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DV 児童虐待 行政権限強化の方向へ

DV防止「脅迫」も対象に、与党チームが法改正原案
 自民・公明両党の「与党DV防止法見直し検討プロジェクトチーム」(南野知恵子座長)がまとめた配偶者暴力防止・被害者保護法(DV=ドメスティック・バイオレンス=防止法)改正案の原案が21日、明らかになった。

 〈1〉裁判所の保護命令の対象となる暴力に、言葉などによる「脅迫行為」を加える〈2〉市町村による配偶者暴力相談支援センター(DVセンター)設置を努力義務とする規定を新設する――などが柱だ。

 現在、保護命令の対象となる暴力は、身体に対するものに限定されている。

 しかし、内閣府が昨年秋に行った被害者への調査では、配偶者などから受けた暴力として「精神的暴力」を挙げた人が約9割に上った。この結果も踏まえ、改正案では将来、身体的暴力に発展する可能性のある脅迫行為も保護命令の対象とする。

 一方、市町村のDVセンターは、2004年の前回の法改正で市町村も設置できるようになった。しかし、実際の設置は札幌市(2か所)、神戸市、岡山市、北九州市の4市5か所にとどまっており、努力義務規定の新設で市町村の対応を促す。

 改正案にはこのほか、〈1〉裁判所の接近禁止命令が出されている場合、面会を求める内容や嫌がらせ的なメール、電話も禁止する〈2〉加害者に対する接近禁止命令の対象に、加害者が認知している被害者の親族・関係者も加える〈3〉裁判所は保護命令を出したことを警察だけでなく、DVセンターにも通知する――ことなども盛り込む。

 01年に施行されたDV防止法は、3年ごとの見直しが規定されている。与党は近く改正案の内容をまとめ、民主党などとも協議した上で、議員立法で今国会での成立を目指す方針だ。

(2007年4月22日3時0分  読売新聞)



児童虐待防止法 施行が来年4月では遅すぎる

(4月19日付・読売社説)

 家庭の中で虐待され、助けを求められずにいる子どもが、今もどこかにいる。命を救うためには実力行使も必要だろう。

 超党派の国会議員グループが児童虐待防止法の改正案をまとめた。今国会に議員提案し、5月にも可決・成立する見通しだ。

 改正案の眼目は、児童相談所の権限を大きく強化した点にある。

 虐待を疑われる親が任意調査や出頭の求めに応じない場合は、都道府県知事が裁判所の令状を取り、児童相談所の職員が強制的に住居に立ち入れるようにした。その際に警察官も同行する。

 当然、行政に持たせるべき権限だ。むしろ遅すぎたと言わざるを得ない。

 前回2004年の法改正時にも、児童相談所や警察の立ち入り権限を強化すべきだ、との議論があった。だが、「人権侵害の恐れ」を強調する野党などの反対で見送られた経緯がある。

 その後、悲惨な虐待事件が数多く明るみに出た。

 特に昨年5月、福島県で3歳の男児が衰弱死させられた事件では、親が玄関のドアに鍵をかけるなどして児童相談所の訪問調査を拒んだために、子どもの保護に至らなかった。

 この事件を受けて、警察庁は「人への危害が切迫した場合、建物に立ち入ることができる」という警察官職務執行法の規定を積極的に活用するよう通達している。しかし現実には、危害が切迫しているかどうかの状況判断は容易でない。

 今後は、定められた要件と手順に従って強制調査が行えるようになる。主体は児童相談所であり、警察は支援する立場だが、必要とあれば警察官はためらうことなく調査の前面に立つべきである。

 改正案はさらに、施設に一時保護した子どもを連れ戻そうとする親に対して、児童相談所が知事名で罰則付きの接近禁止命令を出せるようにした。

 児童相談所や市町村についても、虐待情報があった場合は必ず子どもの安全確認を行う義務を明記する。行政は強力な権限を与えられた以上、しっかりと職務を果たさなければならない。

 昨年1年間に、家庭で虐待されて死亡した子どもが59人もいる。対策は待ったなしの状況だ。にもかかわらず、改正案は施行期日を来年4月としている。1年近くも先だ。これは、あまりに悠長ではないか。

 役所の事情を考慮してのことなら、理由にならない。令状を請求する児童相談所や、これを許可する裁判所の体制づくりは、今年度中でもできるだろう。子どもの命が第一だ。

(2007年4月19日1時56分  読売新聞)

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