対だったと思います。それなのにどうしたんだろうと何度か電話を入れるのですが、繋がらず、秘書のO君に聞いたら分かるかと会館の部屋を訪ねるとさっきまで居たのにと留守番の秘書さんが言うのですが、捉まらないのでブログの皆さんの書き込みのコピーを渡してよく読んでくださいと言い残して帰ってきました。

その後、F代議士やH代議士に電話するのですが、これまた繋がらない!法務省はなにやらおかしな動きがあるのかも知れませんが、鳩山大臣、河井副大臣、古川大臣政務官3人とも揃っていながら何やってんだと言った心境です。古川政務官も修羅場を潜っているのですから大丈夫だと思います。

たった今鳩山大臣のO秘書から連絡が入ったのですが、鳩山大臣も古川政務官も心配しないでくださいとのことですが、直接聞くまで安心できないと言ったら、大臣に失礼だろうか?しかし、それ位ビッグな驚きだった。

今後この事について情報が入れば書き込みます。
(あせっちゃいけない未だ法案が出たわけじゃないんだが出てからでは遅い!)

戸井田とおる

● 選 挙 区: 兵庫県第11区 
● 当選回数: 2回 
● 生年月日: 昭和26年11月25日 
● ホームページ:
http://www.toidatoru.com 
● 主な経歴:   
  内閣府大臣政務官
  出版局 局長
  内閣委員会 理事
  厚生労働部会 副部会長
  文部科学部会 副部会長

|

梓澤弁護士 人権擁護法案の問題指摘06年と00年 あらためて検討

トピックス   梓澤和幸
http://www.azusawa.jp/topics/topics-22.html

人権擁護法案の現在とメディア規制条項について (2006年9月6日)

  2005年3月7日の各紙報道では、人権擁護法案のメディア規制条項については凍結の方向との記事が流れていた。

  ところが、2006年8月30日の読売新聞gooネットニュースによると、

【引用開始】 法務省は30日、先の通常国会への提出を断念した人権擁護法案について、旧法案を修正する意向を与党人権問題懇話会の古賀誠座長(自民党元幹事長)らに伝えた。
  取材活動を特別救済の対象にしたメディア規制条項については、メディア側が苦情などを受ける自主的な組織を作る場合、条項自体を削除するとの方針を示し、メディア側と意見交換をしている状況を説明した。「不当な差別、虐待その他の人権を侵害する行為」 としていた人権侵害の定義に関しては、あいまいだとの指摘があったため、「違法な(行為)」との文言を加える方針も示した。
 同省は与党の理解を得た上で、来年の通常国会に法案を再提出したい考えだ。(2006年8月30日23時21分 読売新聞) 【引用終了】

  法務省は、メディアの自主的規制組織の進展次第では同条項を削除するとの意向でメディアと意見交換している状況を、自民党人権擁護問題懇話会 (古賀正座長) に伝えた模様である。
  そこで調べてみると、次のことがわかった。

  杉浦法務大臣は、7月24日午後 日本記者クラブで講演し、来年の通常国会への提出をめざす人権擁護法案のメディア規制条項に関し、「法案を再度国会に出す以上、凍結ではみっともない。
  改めるとか、はずすとかすっきりした形で出したい」 として、法務省案が凍結としている同条項を修正削除する考えを示した。(共同通信同日配信)

 8月、メディアと法務省幹部との懇談の機会があり以上のような雰囲気、すなわち第三者機関の必要性が法務省側から語られたとのことは確実らしい。

  市民としては、権力から言われてメディアがなんらかの自主機関をつくったという歴史としないために踏ん張りが必要だろう。
  なぜいま、こうした動きがあるのかとても不思議だが。

※ 参照
  人権擁護法案
  『誰のための人権か──人権擁護法と市民的自由』
      田島泰彦 梓澤和幸 編著 (日本評論社)
  人権擁護法案 第四十二条一項四号

--------

  以下、『誰のための人権か──人権擁護法と市民的自由』 167p から引用

 三 人権侵害とされる取材行為

  法案四二条一項四号は、イに記載した者に同意を得ずして行う、次の取材行為を、人権侵害とする。

  1 つきまとい、待ち伏せ、進路にたちふさがること、住居、勤務先、学校、そのほか取材対象者が通常所在する場訴の付近において見張りをし、またはこれらの場所におしかけること(四二条一項四号ロ、(1))

  2 電話をかけ、ファックス送信をすること (四二条一項四号ロ、(2))

  たしかにここで列挙されている取材行為が一般の刑事少年事件、犯罪被害者らにむかってゆくとき、取材対象者が救済されなくてよいはずはない。しかし、それは後に述べるような自主的自治的措置によって救済されるべきであって、そのような場合と公人周辺への取材と報道がまったく何の区別もなく同列に論じられているところが問題なのである。

  また、取材するものが、いかなる取材の意図で行うものか、公共の関心事項か否かを検討する余地もなく、ここにかかげた行為を行うことそのものを、当然に人権侵害としていることも問題である。取材対象が、公人か否か、公的関心の対象となっているか否かはここでも検討されない。
  犯罪行為を行ったものの配偶者や同居の親族に個々に列挙された行為を報道機関が行うや否や、それは人権侵害とされるのである。

  たとえば、政治家の汚職を報道機関の記者が調査報道の手法で把握し、政治家の周辺にせまるとしよう。その政治家の秘書が夫人であったり、子供であったりすれば、いかに市民が知るべき公共性の高い事実が対象になっていても、その取材行為のため電話やファックスをする行為が継続反復して生活の平穏が害されると認定されれば、人権侵害とされるのである。この認定を行うのは、人権委員会であり、その事務局をつとめるのは中央では人権擁護局を改組した事務局であり (審議会答申第七、1、②)、地方では地方法務局である (一六条三項)。

  次の事例に即してこの二つの条項が「市民の知る権利にとっていかに有害かを考えてみよう。
  リクルート事件調査報道の功績などでアメリカ調査報道記者協会賞を受けた朝日新聞の山本博記者らの中曽根元首相周辺の株疑惑取材の体験である。記事は一九九〇年一月一日朝日新聞の一面トップを飾った。

  「中曽根元首相側近名義で株取引」 「一億二千万円の差益」 という見出しである。中曽根元首相の秘書が、一九八八年九月二一日に、一ヶ月前に五億一千万円で買った国際航業の株一〇万株を一ヶ月たったところで、六億三千万円で買い戻してもらったという記事である。記事の中に「巧妙な政治献金であったとの疑いは消えない」とのくだりがあった。これをとらえて元首相側が、元首相が金をうけとっていたとの印象をあたえるがその事実はないとして訴訟をおこした。東京地裁は一九九三年三月一九日、元首相側の請求を棄却する判決を言い渡した。

  判決理由で藤村啓裁判長は、「この株の相対取引は、中曽根元首相とその政治団体への政治献金として行われたのではないかとの疑いを生む客観的事情があった」 と認定。その根拠として、(l)リクルート事件の際も、この女性職員の名義で三千株が譲渡されていた (2)小谷元代表は中曽根元首相やその政治団体と政治献金などを通じ密接な関係にあった (3)この相対取引はわずか一ヶ月間で約一億二千万円の差益が女性職員側にもたらされるという極めて不自然、不公正な形態をとっている──などの点を挙げた。記事の中で 「巧妙な政治献金ではなかったのか、との疑いは消えない」 などの表現で論評したことについて、「一般人が当然抱く疑問についての論評として合理的根拠がある」 と述べた。

  政治家の配偶者、子供、兄弟姉妹などの家族が秘書であれば、前述の四二条一項四号イで、その名誉穀損は、事実の真否、公共性の有無を問うことなく、人権侵害とされる。

  そして、四二条一項四号ロでその秘書への取材目的のためのアプローチも人権侵害とされ違法とされる余地がある。

  実際、山本記者らのグループは有価証券報告書のコピーを入手したあとも、秘書と株取引の相手方となった株の仕手である光進の小谷代表に肉迫し、ようやくこの二人の間の取引についての直接のコメントを得たのである。このコメントなしには記事そのものが成立しなかった。

  山本博記者はコメントを得るための努力についてこう書いている。
  「まず太田氏だが、都内のマンションの居場所はわかったが何度訪問しても応答しない。留守かと長時間の張り込みをしたところ、在宅とわかったが、それでも応答なし。ドアの隙間からインタビュー要請の手紙を入れたがなしのつぶて。

  そして小谷代表だが職場でも住居でも応答なし。長時間張り込み、ようやくあえたら振り切って去って行くばかり。一時は取材陣ともみあいにまでなった。」 (山本博 「朝日新聞の調査報道」 小学館文庫、二四ページ)。

  この事例では秘書は元首相の家族ではなかったが、そういう事例は少なくない。今後は政治家が献金を受けるときは、家族を秘書として任命し、この秘書を通して献金を入金しておけばこの条項で報道機関の取材攻勢からは守られるということになろう。また四二条一項五号は、四号イ、ロに準ずる場合も人権侵害としているから、家族でない秘書への取材と報道も人権侵害とされる余地は残されているのである。

  四二条一項四号イ、ロ、同五号の規定は、政治家や高級公務員への調査報道取材と報道の抑圧に強力な効果を発揮する条文になっていることに注目すべきであろう。

------

人権救済機構(人権機構)について   梓澤和幸
http://www.azusawa.jp/jinkenkyuusai/index.html

〈目次〉
マスコミ学会ワークショップ「マスコミ規制とジャーナリズム」
法律時報特集「人権救済機関設置をめぐって」より
中間とりまとめに対する法務省への意見
法務省の中間とりまとめに対する日弁連への意見
法律新聞より(平成12年11月3日)

------

法律新聞より (2000年11月3日)

  10月5日、6日岐阜で開かれた日弁連の人権擁護大会で「国から独立した人権救済機構」が提案された。
  5日のシンポジウムでは実行委員会から人権機構設立のための法案要綱試案(以下要綱試案という)が、6日の大会には同宣言案が提案された。
  要綱試案には重大な問題があり、宣言案もそれを反映していた。白熱した討議の末、私を含む50名が修正動議を出した。
  協議のうえ採決には至らず、執行部修正となった。
  要綱試案と宣言案の問題点にふれ、今後の討議のありかたについて提言したい。

  要綱試案の第一の問題点は、人権機構に強大な調査権限を与えるとしたことである。
  人権機構は、申立か職権により相手方、関係者、参考人に出頭を命じたり、関係書類の提出を命ずることができる。関係場所に立ち入る権限も持つ。(要綱試案22条1項1号、2号) 出頭命令、文書提出命令違反は3万円以下の、立ち入り拒否は30万円以下の罰金を科す(要綱試案46条、47条)

  刑事罰であるから、刑事訴訟法が動きだす。命令に反して出頭せず、文書を提出せず、人権機構職員の立ち入りを拒否すれば、現行犯逮捕される。(刑事訴訟法212条以下、同217条の軽微事件の制限を受けないことに注意)
  検察官、検察事務官、警察官が現行犯逮捕に赴くときは、令状なしの捜索、差し押さえも出来る。(刑事訴訟法220条)
  例えば、労組の団交中に経営者側が、人権機構に訴え、機構の職員と警察官が現場に急行、関係者に出頭を命じ、拒否すれば逮捕、団交場所の文書のガサ入れというストーリーもあり得る。
  冤罪を訴える弁護士が警察官を特定して拷問の事実を新聞記者に告げ、紙面に掲載することはよくある。警察官の申立てを受け、弁護士、記者の逮捕、新聞社のガサ入れともなりかねない。
  村上重俊シンポ実行委員長はシンポのまとめで、同種の規定がある労組法、労基法では逮捕の事例はないはずと反論した。
  しかし、労働法と本件を同一には論じ得ない。刑法なら罪刑法定主義による構成要件の厳格さがあり、労組法、労基法でも法違反の実体は枠組みがはっきりしている。
  人権侵害という、フレームのはっきりしない実体で、刑事訴訟法が作動することの危険を十分配慮しなければならない。また軽い刑罰しかない軽犯罪法、旅館法、農地法などで濫用的な逮捕が行われている実体から見ても右反論は説得力に乏しい。
  要綱試案の第二の問題点は、行政機関による出版、報道の差し止めの可能性を残していることである。
  要綱試案には仮救済の規定がある。(要綱試案26条) 人権機構による仮処分に似た規定である。
  ビルマの難民が送還されれば、投獄、処刑される危険があると訴えたときなどは力を発揮するであろう。しかし、要綱試案26条には報道、出版の除外規定がない。検閲はこれをしてはならないとの規定があるが、教科書検定、ポルノ出版物の税関検査を検閲にあたらずとする裁判例からすれば、機構が事前差し止めをやらないとの保障はない。

  第三の問題点は、報道被害救済を国が設置する人権機構の管轄とすることである。
  昨年の人権大会では、権力介入を阻止するためにメデイア自身の自主的な報道評議会の設立をよびかけた。機構が報道被害をも取り扱うことはこの趣旨と自己矛盾である。
  シンポでは横山ノックのセクハラ事件被害者の映像を掲載した雑誌の写真を流したテレビの放送の弊害が、担当の弁護士から紹介された。しかし、この事例は報道の権力規制の必要性に結びつかない。
  事前なら裁判所の差し止め仮処分申請の方法がある。事後なら弁護士がテレビ局と厳しく交渉し、謝罪、損害賠償、を求め、達成できなければ訴訟の道がある。
  報道の権力規制はデメリットが大きいことも視野に入れなければならない。
  こんな例はどうか。

  有名政治家が首相になったときのために核兵器の開発政策を検討中だとしよう。情報を入手した報道機関の動きを察知して、これは名誉棄損で人権侵害だ、として、機構を使って事前差し止めをしたり、強制調査をさせ、圧力をかける危険性がありはしないか。

  第四の問題点は人権機構の独立性、中立性への疑問である。
  実行委員会メンバーは、機構は中立なもので、批判者がいうほど人権を抑圧することはない、とした。しかし、機構の委員は内閣の推薦委員会の推薦をうけ、両議員の同意を得て選出される。(要綱試案七条)
  時の政権、与党の影響は免れない。法律上も公正取引委員会、国家公安委員会のような独立行政委員会として作る以外の方法はない。
  国から完全に独立し、政治の影響を受けない機関を作るなどは幻想である。中立性をあげることでの反論は成立しない。人権機構の設立それ自体には反対しない。公権力の人権侵害を重点に取り組む機構をつくれとの、国連規約人権委員会意見の原点に戻ればよい。民間の団体や個人に過度に介入しないことにすればこうした危険性は防止できる。
  シンポと大会でこれらの問題点を主張した私達五十名は、宣言案から問題点を削除する修正動議を提出し、対決的な議論となった。
  これをうけて日弁連執行部は
1、公権力による人権侵害は当然対象とする、
2、報道ほか憲法の保障する人権の保障に配慮する、
3、民間への調査権限は慎重に検討する、
などとした修正案を提案し、大会はこれを採択した。
  法務省人権擁護推進審議会の、国から独立した人権機構に関する審議の中間報告は十一月二五日に出されるという。
  その内容は要綱試案と宣言をめぐる討論の中で出された論点に論及するであろう。
  人権に関する事項であるから中間答申に対する日弁連コメントの影響は決定的ともいえる。

  要綱試案が全国の弁護士の目にふれてから一カ月もたっていない。問題点についての情報が広がっていないため私達の主張を少数意見のように見るむきがあるが、弁護士の見識は要綱試案の危険性をみぬくと信じている。
  討論では反対意見の主旨を傾聴し理解するという態度が必要である。日弁連執行部は自由で科学的な討論の体制を作って審議会答申への日弁連コメントが歴史に耐えられる適切なものになるよう社会的責任を果たすべきである。

   
 

 

|

情報発信は多様がいい

「市民の視点で情報発信」  「市民の視点で情報発信」  弁護士有志らサイト開設

 マスメディアに依存せず社会的に意義のある裁判情報などを市民の視点から独自に発信しようと、弁護士有志やジャーナリスト、主婦らが26日、インターネットサイト「ニュース・フォー・ザ・ピープル・イン・ジャパン(NPJ)」を開設した。

http://www.news-pj.net/

 各地の裁判日誌を平和・戦争責任、教育、労働など12のテーマ別に掲載。外国人労働者ら社会的弱者の情報に焦点を当てるほか、テレビや新聞を批判的に読み解く「メディアリテラシー」にも取り組み、積極的に提言していくという。

 運営グループ代表の梓沢和幸弁護士は「世論に影響を与えられるよう、メディア論を持った市民メディアを目指したい」と話している。

|

奈良市支部協 何をやるのか

部落解放同盟 奈良市支部協議会 再建総会 /

奈良市 2007/11/25 20:00
http://www.naratv.co.jp/miyomiyo/newsread.cgi

 長期に渡って病気を理由に不正に休み、職務強要の罪でも有罪となった奈良市の元職員が去年まで役員を務めていた、部落解放同盟奈良市支部協議会が、きょう、再建総会を開きました。
 部落解放同盟奈良市支部協議会では、組織の副議長を務めていた奈良市元職員による一連の不祥事への反省から、この1年間議論を重ね、先月25日には、再出発のために組織を解体しました。
 きょうの再建総会には、奈良市内の10の支部の役員ら、およそ50人が出席し、新たな組織の規約と役員人事が承認されました。
 新しい支部協議会では、以前の執行部体制でのトップダウン式の組織運営が、各支部の代表者が集まって意見を積み上げていく組織運営に改められたほか、行政との馴れ合いを防ぐために、奈良市職員などの公務員が支部協議会の役員に就くことも禁止されています。
 奈良市支部協議会では、「部落解放と差別撤廃のための活動を通じて、1日も早く市民の信頼を取り戻したい」と話しています。

|

アイヌは蛮族 民主・山岡氏 国民の前に党内から学習を

民主・山岡氏:「アイヌの血を引く蛮族」と発言
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20071101k0000m010106000c.html

 民主党の山岡賢次国対委員長は31日に国会内であった自民、民主両党の国対委員長会談の冒頭で「(自民の)2人は貴族。こっちらは(民主党は)アイヌの血を引く蛮族です」と発言した。山岡氏は直後の記者会見で撤回したが、民主党は先の参院選で北海道選挙区で無所属で出馬したアイヌ民族出身の多原香里氏を推薦しており、発言は波紋を呼びそうだ。

 山岡氏は記者会見で「差別用語につながる言葉は取り消す。誤解を与えるとすれば申し訳ない」として撤回した。そのうえで「私は(自分が)たくましさとか、生活者中心、そういう土壌から出ていると言っている。その言葉を使うこと自体が差別だ、という認識には賛同しない。アイヌの血を引く者を悪いとは思っていない。口走ったということなら、誇りに思って言っていると解釈してほしい」と釈明した。

 アイヌ民族問題に詳しい榎森進・東北学院大教授(日本史)は「アイヌ民族イコール野蛮な人という前提で発言している。無意識なのだろうがそこが問題だ。責任ある国会議員としての資質を疑う」と話している。

 ◇北海道ウタリ協会理事長が不快感

 民主党の山岡賢次国対委員長が31日、自らを「アイヌの血を引く蛮族です」と発言した問題について、北海道ウタリ協会の加藤忠理事長は毎日新聞の取材に対し、「(アイヌ民族に関して)知識が何もないのではないか」と不快感を示した。

 加藤理事長は、鳩山由紀夫衆院議員(道9区)が民主党の幹事長を務めていることを挙げ「そのような発言が民主党から出てくるとは信じられない」と憤った。2日に釧路市で同協会の理事会が予定されており、「問題として取り上げることになるだろう」と話した。

 同協会は、国連が9月の総会で「先住民の権利に関する宣言」を採択したのを受け、国にアイヌ民族の具体的権利を明確にするよう求めている最中。今回の発言がそれに悪影響を及ぼすのでは、と危惧(きぐ)する声も出ている。【去石信一】

【関連記事】
鳩山法相:「友人の友人にアルカイダ」 後に「真偽不明」
民主・鳩山幹事長:鳩山法相の「アルカイダ」発言を批判
町村官房長官:アルカイダ発言の鳩山法相を注意

毎日新聞 2007年10月31日 21時11分 (最終更新時間 11月1日)

|

人権擁護法案の政治的思惑が先行 国民無視

人権擁護法案成立めざし、自民人権調査会幹事長ら顧問に
11/23 朝日

自民党は、党の人権問題等調査会(太田誠一会長)の顧問に、伊吹文明幹事長ら党4役と 青木幹雄前参院議員会長、山崎拓元副総裁らをあてる方針を固めた。
党内で賛否が割れる人権擁護法案の来年の通常国会への提出へ向け、重厚な布陣で 法案反対派を押さえ込む狙いがある。

同法案は人権が侵害された場合の救済手続きなどを定めたもの。政府が02年に提出したが、 メディア規制条項などが批判され廃案になった。
05年にはメディア規制を凍結して再提出を目指したが、自民党内で「人権侵害の定義が曖昧だ」 などと反対論が噴き出し、提出を見送った。

顧問に就任する党4役の1人は「人権擁護法案は選挙に有利に働く。次期衆院選挙に向け必要な法案だ」と、 来年通常国会への再提出に意欲をみせている。

鳩山法相10月24日の衆院法務委員会で「問題点をクリアできる方法を考え、人権擁護法案は国会に再提出したい」 と答弁した。

|

同和高度化融資 計画的倒産か?

ヤマトハイミールへの中小企業高度化資金の未回収問題について今井光子議員
http://nara.jcp-giin.net/topic/0710080625.php

 都道府県が融資する同和枠による中小企業高度化資金のうち半年以上返済が滞る不良債権が21府県で280億円、貸付残高の72%にあたります。延滞分のうち125億円が破綻先債権に分類され回収困難と見られています。奈良県では貸付残高41億1000万円。延滞残高13億5000万円、破綻先債権4000万円となっています。これ以上の破綻債権は許されません。

 7月5日、奈良県が20億円の中小企業高度化資金を貸し付けたヤマトハイミール食品協業組合が倒産しました。日本共産党と住民団体は直ちに県に対し県民に損失を与えないようにきちんと回収すべきであると申し入れました。

 9月議会の報告案件にヤマトハイミールの貸付連帯保証人に対する詐害行為取り消し請求事件が提出されています。住民訴訟判決の3日前に名義変更をしたことは、連帯責任を免れる行為で認められるものではなく県が行ったことは当然です。

 奈良県中小企業高度化資金貸付規則に拠れば9条『保証は貸付金にかかる債務を保証する十分な資産を有し、知事が適当と認めるものであること、更に借主はその連帯保証人が死亡し、住所不明になりいずれかの要件を書くときには遅滞なく知事にその旨を届け出て新たに要件を備えた連帯保証人を立てなければならない』更に、11条『損害保険金は、当該貸付にかかる貸付金相当額以上の損害保険金を付さなければならない』としています。

 規則通りにしてこなかった県の責任は重大です。規則に従って実施されていれば、県民に損失を与えることはないと思いますが、今後の回収をどのように進めていくのかお聞かせください。

 この問題については平成13年(2001年)から日本共産党は取り上げ、そもそも貸し付け当時から貸付条件を満たしていたのか、未登記のまま資金の貸付がおこなわれたなど事実を挙げながら県に改善を求めてまいりました。また県民と力をあわせて全国で始めて、県は回収の努力を怠ったとする住民訴訟も行われ、県の責任を認める判決が下されました。県は何も問題はないと繰り返してきました。しかし全国的に同和向け中小企業高度化資金のずさんな管理や行政の甘い対応が問題になってきた中で、再度、問題がなかったのか監査を行うことが必要です。知事の特別監査権を使って、全容を明らかにすべきと考えますがいかがでしょうか。

 また、農林部長に伺いますが、これまで県は、高度化資金貸し付けの目的は公害対策と食肉センターの残渣処理にあると言われてきましたが、組合が倒産した現在、食肉センターの残渣処理はどのようになっているのか伺います。

荒井省吾知事答弁 県といたしましては7月5日の銀行取引停止処分をうけて、中小企業基盤整備機構と協議し、債権回収の手続きをすすめておるところでございます。組合にたいして債務の一括繰り上げ償還請求を7月24日におこないました。さらに担保物件であります工場敷地、工場建物、機械設備について奈良地方裁判所に担保不動産競売申し立てを9月19日におこなったところでございます。一方、連帯保証人に対しても詐害行為取り消し請求訴訟の提訴を8月24日におこない、保証債務の履行請求を8月30日におこなっております。今後、これらの手続きを確実にすすめ、債権の回収につとめてまいりたいと考えております。

 同組合に対する中小企業高度化資金貸し付けについては、県と当時の中小企業事業団が共同して、組合の事業計画などについて検討したうえ貸し付けたものと考えております。債権管理については業界の構造改善と悪臭公害の解消という公益的な目的を勘案しながら、適切におこなったものと考えております。しかし、今般、組合の事業継続が困難となり、担保実行による債権回収をおこなわざるをえない状況にいたったことは遺憾だと考えているところでございます。今後は債権回収に全力で努めていくこととしており、監査を要求することを考えております。今後、さらに具体的な問題が確認されることがあれば、その時点で適切な対応を考えていきたいと考えているところでございます。

川端修農林部長答弁 県の食肉流通センターにおきまして卸売り会社によると畜・解体処理等からでる畜産残渣、骨や脂肪等でありますが、これにつきましては以前はヤマトハイミールによりその多くが処理されておりましたが、現在は他の県内化製処理業者等で処理されていると聞いているところでございます。

今井光子議員 債権回収の見通しが本当にあるのかどうか。県民に損失をあたえないような形で回収ができる見通しがあるのかどうか、知事のお考えを聞かせていただきたいと思います。

荒井正吾知事答弁 債権回収の見込みですが、私が見込みをもっている状況ではございません。手続きをしっかりやって、できるだけ回収に努めていきたいというふうに思っているところでございます。

|

食肉利権と太田大阪府知事

府が再編・民営化 南大阪食肉市場会社

2007年11月01日
25億円回収困難に

 大阪府が六十四億円を投じて設立した「南大阪食肉市場株式会社」(松原市)の経営が悪化、貸し付けた二十五億円の返済が困難になっている問題で、府が貸し付けの根拠とした同社の収支計画がはじめから裏付けのないものだったことが改めて浮き彫りになりました。
 日本共産党の黒田まさ子府議が九月定例府議会で取り上げたもの。巨額の税金を返済の見通しなく貸し付けた太田房江知事の責任が問われています。しかも同社には、食肉偽装事件で逮捕、一審で有罪判決を受け、現在高裁で係争中の大手食肉会社ハンナンの浅田満元会長が役員を務めていました。

http://www.jcp-osaka.jp/2007/11/post_334.html

|

働く貧困者の底上げは?

生活保護引き下げ・厚労省方針
http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20071121AT3S2002S20112007.html

 厚生労働省は20日、生活保護額のうち食費など生活扶助額を引き下げる方針を固めた。現在の生活保護の水準が、保護を受けずに働いている勤労層の生活費を上回り、勤労意欲をそぐ恐れがあると判断した。

 有識者による同省の「生活扶助基準に関する検討会」は同日、食料費など必要な生活費の調査結果を、生活扶助額を見直す基準に位置付けることで合意した。

|

加点研修? 鳥取県 おかしな優遇は廃止を

提訴:部落解放県企業連合会の公文書、県の不開示「条例違反」 取り消し求め /鳥取


 ◇「加点研修」公文書公開で

http://mainichi.jp/area/tottori/news/20071122ddlk31040039000c.html

 県情報公開条例に基づいて公文書開示請求をした鳥取市内の男性(30)らが、同文書の一部を不開示などとした県の決定は条例違反として決定の取り消しを求めて21日までに鳥取地裁に提訴した。男性らは受講すれば県の指名競争入札で有利になるよう企業に加点される「部落解放県企業連合会」の研修についての公文書開示を請求していた。【田辺佑介、宇多川はるか】

 訴状などによると、この男性らが06年10月、同公文書の開示を請求したところ、県は同年11月県情報公開条例の「特定の個人が識別されるか、公にすることで個人の権利利益の侵害のおそれがある情報を開示しない」などとする規定に該当するとして、受講者の氏名や役職、所属する業者などを不開示とした。

 さらに男性と男性の親族(28)は同年12月、県が開示できる加点研修に関する企業、加点状況などの情報が、同連合会の研修については「業者名が特定されると同和地区の業者か分かる」として公表していなかったことを確認。

 そのため男性らは情報の開示請求で不開示となった「受講者の所属(業者名)」は「社会的差別の原因となるおそれのある個人情報を収集してはならない」とする県個人情報保護条例に違反するとして07年1月、同文書を破棄するか、違反でないなら開示するよう県に異議を申し立てたが、5月に棄却された。

 男性らは、▽06~07年度の県情報公開審議会で県は他の団体が行う研修の受講者名簿は開示するとしており、同連合に関する情報を除外する規定はない▽受講者の所属について公にすると侵害される権利や利益は具体的に何を示すか不明--などと主張している。

 これに対し、県は「訴状を読んだうえで判断したい」としたうえで、「部落差別の意識が解消されているとは言えない現状がある」などとし、今年5月の異議申し立てに対する棄却の決定と「基本的なスタンスは変わらない」としている。

毎日新聞 2007年11月22日

|

鳥取県知事「人権侵害救済条例検討」の為の新組織

鳥取県知事定例記者会見(2007年11月20日)
http://www.pref.tottori.lg.jp/dd.aspx?menuid=72314#8

8 鳥取県人権侵害救済推進及び手続に関する条例について 


○山陰中央新報 弥重節子 記者

 人権条例のことなんですけれども、前、知事は検討委員会の答申を受けて、議会の意見も聞いて執行部としての考えをまとめたいみたいに述べていらっしゃいますけれども、基本的にはあの検討委員会というのは、知事に対して答申をしたわけなんですから、やはり知事はそれを受けて、知事、執行部としてどういう考え方かというのをまず提示されて、それを議会が検討するっていうそれが普通の流れじゃないかと思うんですけれども、その辺どうお考えですか。

●知事

 この間、そう趣旨を申し上げましたのは、今回の提言自体がですね、議員さんで立法された、それに対する考え方でありますので、当然ながら制定されたですね、議会のほうにきちんと説明する機会をまず持つべきだろうと。そこでの議論も当然あると思います。立法者の意思というか。その方々のご意見なんかもですね、当然聞かなければならないだろうと。その辺をキックオフといいますか、スタート台にしてはどうかと、こういうふうに申し上げた次第であります。

 現実問題としてですね、私は今申しておりますのは庁内のほうにはですね、人権局を中心として、まずはこのたびの提言を受けて、検討する委員会といいますか、場を作りなさいという指示をしております。今回、子どもたちの問題、教育委員会の問題とかですね、それから福祉の障害者の問題だとか、まずは文化観光局ですかね、あるいは企画部なんか、多文化共生、外国人の問題だとか、そうした個別の人権事象の指摘をされています。そうした部局にも入ってもらって、今回のその提言の内容をですね、説明をし、これから我々としてどういう条例なり、施策で答えを出していくか、それを話し合うことをですね、始めるように言ってあります。

 これは正直議会にこのたびお出しして説明をしますけども、それと若干並行するというか、若干早めにその指示はさせていただいております。当面ですね、まず人権という人の存在、尊厳にかかわる問題でありますので、じっくりと検討する必要があると思っておりますが、ただ例えば当面できることはですね、ある程度はやりながら考えていくという道筋もあるかなと思ってます。例えば人権についての相談窓口をですね、今東部にしかありませんけども、中部や西部でもそうした相談が受けられるようにすることは予算上、あるいは組織上で措置することは可能かと思います。

 例えばそういうところで、拡充をして政策的な充実を図りながら、同時にですね、地域の人権についての問題状況を把握する手だてにもなりますし、そんな窓口開設ぐらいはですね、いずれ条例なり何なりできちんと位置付けなきゃならないかもしれませんが、予算上のもの、組織上のものとして、取りあえず例えば来年度からスタートさせるとかですね、いうことは可能ではないかと思っておりますが、そんなことも含めて庁内のほうでですね、まずは検討するようにという指示は出しております。

 もちろん弥重[山陰中央新報記者]さんおっしゃるように、我々として受け止めますけども、それと併せて委員会のほうでも言われましたが、県民みんなのですね、県民的な議論が必要だと、人の尊厳にかかわる問題なんで、ですからそうした県民的な議論をスタートさせる意味で、議会での説明の場というものをキックオフにしてですね、これからやっていきたいと申し上げた次第です。

○山陰中央新報 弥重節子 記者

 議会の発議して制定された条例ではあるんですけれども、それが執行できない、執行が難しいということでどうしようかといったときに、片山知事は議会に対して、じゃどうされますかと言ったら、議会側がもうお任せしますというふうに執行部に任しちゃったという経緯があるわけなんですね。ですからもう議会は議会として、この検討結果をどう考え、受け止めるかというのは、それはまた議会の立場で考えられなきゃいけないことだと思いますし、執行部は執行部で受け止めて、それできちんと1つの方式というのを出されるべきじゃないかなと思いますけど。

●知事

 ですからじっくりとですね、時間ある程度かかるかもしれませんが、その答えを出していきたいと思っております。その検討はもちろん我々のほうでも、我々のほうでもというか、我々は我々としてやります。その際に大切なことは前回の経緯もありますので、広い県民の方のですね、ご意見を聞きながら、これは議論を進めていくべきだろうと思っております。

|

平松大阪市政 矛盾抱えて出発

平松市政の行方(上)組織のしがらみどう断つ──支援見送り懸念強く
日経ネット関西 2007/11/20配信

http://www.nikkei.co.jp/kansai/news/news001132.html

 戦後初の民間出身の大阪市長となる平松邦夫氏(59)。有権者は関淳一市長(72)が進めた市政改革の継続ではなく、「市民目線」を訴えた平松氏を選択した。元アナウンサーの経歴などから、従来の閉鎖的な市役所に風穴を開けてほしいとの市民の期待は高い。だが、「大阪を変えよう」と呼び掛けた平松氏には第三セクターの処理問題や危機的な財政状況など課題が山積している。

 「皆さんの組織的な支援の上に立って当選できた」

 当選から一夜明けた19日午前。早朝からのテレビ出演を終えた平松氏は民主党大阪府連に立ち寄った後、連合大阪にあいさつに出向き、川口清一会長らに頭を下げた。

 市役所地下1階の市労働組合連合会(市労連、約4万人)の事務所にある傘下の組合の壁には「当選御礼 平松邦夫」のポスターが張られた。

 民主党、連合の推薦を受けて当選した平松氏に対して向けられる最大の懸念は、大阪市政が効率的な行政運営をできなかった「昔の市役所」に戻るのではないか、というものだ。

 選挙後の会見で「組合との関係などが心配されているが、何も言っていないのに、なぜそう思われるのか」と平松氏は困惑する。

 だが、平松氏の選挙活動では、街頭演説への動員などで市労連が“黒子役”としてフル回転した。市労連幹部は新市長の誕生を「改革は必要だが、労組との対話を重んじる人だと思っている」と歓迎する。

 旧同和行政の縮小に反発する部落解放同盟も支援に動いた。解同大阪府連の幹部は「一方的な事業縮小に歯止めを掛けたい」と期待する。

 民主党は「労組や解同などはあくまでも勝手連的に応援しただけ」と火消しに躍起だ。

 ただ、市労連の有力傘下団体である大阪交通労働組合は選挙戦で最大の争点になった市営地下鉄の民営化問題で組合員の利益を最優先に考えねばならない団体。強力な“集票マシン”が選挙での支援の見返りを求めても不思議ではない。

 実際、市内部からは「かつての労組との蜜月が復活するのでは」との不安の声が上がる。

 「部署自体がなくなるのではないか」。関市長が市政改革を推進するための直轄部署として、昨年4月に設置された市政改革室では19日朝、組織統廃合の憶測が広がった。ある職員は「新市長の就任後の先行きが全く見えない。今手掛けている仕事もどう進めていいか」と不安を口にした。

 平松氏に投票した市民の多くは、しがらみのない市政改革が進むことに期待を込めたのかもしれない。しかし、「民間出身」の看板とは裏腹に、最もしがらみにとらわれた市政運営を余儀なくされる恐れがある。

 大阪市議会の自民党と公明党は19日、相次いで総会を開催。自公の幹事長は会談で今後は“野党”として連携を密にすることを確認した。「野党第1党として新市長と対峙(たいじ)する」(自民の市議)。平松氏は少数与党による難しい議会運営も強いられる。

 「ガラス張りの市政」を訴える平松氏だが、今後踏み出す改革の基盤はガラス細工に似たもろさをのぞかせている。

|

福岡県柳川市 不透明補助金が明るみに

http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/fukuoka/news010.htm

★柳川市に合併した旧大和町で、特定の同和団体に対する不透明な補助金支出が明るみになった。県市町村職員退職手当組合負担金という全く別名目の予算からの支出で、1978年度ごろから約25年間にわたって繰り返され、その総額は1億1250万円にも上った。なぜなのか――。市は当時のタブー視された同和問題に触れ、「仕方がなかった」の姿勢で議会側に説明する。この問題を一斉に各紙が報じると、市役所周辺には街宣車が巡回し、マイクで報道機関や市の非難を始めた。1億円にも上る補助金は、すべて市民の血税だ。明らかにできない税金の使途があって良いはずがない。報道に携わる者として非難に屈するつもりはないが、「仕方がなかった」の説明で市民が本当に納得できるのだろうか。今後も市の対応を注視していきたい。(鶴結城)

(2007年11月16日  読売新聞)

|

鳥取県人権条例から禁止条例に切り替えるな

鳥取県知事定例記者会見(2007年11月8日)
http://www.pref.tottori.lg.jp/dd.aspx?menuid=72313#4

4 鳥取県人権侵害救済推進及び手続に関する条例について

○読売新聞 北島夏記 記者

 人権救済条例のことで。意見書の提出から1週間ほどたちましたけれども、一歩踏み込んで知事のご見解を伺いたいのですが。今後条例づくり、それから施策の樹立、このどちらかの方策が必要だということなんですが。それがどういった体制で進めていくか。それからちょっと先ですけれど、救済条例を仮に作るとしたら、永山会長がおっしゃるには、人員を増やしたり専門家のチームを置いたりとか、それからその道に詳しい専門のアドバイザーを置くなりといった施策が必要なんでしょうが。これでどの程度、例えば人員を増やさなければいけないのか、新しいチームを作らなければいけないのか。そういった条例づくり、それから条例が仮にできた後の、体制をどう考えるかという点を、ちょっと一歩踏み込んでお願いできませんでしょうか。

●知事

 私はこれは順々と広範な議論をやりながら考えていくものだとイメージをいたしております。ですから、ちょっと事務方のほうに言っておりますのは、今度議会が開かれて、例えば常任委員会とか、そうした場もあるはずです。そういうところで、今回の人権救済条例の検討委員会のその答申の中身について議員のほうに説明をして、そこで皆さんの意見を聞くだとか。また、これから何が当面できるか。取りあえずやらなければならないことなどを整理するところから始めるのかなと思ってます。

 ある程度、そういう予算的なことで措置できることもあると思いますし、相談窓口の設置など、充実等、人員の体制とかカウンセリング機能の充実とかいうことも検討を始めなければならないかなと思っております。その過程で当初予算編成までに、来年度以降どういう体制にするかなどを考えてみたいと思ってまして、今はそういう検討の範囲内になりますので、現在の人権救済条例の検討委員会の事務局を持っていた人権局の対応でよろしいかなと思っております。

○読売新聞 北島夏記 記者

 直接の担当は人権推進課でされるということでしたが、それを踏まえた上でお伺いしているのですが、知事の構想としてというのはありませんか、来年度以降で。予算編成を伴うと思うのですが。

●知事

 これからちょっとまず議論をしてみてと思っています。12月の議会の後が2月議会ですから、12月議会で皆さんのお考えなども聞きながらと思っています。

 私としては単純な廃止ということではないんだろうというイメージを今持っています。考え方としては、人権救済の一般条例を作ろうとして、今回それが包括的にすぎるし、行政権の在り方によっては予見しがたい制裁に住民のかたが合う可能性がある。そういうことで条例の設定には、限界というか問題があるというのが率直な検討委員会の指摘だったと思うので、今の救済条例をそのままということは、私はいずれ廃止は免れないかなというように思いますが、廃止を単純にするということだけでもないんだろうと思うんです。

 では、今人権についての問題状況がいろいろと指摘される中で緊急性のあることについて予算でアプローチをされるとか、組織でアプローチをするとか、条例でアプローチをするとか、そこの整理をしていかなければならないと思います。前回の反省を踏まえれば、あまり拙速にならずにある程度時間をかけながら検討をしていくのかなと思っておりまして、時間がかかる理由は単純な廃止ではないということに基づくものです。

|

市補助金めぐる毎日放送の報道-BRC

放送と人権等権利に関する委員会


●第34号  部落解放同盟大阪府連幹部からの訴え 
http://www.bpo.gr.jp/brc/kettei/k034-mbs.html


<北口末広 松山精助 両氏からの申立て>

Ⅰ.申立てに至る経緯

対象となった放送番組

毎日放送の報道番組「VOICE」 
放送時間 2006年11月20日午後6時36分から4分40秒間

 毎日放送は、2006年11月20日の報道番組「VOICE」(関西ローカル)の中で、「大阪市の民間社会福祉施設等に対する償還金補助」を取り上げ、「予算計上しないまま支給しているのは“ヤミ補助金”の疑いがある」と伝え、また、番組内では、当該補助金の支給を受けていた法人は約30あり、この内8法人は部落解放同盟の幹部らが理事を務めていることなどを、該当する2施設の映像などとともに放送した。
 この番組に対し、部落解放同盟大阪府連の北口末広書記長らから毎日放送に「抗議する」との申し入れがあり、12月7日北口氏らが毎日放送を訪れ、口頭で抗議した。
 抗議内容は、「償還金補助は大阪市の制度であり、“ヤミ”補助金ではない」「部落解放同盟関連法人だけが対象ではないのに、意図的に部落解放同盟を叩いている」「年間返済金の『2倍』の補助金が支払われていたというのは事実誤認」など。
 これに対し、毎日放送は12月20日付け文書で次のように回答した。

  「当該補助金は予算計上されておらず、不透明・不適切であり、“ヤミ補助金”という表現は不適切ではない」「部落解放同盟関連法人だけに限定していないことを表現したつもりだが、誤解を招いたことは本意ではない」「04年度に当該施設に2年分の補助金が入金されたのは事実。そうなったのは市側の事務手続きの遅延で2年分が同一年度に支払われたと説明しており、報道内容は事実誤認ではない」

 この後、3月14日付けで部落解放同盟大阪府連の北口書記長から毎日放送(山本社長宛)に「06年11月20日放送の『VOICE』についての再質問と要請」という文書が送られ、「部落解放同盟を殊更に強調していないか」「社会福祉法人側や部落解放同盟に問題があったのか」「部落解放同盟の支部長や府連書記長の肩書きを報道する必要があったのか」など8項目について質している。これに対し、毎日放送は4月3日付けで北口氏宛に「再回答書」を送り、項目別に答えるとともに、「大阪市の公金支出の問題点を指摘した本件報道は、その目的の公益性からみても正当なものだ」としている。
 この毎日放送の「再回答」を受けて、北口氏らは「毎日放送に対し謝罪とVOICE報道によって広がった誤ったイメージの是正を求めていたが、その前段階である見解に大きな違いが存在しており、このままでは私達の求めていることが理解されない」として、局側との交渉をやめ、6月11日付けでBRCに申し立てた。

Ⅱ.申立ての要旨

1.名誉侵害

 「償還金補助」に関しての報道で、部落解放同盟やそのリーダーである個人が関係している法人を殊更に強調して「特別な補助金」が支給されていたとした点は事実に反し、申立人の名誉を侵害している。
 この「償還金補助」は、約30年間続けられてきた制度で、他の多くの施策や補助も同様だったのに、なぜ殊更部落解放同盟と結び付け、「不透明さ」とともに報道したのか理解できない。
 また、大阪市の事務手続の遅れから、補助金が2年分同一会計期間に入ったことは、報道前に分かっていた事実であるにもかかわらず、「部落解放同盟大阪府連の書記長が理事を務める旭区内の法人施設の場合、年間の返済金の元金307万円であったのに、なぜかその2倍に当る614万円の補助金が支払われていました」という報道は、部落解放同盟やその幹部である申立人の「マイナスイメージを助長し」「名誉を侵害した」と言わざるをえない。
 被申立人の毎日放送は「本件報道の主旨は『償還金補助』支給手続の不透明さで、あくまで大阪市の問題であって、部落解放同盟に何らかの責任があるとは考えていない」としているが、当該番組をどのように視聴しても、部落解放同盟を標的にしたものとしか考えられない。
 そのうえ、住民監査請求に対する監査結果も「償還金補助の交付決定について恣意的な選択や不平等な取り扱いを行っていたなどをうかがわせる事実は存在せず」と明確に述べているのに、毎日放送は、監査委員指摘の「一部法人を優遇しているのではないかとの不信を抱かせるような取り扱いを改める必要がある」とのくだりだけを強調している。
 これらを総合すれば、報道は行き過ぎた演出であり、申立人の社会的評価を低下させ、その名誉を侵害したものといわざるをえない。 

2.本件報道の表現の仕方及び取材のあり方について

 大阪市の会計処理の遅れで過年度分が次年度に支出されたに過ぎないことを、取材者側は承知していながら「部落解放同盟大阪府連の書記長が理事を務める旭区内の施設の場合、2倍に当たる補助金が支払われていた」と報道したのは、極めて悪意に満ちた意図的なものとしか考えられない。本件報道においては、結局そのナレーションの直後に大阪市の担当者のインタビューで、単なる市の事務手続の遅れであったと分かるような構成になっているものの、表現の仕方としても大いに問題がある。
 毎日放送は答弁書で「杜撰きわまりない実態は伝えるべき情報と判断した」と述べているが、そうなら当初から正確に「大阪市の杜撰な会計処理で2年分をまとめて支出した・・」と報道すべきで、「部落解放同盟大阪府連の書記長が理事を務める」と報道する必要は全くない。
 また、当該番組では、部落解放同盟の名前が5回も登場しているにもかかわらず、部落解放同盟やそのリーダーである個人への取材は一切なかった。こうした取材姿勢には大きな問題がある。

Ⅲ.答弁の要旨

1.名誉侵害との主張に対して

 本件報道は、あくまでも大阪市の補助金行政の不透明さを伝えようとしたものであるが、そのことを具体的事実として報道するに当たって、必要なことがらと判断して部落解放同盟やその関連法人に触れざるをえなかった。
 「2倍に当たる補助金が支払われた」という表現については、行政のずさんさ、つまり大阪市の会計処理の遅れが原因であったことは放送したとおりで、事実関係に誤りはない。この「2倍」の償還金補助を受給した事実を伝えたことによって、申立人のマイナスイメージを助長したとは考えられない。
 本件の「償還金補助」は、一部法人を“優遇する”制度と考えられること、その一方で、過去の事例から部落解放同盟に対する大阪市の「特別扱い」があったことなどを踏まえれば、本件報道において、部落解放同盟との関係に着目するのは必然なことであると判断し、その公的存在や公的立場からして、事実関係を摘示するために必要な要素として報道したもので、部落解放同盟や申立人の社会的評価を低下させるものではない。
 仮に本件報道が部落解放同盟、ひいては肩書で表示された申立人の社会的評価を下げ、その名誉を侵害するものであったとしても、真実性、または真実と信じたことに相当性があったとの観点から不法行為としての名誉侵害は成立しないものと考える。
 すなわち、「償還金補助」の支給先をみたとき、補助対象となりうる512施設のうち、部落解放同盟、人権協会幹部が理事を務める法人施設はのべ42、このうちのべ20施設が補助の対象となったわけで、「償還金補助」を受けた全50施設に占める割合は40%となっており、他施設に比べ補助を受けている割合はきわめて高いといえる。
 住民監査請求については、監査結果は結論としては棄却だが、それは「違法性が認められなかった」ということに過ぎない。当方が「答弁書」で述べたとおり「不信を市民に抱かせるような取扱いについて改める必要がある」として、監査委員が「償還金補助」の運用について大阪市に改善を求めたのも事実である。申立人が、「違法不当とまでは言えない」という監査結果の結論だけを強調するのは、都合の良い解釈のように思われる。

2.本件報道の表現の仕方及び取材のあり方について

  申立人が、「2倍にあたる補助金が支払われていたと報道したのは極めて悪意に満ちた意図的なもの」と批判している点についてだが、この「2倍」という表現は、取材の過程をほぼ時系列に沿って示そうと用いたもので、ニュースでは、いきなり結論を示さず、このように時系列に沿って取材経過を伝える方法がよく採られる。最終的に、「2年分」だったことをはっきり示しており、「2倍」受け取ったと誤解を招くことはないと考える。
 「部落解放同盟や申立人に対する取材が一切なかった」と申立人が主張していることについては、本件報道はあくまで社会福祉法人への補助金のあり方に疑問を呈したもので、部落解放同盟は直接補助金が支給されているわけではないため取材はしていない。放送で建物の外観映像を使用した2法人に対して、事実確認のための電話での聞き取りや外観を撮影しニュースで放送することの告知を放送前に行った。
Ⅳ.委員会の判断

 当委員会は、申立書、答弁書、申立人からの反論書、被申立人からの再答弁書ならびに各書面に添付された資料を検討するとともに、被申立人から提出された当該番組の録画を視聴し、また当事者双方からの意見を聴取した上、以下のとおり判断する。
1.申立人資格について

 本件報道は、前記のとおり、大阪市の民間社会福祉法人に対する補助金の支出における不透明さを「ヤミ補助金」との表現を用いつつ、「部落解放同盟の幹部が理事を務めていたり、大阪市のOBが天下りしているなどの法人」が対象となっていると報じ、さらに具体例として「当時市職員で解放同盟の支部長が理事を務める淀川区内の法人」、「部落解放同盟大阪府連の書記長が理事を務める旭区内の法人」を挙げるとともに、本件報道の中で、「部落解放同盟」または「解放同盟」という名称が5回使われている。
 そこで肩書を付された北口申立人は部落解放同盟大阪府連の書記長を約10年間務め、松山申立人は市職員にして部落解放同盟大阪府連の加島支部長の地位にあるところ、本件報道によって、その個人的名誉を侵害されたとして本件申立てを行った。
 しかしながら、本件報道では、部落解放同盟における肩書は報じたものの申立人両名の個人名を摘示しておらず、原則として個人からの苦情申立てに対応する当委員会の役割に照らし、申立適格を欠くのではないかとの疑問がある。すなわち部落解放同盟における肩書だけでは一般視聴者から見た場合、申立人らを個人として特定できないのではないかとの疑問である。
 この点について、当委員会は慎重に検討した結果、部落解放同盟自体が組織としての規模、その活動の歴史、その果たしている社会的役割、影響力が大きく、10年間にわたってその府連の書記長という要職にあった北口申立人については個人としても知名度も高く、その肩書表示だけでもこの番組を見た多数の視聴者は同申立人を個人として特定して認識できるものと判断し、他方、松山申立人についてはその肩書表示だけでは同申立人個人を特定できないので、当委員会は本件全体を北口申立人による申立てと見て実質的審理に入ることとした。(以下単に「申立人」というときは北口申立人を指す)

2.本件報道による名誉侵害の成否について

 本件報道はこの事実を報じるに際し

① 「奈良の次はまたまた大阪市」とのナレーションで始まり、

② 「部落解放同盟の幹部が理事を務めていたり、大阪市のOBが天下りをしているなどの社会福祉法人に対し、大阪市が特別な補助金を支給していたことが分かりました。」とのキャスターの発言があり、

③ これに関連して部落解放同盟のシンボルである荊冠旗を掲げる福祉施設の外観映像を用いつつ、「当時市職員で、部落解放同盟の支部長が理事を務める淀川区内の法人」を特定して1300万円余の補助金受給の事実を摘示し

④ さらに上記法人とあわせて「部落解放同盟大阪府連の書記長(申立人)が理事を務める旭区内の法人」に言及し、「年間の返済元金が307万円であったのに、なぜかその2倍にあたる614万円の補助金が支払われていました。」と説明する
 など、不透明な補助金制度と部落解放同盟とを強く関係づけ、番組内で補助金を受けていた他の法人については具体的に触れることなく、部落解放同盟ないし解放同盟の呼称を5回も使用して報道した。
 本件報道によって、部落解放同盟が、毎日放送がいうところの「ヤミ補助金」に深くかかわっているものとして印象づけ、部落解放同盟大阪府連書記長として知名度の高い申立人の肩書を表示したことによってその社会的評価を低下させたことは否定できない。
 そこで、本件報道により申立人の社会的評価が低下したと認められる場合に、名誉侵害行為と表現の自由に関する一般的に承認されている法理、すなわち、「その行為が公共の利害に関する事実に係りもつぱら公益を図る目的に出た場合には、摘示された事実が真実であることが証明されたときは、右行為に違法性がなく、(中略)右事実が真実であることが証明されなくても、その行為者においてその事実を真実と信ずることについて相当の理由があるときには、右行為には故意もしくは過失がなく、結局、不法行為は成立しない」(最高一小昭和41.6.23判決民集20-5-1118)に照らし、本件報道により申立人の名誉を侵害する不法行為が成立するかについて検討する。
 まず第1に、本件報道について、上記の「公共性」「公益目的性」が認められるかどうかについてであるが、当該番組の意図するところが、民間社会福祉法人の借入金に対する大阪市の償還金補助制度の運用において、長年に亘り制度の存在自体がすべての社会福祉法人に周知されることもなく、したがって、交付基準も明確でなく、事実として一部の法人を優遇するものとなっていたことを指摘し、その問題点を報じるところにあったという点において公共性、公益目的性があったことは容易に認められる。
 第2に、申立人は、これらの報道内容が不透明な補助金と部落解放同盟との関係だけを殊更に強調することで、部落解放同盟の名誉、ひいては肩書で名指された幹部個人(申立人)の名誉を違法に侵害したと主張しているのでその点について、報道内容の「真実性」「真実と信じたことについての相当性」という観点から検討することとする。
 そこで上記の視点から当該番組を見た場合、視聴者の受ける印象としては、当該報道が、大阪市の補助金行政の不透明さを指摘したということだけではなく、受け手の側に部落解放同盟関係の法人が比較的多数を占めていたとの事実をこのような形で報道することによって、大阪市が部落解放同盟の関係する法人を他に比べて優遇していたとし、大阪市のみならず部落解放同盟に対する批判的視点を提供しようとしたものと受け取るのが自然である。
 (ちなみに毎日放送は、本件報道はあくまで大阪市の補助金行政のあり方を追及したもので、部落解放同盟を批判の対象としたものではないと繰り返し主張しているが、他方では部落解放同盟幹部と大阪市との利権をめぐる不祥事が続いたという歴史的背景、また、補助金を受けていた法人、施設について部落解放同盟関係の法人、施設が有意の多数を占めているという事実があり、そのことからすれば部落解放同盟をこのように強調して報道することが事件の背景説明として不可欠であったとも言うのであるが、その説明はかならずしも一貫したものとして人を納得させるものではない。これだけ部落解放同盟との関連性を強調して報道するのであれば、部落解放同盟側にも問題があるのではないかという批判的視点からも報道したと説明し、それを前提に「真実性」もしくは「真実と信じたことについての相当性」を主張した方がより率直で分かりやすかったであろう。)
 そこで、当委員会としては、まず、毎日放送が当該補助金制度の不透明性、杜撰さについて、これと部落解放同盟との関係を強調して報道したことについて、それが「真実」であるか、または「真実と信じたことについての相当性」が認められるかどうかを判断することとする。
 当委員会としては、検討の資料として、この問題について住民から起こされた同和地区福祉法人8社に対し、平成13~17年度にわたり違法不当に支出された4億円の補助金相当額等を市に返還させるなどの勧告を求める監査請求を受けて大阪市監査委員会が、当該補助金を受けた7法人21施設に係る平成17年度支出分について報告した監査結果(平成19年2月7日付け)を参照した。

     
      監査結果は、当該補助金制度について

① 「条例・規則も制定せず」については、平成16年になって前記条例・規則が制定されていたということで、違法、不当とはいえない。

② 「一般に知らせず」の点については、「補助金の公益性からみて、不適切な取扱いであったと認められるものの、公益性を失わせる決定的な事情と言うこともできず、・・・・・違法不当とまでは言えない。」

③ 「予算にも計上しないで密かに」については「補助金の必要性や有効性を明確化する観点からみて、不適切な取扱いがあったと認められるものの、・・・・・・違法不当とまでは言えない。」

④ 「独自に補助金交付対象を選び」については「本市職員等は、行政としての施設整備計画、各地域におけるニーズや個別の事情、経営状況を踏まえ、相応の補助対象に交付決定を行っており、また、現に、本件請求に係る施設に限らず、他の多数の施設にも交付され(平成17年度60施設)、加えて、経営上状況等が好転した場合には補助を打ち切るなどの対応をとった事例もあるところである。そうすると、いずれにしても本件交付決定について、特に恣意的な選択や不合理な基準による不平等な取扱い等を漫然と行っていたなどの事情をうかがわせる事実は存在せず、違法不当とまでは言うことはできない。」
 との理由で「本件請求には理由がない。」とする結論を出す一方、最後に「意見」として「本市は、今後、当該補助金を予算化するなど、交付決定の一層の透明化を図り、一部の社会福祉法人等を優遇しているのではないかとの不信を市民に抱かせるような取扱いについては改める必要がある。」と述べている。
 すなわち、名指しはしていないものの、部落解放同盟に対する優遇的取扱いについて出された監査請求に対して、市長らに返還を命じなければならないほどの違法不当性があるとまではいえないが、一般に周知していないこと、予算に計上せず、密かに行われていたことなどは不適切とし、最後に上記のような意見を付したことは、少なくとも制度の運用において一部法人を優遇してきたと疑わせるような灰色の状態が長年にわたって続いてきていたことを事実上認めたものと理解される。
 また、資料によれば、当該補助金の交付対象法人の中で、部落解放同盟の関係する法人が比較的多数を占めていたことが認められる。なお、申立人は、被申立人が答弁書(5頁の(6))において被申立人の調査の結果、部落解放同盟が関連する法人の割合が多かったとの主張について、その政策的必要性について論じているが、その事実自体について積極的には否定していない。
 さらに、毎日放送は、本件に先立って明るみに出た部落解放同盟幹部が関係する事件、すなわち経過的には多額の補助金の使途が不明であったり、迂回融資で多額の貸付金が回収不能となったとされる旧芦原病院事件があり、直接には部落解放同盟の幹部が業務上横領容疑などで逮捕された飛鳥会事件などを取材していた過程において、それが端緒となって当該補助金についてもこれを受けていた法人の中で部落解放同盟の関係する法人が比較的多数を占めてきたとの認識を持っていたものと認められる。それらの事実関係のもとにおいて、被申立人が本件報道を行うに当たり、そのような認識のもとに、前記2冒頭の①~④のとおり当該補助金運用の実態を部落解放同盟と関連づけて報道したこと(申立人がヒアリングにおいて最も問題視している④については、後記のとおり表現方法には問題があるものの、同一放送中で、大阪市職員の説明を放送し、この番組の視聴者に、2倍の補助金は2年度分の一括支払いであり、単年度に2倍支払ったのでないと一応理解できる放送がなされている。)自体については少なくともこれら報道した事実を真実と信ずるについて相当の理由があったというべきである。
 そして、上記本件報道の内容に照らし、その報道に放送倫理違反があったともいえない。
 以上のとおりであるから、当委員会としては、本件報道をするについて被申立人に故意、過失はないから、名誉侵害の不法行為は成立せず放送倫理に違反するところもないと判断する。

3.本件報道における表現の仕方等について

 しかしながら本件報道については表現の仕方等において次の点において看過できない問題があると思えるのでその点を指摘しておきたい。
 本件報道では、申立人が理事を務める旭区内の法人について、「なぜか2倍の補助金が・・・」と、あたかも同法人に何らかの不正があったかのごとく興味を起こさせる手法を用い、結果的には大阪市の職員に対するインタビュー映像で、遅れていた1年分が加算されたに過ぎなかったということになるのであるが、だとすれば何ゆえに部落解放同盟幹部として申立人の肩書を付してまで報道する必要性があったか、極めて疑問である。答弁書に言うごとく「取材過程を時系列で示す」のであるならば、「当初はそういう疑いがあったが、取材過程では単なる事務手続きの遅れと判明した」とするだけで十分であり、それでは報道としてのインパクトがないというのであれば、所詮それだけの事実でしかなかったということであって、部落解放同盟幹部の肩書を付してセンセーショナルに報道したことは、放送倫理違反とまではいえないまでも、不適切であったといえる。問題は市の事務当局の杜撰な処理ということになるであろうが、他方、同法人が特に経理上この遅れをチェックして、積極的に交付を求めた形跡がないことから、このような補助金がなければやっていけないという切実な状態にはなかったのではないかとの疑念が生じるが、それは当該法人に対する補助金交付の必要性があったかどうかという観点から別途取り上げられるべきことであろうし、反対取材の点も含め、報道対象となる法人、施設、役員等に対する適切な取材を行うべきであったと考える。

4.結論

  以上述べたとおり、本件報道は、大阪市の不適切な補助金行政の実態と、この補助金をめぐり、大阪市が部落解放同盟の関係する法人に対して一定の優遇的取扱いを行ってきたのではないかとの見方から、視聴者に対して両者に対する批判的視点を提供しようとしたものである。
  委員会は、そのように両者を関連させて報道したことにおいて、部落解放同盟大阪府連の書記長である申立人が、補助金交付の対象である法人の理事として肩書を表示されたことによる名誉侵害は成立せず、放送倫理に違反するものではないとの結論に達したが、なお表現のあり方等において、より正確、公正な報道を心がけることを要望するものである。

審理経過 
http://www.bpo.gr.jp/brc/kettei/s034.html

 

|

小西被告が病死 解明途上

「飛鳥会事件」の小西被告が病死
2007年11月10日

http://www.asahi.com/national/update/1110/TKY200711100178.html

 大阪市の財団法人「飛鳥会」の元理事長で、業務上横領などの罪に問われて1月に大阪地裁で懲役6年の実刑判決を受けた小西邦彦被告(74)=大阪高裁に控訴中=が9日夜、肺がんのため奈良市の自宅で死去した。

 小西被告は大阪市にある部落解放同盟飛鳥支部の支部長として40年近く同和運動に携わった。飛鳥会が大阪市側から約30年にわたり運営を委託されていた駐車場の収益を着服したとして、06年5月に大阪府警に逮捕された。地裁判決で認定された着服額は1億3120万円にのぼり、現在は保釈中だった。

 飛鳥会事件では、旧三和銀行による小西被告側への巨額融資の焦げ付きも表面化し、金融庁が今年2月、三菱東京UFJ銀行に法人新規融資7日間の業務停止命令を出している。同和行政のゆがみなどを浮き彫りにした事件だった。

|

人権擁護法案 疑問は解けず 鳩山法相元秘書

代議士まわたり始末控
衆議院議員 まわたり龍治のブログです。 
http://blog.mawatari.info/?day=20071106

2007.11.06 Tuesday
要注意
執筆者 : 馬渡龍治
先ほどまで稲田朋美代議士が会長を務める「伝統と創造の会」で人権擁護法案についての勉強をしました。

まだはっきり全容がわかりませんが、今の時点で判っているのは、人権委員会法務大臣の指揮・監督を受けない独立した人権機構です。全国に14,000人の人権擁護委員がいます。その人権擁護委員会の上に新たに人権委員会が設置されます。その委員の選任は国会の同意人事です。承認された委員は任期が3年あります。独立した強い権限を持つこの委員会が仮に行き過ぎたことがあったとしても、大臣は歯止めをかけることはできません。

「人権擁護委員の資格・選任基準は特定の人権課題や法律等の領域に専門性を有する者。人権擁護に取り組んでいる各種団体のメンバー。外国人の中からも適任者を選任する事を可能とする。選任方法は市町村長の推薦に基づく現行の選任方法を原則として維持」となっています。仮に革新市長が誕生すれば、特定の人たちが逆に強い権限を持つ可能性だってあります。特に外国人を委員に選任するのは反対です。あらゆることで、「人権侵害だ」と権限を振りかざす事だってできるようになります。

13年5月に答申された、人権擁護推進審議会の「人権救済制度の在り方」には過料などで担保された質問調査権、文書提出命令権、立入調査権が必要とあります。従わなければ30万円以下の過料があります。このまま成立すると、“怖くて何も言えない”、“何かあれば、何でも訴えてしまう”ギスギスした社会になってしまいます。

人権擁護については、いまの憲法と民法で対応できないのでしょうか。



プロフィール
馬渡龍治
昭和32年(1957年)7月26日生まれ 49歳

http://www.mawatari.info/

■経歴
上智大学理工学部卒業
社会教育団体職員(国際交流担当)
労働大臣秘書官
衆議院議員鳩山邦夫政策担当秘書


|

同和高度化 やり逃げ得 許せない 京都

同和高度化資金滞納問題で監査請求
http://almarid.blogzine.jp/footnotes/2007/11/post_e40d.html

京都府が同和対策事業として行っていた高度化資金貸付制度で、巨額の延滞金が生じているにもかかわらず、京都府は回収を怠っているとして、市民ウォッチャー・京都は11月6日、京都府監査委員に対し、適切な回収活動をすることなどを求める住民監査請求を行った。

|

奈良市元職員事件 自己破産だろう。

長期病欠元職員 不当給与2200万円 返還2000円 

保釈金差し押さえられず 奈良市

http://www.sankei-kansai.com/01_syakai/sya110801.htm


 奈良市の長期病欠問題で懲戒免職となり、不当に受け取った給与約2200万円の返還請求訴訟で全面敗訴が確定した元職員(43)=職務強要罪で有罪確定=について、返還が一向に進まず、市がこれまでに回収できたのはわずか約2000円にとどまっていることが7日、分かった。市はいったん保釈金の差し押さえ方針を決めたが、保釈金を支出したのが本人ではなかったため断念したことも判明。目ぼしい資産はなく早期回収は困難な見通しで、今後、市の対応が問われそうだ。

 民事訴訟の判決などによると、元職員は平成13年1月から18年10月の間に、内容虚偽の診断書を繰り返し提出。計10種類の病名で、給与が全額支給される病気休暇を46回、8割支給の病気休職を2回取得し、実質8日しか出勤しないまま不当に給与を受け取っていた。

 市は今年4月、この間に支給された計約2200万円の返還を求めて奈良地裁に提訴。元職員は第1回口頭弁論に出廷せず、答弁書も提出しなかったため即日結審し、地裁は7月、市側全面勝訴の判決を言い渡して、同月確定した。

 しかし、元職員からはその後も返還の意思表示すらなく、市は職務強要事件の保釈金500万円や預貯金の差し押さえ命令を求める申し立てを地裁に行う方針を決定。7月31日に開かれた市議会委員会でも、その意向を表明した。

 ところが、双方の代理人同士が交渉を進める中で、保釈金は本人が支出したものではなく、差し押さえが行えないことが判明し、市は申し立ての方針を撤回。さらに、税務署に対し、元職員が不当に受け取った給与にかかる所得税や住民税などの返還を請求したが、税務署からはいまだ回答がないという。

 市は元職員名義の3つの銀行口座は差し押さえたが、残高はわずか2299円だった。地裁に求めた財産開示でも、ほかにあてにできる資産はなかったという。

 (2007/11/08 7:44)

|

韓国 差別禁止法案

韓国 差別禁止法案から「性的指向」など7項目削除
2007/11/06 

http://gayjapannews.com/news2007/news237.htm

(ソウル)韓国法務省は、8日に韓国国会に提出される見通しの差別禁止法案から、当初差別禁止対象として盛り込まれていた「性的指向」など7項目を削除した。韓国国内のLGBT権利団体や国際人権団体から、非難と法案再検討を求める声が上がっている。

差別禁止法の制定は、盧武鉉(ノムヒョン)大統領の公約のひとつ。先月2日に法務省が法案の内容を国民に公開したが、その時点では「性的指向」など20項目に基づく差別禁止が盛り込まれていた。

しかし、韓国の「レズビアン・カウンセリング・センター」によると、8日国会に提出される見通しの法案からは「兵歴、国籍、言語、家族形態、犯罪や拘留歴、性的指向及び学歴」の7項目が削除されているという。

韓国の国家人権委員会法は、削除された7項目のうち「兵歴」と「言語」を除くすべてについて、それらに基づく差別を「平等権侵害の差別行為」と規定。差別禁止法は、国家人権委員会による調査権限や人権を侵害された個人への救済を充実させることにより、国家人権法が規定する基本的人権の保障を強化するものだった。

7項目の削除について、ヒューマン・ライツ・ウォッチのジェシカ・スターン研究員は「大きな失望感を覚える」と話している。

7項目中、特に法案反対派から批判を浴びたのは「性的指向」に基づく差別規定。保守派キリスト教国会議員からなる議員連盟は今月、法案に反対する集会の開催を予定しており、胚クローンに反対する科学者団体(Assembly of Scientists Against Embryonic Cloning)は、「同性愛者は、成人を含むすべての人をそそのかし、その被害者は同性愛者にさせられる」「(法案が成立すれば)同性愛者によるセクシュアル・ハラスメントが増加する」などの文書をすべての省庁に送付した。同組織の代表は、先月、「同性愛が認められれば、道徳は直ちに崩壊し、社会は動物の世界になるだろう」と発言した釜山大学のGill Wonpyong教授。

7項目の削除について、ヒューマン・ライツ・ウォッチが法案の再検討を求める声明を出した他、レズビアン・カウンセリング・センターが「同性愛者差別を助長する盧武鉉政権を糾弾する」との声明を発表。同センターは、韓国内外の人権団体やLGBT団体に対し声明への賛同を呼びかけており、日本では、レズビアン・サイト「デルタG」が賛同を取りまとめている。締め切りは7日午後6時。賛同団体名の入った声明文は8日、韓国国会に提出される。

|

破産か再生支援政策の強化か。保証人制度の見直しも課題。

総量規制 60万人自己破産も 11月7日

http://www3.nhk.or.jp/news/2007/11/07/d20071107000017.html   

  貸金業法の改正で、消費者金融などの貸し出しの総額を借り手の年収の3分の1に制限する、いわゆる「総量規制」が、2年半後をめどに実施されますが、この規制の実施後には、60万人が新たな借り入れができずに、自己破産に陥る可能性があるという調査結果がまとまりました。

  この調査は先月、「NTTデータ経営研究所」が、消費者金融などからの借り入れの経験のある3700人余りを対象にインターネットを通じて行ったもので、30%近い1100人が回答しました。調査では、年収に占める借り入れの比率を尋ねたところ、「総量規制」の上限に当たる「年収の3分の1を超えている人」が41%、また、年収の3分の1を「超えている可能性がある」と答えた人が、24%に上った一方、「年収の3分の1未満」と答えた人は31%にとどまりました。さらに、借り入れの総額が年収の3分の1を超える人に総量規制が導入されたあと、どのように返済するか尋ねたところ、「節約する」という人が73%と多数を占めましたが、「自己破産する」と答えた人が21%に上りました。調査をした研究所では、この回答を基に推計すると、融資の「総量規制」の実施で60万人が自己破産に陥る可能性があるとして、今後は、融資を受けられない人を対象とした相談窓口の整備などを急ぐことが大きな課題になるとしています。

|

自民若手議員が人権擁護法案を批判

自民若手議員が人権擁護法案を批判
2007.11.6

http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/071106/stt0711061902007-n1.htm 

 自民党若手議員の「伝統と創造の会」(会長・稲田朋美衆院議員)は6日、党本部で会合を開き、政府が来年の通常国会に再提出を検討している人権擁護法案に反対していく方針を決めた。

 会合には稲田氏ら11人が出席。法務省担当者が同法案の趣旨や経緯などを説明。出席者からは「人権侵害の定義があいまいだ」「人権委員会の権限が強すぎる」など批判の声が相次ぎ、今後も勉強会を続けていくことになった。

 人権擁護法案は14年3月、政府が国会に提出したが、メディア規制条項をめぐり、野党や報道機関が反対し、15年10月の衆院解散に伴って廃案となった。その後、与党の「人権問題懇話会」が17年7月、法案の再提出を目指したが、平沼赳夫元経産相や安倍晋三前首相らが強く反対し、再提出を見送った。

 ところが、9月末に福田政権発足後、鳩山邦夫法相は、法案の再提出を明言。安倍前政権では空席だった自民党人権問題調査会の会長に、太田誠一元総務庁長官が就任し、法案再提出に向けた環境が整いつつある。



平成18年2月10日新人議員34名による「伝統と創造の会」が発足致しました。
その折の設立趣意書と稲田朋美会長挨拶を掲載します。
(正式設立日:平成18年2月11日建国記念日) 

http://www.inada-tomomi.com/dento-souzou/seturitu.html


伝統と創造の会
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BC%9D%E7%B5%B1%E3%81%A8%E5%89%B5%E9%80%A0%E3%81%AE%E4%BC%9A

|

鳩山法務大臣 テロがうろうろ。大臣辞任だろう。小沢辞任の陰で。

<鳩山法相>「日本にテロリストがいる」と発言
11月4日0時38分配信 毎日新聞

http://mainichi.jp/select/seiji/news/20071104k0000m010110000c.html

 鳩山邦夫法相は3日、地元選挙区の福岡県久留米市で「日本にテロリストがいる」と発言した。鳩山法相は先月29日には、外国特派員協会での講演で「私の友人の友人にアルカイダがいる」と発言し、町村信孝官房長官に「軽率な発言」と注意されている。

 鳩山法相は同市の祭りの席でマイクを持ってあいさつし「事実を言うと、みんながびっくりしてマスコミが騒ぐわけでありまして。とにかくこの国をテロから守る。テロリストの怖いのが平気で日本をうろうろしている。私はその事実を知っているから申し上げている」などと語った。


小沢氏が代表辞任の意向表明 「政治的混乱のけじめ」
2007年11月04日16時56分
http://www.asahi.com/politics/update/1104/TKY200711040051.html?ref=goo

 民主党の小沢代表が4日夕、党本部で緊急記者会見を開き、代表を辞任する意向を表明した。小沢氏は、鳩山由紀夫幹事長に代表辞職届を渡し、進退を預けたと説明。福田首相との党首会談によって「政治的混乱が生じたことのけじめをつける」と代表辞任の理由を述べた。

 また、小沢氏は「離党するとは言っていない」と語り、民主党を離党する考えはないことを表明。「今後の政治活動はこれからゆっくり考える」と語った。

 小沢氏は福田首相と2日間計3回にわたる党首会談を行い、大連立構想などについて話し合った。この中で首相から連立協議に入るよう呼びかけられたため、小沢氏は党内に持ち帰って党役員会に諮ったうえで、拒否することを決めた。この経緯をめぐり、小沢氏の対応に党内から反発の声が上がっていた。

 小沢氏は06年4月、前原誠司氏の辞任を受けた代表選に立候補し、菅直人氏を破って代表に就任。今年7月の参院選で大勝し、民主党を参院第1党に躍進させた。さらに、次の総選挙に政権交代をかけるとして、安倍、福田両政権への対決路線を主導していた。

|

取県人権救済条例「廃止は避けられない」

鳥取県人権救済条例見直し検討委員会の会長、永山正男鳥取大学教授は二日、検討結果に基づく差別禁止条例など三パターンの条例案を盛り込んだ意見書を平井伸治知事に手渡した。平井知事は、施行停止中の現条例の廃止は避けられないとの見解を示す一方、新たな条例については「国の人権擁護法案の行方や議会、県民の声を聞いて対応を考えたい」と慎重な姿勢を見せた。
http://www.sanin-chuo.co.jp/news/modules/news/article.php?storyid=444897005



鳥取県人権侵害救済条例の見直し検討委員会(会長・永山正男鳥取大学副学長)は二日、施行凍結中の現行条例の事実上廃止を盛り込んだ意見書を平井伸治知事に提出した。平井知事は「条例の廃止は避けられない」と述べ、県議会や県民の意見を聞いた上で判断する意向を示した。人権侵害の救済を望む声は減っておらず、新条例の制定を含む適切な救済施策について、知事の政治的判断が注目される。

http://www.nnn.co.jp/news/071103/20071103003.html

|

慌ただしい自民。太田の出番か。鳩山も福岡で

人権問題等調査会長に太田氏
11月1日8時1分配信 産経新聞


 自民党は31日、空席だった人権問題等調査会会長に太田誠一元総務庁長官を充てる人事を決定した。同調査会は、人権擁護法案をめぐる議論を行ってきたが、昨年10月、中川昭一政調会長(当時)が会長ポストを空席としたことで機能停止の状態が続いていた。 

|

« 2007年10月 | トップページ | 2007年12月 »