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ネット規制に道開くもの

情報通信法構想:自由制約、危惧も ネットに共通ルール
http://www.mainichi-msn.co.jp/keizai/it/coverstory/news/20070627org00m300068000c.html

 通信・放送法制の抜本的な見直しを検討してきた総務省の研究会が「中間取りまとめ」を公表した。通信・放送の融合、連携を進めるために規制緩和をうたったはずの情報通信法構想は、放送や通信、インターネットのコンテンツ(情報の内容)に関与できる総務相の権限を強め、表現の自由を制約するのではないかと波紋を呼んでいる。論点を整理した。

 今月21日に東京・霞が関で開かれた日本弁護士連合会主催のシンポジウム「放送が危ない!」。その2日前に総務省の研究会が打ち出した情報通信法構想がさっそく取り上げられ、パネリストらからは懸念の声が上がった。

 テレビ朝日記者だった岩崎貞明・メディア総研事務局長は「いよいよ(番組内容も審査される)事業免許になるのか。いろいろ問題もある」と危惧(きぐ)の念を示した。

 現行のテレビやラジオの放送免許は、番組基準などを定めた放送法ではなく、無線局という施設の管理などについて規定した電波法に基づいて交付される。行政が番組内容の妥当性に踏み込まずに免許交付の可否を審査する仕組みにし、放送の自由を保障するための知恵だと考えられてきた。

 ◇番組内容審査、萎縮もたらす

 岩崎氏が懸念したのは、番組内容に踏み込みかねない「適合性審査」を中間取りまとめが打ち出したからだ。

 岩崎氏は「総務相が再免許に当たって直接、テレビ局の番組内容を審査する権限を持つことになり、非常に危険だ。恣意(しい)的な判断の余地が大きくなる恐れがある」と指摘する。また、ある民放関係者も「現在でも免許権を持つ総務省に対して、放送局ははっきりモノを言えない。さらに拍車がかかり、萎縮(いしゅく)効果は大きい」と懸念する。

 これに対して、総務省情報通信政策課は「適合性審査は、CSなど委託放送事業者に対する現行の審査のようなイメージで、規制を強化するものではない」と説明し、表現の自由を制約することはないとの立場だ。

 中間取りまとめで関心を集めているのが、公然通信(仮称)と名付けたホームページやブログへのコンテンツ規制だ。新聞社や通信社による記事のネット配信も公然通信に該当するという。

 現在、ホームページやブログ、掲示板などの記述は、一定の条件を満たせば、インターネット接続業者が悪質な書き込みの被害者からの求めに応じて、相手の氏名や住所を開示しても民事上の責任を負わないことなどを規定した「プロバイダー責任制限法」以外には、原則として規制のない分野だ。

 ◇有害情報や中傷、規制の要望強く

 その一方で、わいせつ映像や、音楽や番組、パソコンソフトの不正コピーなど違法コンテンツの流通、18歳未満の青少年に有害な情報、誹謗(ひぼう)中傷やプライバシー侵害に対する法規制を求める声も小さくない。

 このため中間取りまとめも、違法・有害コンテンツの流通に関する最低限の配慮事項として、関係者全員が順守すべき「共通ルール」の策定を提言した。接続業者らによるコンテンツの削除基準の法的な根拠とするという。また、都道府県が定めた青少年健全育成条例の有害図書販売規制を参考にした規制導入を検討することを求めた。

 しかし、こうした法的規制は、表現の自由を侵害するのではないかという指摘も出ている。

 日本ペンクラブ言論表現委員会委員長を務める山田健太・専修大准教授(メディア法)は、日弁連のシンポジウムで、会員作家の発言を大手接続業者が削除した例を挙げて「既に規制はグレーゾーン(の表現)に対しても相当強力に行われている」と指摘した。

 総務省と電気通信事業者4団体は昨年11月、違法情報の判断基準を定めたガイドラインを出した。山田准教授は「総務省が主導して業界団体と二人三脚で規制している現状では、放送番組規制にも入り込むのではないかと危惧せざるを得ない」と懸念を示した。

 大阪府青少年健全育成審議会委員の園田寿・甲南大学法科大学院教授(刑法、情報法)も「共通ルールといっても(事実上の)法的な義務が発生し、内容によっては、裁判所が判断する際の規範や、被害者らが裁判を起こす根拠規定になり得る。個人の情報発信に対し事前抑制的に働くだけでなく、お墨付きを得たとして接続業者が安易に削除する恐れがある。慎重にしないと過剰反応の引き金になる」と警告を発する。総務相が行政指導の根拠として乱用する恐れもある。

 これに対し、総務省は「共通ルールは、自ら守る規定をイメージしている。コンテンツに対する議論では表現の自由に配慮したい」(情報通信政策課)と話している。

 ◇中間取りまとめ公表、TV・HP個別に規制--総務省研究会

 情報通信法(仮称)は、政府と与党が06年6月に、通信と放送の融合を進めるための総合的な法体系について、「2010年までに結論を得る」と合意したことで検討が始まった。

 総務省は昨年8月に大学教授ら専門家による「通信・放送の総合的な法体系に関する研究会」(座長、堀部政男・一橋大学名誉教授)を設置。研究会は19日に「中間取りまとめ」を公表した。

 それによると、放送法や電気通信事業法など放送と通信を区分し無線や有線など事業形態ごとに定めている現行の9本の関連法を情報通信法に一本化する。放送番組のネット配信を容易にして、通信と放送の融合を促進させる狙いだという。

 コンテンツについては、新法に「コンテンツ配信法制」を盛り込み、社会的機能や影響力に応じて(1)地上波テレビなどの「特別メディアサービス」(2)衛星放送(CS)、ケーブルテレビなどの「一般メディアサービス」(3)ホームページ(HP)などの「公然通信」--に3区分し、それぞれに応じた規制に移行する。社会的影響力は▽映像・音声・データ(文字)▽テレビ受像機などの端末によるアクセスの容易性▽視聴者数--などの基準に照らして類型化する。

 情報通信法では、特別メディアサービスについては、「報道は事実を曲げないですること」などを定めた放送法の現状の規定を維持する。一方、一般メディアサービスについては、同法の政治的公平などを求めた条項、災害放送義務などを緩和し、新規参入を促すという。政党や宗教放送も視野にあるとみられる。

 公然通信は、インターネット上の違法・有害コンテンツ対策として、インターネット接続プロバイダー(ISP)やユーザーが配慮する「共通ルール」を盛り込む。

 一方、災害対策基本法や国民保護法に基づく指定公共機関や、NHKの役割については言及していない。

 研究会は7月20日まで、中間取りまとめに関する一般の意見を募集するとともに、関係団体のヒアリングを実施し、12月に最終報告書をとりまとめる。情報通信法案は地上波デジタル放送への完全移行(11年7月)に間に合うよう10年の国会提出を目指している。

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 ◆通信・放送の総合的な法体系に関する研究会メンバー◆ 安藤真・東京工業大大学院理工学研究科教授▽多賀谷一照・千葉大法経学部教授(NHK経営委員)▽中村伊知哉・慶応義塾大デジタルメディア・コンテンツ統合研究機構教授▽長谷部恭男・東京大法学部教授▽浜田純一・同大学院情報学環教授▽舟田正之・立教大法学部教授▽堀部政男・一橋大名誉教授=座長▽村井純・慶応義塾大環境情報学部教授=座長代理▽村上輝康・野村総合研究所理事長(50音順)



通信・放送の総合的な法体系に関する研究会
http://www.soumu.go.jp/joho_tsusin/policyreports/chousa/tsushin_houseikikaku/

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